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OB/OGが語る

日本ロレアル 人事本部 採用マネージャーが語る、新時代のキャリア選択のすすめ

終身雇用制度が崩壊しかけ、働くことが多様化する現代において「ファーストキャリア」という言葉を目にすることが増えてきました。学生が初めて就職する上で、選ぶ企業や仕事は社会人の土台となります。しかし最初からやりたい仕事や好きな仕事を見つけることは可能でしょうか。企業で働き、様々な経験をしたからこそわかってくることも多いはず。この特集では、さまざまな企業で活躍する先輩社員に「キャリア選択」について伺います。今回は、日本ロレアルの梅原氏にお話を伺いました。

<企業紹介>
世界140ヵ国で事業を展開し、化粧品業界をリードし続けるロレアルグループの日本法人。「すべての人生に、美しく生きる力を。世界を日本へ。日本を世界へ。」を企業理念とし、トータルビューティに関する様々なビジネスを展開している。ロレアルグループにおける戦略的な市場として位置づけられており、日本ならではの発想や想像力に基づいて開発されたユニークな製品やサービスを提供。日本のみならず、アジアをはじめとしたグローバル市場におけるイノベーション拠点の役割を担っている。

<<<本シリーズ 掲載企業>>>
・株式会社 JTB
https://br-campus.jp/articles/report/703
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<人物紹介>
梅原康太
人事本部 採用マネージャー
2007年入社
入社後、ドラッグストアでの売り場づくりを担当し、主要ブランドである『ロレアル パリ』を手がける。その後、同ブランドの商品担当として商品開発、パッケージ開発、ブランディング、マーケティングなど総合的に携わる。2012年に新たなチャレンジを求めてサロン事業部へ移動し、サロン向け商品のブランディング・マーケティングを担当。2014年に7ヶ月間の育児休暇を取得。2015年に育児休暇から復帰し、自らの希望で人事部へ。以来、採用業務に携わっている。

わからない世界だからこそ、成長できる

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――――本日はよろしくお願いします。まずはご自身の就職活動を振り返り、お話しいただけますでしょうか。

私は子どもの頃、父の仕事の関係で日本とアメリカを行き来する生活をしていました。高校はアメリカ、大学は日本で卒業し、就職活動ではこうしたバックグラウンドで培われた適応力を活かすことができ、自分が成長できることを軸に考えていました。その中でグローバルメーカーに興味を持ち、人の心を動かす仕事をしたかったので「人はなぜモノを買うのだろう?」と疑問を持ちながら身の回りの商品を見たとき、一番わからなかったのが化粧品だったんです。私は化粧をしていませんでしたが、特に女性には肌を保湿する水に1000円払う人がいれば、10000円払う人もいる。そこにはブランド体験やカウンセリングといった戦略があり、自分にわからない世界だからこそ、ビジネスとして仕掛けられるようになれば大きく成長できると思いました。

――――敢えてわからない世界に飛び込んだのですね。

そうです。最終的にはフランス企業であるロレアルと、アメリカ系企業の2社に絞ったのですが、ずっと住んでいたアメリカは馴染みがあるため成長につながらないと考え、フランス企業のノウハウを学べるロレアルに入社を決めました。マーケティング職を希望しましたが、担当するブランドや商品については、オープンマインドなスタンスでした。今でもそうですが、自分で決めつけることで自分の成長にキャップをしたくないんです。ある程度の方向性は定めながらも、会社から与えられたチャンスを積極的に掴んでいくことを大切にしてきました。

――――実際に仕事をしてみて、いかがでしたか?

入社してまず担当したのは、ドラッグストアの売場づくりです。担当ブランドは全国1400店舗に展開していた『ロレアル パリ』。限られた売り場スペースでいかにブランドの世界観をつくるか、美容部員がいない中でどうコミュニケーション設計するか、どんな風に商品を並べたらテスターで試しやすいかなど様々な戦略を考え、それが全国の店舗に展開される。入社前に想像していた以上の責任の重さとやりがいがありました。その1年後には、同ブランドで女性向けアンチエイジングスキンケア商品の担当になったのですが、その商品は当時ブランドの最重要戦略とされていたもの。処方の選定から、パッケージ開発、ビジュアルやCMの制作など、商品に関するあらゆる仕事を経験しました。怒涛の日々でしたが、まさに自分が求めていた仕事で充実感があり、売り上げを前年対比4倍以上に膨らませるなど、結果も残すことができました。

どこか、自分ではない感じがした。

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――――その後、複数部署を経験されていますが「キャリア選択」をどう考えてきたのでしょうか。

入社後すぐに大規模なプロジェクトに携わり、大きな学びとやりがいがありました。しかしその一方で、どこか自分ではない感じがしていたんです。結果を出しているのは自分自身ではなくて、チームの力。だから自分のやったことがダイレクトに返ってくるような仕事をしたいと思うようになりました。そこで新たなチャレンジをしたいと会社に伝えると、サロン事業部に異動になり、当時は全国で営業が6名ほどのロレアル パリと比較すると小規模なブランドである、『アレクサンドル ドゥ パリ』の担当になりました。

――――仕事の進め方も、大きく変わりそうですね。

まず、店舗でモノを売ることと、サロンでモノを売ることは全く異なる世界。また初めて部下を持ったこともあり、全てがチャレンジでした。ロレアルの文化として「何をやりたいんだ?」とよく聞かれるのですが、そのときも社長からそう聞かれ「ブランドイメージを一新し、戦略をアンチエイジングのエキスパートに絞ろうと考えています」と提案すると「それならやってみよう」と背中を押してもらえました。正直そこからは本当に大変だったのですが、全てのブランドイメージビジュアルをつくりなおし、商品開発も戦略的に進めた結果、微増ではあるものの前年より売上が上昇。小さなチームで自分たちの頑張りを本当に実感し、喜びを分かち合う経験ができました。

――――まさに、やりたかったことができたのですね。

本当にそうです。その成功が認められ、その後ビジネス規模が3~4倍のブランド、『アトリエメイド by シュウ ウエムラ』を担当。そして1年経った頃に7ヶ月間の育児休暇に入りました。妻が育休・産休を経て復帰を希望していたこともあり、私も一度仕事から離れ、自分のキャリアを見つめ直してみるのもいいかなと思ったんです。当時の男性社員としては前例のないことでしたが、7ヶ月間完全に仕事から離れました。

先が見える道よりも、新しい道を選びたい

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――――育児休暇を経て、その先のキャリアをどう考えましたか?

当時は30歳を過ぎた頃で、マーケティングやブランディング、商品関連のキャリアを順調に進んでいる実感がありました。そのまま行けばより大きなブランドを担当し、その後事業部長を目指していくというキャリアがある。若くしてそれを目指すのもエキサイティングではあるものの、先が見えている道ではなく、まだ若い今しかできないチャレンジをしたいという想いが強くなりました。そこで挑戦したいと思ったのが、以前から興味があった人事の仕事です。きっかけは高校生の頃まで遡るのですが、当時ホッケーチームのトライアウトに参加し、自分は明らかに他の選手より下手なのに選んでもらえて、最終的にはチームのキャプテンになりました。卒業するとき監督に自分を選んだ理由を聞いてみると「トライアウトでは、その瞬間のスキルじゃなくて、練習を重ねた先にどれだけ成長するかを見ていた。その観点だとお前だった。だからキャプテンをやって、全米大会にも行けただろう?」と言われました。それを聞いたとき、人材マネジメントの世界は非常に面白いと感じたんです。

――――なるほど、印象的なエピソードですね。

また人事の仕事の中でも新卒採用は、学生の方の思考や行動を理解し、自社のユニークセリングポイントを明確にし、コミュニケーションプランを企画・実施するという、まさにそれまでやってきたマーケティングの世界です。さらに、その頃は私自身も、個の成長に加えて会社の成長や社会貢献を求めていたため、人事は最適な仕事でした。実際に現在は採用担当として、人と向き合う仕事の難しさを実感しながらも、充実した日々を過ごしています。

常に二兎、三兎を追っていく

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――――これから就職する若い世代に、「キャリア選択」のアドバイスをお願いします。

近年はファーストキャリアという言葉がよく使われていて「1社目でこういう力をつけて、次の会社へいく」と考えている学生が多くいますよね。それもいいのですが、1社でずっと新しい挑戦ができたり、自分らしく働ける環境があるならば、それはすごく幸せなことではないでしょうか。私のキャリアもそうでしたが、化粧品業界は常に最新のトレンドを追いかけ、リードしていく仕事があります。また弊社で言えば日本だけでも約20のブランドがあり、違うブランドや職種へのチャレンジも可能です。キャリアを考えるにあたり、会社を変えずに挑戦し続けるという視点も持っておくことで、幅が広がると思います。もうひとつ、人生100年時代と言われる中では「自分らしさ」をキープすることが非常に重要だと思います。当然ライフステージによって考え方は変わってきますし、世の中も変わっていきます。その中で「自分らしさ」とは何かを考え、それをある程度実現できる環境・会社で働くことがキャリアづくりにおいて大切だと思っています。

――――働くことにおける「自分らしさ」とは、どういったことでしょうか?

例えば「育児との両立ができる会社ですか?」と質問を受けることもありますが、それは自分が何を求めているかによって変わってきます。私の中で「働く」というのは「生きる」の一部ですし「家族」も一部。どれかではなくすべてを考える中で、それぞれの自分らしい働き方があるはずです。育休を取った時に感じたのは「仕事からちょっと離れてみたいな」と思いつつも、「やはり刺激が欲しいな」とも思う。世の中には矛盾や相反するものがある中で、誰しも自分なりのハッピーのバランスがあって、それを考え続けることが生きることなのでしょう。実は私、昨年に一度退職し、別の会社で働いていたんです。子どもを育てる環境として東京を離れた方がいいと考え、家族で関西に引っ越しました。会社が好きでしたし悩みましたが、妻とも相談して「やらないで後悔するよりやってみよう」と決断。その後、ロレアルの在宅制度が変わり「新しい在宅勤務を取り入れながら働ける道はないかな」と声をかけていただき、話し合いの結果、復帰しました。東京への出張で子どもとの時間を取れない日もありますが、それが家族のことを考えていないことにはなりません。バランスをとりながら、常に二兎、三兎を追っていくのが人生なんだと思います。

――――「自分らしさ」を見つけるために、学生のうちにできることはありますか?

インプットとアウトプットを繰り返すことで、見えてくるものがあるのではないでしょうか。人と話したり、こういった記事を読んだり、映画を見たり、他の人がどんなことを大切にしているのかをインプットして「わたしはう思う」「こうじゃないと思う」など自分なりに消化してみて、それを友人との飲み会の場や、面接の場などで表現してみる。その繰り返しの中で「自分の生」みたいなものが見つかってくると思います。
就職活動をする時点の自分と会社に入った後の自分はきっと違います。常にその時々で「自分らしさとはなにか」「自分にとってのハッピーとはどういう状態だろう」と考えることが大事です。現状の自分とこれから先の自分をいつも自問自答する。「いまを生きる」ことを忘れず、バランスとれる人生を歩んでいって欲しいと思います。

――――本日は、キャリア選択という観点で本当にたくさんのお話を聞かせていただき誠にありがとうございました。非常に貴重で参考になるアドバイスばかりで、あっという間に時間が過ぎました。お忙しい中、本当にありがとうございます。これからも頑張ってください!