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OB/OGが語る

JTB 人事担当部長が語る、新時代のキャリア選択のススメ

終身雇用制度が崩壊しかけ、働くことが多様化する中、「ファーストキャリア」という言葉を目にすることが増えてきました。学生が初めて就職する上で、選ぶ企業や仕事は、社会人の土台となります。でも、果たしていきなり好きな仕事ややりたい仕事を見つけることが出来るのでしょうか。会社に入っていろいろ経験したからこそ、わかることも多いはず。この特集では、さまざまな企業で活躍する先輩社員に「キャリア選択」について伺いました。 今回は、JTBの人事担当部長である貝島氏にお話しいただきました。

<企業紹介>
JTBのルーツである「ジャパン・ツーリスト・ビューロー」は、外国人観光客の誘致、斡旋を目的として1912年に誕生。創業時の訪日外国人向けのきっぷ代売、クーポン発行から、海外国内パッケージ旅行の造成販売、修学旅行・企業の旅行、さらにグローバルネットワークの拡大へと、顧客と共に進化を続けてきた。2018年1月より社名を株式会社ジェイティービーから株式会社JTBへ変更し、2018年4月より新たな事業ドメインとして「交流創造事業~JTBならではのソリューション(商品・サービス・情報および仕組み)の提供により、地球を舞台にあらゆる交流を創造し、お客様の感動・共感を呼び起こすこと。」を掲げている。

<<<本シリーズ 掲載企業>>>
・日本ロレアル株式会社
https://br-campus.jp/articles/report/701
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<人物紹介>
貝島瑞枝
人事部 人事担当部長
1993年入社
入社後、提携販売東北支店に配属。4年後に本社勤務になり、営業部にて団体旅行支援やシドニーオリンピック関連の企画を手掛ける。その後、国際旅行事業部で訪日インバウンド事業に携わる。育児休職後、総務人事へ異動。グローバル事業本部の人事担当を経て、2018年に現職。

育休からの復職後は人事へ。それがキャリアの転機に

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――――新卒で御社に入社されていますが、どのような観点で就活をなさっていたのですか。

会社とは一般的に、モノやサービスを「売ること」を生業としています。どうせ売るなら、好きなものに関りたいと思っていました。そこで、消費者としてかかわりのある業界に絞りました。旅行、飲料、食品、住宅など……。その中で旅行業であるJTBから内定をいただき、入社したという経緯です。

――――これまではどのようなキャリアを歩んできたのですか。

入社後すぐは、仙台にある提携販売東北支店に配属となりました。4年ほど経ってから、本社勤務になり、団体旅行の支援や、2000年に開催されたシドニーオリンピックの事業に携わりました。その後、訪日インバウンドを扱っている部署に異動。そこでは音楽やスポーツイベントの営業や法人営業、訪日外国人向けの商品企画なども携わりました。中でも育休を取得後に総務人事を担当することになり、人事の側面から会社全体を見ることができたのは貴重な経験となりました。その後、グローバル事業本部に異動し、今度はJTBグループのグローバル事業に関わる人事を担当しました。そして2018年の経営改革に伴い、その機能が人事部に移管され、現在に至ります。

――――たくさんの部署を見てきて、感じていることはありますか。

どこに行っても、非常に良いメンバーと仕事をさせてもらっていると実感します。実際、嫌な人はいません。変わった人はいますが(笑)、十人十色で、知るほどに面白く感じます。人に恵まれているのはとてもありがたいですね。また、部署を異動すると、転職と思うほど業務内容が変わる。だから、続けていても飽きが来ないのだと思います。加えて、女性に対してフラットですし、そのときどきのスキルに合ったチャンレンジングな仕事の機会を頂けたことにもすごく感謝しています。

――――これまでのキャリアにおける転機は、どのタイミングでしたか。

やはり、総務人事に配属になったときでしょうか。育休から復職して総務人事になったときは嬉しかったですね。これから先の会社人生で、より貢献できると思えるキャリアのスタートでした。それに関連して、最近、キャリアコンサルタントの資格を取得しました。取得前は具体的に仕事にどうつながるか未知数でしたが、傾聴やアドバイスのスキルは役に立つと実感しています。

私たちが就職した当時は、一度会社に入った後は、自然にキャリアが続いていくイメージがまだできた時代でした。ところが、今は違います。1つの会社に在籍していたとしても、社内で自分のキャリアを作っていくという価値観が強くなりつつあります。そういったことを推奨するためにも、キャリアコンサルタントの考え方を活用し社員を支援する仕組みが構築できたらと考えます。

――――現在は、どのようなお仕事を担当されているのですか。

海外グループ会社との人事交流がメインの業務です。グローバル事業の成長を促進させる、あるいは、国内の事業のグローバル化を強化するために、国内グループの社員を海外へ派遣したり、海外グループの社員を日本で受け入れたりしています。人事異動によって会社の業績がどれほど上がっていくかをすぐに計ることは難しいかもしれませんが、私としては、短期だけでなく、中長期で各社が目標を達成するのがゴールだと思って日々取り組んでいます。

どんな仕事でもそうですが、目の前の細かい仕事を大義のような大きな目標に結び付けるのは難しいかもしれません。でも、自分の考え方次第で結びつけることができる。私の場合は業務が従業員の方と直結していますから、社員一人一人の強みを生かして働き続けることが最終的に弊社の目指す理念につながっているということを忘れないように心がけています。そのように意識することで、日々日々の仕事に意味を持たせ、中長期に物事を考えるように努めています。

将来やりたいことから、今やるべきことを見出していく

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――――これまでの仕事で大事にされていることはどんなことですか?

ひとことでは言えないのですが…、その立場ごとに変わります。若いころは与えられたものにしっかりと成果を出すことを大切にしてきました。チームをマネジメントするようになると、メンバーひとりひとりの状態に気を配るようになりました。全体を通して言えば、「目の前のことから逃げない」ということでしょうか。抽象的になりますが、自分ごととしてとらえることが大事。また、人事では特にそうかもしれませんが、いろいろな人の話を聞くことはとても大切です。人の話を聞いて、さまざまな価値観を取り入れるようにしています。

――――そういった考え方になったのは、人事に配属になったのがきっかけですか。

価値観の違いを認められるようになったのは、子育ての経験が大きく影響していると思います。それまでは、自分が頑張れば成果につながるし、サボればダメになる、という簡単なロジックで考えていました。ところが、子育てはそうはいかない。自分がどんなに頑張っても、期待通りにならなかったり、結果が伴わなかったりすることが多々あります。若いころは、どうしても「私が正しい」「あの人が変わってくれればいいのに」と他責になることもありました。ところが今は「そういう考え方の人もいる」と自然と受け入れられるようになりました。だいぶ変わりましたね(笑)。

――――「キャリア選択」という意味では、どういうことを大事にしていますか?

これも子育てから学んだのですが、内発的な動機がとても大事です。子どもには、「これをやった方がいいよ」だけでは通用しない。飴と鞭のように「褒められたい」「怒られたくない」もそう長くは続きません。将来的に何を実現したいのか考えて、実現するために自分がどんなスキルを身につければいいのか、そのために今何ができるかを考えていきます。例えば、「将来、病気の人を直してみんなを笑顔にしたい」なら、選択肢のひとつとして「医者になる」があります。そのために、医学部に入れるくらい勉強をする、という順番ですね。そして、遭遇するさまざまな選択肢の中から、しっかり自信を持って自分で選ぶこと。「過去と他人は変えられないが、未来と自分は変えられる」と子どもにも伝えています。これは、キャリアを選ぶうえでも同様だと考えています。

「目の前のことを一生懸命やる」に尽きる

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――――これから成し遂げたいことや目標はありますか。

私にとっては、仕事を続けていくことに価値があると思っています。仕事を通じて、さまざまな角度から社会に恩返ししていくことを重要視しています。弊社には自律創造型社員という言葉があります。学んだり成長したりする環境は会社が提供し、社員はそれを活用し自ら成長することが求められています。幸いにも成長する場はたくさんあるので、それを活かして社会に還元していきたいですね。

――――学生が大事にした方がいいことはありますか。

学生のうちには難しいかもしれませんが、自分の強みとなるスキルを身に着けることは大切だと思います。早めに開眼すれば、それだけ磨くことができます。さまざまな仕事に関わるなかで、自分の強みを磨く努力は続けてほしい。自分で仕事を選びキャリアを作っていくうえで、結局最後に頼れるのは自分だけです。自分ならではの強みが、次のステップを進むための武器になると思います。

どの選択肢も、決して間違いではないです。自分で選ぶことが大切であり、選ぶためには情報を得なくてはなりません。さらには、情報も取捨選択することが必要になってくる。結局は、先のことを見据えるほどに、目の前のことを一生懸命やることが大切になる。それをないがしろにしては、見えるものも見えません。自分が信じる道をブラさず、自分で選択していけば、後悔しない就活ができるのではないでしょうか。

――――今の学生に足りないと思うことはありますか。

「石の上にも三年」という考え方でしょうか。今の若い人たちは、急いで決断しすぎている気がします。スピード感は大切ですが、キャリアを続けたからこそ見えてくるものもある。私自身も、途中で仕事を辞めていたら、今のような景色は見えてこなかったでしょう。経験を積むことで会社の成り立ちや物事の動き方、動かし方が見えてくるので、より仕事が面白く感じることは確かです。

――――本日は、お忙しい中、本当にありがとうございました。キャリアの転機などさまざまなお話を具体的に伺い、大変参考になりました。今後のご活躍を楽しみにしています!