<企業紹介>
三菱UFJ銀行は、伝統的な銀行業務だけでなく、グループ総合力を活かしたコンサルティング業務にも注力。個人・法人・政府など世の中に幅広く接点を持ち長きに渡って、人々の生活に深く関わってきた。「確かなクオリティを、明日へ。世界へ。」というグループメッセージには、いつでも、どんな時でも人々の成長や夢を未来につなげる企業でありたいという想いが込められている。
<取材対象者>
増子 裕之
株式会社三菱UFJ銀行
人事部 採用・キャリアグループ
2000年入社
大学を卒業して、東京三菱銀行に入社。法人営業や海外勤務の経験を経て、現在は人事部採用・キャリアグループにて新卒採用の責任者を務める。
<取材者>
古川 岳人
東京大学 2年
既存のシステムやサービスをより効率化して、新たな価値を創造する仕事がしたいと思い、現在は幅広く業界研究をしている最中。
竹尾 俊邦
東京大学 3年
中学の修学旅行でニューヨークに行き、世界有数の外資系金融機関の本社を見学したことをきっかけに、金融業界に興味を抱く。
いろんな事に興味があったから、
たくさんの産業に関われる銀行を選んだ。
古川岳人(以下、古川):古川と言います。宜しくお願いします。就活は、業界は決めていませんが、既存のサービスをより効率化して、新しい価値を提供する仕事に興味があります。本日は、三菱UFJ銀行が考える新たな金融サービスについてお聞きしたいです。よろしくお願いいたします。
竹尾俊邦(以下、竹尾):竹尾といいます。僕は、幼い頃から金融業界に興味があるのですが、最近では事業会社にも魅力を感じて、悩み始めました。そこで、三菱UFJ銀行が求める人材像や銀行ならではの魅力をお聞きしたいと思っています。よろしくお願いいたします。
増子裕之(以下、増子):こちらこそ、よろしくお願いします。
竹尾:さっそくですが、増子さんの経歴を教えてください。
増子:2000年に大学を卒業して、新卒で東京三菱銀行に入行しました。現在は、勤続19年目です。入行後は、法人営業の担当となり、国内にある3つの営業店を経験。2011年からはタイ・バンコクに行き、MUFG傘下となったアユタヤ銀行とバンコク支店の統合プロジェクトチームに参加、統合後のアユタヤ銀行に3年半出向していました。12年間を国内営業店で過ごし、7年間をタイで過ごしました。現在は、人事部で新卒採用の責任者を務めています。
古川:人事部への配属は、ご自身の希望ですか?
増子:人事部の人がバンコクに来てヒアリングを受けた時に「MUFG全体の人材に携われる仕事か、経営に関わる仕事がしたい」と伝えました。結果として人事部で採用の仕事をすることになったので、希望を通してもらえたのかと思います
古川:7年ぶりの国内業務。しかも、採用。タイでの仕事とギャップが大きい気がしますが、大変ではなかったですか?
増子:全国各地で採用活動を行っているので、地方出張やインターンシップの参加、就職イベントの登壇などが多く、結構バタバタしています(笑)。 でも、タイにいた7年間では学生と話す機会は少なかったので、学生との交流はすごく新鮮です。今の学生は前向きで柔軟な人が多いから、私自身も刺激を受けることがあって面白い。学生と話していると、私の考え方は「こうあるべき」という考えが深く根付いていて、硬直的だなと気付かされることもあります。
竹尾:ベテラン行員さんでも学生から刺激を受けることがあるのですね。増子さん自身は、どんな学生でしたか?ぜひ、当時の就職活動についても教えてください。
増子:私は、結構ミーハーな学生でした。就職活動では、「とりあえず、業界トップの企業は全部みておこう」という感じで、金融以外ではメーカー、通信、インフラなどいろんな業界に興味がありました。最終的には、「若いうちから幅広い視野を身に付けることができそうだ」と考え、銀行を選びました。自分の成長を考えるうえでも、若いうちから様々な産業や企業の活動にふれることで、幅広い分野について学べるのがいいな、と思ったのが理由です。
銀行の仕事は、驚きと発見の連続。
世界が広がっていき、成長を実感できた。
古川:増子さんは、好奇心旺盛な学生だったのですね。そんな増子さんが、一度も転職をせずに三菱UFJ銀行で働き続ける理由って何でしょうか?
増子:端的に言うと、担当した仕事が面白かったから、だと思います。銀行の仕事って、経験を積めば積むほど視野が広がって本当に奥が深い。例えば、誰もが絶対に見たことある「マンホールのフタ」。あれって世の中にたくさんあるけど、その収益構造を知る人は全然いないですよね。あとは、ラーメンには欠かせない「もやし」。あのもやしも、畑で作られて出荷されていると思っている人が多いけれど、実は太陽も土もないクリーンな工場で育てて出荷されている。こういうことは世間一般に知られているわけではないため、銀行で働く日々は「え、そうだったの?」という驚きと発見の連続です。 新しい知識を身につけて、階段をどんどん登って、これまで見えなかった世界を広々と見渡せるようになった時には、はっきりと自分の成長を実感でき、大きな達成感もあります。 タイで働いていた時も、自分の仕事が大きな海を越えて広がっていくのが楽しかった。飽きることもなく、いつの間にか時間が経っていたという印象です。 銀行のジョブローテーションは毎回新しい出会いや発見があり、キャリアアップもできる。ある意味銀行内で転職に近いことができているということも、理由の一つかもしれません。
竹尾:視野が広がり、成長を実感しやすいという点が、増子さんが銀行で働き続ける理由なんですね。たくさんの産業に関わりながら知識や経験を身につける点では、コンサルティング会社と似ている部分が多いと思うのですが、就活生が銀行を選ぶ理由は何でしょうか?
増子:銀行の中でも、メガバンクは国内外のネットワークを通じて豊富な情報を持っています。その情報を活かして企業のコンサルティングを行なうこともあるので、コンサルティング会社と比較されることは多いです。両者でもっとも大きな違いは、企業との関わり方です。コンサルティング会社も銀行も「企業を良くしたい」という目的は同じですが、銀行はコンサルティングに留まらず、提案したことを実現していくところまでサポートし、その際に必要なソリューションを提供することで対価を頂いています。例えば、海外での事業拡大を目的に新興国に会社を立てることを提案した際などは、異国での会社の設立に関するアドバイスだけでなく、実際にお客さまと現地を視察し、現地での事業のパートナーを探すこともお手伝いします。そこまでして始めてお客さまの海外進出が具体化され、現地への進出に伴うファイナンスなどのソリューションに繋がっていきます。コンサルティングと事業実現の両方に関わるのが今のメガバンクの仕事といっても過言ではありません。加えて、提案してから最終的に融資した資金が返済されるまで10年以上かかることもよくありますし、その間に新しいプロジェクトがまた生まれていくので、お客さまと銀行は「運命共同体」として共にあり続ける。お客さまと関わっていく時間軸もコンサルティング会社とは違うと思います。 銀行の仕事の特徴として、担当する企業の多さもその1つかもしれません。銀行では、若手行員でも法人営業の担当者の場合、30社程度の企業を担当することが一般的で、平均3年のジョブローテーションを通じて、新たな地域で様々な業種・規模のお客さまを担当することで、非常に多くの企業に関わることができ、幅広い業界の知見が身につきます。
国内外に向けた事業戦略。
銀行の強みである信頼・顧客・情報とデジタル・AIの融合。
古川:激動する金融業界で、三菱UFJ銀行が成長していくための経営戦略を教えてください。
増子:銀行が今すべきことは、お客さまのニーズを掴んだ新しい金融サービスを生み出していくことです。世の中では、革新的なサービスが次々と生み出されていますよね。特にフィンテックによる電子決済サービスは、利便性に優れ、リテール分野のお客さまのニーズをしっかりと掴んでいる。銀行としては、このような革新的なサービスを生み出すプラットファーマーたちと一緒に、新しいビジネスの展開、サービスの拡大に挑戦していきたいと考えています。その他にも、人が付加価値を生みにくいマニュアル仕事・事務仕事はAI等を活用していき、浮いた時間をもっとコンサルティング業務や新ビジネスの考案など、クリエイティブな活動に使うことでより我々の強みである「人」を活かして世の中のお役に立てると思っています。 銀行にあって競合にはないもの。それは、長年培ってきた信用と信頼であり、圧倒的な顧客数であり、蓄積する膨大な情報です。金融ベンチャーを中心とした競合は、速いスピードで大胆なサービスを生み出していますが、それに対して、銀行は、『信頼・顧客・情報』を最大限に活かして、競合よりも価値の高いサービスを提供していくことがミッションです。
竹尾:海外に向けては、どんな事業戦略を考えているのでしょうか?
増子:国内は少子高齢化による人口減少でマーケットの拡大には限界があると考えており、海外戦略はとても重要です。現在はアジアNo.1の銀行を目指して海外に展開しています。具体的には、アジア諸国を第二のマザーマーケットにして、日本でやってきた従来のビジネスモデルを持ち込み、展開していきたいと考えています。アジア各国は、まだ銀行自体の信頼度が低く、「預金できるのは便利だけど、本当に預けたお金を返してくれるの?」という不信感を抱いている人が意外と多いんです。だから、そのギャップを埋めて、銀行の信頼を作り上げたい。タイでは7割、インドネシアでは4割しかない個人口座の割合を、将来的には日本と同様に9割近くまで高めることも可能だと考えています。 もちろん、日本を代表する銀行として、日本の成長が第一の目的です。我々が築いた海外のネットワークを活用して日本企業が海外で成長するサポートも積極的に行っていきます。世界を見渡せば、各産業でたくさんのビジネスチャンスがあるので、日本企業が成長するチャンスを見つけて、MUFGの総合力を活かして国内外で企業を支援する。三菱UFJ銀行は、国内企業とともに海外で成長していくビジョンを描いています。
グループ内の人材交流を活発にして、
社員が成長する場をもっと増やしたい。
古川:ちなみに、増子さんが個人的にやってみたいことは何かありますか?
増子:もちろん、あります。これからはアジア諸国との仕事が増えていくので、両国の架け橋となる仕事がしたいと思っています。以前、タイにいた時に、日本企業とタイ企業がビジネスを持ち寄る、ビジネスマッチングのイベントを開催したことがあります。両国の企業が、お互いのビジネスや文化、国民性などに興味を持ち、活発な議論が展開されて、新たなビジネスが創出されていく光景には胸が高鳴りました。日本人としても、銀行員としても、とても有意義な仕事をした実感があった。そんな経験もあって、個人的には、これからも銀行業務を通して他国との結びつきを深められる仕事ができたらいいなと思っています。 そして、もう1つ。MUFGは、9万人の日本人と6万人の外国人で構成されています。だから、いろんな会社があって、素晴らしい人材がたくさんいる。これは恵まれた環境ですよね。私は、タイのアユタヤ銀行で働く機会を得て、転職したようなカルチャーショックを経験しました。しかし、そこで苦労しながら学んだことが大きな成長に繋がり、今の自分がある。だから、グループとしての力を強くするためにも、会社の垣根を超えた人材交流がもっと活発になり、多くの社員の方々が、切磋琢磨する中で「成長する楽しさ」を実感できる機会を創出できるといいなと思います。
竹尾:こちらまで、わくわくした気持ちになりますね。最後に、銀行で活躍できる人材とはどんな人材か、増子さんの考えをお聞きしたいです。
増子:これからの銀行ではさまざまな個性やバックグラウンドのある人が活躍できる、多様性のある組織であることが重要です。画一的な人ばかりだと、組織として方向性を決めて、みんなで一斉に走り出したとしても、道に落とし穴に気づくことができず全員で落ちてしまったら困りますよね。なので、それぞれが違う考え方を持っていて、個性的な方が求められます。銀行と言えば法人営業のイメージが強いと思いますが、理系の方が活躍されている領域も多数ありますし、営業好きでも分析好きでも開発好きでも、それぞれに適した活躍の場が用意されています。
竹尾:色んな人が活躍できるんですね。貴重な体験談もお聞きできて、とても有意義でした。本日は、ありがとうございました。
古川:国内外における事業戦略のお話がとても興味深かったです。金融サービスについて、もっと知りたいと思いました。本当にありがとうございました。