6月24日に、「Premium Talk Fes」特別編が開催されました。
戦略コンサルティングファーム、投資銀行・投資ファンド、ベンチャーキャピタル -
「ビジネスプロフェッショナル」とも呼ばれる企業で働く先輩たちは、何を考え、どんな仕事をしているのでしょうか。
YJキャピタル代表取締役 堀新一郎氏
ユニゾン・キャピタル株式会社 安岡徹氏
クリンタル代表取締役社長 杉田玲夢氏
株式会社電通デジタル 竹谷明泰氏
の4名にご登壇頂き、トップキャリアを目指す大学生に向けて、「プロフェッショナルの在り方と、これからくる領域」というテーマで議論して頂きました。その様子を、書き起こし形式でお伝えします。
いま、トップキャリアを目指す大学生に伝えたいこと
多田 本日はどうぞ宜しくお願い致します。ビズリーチという会社の取締役をしております、多田と申します。私自身はベンチャー畑の人間で、こうしたプロファームというような企業とはあまり縁がないのですが、ビズリーチではヘッドハンターとして7000名以上の方々の転職支援をさせていただいてきました。そこでプロファームの方とはお話をしてきたというのはありますので、そうした経験を踏まえながら、パネリストの皆さまのお話を掘っていきたいなと思います。
(堀さんが写真を撮っている)
多田 ・・・こうやって、フェイスブックに写真をあげるわけですよ。自由だな~。
(客席笑い)
多田 こんな感じで約一時間、こちらの豪華な4名の皆様でパネルディスカッションを進めていきたいと思っております。
今日は1時間もあるのにテーマが2つしかありませんので、登壇者の皆さんにどれだけテーマを深ぼってもらえるかというところが勝負になってくるのかなと思っています。
まずテーマ1は 「プロフェッショナルとしての働き方」 です。
プロフェッショナルという言葉は皆さんも良く聞くと思うんですけれど、そもそもプロフェッショナルって何なのでしょうか。これを聞いていきたいと思います。
「UP or OUT」 常に成果を出し続けること
堀 はい、僕の定義では、プロ野球で言うと凄くわかりやすいのかなと思っておりまして。
プロ野球では、打率が1割5分でホームランがなくて失策ばかりしている選手がいたら、二軍に落ちて、二軍でも活躍できないと、契約が解除されて首になってしまいます。アマチュアではこれはありませんが、プロ野球ではこういうことになるんですね。
僕の定義では、プロフェッショナルというのはそういうものです。
例えば私が所属していたドリームインキュベータは、ボストンコンサルティングの者が創業したコンサルティングファームで、比較的外資系のカルチャーのあるファームだったのですが、社内で使われている言葉で「up or out」、つまり「上に行くか出ていけ」というものがありました。
パフォーマンスをしないものは出ていきなさいということですね。仕事ができないと、コンサルタントとしてプロジェクトにアサインされなくなるんですね。で、アサインされなくなると、隣の人がバリバリ仕事をして3つくらいプロジェクトを持っているのに、仕事ができない人は一つも持っていないという状態になる。そうして居心地が悪くなって、自分が出ていかなくてはいけないと。試合に出れないやつは出て行くしかないということです。
話が長くなってしまったんですけど、僕の中でのプロフェッショナルの定義は、仕事ができる人は年齢、経験関係なく給料ももらえてどんどん出世していく。高卒ルーキーでも20勝あげたらプロ20年目の人よりも給料が高くなる。というようなものです。
多田 なるほど。今、仕事ができるできないという話がありましたが、私も新卒の学生からよく、「仕事ができる人ってどんな人ですか?」という質問を受けます。堀さんのご経験の中で、仕事ができる人というのはどのような人ですか。
・堀新一郎 慶應義塾大学卒。
慶應義塾大学(SFC)卒業後、フューチャーシステムコンサルティング(株)(現フューチャーアーキテクト(株))を経て、 (株)ドリームインキュベータ(DI)にて経営コンサルティング及び投資活動に従事。 2007年よりDIのベトナム法人立ち上げのため、ホーチミン市に赴任。 ベトナム現地企業向け投資を行う50億円のファンドのソーシング及びバリューアップに携わり、 5年半に亘るベトナム駐在を終え2012年に帰国。 2013年よりヤフー(株)に入社しM&A業務に従事。2013年7月よりYJキャピタルへ参画。 2015年1月COO就任、2016年11月より現職。アクセラレータープログラムCode Republic共同代表及び、ソフトバンクのグループ内新規事業開発・投資会社である SBイノベンチャー(株)取締役兼務。
堀 会社の中で求められる成果物、アウトプットをしっかりとデリバリーして、パフォーマンスできるかどうかだと思います。コンサルティングファームでいうと、お客さんのことをコンサルティングするという。
当たり前のことを言っているんですけれど、例えばキリンビールの売り上げを3倍にしなくちゃいけないというテーマがあった時に、そもそもコンサルティングを受注しなくてはいけなくて、そのうえで売り上げを3倍にするためのコンサルティングをデリバリーしなくちゃいけない。それを両方できて初めて仕事ができるということです。
多くの場合は、いきなりキリンビールの社長に対して1プロジェクト1億円とか3億円のプロジェクトを考えたからといって、新卒1年目の人が売りに行っても普通は売れないわけですよ。
でもね、たまにいるんですよ。BCG出身の杉田さんなら分かると思うんですけれど、新卒2、3年目なのに超頭良くて、誰もが思いつかないようなアイデアを思いついて、それを売りにいくというイチローとか大谷君みたいな選手が。
要するに、誰の目から見ても、求められるパフォーマンスを圧倒的に出していることが、仕事ができるということなんですね。
多田 ありがとうございます。それではそのまま振られてしまった杉田さんにそのままお話をお聞きしたいと思います。BCGに行かれて、スーパー新卒を見たという経験をもしかしたらお持ちでないかという風に思うのですが、杉田さんにとってプロフェッショナルとは何でしょうか。
圧倒的な責任感
杉田 そうですね~圧倒的な責任感ですかね。これは、言うは易し行うは難しという事なんですが、私は研修医をやってからコンサルタントをやっているので、2つの職業の対比で考えてみます。
例えば、患者さんに注射をして、それで副作用が起きて事故になりましたと。このミスは間違いなく上の先生のせいにはできない。だってこれ作ったのお前じゃんと。これが一ヵ月のペーペーだろうと、責任が問われる。というのが医者の世界です。
これをコンサルタントに置き換えると、よくありがちなのが、例えば「日本の人口を調べてくれる?」って言われたとします。そのときに、確か1.2億くらいかな?という答えでもいいし、ウィキペディアみたら1.4億(2014)だったという答えでもいいし、いやいや2017年6月なんだから、その時期に国が題している統計データから、1億何千何万人だって答えを出す人もいるんですね。
これをどこまで追求するかというのが責任感で、どこまで出してもいいんだけど、この出した数字の精度なんかが彼らのプロフェッショナル度だなと、なんとなく思っています。これを突き詰めないで、なんとなく1.2億でいいなとかいう人は、やはり頼りないなと。
どのくらいの精度でやればいいのかということは、最初は全然分かんないのですが、コンサルティングファームとかに入って上の人とか同僚の人からどんどん突っ込まれていくと、「あ、これくらいの調べ方だと怒られるんだ。」とか、「お、これくらいの精度で調べれば良いんだ。」とか、繰り返し壁打ちしていくうちに、プロフェッショナルの基準みたいなものがどんどんできあがってくるんですね。そして、自分の中にプロフェッショナリズムみたいなものを育て上げていく、みたいなことが大切なんだと思います。
多田 プロフェッショナルを追求する姿勢っていうのはお医者さんでもコンサルタントでも変わらないとおっしゃいましたが、それはもう、学生でも変わらないスタンスなのか、それとも後天的に社会人になっても身につくものなのか。杉田さんのお考えではどうでしょう。
一年目のスタンスが、その後の働き方を決める
・杉田玲夢 東京大学 医学部卒。
NTT東日本関東病院、東京大学医学部附属病院での研修を経て、広くヘルスケア業界の抱える課題に興味を持ち、国内コンサルティング会社に転職。
厚労省、経産省などと社会的課題に関するプロジェクトを経験後、デューク大学ビジネススクールに留学。MBA取得後、2012年ボストンコンサルティンググループ入社。
製薬会社や医療機関の経営改善を多数行う。2014年よりプロジェクトリーダー。患者によりよい医療をという想いの下、2015年5月clintal創業。
杉田 これはですね、1年目ですね。1年目のスタンス。三つ子の魂100までじゃないですけれど、1年目の働き方が私の中で一生引きずる働き方だと思っています。
・・・私まだ話して大丈夫ですか?(笑)
私、1年目は研修医をやっていて、どこにいても土日だろうがなんだろうが病院患者から連絡が飛んでくる、そんな環境で働いていたんですね。これは病院によってスタンスが違うんですけれど、私はそういう病院にいて。美容院で髪を洗っている途中や、ご飯を食べている途中で捨てていくとか、そんな感じだったんですね。
そのスタンスっていうのが全然抜けなくて、コンサルに行ってもそのままで、コンサルの方が一般的には激務と言われますが、逆に制度がしっかりとしているなと感じるくらいでした。
例えば、ちゃんとプロジェクトとプロジェクトの間はしっかり休みましょうとか、土日は何時間休みましょうとかね。正直そこは全然なじめなくて、やめてくれよ、もっと仕事させてくれよ。みたいな思いです。
逆に医者でも研修1年目でゆるい業務もあって、ちゃんとシフトも組んでいて、勤務時間は9時~18時です。みたいな病院に行くと、そのあとどこに就職しても、9時から20時またいで辛い!みたいなふうに感じるということですね。
僕の中では、1年目の働き方が全てを決めていると思います。
年俸に見合う価値を出せているか
堀 僕も先ほどの回答がよろしくなかったので、杉田さんのお話にかぶせて先ほどのプロフェッショナルの定義に補足すると、野球選手でもそうなんですけど、年俸に見合う活躍をしているかっていうところが大切だと思いますね。
今の杉田さんの話でもありましたけど、やっぱり1年目から大活躍というのはなかなか難しいと思うんですよね。だけど、1年目で年俸が500万だったり600万だったりするのならば、600万にふさわしい動きができているということが凄く重要だと思います。
コンサルティングファームでいうと、お客さんからだいたい1プロジェクト2000万から3000万くらいもらっているんですよね。それを時給換算ですると、1日8時間で20営業日だから・・・時給いくらなんだって話なんですよね。コンビニでバイトをしている感覚と比べたら、圧倒的に高いということになるわけですよね。
自分はお客様からもらっている対価にふさわしい仕事をしているのか。というところに責任をもって、パフォーマンスを出すことが求められているのかなと思います。出しゃばって申し訳ありません。(笑)
本連載の第2回はこちらから
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