総合商社、外資コンサル、外資銀行、ベンチャー企業など、学生が憧れる企業に内定した先輩たちは、どのように就活を乗り越えたのか。リアルな就活体験には、みなさんがこれからぶつかる壁や役立つヒントが盛りだくさん。就活の悩みは、人それぞれ違う。多くの就活体験記を読めば、きっと似たような不安や失敗があるはずです。就活の手助けになること間違いなしの就活体験シリーズです。
※この記事は、個人の感想であり、業界・各社の事実と異なる可能性があります。
<プロフィール>
男性
京都大学
就職予定先:総合商社
参加したインターン:12社
(インターンES提出企業30社程度→インターン面接受験企業20社程度)
OB/OG訪問人数:5名
ES提出企業数:25社
本選考の面接社数:日系大手3社、他2社
内定社数:10社
(インターン経由→6社、日系大手3社、他1社)
志望業界だけでなく、幅広い業界を見据えて就活をスタート
―まずは、就活を始めた時期ときっかけを教えてください。
3回生の5、6月くらいに、夏インターンを見据えて就活をスタートしました。この時期に開始したのは、先輩がゴールデンウィーク明けからスタートしていたのを見ていたからです。
―就活スタート時に志望していた業界はありましたか?
もともと出版業界や新聞業界を志望していました。本が好きで、小学生時代からずっとテレビを観るより小説を読む方が多かったです。小説家になることも考えましたが、早くから編集者になりたいと考えるようになりました。
ただ、出版や新聞業界って、夏インターンはあまりやっていないんです。だから業界は幅広くみて、早期に内定が出る企業も含めて就活を進めました。具体的には、各業界に1社ずつはインターンに応募していましたね。待遇や人生設計のしやすさを考えて選んでいました。夏インターンは10社くらいに応募して、通ったのは半分くらいでした。
―夏インターンの選考で良かった点や改善点はありましたか?
夏インターンにしては受け答えがうまくできたのは良かったと思います。一方で、幅広い業界をみていた分、志望動機や自己PRが定まっていなかったのは良くなかったかな、と。苦手だと思ったのは、自己分析。他の人と比べて、自己分析があまり出来てないと感じました。あと、夏インターンを経てコンサル業界に対する志望度が上がったり、やはり出版業界に入りたいという思いを確認できたのも良かったです。
戦略的に、そして多くの人と一緒に進めた秋以降の対策
―秋以降、就活をどのように進めたのでしょうか?
まず、出版業界は筆記試験やESがとても難しいので、念入りに準備を進めました。また、興味を抱いたコンサル業界も倍率が高いことがわかっていたので、併せてIT業界も志望することを決断。出版業界の選考を受ける頃には、コンサルやITで内定をもらっている状態を目指して就活していましたね。
―とても戦略的ですね!就活に関する情報収集はどうしていましたか?
様々なツールを目的によって使い分けていました。業界や企業への理解を深めたり、夏インターンの選考対策を進めたりと、それぞれの用途にあったツールを選択。就活終盤ではOB訪問のためにビズリーチも使いました。OB訪問をしたのは年が明けた3月くらいから。日系大手企業も受けると決めてから、総合商社数社やメーカーにもOB訪問していました。
―夏インターンで課題だった自己分析はどのように進めましたか?
私のやり方は、ちょっと特殊かもしれません。というのも、9月頃に自分の大学の就活支援団体の運営を引き継ぐことに。団体には、30〜40人ほどの就活を終えた先輩や、就活を順調に進める同期がいたんです。だから頼りになる人に相談して自己分析や面接の手伝いをしてもらっていました。具体的には、悩みを相談し、会話の中で自分の考えをアウトプットして、それを家に帰ってしっかり整理することを繰り返しました。
―就活のコミュニティの中で対策を進めていたんですね。新たな気づきはありましたか?
自分で気づけなかったことが多かったですね。特に自分の本当の強みは、自分ではなかなか気づけないと思うんです。なぜなら、強みというのは自分が当たり前のようにできていることだから。それは他者との対話を通してしか気がつけないかな、と。ちなみに私の強みは、「言うべきことや実行すべきことを躊躇せずにできること」とよく言われました。例えば、外部から持ち込まれた企画のイベントにメンバー全員が乗り気じゃないようなとき、「そもそもこのイベントってやる必要あるの?」と言えるとか。そういう普段の様子を見て、これが強みだと伝えてくれたのだと思います。
―他にも、悩んでいた志望動機はどのように深めていったのでしょうか?
出版業界では、シンプルに本が好きだと言うことを伝えていました。また、出版業界は斜陽産業だと言われるけれど、解決するためには新しいプラットフォームを作ることが必要だと思い、ITコンサルも出版社も受けている、と話していました。
一方で総合商社は自分の気持ちを正直に伝えていました。それほどやりたいことがあるわけではないものの、幅広い世界に触れて生涯やりたいことを見つけたく、人間的魅力も感じるから志望すると話していましたね。
内定が出た中で志望動機を詳しく聞かれたのは総合商社やメーカーくらいでした。高校時代に、国のために何かしたいという気持ちもあって官僚を志望していたことがあったくらいなので、総合商社やメーカーも志望する理由は十分ありましたね。
高倍率の出版業界へ、じっくり準備して挑むも失敗
―出版業界の選考対策で取り組んでいたのはどんなことですか?
やはり難関のESと筆記試験です。ESでは、本に対する深い愛に加えて洞察力や知識が要求されます。さらに、本を使った斬新なビジネスプランなど、多面的に問われる。だから、友達に添削してもらいながら1ヶ月かけてじっくり対策しました。ESの設問には「最近面白くなかった本は何か」とか「ある本を全力で褒めちぎってください」といったものがあります。普段からよく本を読む中でふわっとした答えはありましたが、きちんと深掘りして文章化。筆記試験は、企業によって異なりますが、本に関するすごくディープな知識が問われたりもします。筆記で落ちたくはなかったので、重点的に対策しました。
―しかし最終的には、厳しい結果が待っていたとか…
私は、いわゆる三大出版社や総合出版社に絞って志望していたので、面接まで進んだ企業もあったものの結局内定はもらえませんでした。ダメだった要因としては、2つあると思っています。1つは、本への愛の深さです。出版社に内定する人の本への愛の深さって、尋常じゃないんですよ。でも、私は、本は生活の中心とまでは言えなかった。複数ある大切なものの1つという感じでした。そしてもう1つは、出版業界に求められる能力は柔軟な発想で、ときには論理的に正しくないことも大事だということ。いわば、「正しい」ではなく「面白い」を追求することが大事なのかなと。私は割とロジカルで、失敗を避けて正解を選びに行くような人間だったので、合わなかったのかもしれません。だから、就活を進める中で、出版社で高いパフォーマンスを上げることは厳しいかもなと考えるようになっていました。
(後編)第一志望だけじゃない!自分の可能性を広げる就活戦略
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