<企業紹介>
三井住友フィナンシャルグループの一社である日本総合研究所(以下、日本総研)は、グループ各社へITソリューションなどを提供している組織。「シンクタンク」「コンサルティング」「ITソリューション」の3つを事業の基盤にしており、企業や社会に対する新たな課題の提示・発信(イシュー・レイジング)から、課題に対する解決策の提示と解決への取り組み(ソリューション)、新たな市場や事業の創出(インキュベーション)などを中心に、それぞれの分野で企業や社会が求める創造的な付加価値を生み出している。
<取材対象者>
株式会社日本総合研究所
開発推進部門 人材育成部
小林大輔
2005年入社
新卒として入社後、国内有数のクレジットカード会社向けのシステムを担当。IT戦略企画や大規模プロジェクトのマネジメントに携わる傍ら、全社横断的にプロジェクトのリスク評価や開発プロセスの監視・改善業務に従事。2018年2月より現職。
■ランキング表
前半と後半を分け、振り返り成長してもらう時間に
――インターンのポイントや内容を教えていただけますか。
当社のインターンは2つ、「戦略コンサルティングコース」と「IT戦略コース」があります。今回は参加数が多い「IT戦略コース」について説明します。インターンは前半3日と後半2日に分かれており、前半はITの最上流であるITシステムの企画、戦略を体感いただきます。その後、期間を空けて、後半はプロジェクトを遂行するフェーズのプロジェクトマネジメントです。前半が夏・秋のシーズンで、後半は冬に実施します。
――なぜ、分けているのですか?
成長の期間を持ってもらうのが目的です。数年前までは5日間連続でした。ところが、ハードな内容なので、目の前のやるべきことをやっているとすぐに終わってしまいます。振り返りの時間がないんです。そのため、参加者には前半の3日間が終わった後にゆっくりと振り返っていただき、それを活かして後半の2日間に臨んでもらいたいと、分けることにしました。また、グループも組み替えるので、前半は実力が発揮できなかったとしても、気分も新たに再挑戦できるのがメリットです。
「金融×IT」の壮大なスケールを感じてほしい
――インターンの具体的な内容を教えていただけますか。
前半は、5~6人でチームを作り、同時に6チームで実施します。三井住友フィナンシャルグループの銀行の案件を題材としたITの企画の部分で、限られた予算の中で取り得る戦略をディスカッションしながら立案。その上で、最後にプレゼンテーションをしてもらいます。後半は、クレジットカードのウェブシステムを公開するという具体的案件を設定しています。グループ内の一人ひとりが別のプロジェクトのチームリーダーとして個別問題を与えられ、お互いに課題を共有しながら優先順位を付けて解決していくという流れです。課題には、例えば「ベンダーがセキュリティ事故を起こした」「経営層から突然のミッションが与えられたが、予算も人員も足りない」といったものが設定されています。また、後半には、本社の見学や、部長から若手までバリエーションに富んだ現場社員との座談会の時間なども設けており、こちらも好評です。
――学生からは、どんな感想がありますか?
前半の方が難しかった、という感想が多いです。弊社やプロジェクトのことをあまり知らない状態から進めるという難しさもあるでしょうね。さらには、前半は抽象度の高いテーマでもあるため、「何が大事か」というところから考えていかなくてはならず、課題設定力が一層問われます。また、前半と後半の間の振り返りによる成長で、ディスカッションやプレゼンテーションのスキル面において、後半の方がやりやすくなるという一面もあると思います。そのため、「後半で成長できたと感じた」という方が多いです。
――メンターのようなサポートをする先輩社員の方はいらっしゃるのでしょうか?
メンターは開発の現場にいる社員が担当します。担当する前に実際に学生が参加するインターンを受けてもらっています。5年目までの社員に担当してもらうことが多いですが、彼ら自身も実際の現場では体験していないようなスケール感や責任範囲なので驚きます。リアリティがありますし、褒めるだけでなく本気のアドバイスになるので、学生さんからは「社員の方が本当に真剣にアドバイスをしてくれた」「しっかり悪いところを言われたのは初めて」という意見をいただくことも多いです。
――最後に学生へのメッセージをお願いします。
弊社のIT戦略コースのインターンには、さまざまな方に来ていただきたいと思っています。例えば、論理的思考力やコミュニケーションスキルに自信がある人は、それがどこまで通用するのか腕試しをする気持ちで来ていただきたいですし、大学で日々研究に没頭している人も、違う視点を得られる体験のひとつとしてトライしてもらいたい。金融やITに敷居の高さを感じている人が多いようなので、弊社のインターンシップに参加してもらうことで、「金融×IT」のスケールの大きさ、楽しさを少しでも感じてもらえればうれしいです。
就職活動全体のことで言えば、こんなにもたくさんの会社の人とフラットに話せる機会は社会人になるとなかなかありません。多くの会社が、いいところや悪いところを包み隠さず話してくれるはずなので、その特権を有効に使ってたくさん情報収集するといいと思います。たくさんの人に会って、たくさんのことを見聞きし、自分の仕事選びの選択肢を広げるようにしてもらいたいですね。