企業紹介
三井物産株式会社が持つ総合⼒を活⽤し、合成樹脂(プラスチック)や化学品、機械などの販売・物流事業をグローバルに展開する化学品専門商社。自動車・食品包材・住宅建材・先端エレクトロニクスなど様々な分野における産業的課題の克服に向けて、解決策を提案。農業や環境にも注力領域を広げ、新たな価値の創造に取り組んでいる。
人物紹介
三井物産プラスチック株式会社
塩ビ・建材事業部
関西塩ビ樹脂グループ
北岡 翼
2017年4月入社。
フィルム関係の商材を扱う先端材料本部を経て、現在は塩ビ・建材事業部で住宅建材メーカー向けに塩ビ樹脂の販売に従事。既存ビジネスの拡大に縛られず、自分らしさをモットーに独自でマーケットを開拓し、スポーツ業界向けの新規案件にもチャレンジし、収益拡大を目指す。
モットーは「置かれた場所で咲きなさい」。
―――まずは、学生時代にどんな就職活動をされていたのか聞かせていただけますか?
はじめの頃は自分に合った仕事って何だろうという気持ちで、業種問わずに会社を見ていました。自然と、何を売るかではなく「北岡だから買う」と言ってもらえる仕事がしたいと考えるようになり、商社が第一志望になりましたね。三井物産プラスチックに入社を決めたのは、OB/OG訪問で会った社員や面接官にとても温かい人が多かったからです。この人たちと一緒に働きたいと強く感じられたことが、最終的な決め手になりました。
―――商社でこんな仕事がしたい、と思い描いていたイメージはあったのでしょうか?
実は、それがまったくないんです(笑)。普通は、海外で働きたい!とかありますよね。自分は「置かれた場所で咲きなさい」という言葉が、学生時代からのモットー。国内・海外にこだわらず、どんな場所でも自分のスタイルを活かして咲くかを楽しみたいと思っていたので、特に仕事を選ぶようなことはしていませんでした。
―――たしかに、珍しいかもしれないですね!これまでのキャリアを教えてください。
入社後に配属された先端材料本部では、テレビやパソコン、スマートフォンなどのディスプレイに使われるフィルム関係の商材を担当していました。国内外のメーカーから仕入れ、それを国内外のお客さまに販売するのが主な仕事です。ただフィルムを売るのではなく、当社の顧客資産を活用して加工会社にフィルムを持ち込んで特殊なコーティングをすることで機能性を上げるなど、高付加価値の商品を販売することも重要な取り組みになります。
―――当時の印象に残っているエピソードなどはありますか?
2年目から約5年間、関西支社で同じくフィルムを扱う部署に所属していたのですが、そこが社内でも売上トップを争うほど取扱高が多いところでした。仕入先・販売先ともに大手企業ばかりで、ボリューム的にも品質にもかなり厳しい水準が求められる環境だったことが、今でも強く印象に残っています。納品した商品に傷がついていたトラブルがあり、正月明け早々にお客さまと工場に駆け込んだこともありました。
―――販売するだけでなく、高いクオリティが求められる環境だったわけですね。
はい。世間からも注目される製品の一部になる部材だったため、トラブルが起きて納期が遅れると、それだけお客さまにも損失が発生してしまうので、先方のお怒りも当然です。私たちの仕事はお客さまに商品を安定供給することが第一。この時は、原因を究明して改善することはもちろん、商品をすべてチェックして問題ないものは良品としてそのまま納品させていただき、一部だけを回収・再納品することでなんとか供給をつなぐことができました。
―――そういう困難に直面した時は、どうやって乗り越えていらっしゃるのですか?
しんどいなと思う局面でも、モットーである「置かれた場所で咲きなさい」に従って、どうすればこのポジションで自分が輝けるかを考えながら仕事をしていると、自然と乗り越えられていますね。大変なことも多いですが、嬉しいこともあるんですよ。仕入先のメーカーから年間販売量の功績が認められ、1年間に1人だけ表彰される賞をいただけた時は、頑張ってきてよかったとやりがいが感じられました。
―――仕事をする上で心がけていることを教えてください。
お客さまとのコミュニケーションはかなり重視しています。ディスプレイ業界は波が大きく、突然発注にブレーキがかかったり、急に量が増えたりするので、メーカーの在庫不足や余剰在庫になりがちです。たとえば新型コロナ期にテレワーク需要でパソコンの供給が急増したのも、わかりやすい例ですね。できる限り備えられるよう、お客さまの情報を密にメーカーに共有することで、双方にとってスムーズな取引ができるよう心がけています。
スポーツ業界に貢献したい、と独自にマーケットを開拓
―――現在所属されている部署の仕事内容について教えていただけますか?
2023年9月から、塩ビ・建材事業部 関西塩ビ樹脂グループに所属しています。名前にある通りですが、メイン商材は住宅建材や水道用パイプなど、日常生活を支える製品に欠かせない塩化ビニルという樹脂です。その加工に必要な安定剤・滑剤・可塑剤などの添加剤も含めて、主に国内の住宅建材メーカーに販売しています。
―――商材が変わると、環境もガラッと変わりますね。北岡さまが独自に取り組んでいる案件があるとお聞きしました。
日本は人口減少に伴って住宅着工件数も減っているのが現状です。諸先輩方もこの課題の解決に取り組んでいらっしゃる中で、同じように住宅建材業界だけを追いかけるのではなく、「北岡」だからこそ出来るビジネスをしたいという思いがありました。そんな時、日頃の取引で厚意にしていただいている特殊な加工でカードやトランプを製造するメーカーから、一緒に何か新しいビジネスを創っていけないかと相談を受けたんです。自分がずっと貢献したいと考えていたのが、学生時代から取り組んできたバスケ。これはいけるかもしれない、とバスケのプロチームにいる友人伝手に、球団グッズを販売する担当者にアポイントを取り付けて交渉に行きました。
―――マーケットをスポーツ業界に広げたわけですか。また新しい挑戦ですね!
そのメーカーがつくる塩ビシートは硬質で、キズに強く印刷にも優れているのが特徴。ファンの方なら、好きな選手のカードが折れ曲がったりするのは嫌じゃないですか。多少高値になっても、高品質のグッズであればきっとファンの皆さんに喜んでもらえるはずだと力説し、採用いただくことができました。選手カード以外にも、トランプやカードファイルなどのグッズにも使っていただいています。
―――無事に販売もスタートしている。その後の売れ行きなどはいかがでしょうか?
おかげさまで好調のようです。グッズだけでなく、スタジアムのアリーナに貼る養生シートを提案するまで話が広がっています。何か困ったことがあれば、北岡に頼めば何でも提案してもらえる。お客さまとそういう関係を築くことを心掛けています。これらの実績をもとに、他の球団や他のスポーツ競技団体にもPRを進めているところです。個人的な人脈も使いながら、プライベートと仕事を分けることなく、楽しくやらせてもらっています。
―――今後、ますます広がっていくといいですね。
今はまだ、このスポーツ業界の案件は自分の仕事量の内の1割程度ですが、将来的には社内にグループが1つ新設されるぐらいの収益を上げるのが目標ですね。国内でしっかりと実績をつくり、ビジネスとして確立できれば、海外に向けて展開していくことも可能です。日本から製品を持っていくのはもちろん、現地の企業に技術提供して海外で生産体制をつくることもできる。世界に100を超える拠点とのグローバルネットワークを活用できる、三井物産の強みでもあります。
無限の可能性と商品の自由さが、「化学品」の魅力
―――専門商社として、「化学品」を取り扱う魅力について聞かせていただけますか?
化学品は、混ぜ合わせて反応を起こすことで、これまでになかった新しいものを生み出せるという特徴があります。今の生活を支えるあらゆる製品になくてはならない素材であると同時に、未来の新しい技術発展に貢献するのも化学品です。未知の世界に挑戦できる可能性があるところに、大きな魅力を感じます。
―――たしかに、化学品の持つ可能性は無限に広がっていますね。
さきほどのスポーツ業界向けの案件もそうですが、自分次第でいかようにも商品が変えられるのも、化学品の良さですね。好きなようにやろうと思えば何でもできる。新しいことにチャレンジをするので勿論不安もありますが、私なりの考えを持ちながら上司とも何度も相談し、そしてチャレンジを後押ししてくれる環境があるのも、三井物産プラスチックならではの良さだと思います。
―――入社の決め手が「人の温かさ」だったとおっしゃっていましたが、実際に働いてみてどうですか?
人の印象は入社前とまったく変わりません。入社してすぐ大きな部署に配属された時には悩むことも多かったのですが、周りの方々の手厚いサポートにたくさん助けられました。話がしやすく、相談すればいつでもしっかり応えてもらえる安心感があります。本当に温かい人が多いなと、今でも感じますね。
―――最後になりますが、就職活動中の学生に向けてメッセージやアドバイスをお願いします。
私がそうだったのですが、やはり最初から選択肢を狭めずに、いろんな業界を見てほしいと思います。その上で、実際に足を運んでみてください。そこでどんなことをしている会社なのか、自分にマッチするかどうかを見極めて、感じたことを大事にしてほしいです。希望する業界や企業に出会い、前に進めることを願っています。
―――趣味と仕事を掛け合わせた新規案件に取り組む様子は、とても楽しそうですね。それを実現できる環境風土があるのも、御社の魅力だなと感じました。本日はお忙しいところ、ありがとうございました!