<人物紹介>
伊藤忠商事株式会社
人事・総務部 採用・人材マネジメント室
中村陽
2017年入社
入社後、採用・人材マネジメント室に配属され、入社3年目にして新卒採用リーダーになり、新卒採用に関する実務のすべてを統括している。
<企業紹介>
繊維、機械、金属、エネルギー、化学品、食料、住生活、情報、金融の各分野において、輸出入および三国間取引を行うほか、国内外における事業投資など、幅広いビジネスを展開。「ひとりの商人、無数の使命」というコーポレートメッセージを掲げ、お客様の欲求に応えることを追求し、世界中の様々な地域で新しいビジネスモデルを生みだしている。
就活で大事にした3つの軸
――入社後の経歴を簡単に教えてください。
入社後、人事・総務部 採用・人材マネジメント室に配属され、以来3年間新卒採用業務に携わってきました。1~2年目では、インターンシップ企画、採用HPやパンフレットの広報物製作や内定者の配属等、様々な採用施策を中心に担当しました。現在3年目になりますが、2021年度新卒採用におけるチームリーダーとして1年間全体の採用戦略を立案するという重要な役割を任せてもらっています。多種多様な業界で働いている友人とよく話をしますが、3年目の若手社員にここまで責任のある仕事を任せる会社はあまり聞いたことがありません。当社の未来を担う優秀な人材を採用することが私の使命であり、プレッシャーを感じつつも、主体的に業務に取り組んでいます。
――今、採用に関する仕事をされているわけですが、ご自身の就活ではどういった軸があり、総合商社を志望されましたか?
私が就活をしていた際は、3つのポイントを重視していました。
1つ目は、時代の流れに合わせて変化できる柔軟性。総合商社は自社の製品やサービスを持っておらず、時代の移り変わりを見ながら投資先を変え、柔軟にビジネスを変えていくことができるところが魅力的でした。
2つ目は、自身がプレイヤーとなれるかどうか。様々な業界を回りましたが、アドバイスだけ、お金を貸すだけではなく、投資した会社に人も送り込み、現場で泥臭く事業を構築していく商社パーソンの働き方に憧れました。
3つ目は、海外で活躍できるフィールド。自身が帰国子女ということもあり、幼い頃から海外と関わる機会が多かったため、貿易が祖業となる総合商社であれば、他の業界に比べて海外と関わる接点が多いと判断しました。
――OB・OG訪問訪問はどのように進めていったのでしょう?
僕の場合は少し特殊なケースかもしれません。留学で学年を一つ落とした関係で、既に就職活動を終えた友人から多くの人を紹介してもらえました。基本的には若手社員がメインで、1年目~4年目の社員さんが中心でした。
――OB・OG訪問で何か印象に残っているエピソードはありますか?
初めてのOB・OG訪問が、某総合商社の方だったんです。土地勘が無い場所だったので、道に迷ってしまい4分ほど遅刻してしまったんですね。すると、最初の30分間は私の「OB・OG訪問に対する姿勢」についてお叱りを受けました。100%自分が悪いと理解していても、そのときの感情としてはやはり辛かったです。しかし、業務で忙しい中、ランチの時間を割いて引き受けてくれたにも関わらず、よく知りもしないイチ学生にあれだけ怒っていただいたことは、有難いことだなと思いました。社会人としてのあるべき姿勢や、OB・OG訪問の目的意識……等々。これが良い契機となり、その後のOB・OG訪問は社会人としてあるべき姿や目的を意識して臨むようになったので、本当に感謝しています。
――すごいですね。怒るのってエネルギーが要りますし、説教せずにそのまま流した方が楽ですものね。
そうなんですよ。もう一つ印象深いOB・OG訪問があって、これは伊藤忠商事の社員でした。ノートを出して話を聞こうとしたら、いきなり「メモは取らせないぞ」と冗談交じりで言われて(笑)。その方曰く、「目の前の学生がどういうことを考えているのか、商社についてどう思っているのかを知りたい」と。通常のOB・OG訪問は学生側が質問をして、企業の人がそれに答える形式だと思うのですが、そのときは1時間ずっと学生である僕が話していました。
――そんなことがあるんですね(笑)。
衝撃的でしたね。ただ、同時に目の前の学生に対して興味を持ち、同じ視点まで降りてきてフラットに話してくれるのが良いなと思いました。その方も含め5名程度、伊藤忠商事の社員と会いましたが、最後に伊藤忠商事を選ぶ決め手となったのは当社の社風ですね。「若手から挑戦しやすい環境があるか」「若手の意見を吸い上げてくれる先輩・上司がいるか」を重視し、様々な社員の話を通して、若手から貪欲に挑戦できる環境があると確信し、入社を決めました。
OB・OG訪問でわかること
――実際に伊藤忠商事に入ってみてどうですか?
思っていた通りでした。年次関係なく、意見をどんどん出せる風通しの良さがあります。入社1年目で打ち合わせに入った時も、自分の意見を必ず求められました。、主体的に考え、行動していく文化が合っているなと感じるので、当時の自分の判断は間違ってなかったと思います。
――入社以来ずっと採用の現場を見ていて、OB・OG訪問に対する意識って今どういう傾向にあるのでしょうか?
当社のOB・OG訪問の実施数は年々増えています。一つには、就活関連のサービスが充実してきたことで、プラットフォームなどを利用して学生が社員に会いやすくなっているという背景があると思います。
また、興味深い傾向としては、学生たちの入社の決め手に「社員の雰囲気」や「社風」を挙げる人の割合が増えてきていること。おそらく、OB・OG訪問で社員と密に話したことによって、そこで働く人たちの雰囲気や社風が体感でき、入社の決め手になっているのではないかと考えられます。
――そうなんですね。一言にOB・OG訪問といっても、闇雲にたくさん会うだけだったり、「みんながやっているからとりあえず会ってみる」だったり、ぼんやりとやっている学生も多いと思うんです。OB・OG訪問はどう活用すればいいのでしょうか?
OB・OG訪問を何のためにするのか、という目的意識を大事にしてほしいと思います。「とりあえず社会人に会えばモヤモヤが解決しそう」「みんなやっているからやってみる」とフワッとしている状態で臨むと、せっかく会っても得るものが少なくなってしまいます。目的を定める上で大事なのは、徹底した下調べです。限られた時間で、調べればわかることを聞くのは本当にもったいないですから。オンラインで調べられることは全て読み込んで、それでもわからないことを積極的に聞いてほしい。実際に働かれている人に聞かなければわからないことを質問することです。
良くありがちなのが、「OB・OG訪問の数を稼ぎたい」と考える学生さんです。目的が「数を稼ぐこと」になってしまうと何も得るものはないですし、OB・OG訪問数は選考と関係ありません。
――いくらやりたい仕事だったり、憧れの会社だったりしても、そこで働く人や文化と自分が合わずにすぐに辞めてしまうケースも少なからずありますからね……。では最後に、就活生に向けてのメッセージをお願いします。
就活の早期化が強まる中、早期に業界を絞り込み、就活を終えてしまう学生が多いと感じています。そういう学生さんに対しては、「自分が知らないだけで、実は自分にフィットしている業界/業務」がもっとあるのでは?と疑問を感じます。私もそうでしたが、学生の皆さんはネットの記事や友人に聞いた話等、非常に限られた情報をもとに就活を行っています。だからこそ、OB・OG訪問を通して、広い世界を知っている人と出会えば、自分の世界もその人と同じように広げていくことができるので、恥ずかしがらずに、色々な社会人に積極的に会いにいくべきだと考えます。そうした結果、最終的に皆さんが総合商社業界、ひいては伊藤忠商事に魅力を感じていただけたら、これほど嬉しいことはありませんね。納得した形で自身のキャリアを決められるよう、応援しています!