コンサルタントとは
コンサルタントとは、企業や組織が抱える課題を明らかにし、その解決に向けた最適な戦略や施策を提案・支援する専門職です。
「コンサルタント(consultant)」の語源はラテン語の「consultare(助言する)」に由来しています。日本の就活市場では、特に「コンサルタント=戦略系ファーム」という印象が強いですが、実際には多様な分野に広がっています。
◾️「コンサルティングファーム」とは
コンサルタントが所属する企業は「コンサルティングファーム」と呼ばれ、大きく分けて「戦略系」「総合系」「IT系」などに分類されます。
それぞれが異なる専門性を持ち、提供する「商品=サービス」は、企業の経営課題に応じた分析・提案・改善支援など、多岐にわたります。
◾️現在の業界動向
現在の業界動向としては、DX(デジタルトランスフォーメーション)やサステナビリティ支援など新領域のニーズが拡大しており、従来の戦略・業務改善だけでなく、テクノロジーやESGに関する助言を行うファームも増加中です。
スピード感があり変化の激しい業界ですが、常にクライアントとともに課題解決に挑む「知的プロフェッショナル」としての魅力が詰まっています。
コンサルタントのキャリアパス
コンサルタントのキャリアパスは非常に明確で、一般的にはアナリストから始まり、コンサルタント、マネージャー、パートナー・プリンシパルへと段階的に昇進していきます。
アナリストは情報収集や資料作成などの基礎的な業務を担当し、プロジェクトの土台を支える役割を担います。
次のステップであるコンサルタントは、課題の分析や施策の立案を通じて、クライアントへの直接的な提案を行うことが求められるポジションです。
マネージャーになると、プロジェクト全体の進行管理やチームのマネジメントが主な業務となり、同時にクライアントとの信頼関係を構築しながら成果を導く責任を負います。
そして最上位のポジションであるパートナー・プリンシパルは、ファームの経営層としての役割を果たし、自らが案件を開拓する営業的側面も担います。ファームのブランド価値向上や、社内の人材育成にも大きく関わっていくことになるでしょう。
このように、コンサルタントのキャリアは段階を経てスキルと責任の幅が広がっていくため、明確な成長ビジョンを描きやすい点が魅力です。
努力次第では、比較的若いうちから大きな裁量と報酬を得ることも可能な職種でしょう。
コンサルタントの年収
コンサルタントは高年収のイメージが強く、実際に他業界と比べても給与水準は高めです。
役職やファームの種類によって大きく異なりますが、おおよそ下記のような傾向にあります。
・新卒(アナリスト・アソシエイト):初任給は年収約550万〜600万円程度
・マネージャー:年収約1,000万〜1,500万円程度
・パートナー:年収は約2,000万円以上が一般的。ファームによっては3,000万円を超える場合も
外資系ファームは成果主義が強く、報酬水準も高い傾向があります。一方、日系ファームは年功序列の傾向があり、報酬もやや低めですが、安定したキャリアパスを提供することが多いです。
コンサルタントの年収は高水準ですが、成果主義の文化や長時間労働など、厳しい労働環境も伴うため、キャリア選択時には自身の志向やライフスタイルに合った選択が重要です。
コンサルティング業界の市場規模と将来性
日本のコンサルティング業界は、デジタルトランスフォーメーション(DX)や事業再生、SDGs(持続可能な開発目標)などの分野で需要が高まり、堅調な成長を続けています。特に、企業のデジタル化推進やサステナビリティ対応が求められる中、これらの分野に特化したコンサルティングサービスの需要が拡大しています。
新型コロナウイルスの影響で一時的な停滞があったものの、企業の業務改革やリモートワーク対応など、新たな課題への対応が求められ、コンサルティング需要は回復傾向にあります。
今後も、デジタル技術の進展や社会課題への対応が進む中で、コンサルティング業界は引き続き成長が期待されるでしょう。
このように、コンサルティング業界は今後も多様な分野での成長が見込まれています。就職・転職を考える方にとって魅力的な選択肢の一つとなるでしょう。
日本のコンサルティング市場の特徴
日本のコンサル業界には、終身雇用や年功序列といった慣習が依然として根強く残っており、組織改革や人事制度の見直しを支援するコンサルの需要が高まっています。
また、デジタル化の遅れも顕著で、IT導入や業務効率化を目的としたコンサルティングが拡大中です。
さらに、少子高齢化による人材不足が企業経営に深刻な影響を及ぼしており、人材戦略や働き方改革の支援も重要なテーマとなっています。
こうした背景から、日本では長期的な信頼関係を重視するコンサルティングスタイルが主流です。
【日本と欧米のコンサル市場の比較表】
比較項目 日本市場の特徴 欧米市場の特徴
雇用制度 終身雇用・年功序列が根強い 成果主義・ジョブ型雇用が一般的
デジタル化の進展 導入が遅れがちで支援ニーズが高い 早期から浸透しており、戦略レベルでの活用が進んでいる
コンサルとの関係性 長期的な信頼構築を重視 プロジェクトベースで短期的な成果重視
コンサル活用の範囲 組織改革、人材戦略、業務改善などが中心 戦略策定、M&A、グローバル展開支援などハイレベル案件が中心
市場成熟度 成長途上で拡大傾向 成熟市場で競争が激しい
働き方・価値観 ワークライフバランスや柔軟な働き方への関心が高まっている 柔軟性はあるが、成果主義が強く高パフォーマンスが求められる
このように、日本のコンサル市場は欧米と比較して制度や文化に起因する独自の課題を抱えており、それに対応する形でのサービス提供が求められています。
コンサルティングファームの種類と特徴
コンサルティングファームは取り扱うテーマや得意分野に応じていくつかの種類に分類され、それぞれに異なる強みがあります。
主なコンサルティングファームの種類とその特徴は、おおよそ次のとおりです。
【コンサルティングファームの種類と特徴】
種類 特徴
戦略系 経営戦略や新規事業立案など、企業の方向性を左右する上流工程を支援
業務系 業務プロセス改善やコスト削減など、実務に直結する効率化支援が中心
IT系 システム導入やDX推進など、IT技術を活用した変革支援に特化
総合系 戦略・業務・ITすべてに対応し、多様な業界に広くサービスを展開
シンクタンク系 調査研究や政策提言を主とし、公共分野での支援が多い
人事・組織系 採用・育成・組織開発など、「人」に関わる課題にフォーカス
財務系(FAS) M&A支援、財務分析、事業再生などファイナンス領域の専門家集団
再生系 業績不振企業の現場に深く入り込み、経営再建を実行支援する
戦略系コンサルティングファーム
戦略系コンサルティングファームとは、企業の経営課題や将来的な方向性に対して、戦略立案や意思決定支援を行うコンサルティング会社のことを指します。
新規事業開発、グローバル展開、競合分析、ポートフォリオ再構築など、経営層が抱える本質的なテーマに対して、高度な分析力と論理的思考をもってアプローチするのが特徴です。
特に変化の激しい時代においては、スピーディかつ的確な経営判断が求められるため、戦略系ファームの存在価値は年々高まっています。
◾️戦略系の代表的なファーム
代表的な戦略系ファームとしては、世界三大ファームに数えられる「マッキンゼー・アンド・カンパニー」「ボストン・コンサルティング・グループ(BCG)」「ベイン・アンド・カンパニー」があります。
これらはいずれもグローバルなネットワークを持ち、国際的な大手企業をクライアントに抱えています。日本国内でも、若手から裁量のある仕事を任されるため、成長機会が非常に大きいのが特徴です。
◾️戦略系ファームの業界傾向
また、戦略系ファームではプロジェクト単位での成果が重視されるため、スピード感と成果へのコミットメントが求められます。一方で、非常に高い年収水準やキャリアアップの選択肢の広さも魅力であり、外資系企業や投資銀行、スタートアップ経営層への転身も多く見られます。
コンサル業界の中でも最も競争が激しく、かつ高度なスキルが問われる領域ですが、自らを厳しく鍛え、短期間で圧倒的な成長を目指す人には理想的な環境といえるでしょう。
業務系コンサルティングファーム
業務系コンサルティングファームは、企業の業務プロセス全般を対象に、改善・最適化・標準化を図る支援を行うファームです。主に中間管理職層や現場レベルの課題にフォーカスし、業務の可視化から改善提案、定着支援まで一貫して関与するのが特徴です。
戦略の実行段階における「オペレーションの変革」が求められる場面で力を発揮し、クライアントの実務に密接に関わる点に強みがあります。
◾️業務系の代表的なファーム
代表的な業務系ファームには、「アクセンチュア」「デロイト トーマツ コンサルティング」「PwCコンサルティング」などがあり、いずれも大規模なプロジェクト体制と専門的なフレームワークを武器に、多様な業界で実績を築いています。
製造業のSCM改革、金融機関の業務統合、流通業の在庫最適化など、業界特性に応じた業務改善ノウハウが豊富です。
◾️業務系ファームの業界傾向
近年は、単なる効率化にとどまらず、「業務×デジタル」「業務×人的資本」といった複合的な改革テーマが増えており、ITや人材領域との連携が強く求められています。また、現場への定着支援も重視され、机上の空論ではなく、実行可能な改革案を示す実務志向のコンサルティングが重視される傾向にあります。
業務系ファームで活躍するには、論理的思考力に加えて、現場の課題を汲み取る共感力や調整力、柔軟性が不可欠です。複数部門との連携や合意形成が求められるため、チームプレイを大切にできる人に向いていると言えるでしょう。
幅広い業界経験と実行力を武器に、着実なキャリアを築きたい人におすすめの分野です。
IT系コンサルティングファーム
IT系コンサルティングファームは、企業の情報システムやデジタル基盤の構築・運用を支援する専門性の高いファームです。デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進や業務システムの刷新、クラウド移行、AI・データ活用の戦略策定など、テクノロジーを活用した変革を中心にコンサルティングを行います。
近年は業務改革とIT導入を一体的に支援するニーズが増えており、IT系ファームの役割はますます重要になっています。
◾️IT系の代表的なファーム
代表的なIT系ファームとしては、「NTTデータ」「富士通」「日立コンサルティング」「伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)」などがあり、国内企業を中心に長期的なシステム支援を行っているのが特徴です。また、ITと戦略・業務コンサルを融合した「アクセンチュア テクノロジー」や「IBMコンサルティング」など、グローバルプレイヤーもこの領域で存在感を放っています。
◾️IT系ファームの業界傾向
IT系ファームの特徴は、業務に精通しながらも、技術面での深い知見を持つコンサルタントが多いことです。要件定義やシステム設計といった工程から、システム開発のPMO(プロジェクト管理支援)、運用・保守に至るまで、クライアントのITライフサイクルに広く関与します。
特にクラウド、ERP(SAPなど)、セキュリティ、データ分析といった分野での高度な専門性が評価の対象です。
この分野で活躍するには、ITスキルだけでなく、コミュニケーション能力や現場調整力、顧客ニーズを正しく汲み取る力が求められます。ITとビジネスの橋渡しを担う存在として、エンジニアからキャリアチェンジを目指す人や、技術を武器に課題解決したい人に特に適しています。
総合系コンサルティングファーム
総合系コンサルティングファームとは、戦略・業務・IT・人事・財務など、幅広い領域をワンストップで提供できる大手ファームを指します。クライアントの課題が複雑化・高度化する中で、単一領域にとどまらず、複数の専門性を組み合わせて総合的に支援できる体制を持っているのが最大の強みです。
特に大手企業や官公庁、大規模プロジェクトにおいては、このような包括的な支援が求められるケースが増えており、総合系ファームの存在感は年々高まっています。
◾️総合系の代表的なファーム
代表的なファームには、「デロイト トーマツ コンサルティング」「PwCコンサルティング」「EYストラテジー・アンド・コンサルティング」「KPMGコンサルティング」といった、いわゆる“四大会計系ファーム”が挙げられます。
これらのファームは、監査・税務・アドバイザリー部門と連携しながら、幅広い業界とテーマに対応できるのが特徴です。プロジェクトのテーマも多岐にわたり、事業戦略の立案からIT導入、組織改革、ESG支援まであらゆる領域をカバーしています。
◾️総合系ファームの業界傾向
総合系ファームでは、複数の専門チームが連携しながら案件に取り組むため、チームワークや社内での協働力も重要です。個人の専門性に加えて、全体を俯瞰しながら課題を整理・統合する力が求められます。
若手のうちから多様な案件に携われる環境が整っており、将来的に特定分野の専門家として活躍する道も、幅広く経験を積んでジェネラリストとして成長する道も選べます。
総合系ファームは、業界構造を俯瞰しながら幅広い分野での経験を積める環境が整っているため、コンサル業界を目指す学生にとって非常に人気が高い傾向にあります。
シンクタンク系コンサルティングファーム
シンクタンク系コンサルティングファームは、官公庁や自治体、公共機関などを中心としたクライアントに対して、政策提言や調査分析、事業評価などを行う専門機関です。
社会課題の解決や制度設計、地域活性化など、営利目的にとどまらない広義の価値創出を担っており、民間企業への支援も増加傾向にあります。学術的な視点や統計的根拠に基づいた助言を行う点で、他のコンサルファームとは一線を画していることが特徴です。
◾️シンクタンク系の代表的なファーム
代表的なシンクタンク系ファームには、「野村総合研究所(NRI)」「三菱総合研究所(MRI)」「大和総研」「NTTデータ経営研究所」などがあります。
これらは金融、エネルギー、都市開発、教育、福祉、環境など幅広いテーマを扱い、社会的意義の高いプロジェクトに数多く関わっています。調査・研究部門とコンサルティング部門を併せ持つことで、実証性と提案力を両立させている点が特徴です。
◾️シンクタンク系ファームの業界傾向
国や自治体の制度改革支援や白書の作成協力、社会実証事業の評価など、公共政策に関する案件が多く、経済学や政治学、社会学などの知見を活かす場面も豊富にあります。
近年では、地方創生やSDGs関連テーマにも力を入れており、長期的な社会価値の創出を重視する姿勢が強まっています。
この分野で活躍するには、論理的思考力と調査力に加え、社会的な問題意識や公共性への理解が欠かせません。安定した環境で社会課題の解決に取り組みたい方や、知的好奇心が強く、構造的な分析が得意な方に向いていると言えるでしょう。
組織・人事系コンサルティングファーム
組織・人事系コンサルティングファームは、企業の人材戦略や組織開発、採用活動、人材育成、評価制度設計など、「人」に関わるあらゆる課題を解決することを専門とするファームです。
人材こそが企業成長の源泉であるという考えに基づき、個人と組織の最適な関係性を築く支援を行うことが特徴です。近年では働き方改革や人的資本経営の導入、心理的安全性の確保など、新しい時代の組織づくりにも貢献しています。
◾️組織・人事系の代表的なファーム
代表的なファームには、「リクルートマネジメントソリューションズ」「リンクアンドモチベーション」「パーソル総合研究所」「タナベコンサルティング」などがあり、各社独自のメソッドや研修プログラムを武器に、多様な業界の企業に対してサービスを展開しています。
また、外資系では「マーサー」や「Aon」「コーン・フェリー」などが、グローバルな人事制度設計支援で高い評価を得ている企業です。
◾️組織・人事系ファームの業界傾向
この領域では、組織文化や風土、人間関係といった「見えにくい問題」に対して、科学的なアプローチで本質的な改善を促す手法が求められます。具体的には、エンゲージメント調査、キャリア支援、コンピテンシーモデルの設計、ダイバーシティ推進など、取り扱うテーマも多岐にわたります。
人や組織に関心があり、誰かの成長やチームの変革に喜びを感じられる方にとって、この分野は非常にやりがいのある環境です。論理と感情のバランスが求められるため、傾聴力や共感力と同時に、客観的に物事を捉える冷静さも大切になります。
企業の根幹である「人」に寄り添い、組織の未来をデザインしていく、そんな熱意を持つ人に最適なフィールドです。
財務系(FAS)コンサルティングファーム
財務系コンサルティングファーム、通称FAS(Financial Advisory Services)は、企業の財務戦略に特化したコンサルティングを提供するファームです。
主な業務は、M&A(企業買収・合併)、企業価値評価(バリュエーション)、財務デューデリジェンス、事業再生、資本政策の立案など、企業の重要な財務判断に関わる領域です。法務・会計・税務と密接に連携するため、高度な専門性と実務力が求められます。
◾️財務系(FAS)の代表的なファーム
代表的なファームには、「KPMG FAS」「PwCアドバイザリー」「デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー」「EYトランザクション・アドバイザリー・サービス」など、いわゆるBig4のFAS部門があり、クロスボーダー案件を含むグローバルな支援を行っています。
その他にも「フロンティア・マネジメント」「GCA」などの独立系アドバイザリーファームも存在感を示しています。
◾️財務系(FAS)ファームの業界傾向
FASの仕事は、企業の合併・買収や再生といった経営の岐路に深く関わるため、短期間でインパクトの大きい意思決定を支援するダイナミックさが特徴です。一方で、正確な数値分析や契約書類の読み解き、リスク分析といった細やかな作業も求められるため、緻密さとスピード感の両立が欠かせません。
この分野に向いているのは、会計・財務・法律といった専門知識をベースに、経営課題を数字で語れる力を持つ人です。公認会計士資格や税理士試験の勉強経験が活きる場面も多く、金融業界出身者の転職先としても人気があります。
企業価値を裏側から支える「縁の下の力持ち」として、非常にやりがいのある領域です。
再生系コンサルティングファーム
再生系コンサルティングファームは、経営不振に陥った企業の立て直しや、事業再生の現場支援を専門とするファームです。財務リストラや事業ポートフォリオの再構築、経営体制の見直し、場合によっては法的整理を含む再建策の提案・実行まで、多岐にわたる業務を担います。
現場に深く入り込み、短期的な数字だけでなく、持続可能な経営へと導く“実行力”が重視されるのがこの分野の特徴です。
◾️再生系の代表的なファーム
代表的なファームとしては、「経営共創基盤(IGPI)」「REVIC(地域経済活性化支援機構)」「ターンアラウンドマネジメント」「山田ビジネスコンサルティング」「日本共創プラットフォーム(JPiX)」などが挙げられます。
また、FAS部門や銀行系コンサルが手がける再生支援チームもあり、クロスファンクショナルな再生支援体制が組まれることも少なくありません。
◾️再生系ファームの業界傾向
再生系ファームの特徴は、アドバイスだけではなく「現場に入り、一緒に汗をかく」ハンズオン型支援であることです。売上回復のための営業改革や、資金繰り支援、人員配置の見直しなど、経営の根幹に踏み込む支援が求められるため、経営者との信頼構築力や実行フェーズでのリーダーシップが極めて重要です。
この分野で活躍するには、戦略的思考や財務スキルに加え、現場を動かす熱意や人間力が求められます。泥臭さもある一方で、企業を本質的に変える力を持ち、再生を成し遂げたときの達成感は非常に大きなものとなります。
企業の“最後の砦”としての責任とやりがいが詰まった、社会的意義の高い領域です。
コンサルタントに求められるスキルと資格
コンサルタントとして活躍するためには、専門的な知識だけでなく、多様なスキルや適性が求められます。特に学生や若手層にとっては、社会人経験が少ない中でも伸ばせるスキルを意識することが重要です。
コンサル業界で評価される具体的なスキルセットを、5つの観点から解説します。
①論理的思考力と問題解決力
コンサルタントにとって最も基本的で重要なスキルの一つが、論理的思考力です。ロジカルシンキングとも呼ばれ、情報を整理し、原因と結果を明確にしたうえで、課題を構造的に捉える力が求められます。
例えば、売上が伸びない原因を分析する際に、顧客の属性、商品の価格帯、競合状況など複数の視点から仮説を立て、検証するプロセスが重要です。
また、答えのない課題にも臨機応変に対応し、現実的な解決策を導き出す問題解決力もあわせて求められます。これらの能力は、ケース面接やインターン選考でも重点的に評価されるため、早い段階からトレーニングするようにしましょう。
②コミュニケーション能力
コンサルタントはクライアントとの対話を通じて課題を明らかにし、納得感のある提案を行う必要があります。そのため、単に話す・聞くといった表面的なスキルではなく、相手の意図を正確にくみ取る傾聴力、分かりやすく本質を伝える説明力、そして状況に応じた対人対応力といった高度なコミュニケーション能力が求められます。
プロジェクトの現場では、上司や同僚だけでなく、年齢や立場の異なるクライアントとも密に連携するため、信頼関係を築く力が不可欠です。学生のうちからディスカッションやプレゼンテーションの機会を意識的に増やし、実践的なスキルを磨いておくと良いでしょう。
③高い学習意欲と吸収力
コンサル業界は変化が早く、常に新しい業界知識や専門スキルを学び続ける姿勢が求められます。案件ごとに扱うテーマや業界が異なるため、短期間で大量の情報をキャッチアップし、自分の知識として活かす「学習スピード」も重要です。
また、自分の知っている範囲にとどまらず、未知の領域に対しても前向きにチャレンジする姿勢が評価されます。書籍やニュース、ビジネスレポートなどから情報をインプットする習慣をつけておくと、入社後の吸収力や活躍スピードに大きな差が出てきます。
④体力・精神力と自己管理能力
ハードワークの代名詞とも言われるコンサル業界では、一定の体力と精神的なタフさも求められます。納期が厳しい案件や多忙なプロジェクトでは、スケジュール管理や集中力の維持が求められ、心身ともに自己管理が不可欠です。
睡眠や食事、ストレスケアといった日常的なコンディション管理は、パフォーマンスを左右する重要な要素となります。また、過度なプレッシャーの中でも冷静に判断し、自らを律することができるセルフマネジメント力は、長期的に活躍するための鍵となるでしょう。
⑤プロフェッショナル精神と責任感
コンサルタントは、企業の重要な意思決定に関わる立場であるため、常に高い倫理観と責任感が求められます。クライアントの信頼を得るためには、事実に基づいた正確な分析と提案を行うことはもちろん、自分の発言や行動に一貫性を持ち、最後までやり遂げる姿勢が大切です。
また、チーム内でもプロフェッショナルとしての誇りを持ち、他者と協力しながら成果を追求する姿勢が求められます。社会人としての基本を大切にしながら、常に一歩先を考えて動ける人材が評価されるのです。
有用な資格
コンサルタントとしての実力を証明したり、専門領域での信頼を得るために、資格は非常に有効な手段です。
特に、戦略、財務、語学、経営全般といった分野で活躍するには、知識の裏付けとして資格取得が強く評価されます。
【コンサルタントに有用な資格とその特徴】
資格名 特徴
MBA 経営全体を体系的に学べる。戦略・財務・マーケ・人材まで幅広く網羅。国内外問わずキャリアの幅が広がる。
公認会計士 会計・監査・税務に精通。財務アドバイザリーやFAS系のコンサルで高く評価される。
中小企業診断士 経営課題の分析力と実行支援スキルが求められる国家資格。幅広い業界で汎用性が高い。
税理士 税務戦略や資産管理、M&A時のタックスプランニングなどで重宝される。
TOEIC・TOEFL グローバル案件や外資系ファーム志望者に必須。ビジネス英語力の客観的指標として利用される。
これらの資格は、コンサルタントとしての専門性を補強し、キャリアアップの選択肢を広げる手段として有効です。
ただし、資格取得だけで即戦力になれるわけではなく、実務経験と組み合わせて活用することで真価が発揮されます。自分が目指す分野に合った資格を戦略的に選ぶことが大切です。
新卒でコンサルタントを目指すには
新卒でコンサルタントを目指すにあたっては、業界や職種の理解を深めたうえで、しっかりとした準備を行うことが重要です。まず前提として、コンサル業界では論理的思考力や問題解決力が重視されるため、学生時代からこれらの力を鍛える意識が必要です。
具体的には、ゼミや課外活動、インターンなどを通じて、主体的に課題に向き合う経験を積んでおくと良いでしょう。また、志望動機やキャリアビジョンを自分の言葉で語れるようにしておくことも大切です。
一方で、就活の競争倍率が高い業界でもあるため、エントリーシートや面接の質が非常に問われます。単に「頭が良いから」ではなく、「なぜコンサルなのか」「その中でもなぜこのファームなのか」を言語化できる準備が求められます。
加えて、グループディスカッションやケース面接への対応力も鍛えておくと安心です。情報収集だけでなく、実際のプロジェクトや働き方を知るために、サマーインターンやOB・OG訪問などの機会も積極的に活用しましょう。
コンサルタントの就活対策
コンサル業界を目指す就職活動では、一般的な企業とは異なる選考ステップや評価基準が設けられているため、専用の対策が欠かせません。
まず書類選考では、エントリーシートにおいて論理的な構成と明確な自己分析が求められます。志望動機や学生時代に力を入れたこと(ガクチカ)についても、「なぜ?」を深掘りし、結論→理由→具体例という流れで一貫性のある文章に仕上げましょう。
筆記試験では、GMAT型やSPI型など、ロジカルな思考力を問う問題が多く出題されます。特に図表の読み取りや、数的処理のスピードが求められるため、過去問を繰り返し解いて慣れておくことが大切です。
面接では、フェルミ推定やケース面接が行われる場合があり、その場で論理的に思考しながら発言する力が試されます。普段からビジネスニュースに触れたり、自分で仮説を立てて考える癖をつけておくと、実践力が養われるでしょう。
また、グループディスカッションでは、意見の主張だけでなく、他者の意見をまとめる力や、議論を建設的に進める姿勢が評価されます。一方的に話すのではなく、全体を見渡してチームに貢献するスタンスが大切です。
いずれの選考においても、「論理性」と「協働性」の両立が問われることを意識し、準備を進めましょう。
コンサルタントのやりがい
コンサルタントの仕事には、多くのやりがいがあります。
まず一つ目は、自らの提案が企業の意思決定や事業方針に直接影響を与えるという点です。
単なる資料作成や補佐役ではなく、課題解決の中心メンバーとしてクライアントと向き合い、実際の変化を生み出せる喜びがあります。
二つ目は、短期間で大きく成長できる環境が整っていることです。
プロジェクト単位で多くの業界や企業と関わるため、多様なビジネススキルを効率的に身につけられます。
また、若いうちから責任ある仕事を任される文化があるため、チャレンジングな環境で自身の能力を大きく伸ばすことが可能です。
三つ目は、優秀な仲間と切磋琢磨できる点です。
論理的思考力や向上心の高いメンバーと働くことで、常に刺激を受けながら仕事に取り組めるのは大きな魅力です。成長意欲が高い人にとって、理想的な環境が整っている職種といえるでしょう。
コンサルタントの厳しさ
コンサルタントの仕事はやりがいが大きい反面、厳しさも少なくありません。
第一に、常に高い成果が求められるプレッシャーの中で働くという点です。
プロジェクトごとに納期やクライアントの期待が明確に設定されており、結果が評価のすべてとなる世界です。そのため、ミスが許されない緊張感の中で仕事を進める必要があります。
第二に、長時間労働や不規則なスケジュールが発生することもあります。
クライアントの都合に合わせて動くことが多く、場合によっては深夜や週末の対応を求められるケースもあるでしょう。体力だけでなく、精神的なタフさやセルフマネジメント力が求められます。
第三に、成長スピードが速い分、自己責任も伴います。
年次や年齢に関係なく成果が求められるため、常に学び続ける姿勢と、積極的にフィードバックを受け入れる柔軟性が必要です。楽ではない仕事ですが、それゆえに自分を飛躍的に成長させたい人にとっては、最高のフィールドでもあります。
まとめ
コンサルタントは、企業の課題解決を担う知的専門職として、近年ますます注目を集めています。多様な分野で需要が広がり、高年収やキャリアパスの多様性も魅力の一つです。
本記事では、仕事内容や市場動向、年収情報まで幅広く解説しました。
就活でコンサル業界を目指す方は、業界理解を深め、自分に合ったファーム選びと対策を進めていきましょう。
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