東京地下鉄とは
東京地下鉄(愛称:東京メトロ)は、東京都23区とその付近で地下鉄を経営する鉄道会社です。東京の地下鉄路線のうち、銀座線などの9路線を運営しています。どれも超都心エリアを含む、利用者の多い地下鉄です。
本社の所在地は東京都台東区東上野で、 従業員数は9,573人(平成30年3月31日現在)です。株主は政府(53.4%)、東京都(46.6%)となります。
1927年(昭和2年)に東京地下鉄道として、 銀座線(12月30日)開業。その後は1941年(昭和16年) 帝都高速度交通営団となり、日本政府と東京都が出資する特殊法人という位置付けでしたが、民営化に向けて2004年(平成16年)4月1日に東京地下鉄株式会社となりました。今後は株式を上場して、完全民営化を目指すとしています。
東京地下鉄 企業概要
東京地下鉄の企業概要と、過去3年間の売上/利益推移などをまとめました。
事業内容
東京地下鉄の事業内容は以下の2つです。
旅客鉄道事業の運営
地下鉄(東京メトロ)の運営業務を指します。観光や行楽というよりは、主に日々の通勤通学に使われるため、景気の影響を受けにくく、乗車率がとても高いです。
関連事業の運営
- 流通事業(駅構内店舗、商業施設の運営等)
- 不動産事業(オフィスビルの賃貸等)
- 情報通信事業(光ファイバーケーブルの賃貸等)
流通事業は地下鉄に付随した駅ナカ・駅ビル・テナントなど、店舗や商業施設などに関わる業務です。EchikaやMetro piaという店舗名称で地下鉄エリアで展開しています。
しかし地下鉄の特性上、地上駅に比較すると駅ナカテナントなどを大きく作ることが難しいためか、東日本旅客鉄道(JR東日本)のグループ企業が開発運営しているのエキュート(ecute)などほど大きく展開していません。Echikaは現在、表参道と池袋にあります。
不動産事業は、沿線を中心にオフィスビル・ホテル・住宅・ゴルフ練習場などを展開しています。
情報通信事業は駅構内の広告なども含まれます。
過去3年間の売上/利益推移
これからは東京地下鉄の、過去3年間の売上と利益推移をみていきます。データは下記のサイトを参照しましたが、営業利益率は計算した後で、端数を切り捨てしています。
(単位/億) | 2016年度 | 2017年度 | 2018年度 |
売上 | 4,082 | 4,154 | 4,258 |
営業利益 | 1,014 | 1,010 | 971 |
当期利益 | 576 | 622 | 603 |
営業利益率 | 14% | 15% | 14% |
この3年間、売上が増えています。鉄道業界全体が、2011年の東日本大震災直後は大きく落ち込みましたが、以後順調に回復&成長を続けています。しかし2016年をピークにインバウンド需要(訪日外国人の消費)で一人あたりの消費額が減り始めているとの研究もあります。
鉄道業界全体を通じて、鉄道事業は比較的利益が高く、不動産や駅テナントなどの付帯事業は低くなっています。
次年度の戦略
東京メトロ公式ホームページでは、中期経営計画『東京メトロプラン2018~「安心の提供」と「成長への挑戦」~』を掲載しています。2016年度から2018年度までの3年間については、「安心の提供」と「成長への挑戦」をキーワードとし、各種施策に積極的に取り組む期間としています。
キーワード1「安心の提供」
「安心」とは、たゆみなき「安全」の追求と、お客様視点に立った質の高い「サービス」の提供の双方がそろって初めてお客様に提供できるものであると考えます。「安心=安全+サービス」の考えのもと、「世界トップレベルの安心」を世界中から集う全てのお客様にお届けしたいと考えます。
キーワード2「成長への挑戦」
「安心の提供」を大前提とした上で、新たな価値を生み出す取組みの全てを「成長」と位置づけ、積極果敢に挑んでいきます。
として、各種施策に取り組んでいることを周知しています。
また、鉄道業界全体が2020年の東京オリンピックに向けて、新設備の導入や安全性の向上などに取り組んでいます。東京地下鉄は比較的観光色の薄い鉄道ですが、東京オリンピックについては大きな影響が見込まれており、2018年も新型車両の導入などが積極的に進められています。
2018年の東京地下鉄に関するトピックス
東京地下鉄(東京メトロ)に関する企業ニュースをいくつかピックアップしました。
地下鉄駅構内でAI会話ロボが音声案内〜乗換え案内など日本語で、東京メトロとNTTが実証実験〜
東京メトロの新橋駅の定期券売り場内に、同AIとコミュニケーションロボ「Sota」を設置し、旅客の発話による問い合わせを、音声による会話形式で回答します。
対応分野は、トイレやコインロッカー、ATMなどの駅構内の設備案内や、銀座線改札口への案内、目的地などへの乗換案内の3つ。ディスプレイを活用して地図を表示することで、音声とともにより分かりやすい案内を行なう狙いです。実証実験の期間は、2018年7月30日~8月8日まで。
トンネル点検にAI、東京メトロが土木を“スマート化”
東京メトロは、9路線195.1キロの地下鉄を運営。1日の利用者は724万人に上るといわれます。路線の約85%はトンネルで、約140人の土木担当者が日々の点検を実施。日常的に検査と補修をしながら、必要に応じて大規模な修繕をしています。
10年前は、作業員がトンネルの中を歩き、1メートル間隔で検査内容を紙に記録。それを基に、事務所のPCで検査内容をExcelに入力するといった、途方もない作業をしていたといわれます。これらを効率化するため、まずはiPadやクラウドサービスを使ったIT化を進めてきました。
東京圏での混雑率180%超の路線が11路線に減少 国交省調べ
国土交通省が実施した都市鉄道の混雑率調査で、東京圏での混雑率180%超の路線が12路線から11路線へ減少したことが明らかになりました。調査は、通勤通学時間帯の鉄道の混雑状況を把握するため、毎年度実施しています。
目標混雑率180%を超えている11路線のうち一位が東京地下鉄の東西線199%。続いてJR東日本京浜東北線が186%、JR東日本総武緩行線が197%、JR東日本埼京線が185%…と続いています。
東京メトロ銀座線 ホームの発車案内に「あと○分」表示を導入
東京メトロは銀座線の駅のホームに新しい発車案内装置を導入。列車がやってくるまでの「残り時間」を案内するようになりました。8月中に浅草以外の全駅に導入へ。海外の地下鉄では残り時間による案内が一般的で、中国や台湾などの地下鉄では、秒単位で残り時間を表示する案内装置も見られます。
東京メトロの「駅構内ワークスペース」好調、事業化を検討
東京地下鉄(東京メトロ)と富士ゼロックスが6月1日から共同で実施している、都内の駅構内で簡易ワークスペースを運営する実証実験が好調です。
室内に机・椅子・液晶モニター・Wi-Fiを備えたブースを、南北線の溜池山王駅と千代田線の北千住駅に設置した結果、30~40代のビジネスパーソンがテレワーク環境として利用するケースが相次いだとのことです。
好評を受けて両社は、当初は9月10日で終了予定だった実験を12月28日まで延長することを決定。9月26日現在で累計登録者数は約1000人に達しており、今後の動向を踏まえて事業化を検討する方針です。
鉄道業界の動向
東京地下鉄を含めた、鉄道業界全体の動向をまとめました。鉄道業界は交通インフラの一つであり、業績が大きく変動することや需要がゼロになる可能性は少なく、安定した業界といえるでしょう。
しかし、だからこそ「鉄道業界の中でなぜ東京地下鉄を選んだか」「東京地下鉄の魅力は自分にとってなにか」を考え抜いた上で選考に望まなければ、高い競争率を勝ち抜くことは難しいと思われます。
鉄道業界の業績推移
2011年の東日本大震災で、関東以北の鉄道だけでなく、一時は日本全国の鉄道や観光業が大きく落ち込みました。しかし、現在に至るまで着実に回復し、訪日外国人観光客向け需要などで成長してきました。
鉄道業界もこれまで安定した成長を続けてきましたが、今後は、人口の減少により、規模の縮小も見込まれています。都心部での通勤・通学が主の東京地下鉄も、人口減少の影響を免れることはできない見通しです。
ICカード・電子マネー分野
地下鉄の運営以外で注目されているのは、ICカード・電子マネーの分野です。東京地下鉄では『PASMO』のサービス提供以降、この分野に注力しています。PASMOは大手鉄道事業者9社の共同出資により、パスネット・バスICカード株式会社として設立された株式会社パスモが発行しています。
2007年3月からの首都圏ICカード相互利用サービスによって、PASMOはJRのSUICAと相互に利用することができます。鉄道分野でのICカードは非常に大きく認知されており、これまで電子マネーを使わなかった層に一気に普及しました。
【鉄道における交通系ICカードの導入状況について・平成25年3月末現在】
全国の導入事業者 ・・・・・・・・ 78事業者
全国の利用可能な駅 ・・・・・・ 約5000駅
ICカードの種類 ・・・・・・・・・・・ 25種類
ICカードの発行枚数合計 ・・・ 約8700万枚
東京地下鉄へOB訪問に行く前に準備すべき3つの項目
東京地下鉄は現在、OB・OG訪問を公式サイトからは受け付けていません。幸運にもOB・OGに直接お話ができる機会があるのであれば、万全の準備をして失礼のないようにしましょう。
東京メトロに乗ってみる
東京地下鉄を志望する人で、地下鉄をまったく利用したことがない…という方は少ないと思います。しかし、一歩進んだ目線で、サービスのことを考えながら地下鉄や商業施設を利用してみて、その感想をまとめておきましょう。
一般に鉄道業界の就職活動では過度の鉄道好き・マニアのアピールは敬遠されると言われますが、サービスの研究や、サービス自体を好きになることは就職活動の大前提です。
特に日々の通学やアルバイトなどで地下鉄を利用している人ほど、「地下鉄の業務」を再認識する機会を持ちましょう。いつもと違うルートや時間帯に乗ってみるのも良いでしょう。
中期経営計画を読んでおく
前述の「東京メトロプラン2018」のサイトに目を通し、pdf形式で提供されているドキュメントを読んでおきましょう。特にpdfはカラーで中期経営計画がわかりやすくまとまっているため、どの職種希望の人も必ず一読しておきましょう。
また、実際の取組みである
- ホームドア整備
- 新型車両導入
- 各線の輸送改善
などが、どういった必要があって、どのような設備投資額で行われていく予定なのかを確認しましょう。それらが、自分の志望している職種などにどのように関わるのかを考えてみましょう。
志望職種をある程度決めておく・対象サイトを確認する
東京地下鉄では、採用時に大きく「総合職」「エキスパート職」として分けられています。選考ステップも、求められる人物像も異なる事が予想されます。
東京地下鉄新卒リクルートサイトでは、共通の入り口と、総合職・エキスパート職それぞれのサイトが用意されています。自分の希望の職だけでなく、両方に目を通してその違いなどを把握しておきましょう。
OB/OGへの質問を準備
実際の質問例と、その質問の目的をまとめました。質問を事前に準備すること・その質問の意図を明確に知っておくことで、短時間でもより意義のある訪問にすることが可能です。忙しい社会人のOB/OGにも、「時間を割いて会ってよかった」と感じていただけるように、準備は怠りなくしておきましょう。
業務を知る
- 仕事内容と、そのやり甲斐は何ですか?
- これまでに仕事で辛かったことはありますか?
東京地下鉄では、駅業務などによっては深夜・早朝の時間帯に対応をしたり、泊り勤務などが必要となることがあります。実際に働く人の体験を聞くことで、自分の適性や希望との合致度を考えることができます。東京地下鉄で働く自分の姿を具体的にイメージする助けになるでしょう。
また、東京地下鉄は応募時の併願に制限があります。下記の2つの併願ができないため、それぞれの職種の業務の違い・キャリアパスの違いを考えて慎重に選択が必要です。
1.総合職事務系と総合職技術系の併願
2.エキスパート職運輸職種とエキスパート職技術職種の併願
選考に役立てる
東京地下鉄はOB・OG訪問の有無は関係無しと公式ホームページでは明記されています。そのため、あくまでも参考程度となりますが、面接時の質問の予測などをしておくと役立ちます。
- 面接時にどのような質問をされましたか?
- 東京地下鉄を志望された理由はなんでしょうか?
- どのような資格を持っているとアピールになるでしょうか?
鉄道会社は特に「なぜ東京地下鉄を選んだか」「自分のどこがこの会社で力を発揮できると思ったか」という自己分析や会社研究を重視されます。OB/OGの先輩の志望理由などを参考に、さらに深めて行きましょう。
東京地下鉄に就職したいあなたへ
東京地下鉄は、政府と東京都が株主の特殊な企業で、業務の内容も公益性が高く、一般的な営利企業とはやや異なる組織でもあります。
漠然と「鉄道が好きだから」「都心が営業エリアだから」という安易な理由で東京地下鉄を選択したのであれば、厳しい結果になるのではないでしょうか。
1995年の地下鉄サリン事件では(当時は帝都高速度交通営団)丸ノ内線・日比谷線・千代田線の乗客および乗員・駅員が大きな被害を受けました。時にテロの対象ともなる地下鉄という交通インフラで働くという意味と意義を、OB/OGの先輩方から学びましょう。
学生の皆さんのキャリア選択を応援します!
ビズリーチ・キャンパスでは、早期から将来を意識し、キャリア選択に前向きな学生の皆さんを応援します!
対策や企業研究よりも前にやるべきことがある…それは「どんな生き方をしたいか?」を考えること。その方法はネットで検索することでも、内定者の先輩に聞くことでもありません。実際に働く社会人の先輩たちに聞くことです。