教育業界ってどんな業界？
教育業界とは、知識や技能を提供し、人材を育成するサービスを提供する業界です。伝統的には学校教育（小学校・中学校・高校・大学など）を中心に発展してきましたが、近年では、学習塾、予備校、通信教育、オンライン学習、企業向け研修、資格取得支援など、さまざまな分野が広がっています。
教育機関は、大きく子ども向けと大人向けに分類できます。
子ども向けでは、学校や学習塾、英会話教室、プログラミングスクールなどが主流です。一方、大人向けでは、資格取得スクールや社会人向けのリスキリング講座、企業研修サービスが増えています。
市場全体は少子化の影響を受ける一方で、社会人向け教育のニーズ拡大や、デジタル技術を活用した新たな学びの形によって、構造変化が進んでいるのが特徴です。特に、オンライン学習やデジタル教材の普及が加速しており、時間や場所を問わず学べる環境が整いつつあります。
さらに、AIを活用した学習支援システムなどの導入も進んでおり、教育業界は今後ますますテクノロジーとの融合が求められる分野となっています。
教育業界の動向
教育業界は、コロナ禍を機に大きな変化を迎え、少子化や学習指導要領の改訂、デジタル化の進展を背景に、再編が進んでいます。
具体的には、次のような動向が見受けられます。
①コロナ禍前後の市場規模の変遷
②少子化の影響
③小中・中高一貫教育校の増加
④ゆとり教育から学力重視（新学習指導要領実施）
⑤オンラインの活用
⑥M&Aや業務提携による企業再編
これらについて順番に解説します。
コロナ禍前後の市場規模の変遷
コロナ禍は教育業界に大きな衝撃を与えました。対面授業の停止や休校措置により、学習塾・予備校・語学スクールなどの売上は一時的に落ち込みました。
特に2020年度は多くの事業者が打撃を受け、市場規模全体も縮小傾向に。しかし、オンライン授業やデジタル教材の導入が進み、新たな需要が生まれたことで、2021年以降は徐々に回復傾向を見せました。
現在はオンラインと対面を組み合わせたハイブリッド型の教育サービスが定着しつつあり、パンデミック前の水準を超える分野も出てきています。危機をきっかけに、教育の形が多様化し、市場構造も大きく変わったといえるでしょう。
少子化の影響
教育業界にとって、少子化は非常に大きな影響を与える要因です。出生数の減少により、学校や学習塾、習い事教室など、子ども向け市場の顧客数自体が減少傾向にあります。
これにより、生徒獲得競争が一層激化しており、各教育機関はカリキュラムの質向上や個別指導の充実、特色ある教育プログラムの開発に力を入れています。
また、経営が厳しくなった私立学校や地方の小規模塾では、統廃合や閉鎖の動きも見られるようになりました。一方で、限られた生徒数を対象にした高付加価値型サービスや、海外市場への進出を目指す動きも広がっています。特にオンライン教育を活用して、日本全国・海外の生徒を対象にするビジネスモデルが注目されています。
少子化時代を生き抜くため、教育業界は単なる生徒数依存型から脱却し、質と付加価値を高める戦略へとシフトしているのが現状です。
小中・中高一貫教育校の増加
近年、小中一貫校や中高一貫校の設立が全国的に進んでいます。これは、義務教育から高校教育までを一貫したカリキュラムでつなぎ、子どもたちの学びをよりスムーズにすることを目的としています。
小中一貫教育では、9年間を通して発達段階に応じた柔軟な指導が可能になります。一方、中高一貫教育では、中学・高校の6年間を通じて計画的な学習ができ、難関大学進学を目指す層にも人気です。
公立校でも導入が進み、私立校ではコース制や一貫型の新設が増加。学力向上と個性重視の両立を図る動きが広がっています。これにより、教育業界では一貫教育に対応した教材開発やカリキュラム支援のニーズも高まっています。
ゆとり教育から学力重視（新学習指導要領実施）
かつて実施された「ゆとり教育」は、詰め込み型学習を見直し、子どもの自主性や創造性を育むことを目指しました。しかし、基礎学力の低下が社会問題化したことを受け、現在は学力重視へと方針が大きく転換されています。
新しい学習指導要領では、「主体的・対話的で深い学び（アクティブラーニング）」を推進し、知識の習得だけでなく、思考力や表現力も育成する方針が示されています。英語教育やプログラミング教育の必修化など、実践的な学びが重視されるようになりました。
これに伴い、学校現場や民間教育機関では、授業の進め方や教材内容を大きく見直す動きが広がっています。教育業界では、変化するニーズに対応するため、新たな教育コンテンツや指導法の開発が活発になっています。
オンラインの活用
コロナ禍をきっかけに、教育業界ではオンライン活用が急速に拡大しました。対面授業の制限により、学校や塾、企業研修など、あらゆる教育機関でオンライン授業やeラーニングの導入が進みました。
現在では、単なる対面授業の代替手段ではなく、デジタル技術を生かした新しい学びのスタイルが定着しつつあります。動画授業、AIによる学習サポート、オンライン模試など、学びの多様化が進んでいます。
また、地理的な制約を超えて学べる環境が整ったことで、地方の子どもたちや社会人が質の高い教育にアクセスしやすくなりました。今後は、対面とオンラインを組み合わせたハイブリッド型教育が主流となり、より個別最適化された学習支援が求められるようになっていくと予想できます。
M&Aや業務提携による企業再編
教育業界では近年、M&A（企業の合併・買収）や業務提携による再編が活発になっています。少子化や市場の成熟により、単独での成長が難しくなった企業が、他社との連携や統合を進めているためです。
例えば、大手学習塾同士の統合や、教育コンテンツ会社とIT企業との提携などが進み、サービスの幅を広げたり、デジタル対応力を高めたりする動きが見られます。また、オンライン教育市場の拡大に伴い、スタートアップ企業への投資や買収も増加しています。
これにより、教育業界では大規模化・多角化が進み、競争環境が大きく変わりつつあります。就職活動では、各企業の動向をしっかり把握し、成長戦略やビジネスモデルを理解することがますます重要になるでしょう。
教育業界のトレンド
教育業界では、デジタル化の進展や個別最適化学習の普及、リスキリング需要の拡大など、新たな潮流が生まれています。
2025年現在注目されている「教育業界の主要トレンド」について、わかりやすく解説します。
小学校におけるプログラミング教育の必修化
2020年度から、小学校でプログラミング教育が必修化されました。これは、子どもたちにプログラミング的思考（論理的に考え、問題を解決する力）を育むことを目的としています。
必修化といっても、専門的なプログラミング言語を学ぶのではなく、算数や理科など他教科の中で、プログラム的な考え方に触れる形で授業が行われます。
これに伴い、教育現場では新しい教材や指導方法の開発が進み、民間企業も支援ツールやプログラミング教室を展開しています。プログラミング教育の必修化は、ITリテラシー向上だけでなく、将来のDX人材育成にもつながる重要な取り組みと位置づけられています。
大学入試制度
大学入試制度は、近年大きな変革を迎えています。2021年度からスタートした「大学入学共通テスト」では、従来のセンター試験に比べ、思考力・判断力・表現力を問う出題が重視されるようになりました。単なる知識の暗記ではなく、自ら考え、論理的に答えを導き出す力が求められています。
また、総合型選抜（旧AO入試）や学校推薦型選抜の比率も拡大しており、多様な能力や個性を評価する動きが進んでいます。これにより、高校教育でも探究学習やプレゼンテーション力の育成が重視されるようになりました。
大学入試改革は、教育業界にとって指導方法や教材開発の見直しを促す大きなトレンドとなっています。
STEAM教育の推進
近年、教育業界ではSTEAM教育の推進が注目されています。
STEAMとは、「Science（科学）、Technology（技術）、Engineering（工学）、Arts（芸術・リベラルアーツ）、Mathematics（数学）」の頭文字を取った言葉です。これらの領域を横断的に学び、創造力や課題解決力を育むことを目的としています。
従来の理系・文系という枠を越え、科学的知識とアート的感性を組み合わせる教育が求められています。特にデジタル社会においては、論理的思考だけでなく、クリエイティブな発想力も重要視されています。
文部科学省も「未来の学び」推進事業の中でSTEAM教育を支援しており、学校現場や民間教育機関でも関連プログラムの開発が進んでいます。
海外ボーディングスクール
近年、海外のボーディングスクール（全寮制学校）への進学を目指す動きが広がっています。グローバルな視野を持ち、国際的な環境で学びたいと考える家庭が増えており、特にアメリカやイギリス、スイスなどの名門校が人気です。
ボーディングスクールでは、学問だけでなくリーダーシップや多様な文化理解、コミュニケーション力などを総合的に育成します。少人数制教育や手厚いサポート体制も特徴であり、海外大学への進学実績が豊富な点も魅力とされています。
日本国内でも、ボーディングスクール進学に特化したコンサルティングサービスや予備教育プログラムが増えており、教育業界のグローバル化を象徴するトレンドとなっています。
リカレント教育
リカレント教育とは、社会人が就業と学びを繰り返しながらキャリアを形成していく考え方を指します。人生100年時代と言われる中、働きながら新たなスキルや知識を習得する重要性が高まっており、政府もリカレント教育の推進に力を入れています。
企業向けの研修や大学・専門学校での社会人講座、オンライン学習プログラムなど、学び直しの機会が多様化しています。特にDX（デジタルトランスフォーメーション）やグリーン成長分野など、成長産業に対応した教育プログラムの需要が伸びています。
リカレント教育の拡大は、教育業界にとって新たな市場創出のチャンスであり、社会人向けサービスの開発競争も活発になっています。
EdTech（エドテック）
「EdTech（エドテック）」とは、Education（教育）とTechnology（テクノロジー）を組み合わせた造語で、ICT技術を活用して教育の質や効率を高める取り組みを指します。
近年、オンライン授業、AIによる学習支援、VR教材、アダプティブラーニングなど、さまざまなEdTechサービスが登場しています。
特にコロナ禍を経て、リモート学習が普及したことでEdTech市場は急成長しました。学校現場だけでなく、塾や企業研修、社会人向け講座にも広がりを見せています。
今後は、データ分析を活用した個別最適化学習や、グローバル対応のオンライン教育サービスがさらに進化すると見込まれています。EdTechは教育業界の革新を支える重要なキーワードとなっています。
教育業界のビジネスモデル
教育業界のビジネスモデルは多様化しており、学校法人の運営だけでなく、学習塾や通信教育、EdTech企業など、民間による教育サービスも広がりを見せています。
対面型・オンライン型の授業形式に加え、サブスクリプションやBtoB向け研修など、収益構造も変化しています。
学習塾・予備校（個別指導・集団指導）
学習塾・予備校は、主に小学生〜高校生を対象とした補習・受験指導を行うビジネスモデルです。大きく「集団指導型」と「個別指導型」に分かれ、前者は同一カリキュラムを多数に教える効率性、後者は生徒一人ひとりに寄り添ったきめ細やかさが強みです。
大手では、集団指導に強みを持つ「早稲田アカデミー」や「駿台予備学校」、個別指導に注力する「明光義塾」や「東京個別指導学院」などが挙げられます。
いずれも月謝制で安定的な収益を確保しつつ、AI教材やオンライン対応などによる差別化も進んでいます。近年はフランチャイズ展開を通じた全国規模の拡大や、講師育成の内製化によるコスト最適化も重視されています。
語学教室
語学教室は、英会話を中心とする外国語習得を目的とした教育ビジネスです。幼児から社会人、高齢者まで幅広い層を対象としており、目的別に日常会話、ビジネス英語、試験対策などに細分化されています。
代表的な企業には、「ECC外語学院」「NOVA」「英会話イーオン」などがあり、通学型だけでなくオンラインコースを併設しているケースも増加しています。
また、「レアジョブ英会話」や「DMM英会話」など、オンライン特化型のEdTech型サービスも市場シェアを伸ばしています。レッスンは月額制やポイント制で提供され、外国人講師とのマンツーマン指導や自習教材との連携により、学習効果の向上が図られています。
カルチャー教室
カルチャー教室は、書道や絵画、料理、手芸、音楽など、趣味・教養を深めることを目的とした教室型ビジネスです。主に主婦層や高齢者層など、時間に余裕のある層を中心に需要があり、地域に根差したサービスとして展開されています。
「朝日カルチャーセンター」や「NHK文化センター」などが代表例で、公共施設やショッピングセンター内に教室を構えるケースが多く見られます。
近年は、YouTubeやZoomを活用したオンライン講座への転換も進みつつあり、自宅にいながら文化活動に参加できる仕組みが整備されつつあります。月謝制に加え、1回ごとの都度払い講座も提供されており、受講者のライフスタイルに合わせた柔軟な運営が可能です。
人材育成企業
人材育成企業は、主に法人向けに社員研修やスキルアップ支援を提供するBtoB型ビジネスモデルです。対象は新入社員から管理職、エグゼクティブまで多岐にわたり、階層別やテーマ別の研修が提供されています。
大手では、「リクルートマネジメントソリューションズ」「グロービス」「リンクアンドモチベーション」などが挙げられます。特にグロービスは、ビジネススクール運営に加え、法人向け研修やeラーニングサービスも展開しており、デジタル化による拡張性に優れています。
料金体系は、年間契約やプログラム単位のパッケージ販売が多く、企業の人材戦略と連動した長期的な関係構築が求められます。
その他（EdTech、海外進学支援など）
上記以外にも、教育業界では多様なビジネスモデルが存在しています。たとえば、ITを活用したEdTech分野では、「スタディサプリ（リクルート）」や「atama＋（atama plus株式会社）」のように、AI教材や動画授業を提供するサブスクリプション型のサービスが人気を集めています。
また、海外ボーディングスクールへの進学支援を行う「トフルゼミナール」や「リセマム留学センター」など、専門領域に特化した教育支援企業も存在します。
これらは特定のニーズに応じたサービス展開が可能であり、従来型の塾や学校では対応しきれない領域を補完する役割を果たしています。ニッチ市場ながら、高付加価値ビジネスとして安定した成長を見込める分野です。
教育業界の職種
教育業界には、教員や講師だけでなく、教材開発、カリキュラム設計、運営スタッフ、法人営業など多様な職種があります。
・講師、教員
・職員、教室マネジャー
・広報、マーケティング
・教務事務、サポートスタッフ（試験問題研究・編集制作）
・営業（toC・toB）
・教材や講座の企画・制作
・EdTech関連職（エンジニア・プロダクト企画など）
学ぶ人を支えるための幅広い仕事が存在するため、自分の適性に合ったキャリアを描くことができるでしょう。
講師、教員
講師・教員は、塾や予備校、学校、語学教室などで生徒に対して授業を行い、学習をサポートする役割を担います。
授業の準備や進路指導、保護者対応を行うこともあり、教科知識だけでなく対人スキルも求められます。生徒の成長に寄り添いたい人、人に教えることが好きな人、目の前の成果にやりがいを感じる人に向いています。
近年は、オンライン授業やICT活用など新しい指導スタイルへの対応力も重視されています。
職員、教室マネジャー
職員や教室マネジャーは、塾や教育サービスの現場で、教室運営全般を統括する役割を担います。業務内容は、講師のシフト管理や生徒募集、保護者対応、売上管理など多岐にわたります。現場のハブとして、教える以外のあらゆる面から教育を支える重要なポジションです。
全体を見て効率よく動ける人、対人調整が得意な人、目標達成にやりがいを感じる人に向いています。
マネジメント経験がキャリアの幅を広げる強みにもなります。
広報、マーケティング
広報・マーケティングは、学校や教育サービスの魅力を社外に発信し、生徒募集やブランド認知の向上を図る仕事です。具体的には、WebサイトやSNSの運用、パンフレットの制作、体験イベントや説明会の企画運営などを担当します。
情報感度が高く、アイデアを形にできる人、人前で話すことが得意な人、数字を分析して戦略を考えるのが好きな人に向いています。
教育現場の“顔”として、組織の印象を左右する重要な役割です。
教務事務、サポートスタッフ（試験問題研究・編集制作）
教務事務やサポートスタッフは、授業運営を円滑に進めるための事務処理や教材制作などを担う職種です。授業スケジュールの調整、成績管理、教材準備のほか、模試や試験問題の作成・編集業務を担当することもあります。
正確性とスピードが求められるため、几帳面で責任感のある人、裏方として支えることにやりがいを感じる人、文章やデータの扱いが得意な人に向いています。
表には立ちませんが、教育現場を支える縁の下の力持ちです。
営業（toC・toB）
教育業界の営業職は、個人向け（toC）と法人向け（toB）に分かれます。
toCでは保護者や生徒に対して入塾案内やコース提案を行い、toBでは学校や企業に教材・研修プログラムなどの導入を提案します。コミュニケーション力が高く、人の話を丁寧に聞ける人、ニーズを汲み取って提案できる人、数字目標に対して前向きに取り組める人に向いています。教育への思いや信頼関係が成約につながる仕事といえるでしょう。
教材や講座の企画・制作
教材や講座の企画・制作は、学習効果を高めるためのコンテンツ設計や教材開発を行う職種です。教科書や問題集、映像講座、オンライン教材など、形式は多岐にわたります。対象となる学習者や教育目的に合わせて、内容や構成を考える力が求められます。
教育に興味があり、地道な作業に集中できる人、文章表現が得意な人、教科への専門性や分析力を活かしたい人に向いています。指導の裏側を支える重要な立ち位置が企画職であるといえます。
EdTech関連職（エンジニア・プロダクト企画など）
EdTech関連職は、教育とテクノロジーを融合させたサービスの開発や運営に携わる職種です。具体的には、学習アプリやオンライン教材の開発を行うエンジニアや、機能設計やUI改善を行うプロダクト企画などがあります。
技術力だけでなく、教育に対する理解やユーザー視点も重要です。教育の課題をテクノロジーで解決したい人、論理的思考と創造性をあわせ持つ人、最新技術への関心が高い人に向いています。
教育業界で働くメリット
人の成長に直接関われるやりがい
教育業界では、生徒や受講者の「できるようになった」「合格した」といった成長の瞬間に立ち会える喜びがあります。教える側の言葉やサポートが相手の人生に影響を与えることもあり、大きな責任と同時に深いやりがいを実感できます。
「誰かの力になりたい」「成果を目の前で見たい」という想いがある人にとって、非常に魅力的な仕事です。
社会貢献性が高く、自分の仕事に誇りを持てる
教育業界は、未来を担う人材の育成に関わる、社会的意義の高い仕事です。自分の関わった生徒が成長し、夢を叶えていく姿を見るたびに、「この仕事を選んでよかった」と実感できます。
短期的な成果だけでなく、社会全体に良い影響を与えるという長期的な視点で働けるため、日々の業務にも自然と使命感が生まれます。「誰かの人生を支える仕事がしたい」と考える就活生にぴったりの業界といえるでしょう。
幅広いキャリアに応用できるスキルが身につく
教育業界では、プレゼン力、傾聴力、調整力、マネジメント力など、どの業界でも求められる汎用スキルが自然と鍛えられます。
生徒や保護者、同僚とのやり取りを通じて培われる対人対応力は、営業や企画、人事などの職種にも応用可能です。たとえ将来別業界に進んだとしても、“人を動かす力”を実践的に学べる経験は、大きな武器になります。
「成長できる環境で働きたい」と考える学生におすすめです。
教育業界で働く大変さ
成果がすぐに見えにくいことがある
教育の成果は、短期間では測りづらい場合があります。すぐに成績が伸びるとは限らず、生徒の変化や成長はじわじわと現れることが多いです。そのため、明確な数字や結果で評価される仕事に比べて、やりがいを実感しづらい場面もあるかもしれません。
ただし、地道な努力が生徒の「わかった」「できた」につながったときの喜びは大きく、長期的な視点で人を支えたいと考える人には向いている環境です。
スケジュールが不規則になりやすい
教育業界、とくに塾や予備校では、生徒の授業が夕方以降や土日に集中するため、勤務時間が一般企業とは異なる場合があります。繁忙期には長時間労働になることもあり、柔軟な働き方が求められます。
一方で、平日昼間に自由な時間を持てるなど、ライフスタイルによってはメリットになることもあります。自分の生活リズムをコントロールしながら働きたい人には、工夫次第で充実した働き方ができる業界です。
感情労働の側面がある
教育業界では、生徒や保護者と密に関わるため、相手の不安や悩みに寄り添う場面が多くあります。ときには厳しい意見を受けることもあり、精神的なタフさや感情のコントロールが求められます。
しかしその分、信頼関係が築けたときの達成感や「ありがとう」の言葉には大きなやりがいがあります。人の気持ちに敏感な人、相手を思いやれる人にとっては、やさしさを強みにできる仕事でしょう。
教育業界の大手5社
教育業界には、多彩な強みを持つ大手企業が存在します。ここでは、就活生に人気の高い主要5社をピックアップし、それぞれの特徴や魅力をわかりやすく紹介します。
企業研究の第一歩としてぜひチェックしてください。
ベネッセホールディングス
ベネッセホールディングスは、通信教育の「進研ゼミ」や幼児向けの「こどもちゃれんじ」などを展開する教育業界の大手企業です。2024年3月期の連結売上高は約4,108億円で、国内教育、介護・保育、大学・社会人の3事業を柱としています。
教育分野では、通信教育のほか、個別指導塾や学校向け模試、英語検定「GTEC」など多彩なサービスを提供しています。また、社会人向けオンライン学習プラットフォーム「Udemy」の国内展開も手がけ、リスキリング支援にも注力しています。
教育とITの融合を進める同社は、教育業界でのキャリアを志す学生にとって注目すべき企業です。
Z会グループ（株式会社増進会ホールディングス）
Z会グループ（株式会社増進会ホールディングス）は、通信教育や教室運営、出版、アセスメント、公民連携の5事業を展開する総合教育企業です。2023年度の売上高は約689.3億円で、難関大学への高い合格実績を誇ります。
通信教育では、紙とデジタルを融合した「iPadスタイル」を提供し、個別最適化された学習を実現しています。また、ソニーと連携し、プログラミング教育キット「KOOV®」を導入するなど、ICT教育にも注力しています。
思考力や表現力を重視した教育方針に共感する学生にとって、魅力的なキャリアパスが広がる企業です。
ナガセ（東進ハイスクール・四谷大塚）
株式会社ナガセは、東進ハイスクールや四谷大塚を展開する教育業界の大手企業で、2024年3月期の連結売上高は約529億8,600万円と過去最高を記録しました。
主な事業は、高校生向けの東進ハイスクール、東進衛星予備校、小学生向けの四谷大塚、幼児から社会人までを対象とした東進こども英語塾や東進ビジネススクールなど、多岐にわたります。
また、スイミングスクールのイトマンも運営し、教育とスポーツの両面から人材育成を行っています。「独立自尊の社会・世界に貢献する人財の育成」を理念とし、教育業界での幅広いキャリアを志す学生にとって魅力的な企業といえるでしょう。
リソー教育（TOMAS・伸芽会）
リソー教育は、完全1対1の個別指導塾「TOMAS」や幼児教育の「伸芽会」などを展開する教育業界の大手企業です。2025年2月期の連結売上高は約333.9億円で、過去最高を記録しました。
主な事業には、進学個別指導の「TOMAS」、プロ家庭教師派遣の「名門会」、名門小学校・幼稚園受験対策の「伸芽会」があり、各分野で高い合格実績を誇ります。また、学校内個別指導の「スクールTOMAS」や情操教育を提供する「プラスワン教育」など、多角的な教育サービスを展開しています。
質の高い教育を提供し、教育業界でのキャリアを志す学生にとって魅力的な企業です。
学研ホールディングス
学研ホールディングスは、教育と医療福祉を中核に多角的な事業を展開する企業です。2024年9月期の連結売上高は1,855億6,600万円で、教育分野が918億8,000万円を占めています。
主なサービスには、学習塾「学研教室」、学習教材の出版、保育園・学童の運営、高齢者住宅の提供などがあり、幅広い年齢層に対応しています。また、東南アジアを中心に13の国と地域で海外展開を進めており、グローバルな教育支援にも注力しています。
教育業界で多様なキャリアを築きたい学生にとって、魅力的な選択肢となる企業でしょう。
新卒で教育業界を目指すには
教育業界を目指すにあたっては、まず「なぜ教育に関わりたいのか」という志望動機を明確にすることが大切です。教えることが好き、人の成長に関わりたいといった想いを、自身の経験に基づいて語れるようにしておきましょう。
次に、業界内でも塾、EdTech、出版など多様な領域があるため、企業ごとの事業内容や対象年齢層をしっかり調べ、自分に合ったフィールドを見極めることが重要です。
また、教育は成果がすぐには見えにくく、相手に寄り添う姿勢が求められる分野です。仕事の本質は“サポート役”であることを理解し、相手の立場に立って考えられる心構えを持つことが求められます。面接では、人への関心や粘り強さをアピールできると良いでしょう。
教育業界の就活対策
教育業界の就活では、「人柄」と「伝える力」が重視される傾向があります。
書類選考では、教育への関心や人の成長に関わりたいという想いを、具体的なエピソードとともに記すことが大切です。筆記試験では、一般常識やSPI、国語・算数的な問題を出す企業もあるため、早めの対策をしておきましょう。面接では、志望動機に加え「自分はどんな教育者・支援者になりたいか」を問われるケースも多く、自分なりの価値観を整理しておくと安心です。グループディスカッションでは、協調性や論理的思考力、相手を尊重しながら意見を出す姿勢が見られています。
結論よりも過程を重視する企業が多いため、冷静に場をまとめる意識が大切です。
教育業界と繋がりのある業界
教育業界は多くの業界と接点を持ち、連携や影響を受けながら発展しています。
下記は、代表的な関連業界です。
①IT・テクノロジー業界
EdTechの進展により、教育とITは切っても切れない関係にあります。学習管理システムやオンライン教材、AIを活用した個別最適化学習など、多くの教育現場でIT企業の技術が導入されています。
②出版・メディア業界
教材や参考書、学習図鑑などを制作する出版業界は、教育と非常に密接です。近年は紙媒体だけでなく、電子書籍や動画教材の制作も増えており、教育コンテンツの多様化に貢献しています。
③人材業界
企業の研修やリスキリング支援、教育系人材派遣など、教育と人材育成の分野は重なっています。社会人教育や職業訓練など、BtoB領域での接点が多くあります。
④行政・公共機関
教育制度や学習指導要領を所管する文部科学省をはじめ、自治体との連携も重要です。公教育における改革や教育格差解消の取り組みで、民間教育機関が役割を担うケースも増えています。
教育業界の将来性
教育業界は少子化により子ども向け市場の縮小が懸念される一方で、大人の学び直し需要やデジタル教育の進展により、新たな成長分野が生まれています。
政府主導のリスキリング支援やGIGAスクール構想の推進により、学校・企業・自治体の枠を超えた教育の提供体制が広がっています。特にオンライン学習やAIによる個別最適化教育、EdTechの発展により、教育の形が大きく変わりつつある今は「業界の転換期」でもあります。
また、グローバル教育やSTEAM教育、探究学習など、求められる学びの内容も多様化しており、教材開発やサービス設計に携わる人材のニーズも拡大中です。
さらに、教育と福祉・医療・地域支援を掛け合わせた新たなサービスも登場し、キャリアの選択肢が広がっています。
単に「教える」だけでなく、学びをデザインし、人の成長を支える役割がますます重要になっており、時代の変化を前向きに捉える就活生にとっては、非常にやりがいのあるフィールドといえるでしょう。
まとめ
教育業界は、人の成長に関わるやりがいと社会的意義に満ちた業界です。
少子化やデジタル化といった時代の変化を背景に、新たなビジネスモデルや職種も多様化しています。自分の関心や価値観に合ったフィールドを見つけることが、納得のいく就活への第一歩です。
人を支える仕事に挑戦したい方は、ぜひ教育業界も選択肢の一つに加えてみてください。
人気大手企業就活ならビズリーチ・キャンパス！
ビズリーチ・キャンパスは三井物産、JR東日本、三井不動産、三井住友銀行、ソニー、NTTデータ、サントリーなど様々な業界の大手企業が利用しており、人気大手企業就活を目指す学生にとって必需品と言えるサービスです。
・誰もが知る人気大手企業から、特別座談会・選考免除・特別選考ルートなどのスカウトが届く
・人気大手企業によるビズリーチ・キャンパス限定のインターンシップ
・人気大手企業による各業界特化型の限定イベント
・難関企業内定者による就活対策講座を毎日開催
・先輩が『いつ・何をして・何に悩んだのか』を綴った就活体験記。就活全体像や時期別の悩みの具体的な解消方法がわかる
ぜひビズリーチ・キャンパスご活用し皆様にとって最適なキャリア選択を実現してください。