【プロフィール】
Mさん
京都大学・大学院理系
就職予定先:総合商社
参加したインターン:2社
OB/OG訪問人数:11名
ES提出企業数:4社
面接社数:4社
内定社数:4社
志望動機の伝え方と、面接で意識すべき心構え
―総合商社の面接について伺います。まず、志望動機はどのように伝えていましたか?
なぜ商社か、なぜその企業か。私はこの2段階に分けて答えていました。
まず、なぜ総合商社なのかという点です。私は、就活の軸として、「問題解決がしたい」ということを挙げていました。問題解決は、企業体が利益を生み出す主な原動力の一つであり、それは、どこの企業さんでも行なっている事だと思います。そんな中で、なぜ総合商社を志望したのか。それは「バリューチェーンの縦と横の広がり」という観点でした。
例えば、「環境に優しい乗り物を作る」となったときに、たくさんの事業を持つ総合商社であれば、自動車や船、飛行機など、様々な選択肢から選ぶことができます。燃料も多様です。これをバリューチェーンの横の広がりとしましょう。
そして、一旦電気自動車を作ることになったけれど、今のままでは値段が高すぎるという課題が見つかったとすると、今度はバリューチェーンの縦の広がりが生きてきます。車を作る現場や車の原料までバリューチェーンを遡ることができれば、いったいどの段階がネックとなって値段が高くなっているか、よりクリティカルに解決できる可能性が高くなりますよね。このようにダイナミックに「問題解決」できそうだと思ったので、総合商社を志望しました。このことは実際に、自分の経験の中で学んだことでもあります。
次に、なぜその企業かという点です。私は一つの会社を様々な視点から徹底的に観察しました。例えば、社訓が「笑顔で働く楽しい職場」なのに社員さんがゲッソリしていたら、それはその会社のどこかに歪みがある、と考えたわけです。なので、会社の中期経営計画や社訓といった「大きな情報」、合同説明会などのイベントのスライドから得られる「中ぐらいの情報」、OB・OGで得た一社員さんから得る「小さな情報」を総合的に集めました。私が志望した商社では、そのそれぞれに齟齬がなく、しかも、自分とフィットすると感じたんです。社風が自分の性格とフィットしていればいるほど働きやすいし私の能力を余すことなくアウトプットして貢献できると思いました。面接でもそのことを伝えていました。
―そのほかに面接で気をつけていたことはありますか?
面接では「私を採用することは、会社にも、私自身にも双方にメリットがありますよ」ということを伝えていました。面接を会社から査定を受けるプロセスだと思っている人が多いのではないでしょうか?私は面接とは商談の場だと考えています。つまり双方のマッチングであって、一方的に査定されて良し悪しを判断される場ではない、と。だから「私を採用することで御社にはこのようなメリットがあり、さらに私自身もこのようなメリットを見込んでいます」という2本立てで伝えるようにしていました。
自分が面接官だったら何を聞きたいかが重要なのではないでしょうか。杓子定規に同じことを言うのではなく、相手が聞きたいことを考えて話す。それは、脚色してしまうのではなく、自分の経験の伝え方の切り口を変えるということです。それだけで全然別の人物に見えるんですよ。例えばボランティア、勉強、部活で活躍するAさんがいるとして、会社によってどの姿を見せたら一番響くかは変わります。また同じボランティアの話であっても、奉仕の心を押し出すのがいいのか、組織が大きくなるよう数字で分析していって実績を出したという話がいいのかも会社によって異なります。だから会社が知りたがっている側面から自分を切り取って、一番美しい断面図が見えるようにする。フルーツにいろんな切り方があるのと一緒です。嘘偽りはないけれど、一番見栄えがいい姿を見せるように気を付けていました。
面接に向けて、会社が発する全情報をキャッチする
―どうやったらそれができるようになるのでしょうか?
その会社がどんなところなのか、社員さんがどんなことを知りたいのかを理解しておく必要があります。そのために会社を様々な視点から徹底的に観察するわけです。先ほどお話ししたように社訓や中期経営計画、イベント、OB訪問など、いろいろな情報レベルから情報収集をすれば良いと思います。こと、面接対策に関していえば、実際に面接をしてくださるのは社員さんなので、どんな方が社員として働いていらっしゃるかはよく観察しました。
そもそも、社員さんは入社時点で会社と合いそうだと判断された人だし、働かれる中で会社のカルチャーにもだんだん染まっていきますよね。なので、社員さんの姿こそがその会社が求めている人材像だと私は思います。社員さんこそが会社の鏡であり、社員さんこそが会社です。だから私がイベントなどで一番見ていたのは社員さんの目つきや雰囲気でした。
また、会社がどんな人を求めているかの大きなヒントはESにあります。ESの設問の問い方によって、会社が一番知りたいことがわかるんです。総合商社の中でも会社によって「人を巻き込んで何かをやった経験と一番自分が成長できたポイント」とか「うまくいかなかったことでもいいので頑張ったこと、その中でどういうプロセスで意思決定したか」と違いが見られます。前者は、入社後どんなふうに学びを重ねられるかを見ているはず。後者は、何かが起きた時どういう意思決定の仕方をするかを見ていますよね。これは大学入試における「過去問」の傾向の違いに近いと思います。
こんな風に、会社が発するもの全てが情報です。こういう見方をし始めると、同じ業界であっても、会社ごとに全く異なるカラーがあることがより鮮明に見えてくると思います。一方で、これは裏返しでもあります。すなわち、自分が発している全ての情報は、相手に読み取られる可能性があるということです。イベントに参加する際の身だしなみやコンディション、エントリーシートの些細な誤字脱字、提出する履歴書写真、イベント後アンケート提出状況など。もちろん、これが「選考に直結しているか」と言われればNOであると思いますが、こういう細かなところまで気を配れるよう努力していました。こうなってくると、ますます、たくさんの会社のイベントに参加するようなことは無理になってくるわけです。
本当に行きたい1社から内定をもらうために必要なのが、戦略
―最後に就活生に伝えたいことはありますか?
とにかく、戦略を立てることです。インターン100社行く人とか、内定コレクターの人とか、たまにいると思います。それはあくまでその人が選んだ戦略であり、全員が同じ戦略で挑む必要はありません。大切なのは就活のゴールを見誤らないことです。「どんなにたくさん内定を集めても、新卒としては一社にしか入れない」という事実は全ての人に平等な事実ではないでしょうか。私の場合、入りたい1社に向けてどういう戦略が必要かを丁寧に考えながら、このイベントは行く、これは行かないという意思決定をしていました。それが忙しい研究と両立できた要因だと思っています。
私は3月頭の時点で4社しかESを出してませんし、6月からの面接は2社しかありませんでした。「少なくて不安にならないの?」と友達に聞かれることもありました。恥ずかしながら、実際に、不安になる瞬間もありました。しかし、限られたソースの中成果を出すには、自分の戦略(=考え)を信じるしかありません。受験でも、就職活動でも、これからの仕事でも、100パーセントはないと思っています。そんな中でも、「勝率を上げる」ことはできると信じ、行動していきました。
最後に、私にとって就職活動は、自分の過去を見つめ直すとても良い機会でした。
現在のあなたはどのような人でしょうか?
それは、今までの、どんな経験に強く影響されているのでしょうか?
過去のあなたから、どれだけ成長したでしょうか?
私は、自分自身が「過去から現在」にかけてどう成長してきたかを辿ることで、「現在から未来」にかけて、自分がどのように成長していくかを思い描くことができると考えています。
採用というのは、近い未来、「新入社員」として仲間になってくれる人を探す場だと理解しています。それは、とても大きな責任が伴う重要な決断であり、面接官をしてくださっている社員さんも「本当にこの決断でいいのかな」と不安なんじゃないかな、と考えていました。面接では、「過去こんな経験をしてきたので、現在私はこういう人間です。そして未来、御社で活躍するときは、こういう成長曲線を描いてこんな人間になっていくと思います。」と時間の流れを追って説明し、面接官さんに安心していただけるよう努めていました。今の自分にどうにかできるのは、「現在」起こっていることのみです。その「現在」の積み重ねが「過去」となり、自分の「未来」への道しるべになると考えています。歩みは遅くてもいいから、毎日一歩ずつでも、自分なりに考えた「正しい方向」に進む、というのが、私の信念です。
―――お忙しい中ありがとうございます。具体的お話、大変参考になりました!
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