6月24日に、「Premium Talk Fes」特別編が開催されました。
戦略コンサルティングファーム、投資銀行・投資ファンド、ベンチャーキャピタル-
「ビジネスプロフェッショナル」とも呼ばれる企業で働く先輩たちは、何を考え、どんな仕事をしているのか。
YJキャピタル代表取締役 堀新一郎 氏
ユニゾン・キャピタル株式会社 安岡徹氏
クリンタル代表取締役社長 杉田玲夢氏
株式会社電通デジタル 竹谷明泰氏
の4名にご登壇頂き
トップキャリアを目指す大学生に向けて、「プロフェッショナルの在り方と、これからくる領域」についての議論が繰り広げられました。
その様子を、書き起こし形式でお伝えします。
多田 それでは続きまして、安岡様にとってのプロフェッショナルについて、お話しお願いします。
安岡 そうですね、今回改めてこういう機会頂いたので、今日朝起きてから考えてみました。皆さん今日はメモ持っているので、メモ取りやすいようにお話ししてみようかなって思っています。
私結構、こういうことを考える時に言葉の語源というものが好きで、調べたりするんですね。そこで、プロフェッショナルという語源を考えてみると、プロフェッショナルとは、動詞でいう「profess」が形容詞化したものだそうです。これはさらに「pro」と「fess」に分かれていて、「pro」というのは、「~の前に」というような意味が「fess」は、「話す」とか「発言する」という意味があるそうです。
多分これは昔からきている言葉だと思うんですけれど、例えば何百年も前からのプロフェッショナルの代表とは、キリスト教の聖職者の方でした。この人たちは、聖書に関してとても詳しい知識を持っていました。もしくは修道院っていうのは、色んな技術を蓄積しており、専門的な知識を持ってらっしゃる方々でした。そういった方々が神様の前かもしれないし一般の庶民の方々の前かもしれないですけど、何かの前で、私は専門的な知識を持っていて、その知識を持って他者に貢献をすることを誓うと。
それが、プロフェッショナルの語源だそうです。
それで、これを今のプロフェッショナルの仕事というものに置き換えてみると、クライアントに対して、自身が持っている専門的な知識であったり専門的な技量であったりを、クライアントファーストで行使するという事が、いわゆるプロフェッショナルと言えるんじゃないかなあと思います。
・安岡徹 東京大学 法学部卒。
1999年に新卒でJP Morganに入社。株式調査部において、中小型株の調査を担当。2004年にユニゾン・キャピタル株式会社入社し、M&Aのプロフェッショナルとして活躍。役員として事業経営にも係わりながら、不動産、製薬、化学、建材卸などへの投資を担当し、バリューアップを実行。また、ソニーの子会社であったデクセリアルズ(旧ソニーケミカル)の投資を担当し、2015年7月に東証一部への上場を果たす。
自分で振り返ってみると、私は投資業をしているので、私のお客さんは何だろうと考えてみたとき、私はお金を集める側ではなく投資をする側ですので、投資をしている会社さん、従業員の方というのが、私個人のお客さんになります。投資先の会社に対してどういった貢献ができるのかを常に考えるという事が、クライアントファーストだと思いますし、そういった方々に貢献できる知識を、常に勉強して身に着け、それをアウトプットするという事がプロフェッショナルなのかなあと思います。
まとめると、専門的な知識、技量を高々に自信を持って宣言をして、それをクライアントファーストで使っていくということがプロフェッショナルということなのかなと思っています。結構メモしやすい内容だったと思うので、就職活動にぜひ役立ててください。
専門性の身につけ方
多田 追加で質問してもよろしいですか。先ほど専門性を磨くという言葉がありましたが、これからの時代、5,60年先はここにいる皆様も平均寿命が100歳くらいになっているかと思うんですけれど、率直に専門性ってどういうものなんだろうと思ったりもします。
そこで聞きたいのですが、「専門性って何なんですか。」と問われたら、なんと答えているのでしょうか?また、最初にJPモルガンに行ったときに身についた専門性とは何でしょうか。
安岡 そうですね、我々投資業は、色々な会社に投資をします。自己紹介で言いましたけど、私個人では、不動産業、製薬業、建材、スペシャリティケミカル、光ファイバーなど、色々な会社に投資をしてきました。当然ながらそれぞれの会社の専門性というのは基本的に持っていません。
例えばわたし自身が光ファイバーとか薬について凄く詳しいとかというわけではないです。基本的に我々の仕事というのは、映画で言うプロデューサー業のようなもので、俳優や照明さん、大道具さんなど、タレントを持った方々を一つに集めて、そういった方々に気持ちよく働いてもらってより成果を出して頂く場を作ることです。それが我々の専門性ですかね。
専門性がどう身につくかというのは私自身も勉強中で答えはないんですけれども、先ほど杉田さんがおっしゃっていたファーストキャリアの話に照らし合わせて申し上げてみますと、私は証券アナリストをしていましたので、色々な会社の社長さんに話を聞く機会がありまして、比較的小さな会社が多かったですから組織上の悩みであるとか成長戦略、社長さんの考えを具現化するための組織ができていない等をお悩みとして聞くことがありました。その経験は、このファンド業界に入った後も応用出来ると思っています。まあなんというか、勉強というか、行動パターンとして、組織をどういう風に作っていくかということを身に着けていくことが重要だなと思っています。
多田 ありがとうございます。先ほど、新卒で入った会社でいきなり社長さんと対面したときどうするかという話がありました。普通に考えたら、一年目ではその専門性って全然足りないと思うのですが、それをどうリカバリーするのでしょうか。その中で成果を出すには、どのようなことを心がけていらっしゃったんですか。
安岡 えーとですね、私アナリスト時代はそんなに成果出なかったのですが、辛かったなあというか勉強しなきゃいけないなあと思ったきっかけがあります。会社に訪問をして、社長さんとお話しするという機会が多くて、そこでの出来事だったのですが、私ある会社の社長さんの言っている業界の特殊用語が理解できなかった事があったんです。その時、それって何ですかと質問をし返してしまって、そしたら社長さんの方から、「君そういうことも勉強してないで面談に来るのは非常に失礼じゃないか。」と言われて中断されてしまったんですね。それは私にとっては大変恥ずかったことですし、一方で感謝していることでもあります。というのもそれまでもきっと同じようなことを繰り返していたのだと思うのですが、その社長さんが初めて私に対して、あなたは勉強不足だと正面切って言って頂いた経験だったからです。このときから、勉強に対する姿勢も変わったと思います。
事業会社→コンサルで感じたプロ意識
多田 ありがとうございます。続きまして竹谷様の方からお願いします。プロフェッショナルとはなんでしょうか。
・竹谷明泰 立命館大学大学院 理工学研究科
2005年にソニー/ソニーマーケティング入社後、国内のプロダクトマーケティング及び本社マーケティング戦略策定に従事。様々な業界の経営レイヤーに踏み込んだ業務に関心が移り、2013年にデロイトトーマツコンサルティングに転職。消費財業界を中心とした経営コンサルティングに従事。中期経営計画、事業戦略策定、海外進出、グループ組織再編などを支援。
2016年より電通デジタルにて、電通グループの武器となるサービス開発やオンオフ統合のマーケティング戦略策定等に関わる。
竹谷 このテーマを聞いたときに、なんで私がこれを語るんだと、おこがましいなという気持ちがあったんですけれど。(笑)
私は他の方とは違って、事業会社からコンサルに行ったので、そことのギャップで話したいと思います。コンサルティングファームで感じた、プロとは何かという話です。
そのギャップは何だったかというと、大きく分けて二つあります。
1つ目はクライアントファースト。そして2つ目は自走です。
これは何かというと、ソニーでは、まず新人は上司の話を聞いたり先輩とうまく調和をしたりしながら、自分のやることができたらどんどん主張していいよという程よいバランスの会社だったので、私はコンサルでも同じ考えで転職しました。それから最初にスタッフとしてプロジェクトにアサインされた時に、マネージャーから指示があったとします。
「竹谷君、このプロジェクトで組織設計をしたいので、どういうオプションがあるか考えてくれる?例えば僕だったらこれとこれがあると思うんだよね。」みたいな話があって、私は資料をつくりますよね。それをマネージャーに見せます。するとそのマネージャーに、言われたことをそのまま資料化してくると怒られるんですね。
どう怒られるかというと、それが事業会社とのギャップにつながるんですけど、
「お前は俺が言ったことをただ紙に落としてきただけだろ。それだけじゃなくて、クライアントにとってこれは本当に良いことなのか、そもそも組織を再編すべきなのかというところまで振り返って考えなきゃダメでしょ。」と。これはまず、たぶんどこのファームでも言われます。これがクライアントファーストです。
そしてもう一つが自走力ということなのですが、先ほどの例で、最初の指示でオプションを考えてと言われて、オプションのことだけの紙を提出すると、
「お前は言われたことしかやってない。どうやってオプションを絞り込むのか、どうやってクライアントを説得するのか、そこまで考えたらやることは他にもたくさんあるでしょ。」と詰められるんですね。
ソニーの若手時代だったら、上司や先輩と上手くコミュニケーションを取りながら、アドバイスを的確に再現すれば「竹谷君、頑張ってるね。」となりますけど、コンサルは新人の時からそれが通用しなくて、クライアントにとって何が良いのかを、自分の立場からいつも考えて、上司から言われなくとも、その時に何が良いのかを先回りして動くことが求められます。そうじゃないと立ち上がれなくなってしまって、プロジェクトにアサインされなくなる世界です。これが自走力です。
まとめるとクライアントファーストと自走力。そこがコンサルティングファームでいうプロのことかなと思います。
キャリアの中で、コンサルを経験することの意義
多田 ありがとうございます。あの、ソニーさんからそのあとデロイトトーマツさんに行かれて、今は電通デジタルさんでまたクライアントさんと向き合う環境ですよね。
そういうところでいうと、ステップとしてコンサルティングファームさんを間に挟んだことでここは活きているなと思うこと、変遷を経験されているからこそ感じることはありますか?
竹谷 コンサルティングファームって厳しい世界なんですけど、私が良いと思っているのは、仕事の基礎体力をかなり鍛えられるということです。何年か経験して、自分が行きたい業界を見つけたときに、行きやすくなるのかなとは思っています。
イメージ的に言うと、ちょっと言い方悪いんですけど、モラトリアムの延長的なところがあって、自分がどういう業界に行きたいかを基礎体力をつけながら探せて、それが見つかった時にそこに転職できるキャリアだと思います。
質問に戻ると、広告会社でも徹底的なクライアントファーストの意識とか、自分で考えて先回りして動くってところは役に立っています。
で、電通というと、なんかクリエーティブなイメージじゃないですか?クリエーターの人がコマーシャルとかを企画しているイメージがあると思うんですけど、実は今、電通や電通デジタルはロジカルに考えられる人をすごく求めています。クリエーティブな発想ができる右脳系の人と、ロジカルな左脳系の人を組み合わせて、新しいビジネスができるんじゃないかということで、新規事業を模索しているところなんですね。これは別に、広告業界全体の話で電通デジタルに限らずなんですけど。
その様な中で、コンサルを挟むことによって、電通デジタルから見ても貴重な人材だと思われたと思いますし、そこに私が持っていない右脳的なアイデアを組み合わせることで、今まで広告会社でもコンサルティングファームでもできなかった新しいことをやる機会があって、そういうところに強く面白みを感じています。
本連載の第3回はこちらから
学生の皆さんのキャリア選択を応援します!
ビズリーチ・キャンパスでは、早期から将来を意識し、キャリア選択に前向きな学生の皆さんを応援します! 対策や企業研究よりも前にやるべきことがある…それは「どんな生き方をしたいか?」を考えること。その方法はネットで検索することでも、内定者の先輩に聞くことでもありません。実際に働く社会人の先輩たちに聞くことです。