【農林中央金庫の関連記事はこちら】
▶「農林中央金庫トークセッション ~農林中央金庫のダイバーシティな働き方~」
https://br-campus.jp/articles/report/1124
▶「農林中央金庫トークセッション ~ダイバーシティ推進とキャリア・働き方について~」
https://br-campus.jp/articles/report/1080
●農林中央金庫とは
農林中央金庫は、「農林中央金庫法」という独自の法律に基づいて運営されている、唯一無二の民間金融機関です。
2025年に創立101年目の年度を迎える長い歴史を持ち、第一次産業や地域社会のために利益を追求していく”社会貢献性の高い事業”にひたむきに向き合っていく組織風土を持っています。
JA(農業協同組合)グループの一員として銀行部門を担当しており、日本の第一次産業のための金融機関・銀行として「金融業務を通じて農林水産業の発展に貢献する」という命題を掲げた企業活動を行っています。
●農林中央金庫のダイバーシティへの取り組み
農林中央金庫は、様々な社会的状況変化に対応し、より持続可能な組織としていくための「多様性」を重視し、多様な人材が活躍できる環境づくりに取り組んでいます。
人口構造などの変化により、2000年代以降に「男女共に活躍し、短時間で効率よく多様性に満ちた組織」が成長を遂げてきている背景を踏まえ、ダイバーシティ推進の体制を構築してきました。
人事部内にダイバーシティ推進グループを新たに設置しているほか、2022年度から3年をかけて下記の目標を掲げ、いずれの項目も達成しています。
・男性育休取得率100% ・働き方改革を促進する各種施策の導入と定着に向けた取り組み ・総合職新卒採用の女性割合40%目途
ほかにも、2023年以降には多様な働き方に向けて人事制度を大きく見直し、多様な働き方が可能な環境も実現。 転勤の本人選択制、配偶者転勤休業制度、退職者の再エントリー制度や副業の後押しなど、働く従業員それぞれの価値観やライフスタイルに応じた「柔軟なキャリア構築」が可能な各種制度を拡充してきました。
また、ライフイベントと仕事の両立を支援する制度も続々と導入。 半日から一日単位での育休休暇のほか、時間単位で取得可能な有給制度、テレワークやコアタイムなしのフレックスタイム制度なども積極的に導入し、「働きやすく働きがいのある職場作り」を目指しています。
●パネルトーク
農林中央金庫「ダイバーシティトークセッション」
【登壇者プロフィール】
■佐藤 志織(2017年入庫)
2017年入庫、8年目の職員。1年目に富山支店配属になり森林系統の業務に従事。2020年に農中信託銀行に出向し、投資・リテール領域の事業に携わる。2023年からは資金為替部で、対顧客向けの為替推進など投資関連業務で活躍している。
■志鎌 潤(2015年入庫)
2015年入庫、10年目の職員。1年目は外為業務管理部に所属し外為事務業務に従事。3年目に福岡支店に異動し畜産融資、6年目に食農金融部に異動し水産融資関連業務に携わり2020年に結婚。2023年からはリスク総括部にて環境社会リスク管理業務で活躍している。2児の父として2度の育児休暇取得を経験。
■鈴木 遥(2012年入庫)
2012年入庫の職員。1年目は営業第二部で法人融資に従事。2015年に支店トレーニー制度でシンガポール支店に渡り同じく法人融資を担当。その後結婚、配偶者の海外転勤に伴い2017年に退職した後、2022年に退職者エントリー制度でIT総括部に復職。2児の母として子育てと仕事の両立を実現している。
【パネルトーク】
司会者:
農林中央金庫のダイバーシティな働き方や働きがい、皆様の今後のキャリア観などについてお聞きしていきましょう。
【トークテーマ①農林中央金庫の社会的役割と働きがい】
司会者:
まずは「農林中央金庫の社会的役割と働きがい」についてお聞きします。現場職員の皆様のリアルなご意見を聞いていきましょう。皆様、支店勤務のご経験中はどのような職務に就かれていたのですか?
志鎌(2015年入庫):
福岡支店では、畜産農家向けに資金貸し出しを行う畜産業融資のほか、農家の経営改善サポートや販路探しなどの業務を担当していました。
佐藤(2017年入庫):
富山支店では、新潟・富山・石川・福井の北陸4県域を担当し、主に森林組合のサポート業務を行っていました。森林組合というのは、地域の農業をサポートする組織が農協だとしたら、その森林・林業バージョンのような組織と思っていただけたら。
鈴木(2012年入庫):
シンガポール支店では、法人融資に特化した業務が中心でしたね。日系企業の現地法人に対して融資を行うほか、本店から出張に来る職員のアテンド対応やサポートなど、細かな業務にも携わっていました。
司会者:
支店勤務をご経験されていく中で、キャリア面でのやりがいやギャップに感じていたことはありますか?
志鎌(2015年入庫):
やりがい面では、仕事を通じて様々な産業を支えていることを実感できるところですね。資金面だけでなく経営全体のサポートに携われるところは、農林中央金庫ならではと思います。例えば、資金サポート中のお客様に、情報のアナログ管理をデジタル化して「見える化」するご提案をし、業務効率化の実現ができたことがあります。経営領域へのご提案やサポートまで包括的に携われる経験はなかなかできないので、大きなやりがいです。良い意味でのギャップでは、思っていたより生産現場のお客様と距離が近く仕事ができるというところでしょうか。物理的にも業務内容的にも、支店に来るまでの想像を超えてお客様と近い距離で仕事ができました。
佐藤(2017年入庫):
ギャップでいうと、入庫当初は「森林・林業分野」がなかなかイメージしにくかったですね。ただ、お客様と近い距離感で仕事を進めていく中で、日本の農林水産業を担う現場を自分たちが支援できていることを徐々に実感することができるようになっていきました。また、日本の第一次産業の盛り上げに貢献できていることは大きなやりがいでしたね。例えば、国産材の利用拡大支援の一環として、地元の木材(県産材)を地場の製材所で加工し、本棚やベンチ、遊具等の木製品として地域の公共施設に寄贈する活動に従事していました。地域の木材のぬくもりや温かさを地元の方々に体感いただいている様子を自身の目で見ることは、大きな達成感がありました。
鈴木(2012年入庫):
私はお二人とは少々異なり、直接的に第一次産業に関わる業務ではありませんでした。ただ、農林中央金庫ではどんな業務に携わっていても、そこで上げる収益は第一次産業に還元されていく形になっているんです。そのため、どんな仕事に関わっていても第一次産業を支援していることを実感できる点は、大きなやりがいですね。また、ライフステージに沿ったキャリアの選択肢も進行形で増えてきています。私は配偶者の転勤に伴い退職して渡英しましたが、今では休職して配偶者の転勤についていける制度もあります。そのため、男性も女性も一人ひとりがよりキャリア構築しやすい組織体制になってきているなと思っています。
【トークテーマ②農林中央金庫のダイバーシティ】
司会者:
皆様それぞれ、様々なやりがいを感じつつキャリアを歩まれているのですね。そんな中で「農林中央金庫のダイバーシティ」を感じる瞬間などについてお聞きしていきましょう。ライフステージの進み方で仕事観や働き方への意識の変化などはございましたか?
志鎌(2015年入庫):
正直、子供が生まれる前までは出社一辺倒で仕事に励んできました。2022年に第一子を授かりまして、そこからはテレワークや時間休などの制度を活用するようになりましたね。育休も、第一子第二子どちらの折にも取得させていただきました。今となっては男性育休も当然のようになってきましたが、最初は正直悩みましたね。ただ、職場の上司や同僚に理解があり、育休取得を後押ししてくれる文化があったのでそこは非常に助けられました。振り返ってみると、二度の育休は取得できて本当に良かったと思っています。
鈴木(2012年入庫):
配偶者の転勤に帯同するため、一度退職することへの不安は大きかったです。仕事にはやりがいも楽しさも感じていましたし、続けていきたいという気持ちは強かったので。退職者エントリー制度で本当に復帰できるのかという不安もありました。この制度を使ったのは私が初めてだったので、当時は経験者に相談などもできずで。ただ、人生は長いので、何者でもない状態になって海外で生活できる経験も貴重だなと思い。5年に及ぶ長期間でしたが、ボランティア活動などで社会とのつながりは持っていたので、新しい発見も多くすることができました。農林中央金庫に戻った時は、新しい制度など色々とポジティブな変化が起きているなと感じましたね。
佐藤(2017年入庫):
私は現在3部門を経験していて、それぞれ3年程度で異動しておりますが、その度に転職したかと錯覚するほどに業務内容が変わっています。これまで、幸いながら全ての仕事において楽しみつつ挑戦させていただいていますが、自分にどのような適性があって得意領域がどこなのかについては、まだ悩んでいます。そのような中でも、組織風土として穏やかな人が多く、一人ひとりが置かれてる背景に理解を示して接してくださるので、よい風土だなと感じますね。また、それぞれの現場で先輩たちがOJTのような形で仕事を教えてくださるので、周りの方々には本当に支えられているなと思っています。
司会者:
キャリア構築に悩みつつも3部門ご経験され、理解ある周囲の行員に支えられてらっしゃると。志鎌さんや鈴木さんは複数部門ご経験されていますが、その辺りはいかがでしょう?
志鎌(2015年入庫):
私もどの領域が自分に合っているのかは悩んでいますね。ただキャリアを通じて2つ軸があると思っていて、まずは福岡支店と食農金融部時代の第一次産業向け融資。お客様と密なコミュニケションをとりつつ仕事が進められて居心地の良さを感じました。もう一つは今従事しているリスク統括部。サステナブル経営に関係する業務で、まさにホットトピックスというか時代の潮流に乗っている感があり刺激的で面白いのです。この2軸は離れていますが、第一次産業への貢献に繋がるという根っこの部分は同じなので、そういう違ったアプローチから一つの目標に向かっていけるところは農林中央金庫ならではと思います。
鈴木(2012年入庫):
私も皆さんと同じくキャリア構築には悩んでいますね。法人営業や融資投資のように明確に数字で実績が表せられる仕事ももちろん楽しいのですが、DX人材育成も効果を数値化しづらいながらもやりがいが多いので。志鎌さんのサステナブル経営に関する業務と同じく、答えがなく先も見えない中で「どのように人材育成すれば組織が
より良くなるか」を模索している最中なんです。ただ、キャリアを進めていく中で、変化していくライフステージに合わせて柔軟な働き方や制度が選べるので、悩むものの根幹の部分では安心している側面もありますね。様々な制度を活用しつつ、自身のキャリアと向き合っていければと思います。
【トークテーマ③今後の展望】
司会者:
色々なご経験されるがゆえに、やりたいことや興味も広がっていくと。悩みつつもキャリア構築をしていく中で、多様な働き方の選択やライフステージの変化等々もありますが、今後の展望というところは皆様いかがでしょうか?
佐藤(2017年入庫):
まずは、現在従事している投資業務に特化していきたいです。外国為替は金額スケールも大きく、コンマ何秒で変動するスピード感もあり、非常にやりがいがあります。一方で、長期目線では部門同士の連携を強化していくことに興味がありますね。具体的には、投資部門に軸を置きつつ、部門横断で仕事をしていきたいと思っています。色々な部署を経験して思うのですが、組織風土は一貫しているものの、良くも悪くも部門ごとに独立し過ぎていると感じることがあります。他方で、部門の独立は強みでもあり弱みでもあると思うので、弱みになっている部分については連携を強化して補っていければと思っています。そのため、今までの経験を活かしつつ、自分の軸や想いがブレないように、今後のキャリアを考えていきたいと思います。
志鎌(2015年入庫):
引き続き、現在担当しているサステナブル経営に携わっていきたいです。今はリスク管理メインですが、ゆくゆくはサステナブルファイナンスや全社経営で戦略を考えるような領域にも関わっていきたいと思っています。実は今、業務後と休日に大学に通ってサステナブルファイナンスについて学んでいるんです。関係部署内で手上げして派遣していただいています。サステナブルファイナンスは知識や概念が学びにくいジャンルなのですが、この経験で学んだことやできた人脈を今後のキャリアで活かしていきたいですね。
鈴木(2012年入庫):
佐藤さんのご意見に近いですが、私も部署間の橋渡しができる人材になっていきたいと思っています。営業とITの経験があるので、そのどちらも活かしていけるキャリアを築けたらよいなと。例えば、何かシステムを導入したいときなど、ITだけの知見だと現場が求めていることへの理解が乏しかったり、ビジネスサイドだけだとベンダーの言われるがままになってしまったりしますよね。現に「ちょっと使いにくいな…」というシステムの背景を聞いてみると、各部門との連携不足が原因だったりすることもあるようなので、そういう部分を改善していける人材になっていければと思っています。
司会者:
皆様くらいの勤続年数の方でもキャリアに関しては見えない部分も多く、まだまだ悩まれるということなのですね。一方で、就活中の学生さんの多くは「キャリアパスを決めて就活に挑まなければいけない」と感じている方が多いという印象を受けるんですね。そういった、これから農林中央金庫への入庫を目指す就活生の皆さんに対し、どういう気持ちで就活を進めると成長できたり幸せなキャリアが築けたりすると思いますか?最後に就活生へのメッセージも込めてお願いします。
志鎌(2015年入庫):
仕事内容に関していえば、入庫してから皆さんの適性に応じた幅広い業務があるので、正直「入ってから決める」ということでも全然ありだと思います。ただ一点、どんな仕事でも「第一次産業へ貢献したい」というマインドは持っていた方がいいと思っています。アプローチや手段には固執しなくてもいいですが、そこだけは必要だと思います。
佐藤(2017年入庫):
「仕事の向き/不向きについての正解は分からない」というのが正直な感想です。仕事をしていれば良いことも悪いこともあるので、「絶対に自分はこの仕事に向いている」と期待して仕事をするとギャップがあったときのショックが大きいです。むしろ「この仕事向いてないのかなー」くらいのマインドだと、ちょっとした成果も大きな喜びにつながって、結果として大きな実績につながることもあります。加えて、一生懸命に目の前の仕事と向き合って取り組んでいると、知らないうちにうまく回せるようになっていたりします。その意味で、「向き/不向き」の二択で考えるのではなく、間を意識して「入ってみてから考える」というのも全然ありです。そして真摯に目の前の仕事と向き合っていれば、自ずとキャリアも見えてくるし仕事も楽しくなると思いますよ。
鈴木(2012年入庫):
就活の段階ですでにやりたいことやキャリア観が決められていたら、それは素晴らしいことだと思います。ただ、実際に仕事を始めてみるとイメージと違ったりすることはよくあることなので、就活中はガチガチに決め過ぎなくても大丈夫だと思います。どんな業務であっても、目の前の仕事と誠実に向き合えば必ず良い経験になります。仮に最初にちょっとイメージと違ったスタートになっても、社会人人生は長いのでどこかで希望が叶う可能性も十分あります。「目の前の仕事に真摯に向き合う」というマインドがあれば、何歳でも成長していけるし理想のキャリア観が見えてくると思います。
司会者:
ありがとうございました!
取材 / 文章:たすく(Webライター)