<プロフィール>
A.B. 男性
慶應義塾大学経済学部
就職予定先:外資系投資銀行 IBD
インターン参加社数:15社
OB/OG訪問人数:1 名
ES提出社数:6社
面接社数:4社
内定社数:3社
苦労して進めた就活で「そこで働く覚悟」を決めることが一番の課題だった
――学園祭実行委員会がほぼ1年通して動いている中で、就活を進めていくのはスケジュール的にはいかがでしたか?
学園祭本番が11月で、エントリー締め切りも11月という……。そう考えるとかなり忙しいスケジュールでした。本選考自体は12月から1月にかけてだったので、そこを駆け抜けたという感じでした。確かにタスクが詰まっていた時期ですが、あまりつらいと感じたことはなかったですね。つらかったというよりは充実していて楽しい日々だったなと思います。元々、予定を詰めて、きびきび動くのが好きだったこともあり、忙しさを楽しめる毎日でした。スケジュール管理は大変でしたが、学園祭実行委員会も就活もどちらも自分がやりたいことだったので「やろう!」と思って走り切った感じです。
――スケジュール管理が大変な時期は、何か息抜きみたいなことはされていましたか?
実行委員会の活動が就活の息抜きみたいな部分があったので、忙しくても病まずにこなせたところはあるかなと思っています。本選考が動き始めた12月頃にパーティーや合宿などの行事がたくさんあって、せっかくなので楽しむときは全部忘れて楽しもうと考えていました(笑)。あえて就活を気負わず楽しんでいました。
――多くの就活生が適性検査などの筆記試験で苦労されると思いますが、試験対策などはいかがでしたでしょうか?
筆記試験に関しては夏前に仕上げてしまおうと思い、短期集中で仕上げていました。会場に何回も足を運ぶことは非効率だなと感じたので、夏前には高得点を出しておこうと決めまして、結果的に大学3年生時の7月には自分が目指す企業を通過できるレベルの得点を出せるようになりましたね。
――なるほど。早めのスタートが功を奏して外資系投資銀行に業界を絞れていて、方向性が定まった中で本選考を迎えられたかと思いますが、どんなところで苦労されましたか?
僕が受けた本選考で、投資銀行に特有の、一定期間内に多くの面接を行うという選考があったのですが、ここが一番苦労しました。私が内定をいただいた企業は1社で計21回の面接があったのですが、最初の1回がグループ面接でその後の20回は全部別の面接官の個人面接で。これがおそらく面接マニュアルなどがなくって、聞かれる質問が毎回変わるんです。面接官がそれぞれ自由に質問し、ひたすら食らいついて回答するというもので、それは本当にフィジカル的にもメンタル的にも堪えるものでした。
――個人面接20回はとてつもない回数ですね。
もう本当に、「これマジでいつ終わるんだ?」っていう……(笑)。終わりがイメージできないところが本当につらかったですね。1日に約30分の面接が3~4セットとかだったので、実質は日数の感覚でいうと6次面接が最終面接くらいの体感なんですが、とにかく毎回面接官が変わるというところが大変でした。回数が重なるごとに疲労感も蓄積されて、とはいえミスはできない。「これで10人にお会いしたからあと何人……」のように考えると本当に終わりが見えなくてしんどい気持ちになっていましたね。こういった選考があるということは事前情報で知ってはいたものの、実際にやってみると想像していたよりもはるかに大変だなと感じました。
――回数が多く、かつ毎回面接官が変わるという面接をどのように乗り越えてきましたか?
僕は毎回、面接が終わったあとに必ず近くのカフェで聞かれた質問をリストアップしていました。聞かれたすべての質問を「Excel」に書き出して、それに対して自分のベストの答えを模索する。そういうことを必ずするようにして、回数をこなしていくうちに自分の中に考えが蓄積されていったので、自然と応対の精度を上げていくことができました。
――そういった経験を乗り越え、内定を得られたわけですが、内定承諾まで悩んだことなどはありましたか?
僕が内定をいただいた外資系投資銀行業界だけでなく、様々な業界・企業でも同様の悩みを感じる方が多いとは思うのですが、「そこで働くことの覚悟を決めること」に一番悩むのではと思っています。ただ、僕は内定をいただいた時には覚悟ができていたので迷いなく承諾しました。
――具体的にはどのようなことでしょうか?
内定を頂けたとしても、辞退する人というのは毎年どの業界や企業でもいて、他社ではなくて、他業界にいく人も少なくないんですね。それは色々な話を聞いたところ、僕が目指した外資系投資銀行業界では、特に顕著だなと感じていて、理由は2つあると思っています。まず一つは「自分は周りの人とやっていけるのか」という不安。もう一つは「自分はこの環境でやっていけるのか」という不安だと思います。周りの人が非常に優秀でレベルの高い人が多い業界なので、その人たちの中で自分が戦えるのかという不安。次に、厳しい労働環境なのでそこでやっていけるのかという不安。この2つで悩む方が多く、僕も例にもれず選考を受けながらもこの悩みに直面しました。端的に言ってしまうと「優秀な人に囲まれガッツリ働く」業界なので、腹を括るまで少し悩みました。
――結論、そういった働き方でもかなえたい理想があったのですね。
そうですね。僕は自分に一番負荷をかけて成長できるのは20代だと思っていたので、20代のうちにやれるだけ頑張ってみたいと思いましたし、それでもやりたい仕事だなと思えたので覚悟を決めることができました。自分の中で覚悟が決められれば、入社後に後悔することは無くなると思っています。
きれいごとだけじゃない世の中で、自分の頭で考えてアクションを起こそう
――就活を振り返って、印象に残っていることなどありますか?
印象に残っていることでいうと、自分が色々と経験して感じたことと、就活中に読んだ本で支えられた言葉が2つあります。まず一つ、自分の中で大切にしている概念で「自信と慢心は紙一重」というものです。自信がないと他の人はついてこないし信頼もしてくれませんが、かといって慢心してしまうとそれはそれで足をすくわれてしまう。就活でお会いした方の中には「この人は非常に優秀そうであるものの、自信があるのか、ただ慢心しているのかどちらなのか」みたいな方とも会う機会があり、とても難しいバランス感覚だなと感じました。そういったバランスを重要視しなければいけないという点ですね。あともう一点、たまたま読んでいた本にあった言葉なのですが「現実は悲観的に、将来は楽観的に」という言葉がありまして、それがずっと自分が思っていたことに近かったので非常に印象に残っています。現状は「これじゃ満足できない」という餓えた気持ちで上を見つつ、でもそれだけだと心が疲弊していくだけなので、だからこそ「今頑張れば将来は明るく何とかなる!」という心意気でいる。現状に対し不安を感じ、不安払しょくのためのアクションを繰り返していくことで未来が安定したものになっていく。そういう点では就活も同様かなと思いました。
――そういう気付きを繰り返して、就活の中でご自身が成長されたと思うことはありますか?
学生の世界とは違う、社会の一端に触れて学びを得られた、という点で成長できたと思っています。例えば、世の中はきれいごとだけじゃ回らないなということです。就活で公に出ている情報って良い情報ばかりだと感じていて、でもそれは企業も良い部分を伝えたいので当然のことですよね。新卒の3年以内の離職率は何%程度で、最も多い退職理由はこうです、みたいな情報は絶対に表には出てこない。「こういう仕事ができます」と言っても、当然それだけできるわけではないですし、直接的な表現になってしまいますが、様々なケースで「なぜこの人がこの企業に採用されたんだろう……」みたいな人もいたりしますよね。そういう、説明できない不条理みたいなことって普通に世の中にあふれていると思います。時には目の前の情報や物事を批判的に見て、自分の頭で考えて自分の物差しで判断することの必要さみたいなことを学びました。言われたことを鵜呑みにするだけでは、そういった社会の本質でもある、きれいごとではない部分には気付けないなと思いました。
――厳しいご意見ですね。
情報って、提供されている場所にはあふれていますし、今の世の中ではネットで検索すればいくらでも出てきますよね。でも、そのインプットを自分がどう咀嚼するかはその人の能力なので、そこをするかしないかは非常に大きいなと思います。
――では最後になりますが、これから就活を始める方へのメッセージをお願いします。
就活の成功というのは世間的に良いといわれている企業に入ることではなく、自分が入りたい企業の内定をもらうことだと思います。そのためには2つのフェーズが必要と思っていて、まずは自分が行きたいと思う企業を見つけるということ。そして、その自分が行きたい企業のドアを叩けるレベルに到達するということ。つまり、自分がどんなことをしたくてどんな企業に入りたいのかしっかり自己認識するフェーズと、その実現のために必要な力をつけるフェーズの2段階があると思います。どちらも欠かせない重要なことなので、両方を忘れずにやることが重要です。そういう意味では早い時期からスタートすると何かと有利な面はありますが、期間が短くても結果を出せる人がいるのも事実です。僕は自信がなかったので早くスタートさせましたが、始める時期は必ずしも重要ではないと思います。費やす時間の総量というよりも質が重要で、その次に行動量。「質×量」という図式が結果につながると思うので、そういうことを意識的に進めると良い方に向かうのではと思っています。
――ありがとうございました!
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