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企業研究

農林中央金庫トークセッション ~ダイバーシティ推進とキャリア・働き方について~

ビズリーチキャンパス特別セミナー『農林中央金庫トークセッション』が開催されました。 会社紹介やダイバーシティ推進施策の紹介をはじめ、ダイバーシティ推進担当の女性役員と女性支店長が自身の経験を交えながら「農林中央金庫のキャリアや働き方」について語る充実のアジェンダ。 農林中央金庫におけるキャリアやライフイベントのあり方には、どのようなリアルがあるのでしょうか。就職活動中の学生にとって必見の内容となりました。

●農林中央金庫とは
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農林中央金庫は、「わが国の農林水産業の発展に貢献する」という公益性の高い使命を持つ、唯一無二の民間金融機関です。

JAバンク・JFマリンバンク・JForestグループの全国機関として、また、農林水産業のメインバンクとして、日本の第一次産業、ひいては日本の食とくらしを支えています。

●農林中央金庫のビジネス
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農林中央金庫は、「第一産業のための金融機関・銀行」という立ち位置で、大きく次の3つのビジネスを展開しています。
・リテール
・投資
・食農
JA(農業協同組合)と「JAバンク」を運営し、全国の会員に金融サービスを届け、預り金を運用し収益還元を行い、融資を通じて国内の食農を支える。この3つのビジネスを軸に企業活動を展開しています。

連結総資産額ではゆうちょ銀行やメガバンクに次ぐ規模感を誇り、かつ従業員数はメガバンクの10分の1程度と少数精鋭である点も大きな特徴です。
一人ひとりの職員が裁量と責任を持って、日々の業務に取り組んでおります。

●農林中央金庫「ダイバーシティ推進施策」の紹介
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農林中央金庫は、様々な社会的状況変化に対応し、より持続可能な組織としていくための「多様性」を重視し、多様な人材が活躍できる環境づくりに取り組んでいます。

中でも、2022年は「ダイバーシティ元年」と位置付けて取り組みを進めており、全職員の活躍の推進等に関して具体的な行動計画を定めて公表しています。2022~2024年の行動計画として、次の3つを定めました。
・男性育休取得率100%
・働き方改革を促進する各種施策の導入と定着に向けた取り組み
・総合職新卒採用の女性割合40%目途
これらの観点より、行動計画を定め、様々な取り組みを実施しています。

また、そのための体制作りにも注力しています。
2021年11月にはチーフ・ダイバーシティ・オフィサーを新たに配置。
2022年4月には人事部内にダイバーシティ推進グループを設置し、サスティナブル経営室と連携しながら各種取り組みを推進しています。

●パネルトーク「女性として働くこと~ダイバーシティ推進とこれからについて~」
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【登壇者プロフィール】
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■内海智江(2000年中途入庫)

1990年に日本長期信用銀行に新卒入行。2000年に農林中央金庫に中途入庫し、2002年に長女、2004年に長男を出産し、それぞれ産・育休より復帰。資金為替部や投資契約部を経験。様々な部署勤務を経て、2021年より常務執行役員として事務部門の担当役員に就任。2022年からは女性活躍・ダイバーシティ推進責任者としても活躍している。

■土田智子(1994年新卒入庫)
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1994年に農林中央金庫の大阪支店に新卒入庫。営業第四部や市場業務管理部などを経て2009年に長男を出産。子どもが小さいうちはワークライフバランスに理解のある部署で勤務し、2015年に総務部に異動する。2022年には名古屋支店長として、地域や第一次産業、系統組織を支える現場で活躍している。

【パネルトーク】
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司会者:
ダイバーシティというテーマの中で「女性がどうキャリアを創っていけるか」は重要な議題だと思います。今日は農林中央金庫の中でキャリアを高め、様々な活躍をされているお二人にその辺りを中心に伺っていきます。
【トークテーマ①農林中央金庫で女性として働くこと】
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司会者:
まずは「農林中央金庫で女性として働くこと」というテーマについてお聞きします。お二方は入庫時、女性としてキャリアに向き合っていくことをどのように感じていましたか?

土田:
私は入庫時、キャリアの男女差はあまり意識していませんでした。しかし、人数の面で言うと総合職の女性は少なかったです。当時は必死に働いていたので性別はあまり気になりませんでしたが、今思えばやはり母数が少ないので女性はマイノリティだったのかなという印象です。

内海:
入庫当時はドキュメンテーション業務(情報の文書化業務)で英語を使う仕事だったこともあり、一般職を含めて女性比率は半々くらいでした。他行でも女性が多く働いている環境で、様々な銀行を転職しながらスキルや専門性を高めていく方も多い業務分野でした。そのため、キャリア面で特に男女の区別は感じていませんでしたね。もしかしたら配属される部署によって感じ方は違ったのかもしれません。

司会者:
金融業界は男性的な職場だというイメージを持たれる方も一部いると思いますが、実際に働く中での「女性としての働きやすさ」はいかがだったでしょうか。

土田:
自分が子どもを持って仕事上の制約を実感するまでは、働きやすさに関して男女差は感じていませんでしたが、実際に子を持つ立場になると「大変だな」と感じるシーンも多々ありました。しかし、現在では働きやすさという点で男女に大きな違いはないと思います。今は共働きが多数派なので、男性職員も育休取得はもちろん、子どもの送迎の担当などもパートナーとシェアする方が多いですね。私が過去に感じていたような大変さも、家族で共有するのが当たり前の時代になっているのではないでしょうか。

内海:
私は女性が多い部署におり、ライフイベントに応じてどうしても退職せざるを得ないケースも見てきたので、人数が減っていく中でアウェイ感を持つことはありました。現在と違って、テレワークやフレックスに時差出勤などの制度もまだ整っていなかったですしね。例えば「出産・育児と仕事の両立が物理的にできない」というケースや、「夫の転勤に私もついていきます」というケースなど、当時は女性が退職せざるを得ない環境もあったと思います。そういう意味では、今では各種制度も整ってきたので、過去と比べると女性の働きやすさは向上していると感じています。

司会者:
ライフイベントで物理的な制約を受けざるを得ないこともかつてはあったということですね。一方で、ライフイベントを通じて価値観が変化することもあると思いますが、ご出産の前後で変わった部分はございましたか?

土田:
子どもができたときがちょうどリーマンショック前後だったので、社会的には「育休切り」という言葉もありました。しかし、私は会社が自分の居場所だという気持ちが強かったので、「仕事を辞める」という選択肢はありませんでしたね。子どもが生まれて大変さを実感してからは、産休・育休から復帰して育児と仕事を両立している先輩方にたくさん相談しました。農林中央金庫には実際にそういうキャリアを築いてきた先輩方がいらっしゃったので、「であればきっと自分にもできる」という風に考えていました。また、実際に自分が大変な立場になったことで、育児や介護など様々なバックグラウンドを抱えて働いている方がいることに気が付くこともできました。その気付きのおかげで、周囲の方をより慮ることができるようになったと思います。

内海:
出産や育児を通じて、自分の受け止め方や気持ちが寛容になりましたね。子どもは本当にかわいいのですが、自分では何もできないし、言うこと聞いてくれない。それが、周りの職員は当たり前ながら大人なので、ちゃんとコミュニケーションが取れますよね(笑)。職場は言葉が通じる大人しかいない世界ですから(笑)。子どもと比較するわけではないですが、手のかかる子どもを育てることによって、周囲の人間関係への受け止めの幅が広がったと思います。

司会者:
ご出産や育児をご経験されることで、視野が広がったり人間関係に寛容になれたりとプラスの変化があったのですね。一方で、家庭があると若手の頃のようにバリバリ残業をすることも難しくなると思うのですが、仕事の進め方に変化はありましたか?

内海:
業務に優先順位を付けて、計画的に仕事を進める習慣がより強まりました。子どもはいつ病気になるか全く読めず、熱が出ると1日では下がりません。そのため、いつ子どもが病気になっても仕事が滞らないよう、自分の仕事を見える化するように意識していました。また、期日のあるものはギリギリにせずバッファを設け、万が一締切当日に仕事ができなくても困らないように注意していました。イレギュラーが起こる前提で「巻き」で仕事を進めるようになりましたね。

土田:
私は、1日の体力のペース配分を考えるようになりました。若手の頃は全力で仕事をし、仕事後は全力で遊び、その日の体力が尽きるまで全力投球な毎日を送っていました(笑)。ところが、内海さんが仰っていたように、イレギュラーが起こることを前提にしないといけなくなるので、体力を残しておかないといけない。そのため、より仕事の段取りやペース配分を考えて進めるようになりましたね。

司会者:
ご出産や育児を通してより仕事力が上がったのですね。お二方は、支店長や役員といったキャリアを築かれていますが、キャリアアップに関しては昔から意識されてきたのですか?

土田:
特に意識せず、毎日楽しく働いていたらこうなりました。しかし、初めて管理職になったときに、管理職になると責任が増える一方で情報量や権限も増え、できる仕事が広がってより楽しくなることに気が付きました。そこで初めて「キャリアアップすると仕事は楽しくなる」ことを実感し、さらに「肩書がなくとも上の目線で仕事を進めたらもっと楽しいのでは?」ということも意識するようになりました。それからは「1つ上の役職ならどういう風景が見えるか」というスタンスで仕事をしてきました。

内海:
私も全く意識してなかったですね。私が若手の時代は女性総合職の先輩もほぼおらず、キャリア相談できる人はもちろん役職者の女性もいませんでした。そのため、自分が管理職になるということを考えることもなく、目の前の仕事を必死にやっていたらご縁に恵まれて、という印象です。

司会者:
キャリアアップを意識せず日々の仕事と真摯に向き合った結果、今があるのですね。キャリアとライフイベントのバランスの取り方についてはいかがでしょうか?

土田:
キャリアとライフイベントについては、毎日フィフティーフィフティーというのではなく「今日はどちらに重きを置くべきか」を毎日考える必要があると思っています。仕事と向き合える環境のときは思い切り仕事に振って、重要なライフイベントがあるときはそちらに重きを置く。その積み重ねを見ると、結果として「自分にとってバランスが取れている」という状態になるのではないでしょうか。毎日比重が同じなのではなく、日々変わるものだと思っています。

内海:
バランスの比重は変わりますよね。そこに対して周囲の理解も重要だと思います。私が非常に忙しい部署にいたとき「絶対出勤しないといけない日」というのが年に何回かあったのですが、育児が大変でバランスをとることが難しい時期がありました。その時に当時の上司が「今は必要な時期だから子どもに寄り添ってあげてください。落ち着いたら今の分も含めて仕事に全力投球してください」と言ってくださって、非常に救われた経験があります。そういう方がいてくれたから、仕事をあきらめずにすんだし子どもの面でも無理をしないですみました。そのため、バランスは自分一人だけで取るものでなく、周囲の方のご協力や理解あってのものだと心から思っています。

【トークテーマ②農林中央金庫のダイバーシティ推進】
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司会者:
それでは2つ目のテーマ「農林中央金庫のダイバーシティ推進」についてお聞きしましょう。時代とともに多様性への認識変化や制度の拡充等あると思いますが、お二方がご入庫されてから今に至るまで、どのような変化があったと感じていますか?

内海:
新型コロナウイルス流行による働き方の変化は著しいですよね。特にテレワークが浸透したことは非常に大きいです。これは別に女性だけでなく、育児や介護など制約がある方にとっては非常に大きな変化ではないでしょうか。毎日の通勤時間を別のことに充てられるようになり、その分仕事をするのはもちろん、育児や介護に回すことがでるようになりましたよね。他にも、フレックス制度や時差出勤なども登場し、様々な背景の方が働ける環境が整ってきていると思います。
司会者:
制度は拡充されていくことはもちろん良いことですが、その制度を実際に活用できているかということが重要ですよね。現場レベルではどうなのでしょうか?

土田:
制度の活用が進む一方で、銀行業務の中にはシステム上時間の縛りがあるものや、業界全体のルールによる制約も確かにあります。様々な背景の方たちがより働きやすくするにはどうするべきか、知恵を絞っている状態ですね。

司会者:
制度を使いやすくしたり推進したりする工夫はされているのでしょうか?

内海:
新入職員から年次別の各階層に向け、ダイバーシティ推進の研修会を行っています。若手のうちからダイバーシティへの意識を養うことで、制度の活用に繋げたいと考えています。

司会者:
視聴者から「ダイバーシティ推進について課題を感じていることはありますか」という質問をいただいていますが、いかがでしょうか。

内海:
私は2つあります。まず、世代が上の管理職の認識を変えていくこと。昔の時代に長時間労働で成果を出し、そういう働き方に慣れている層に対し、新しい価値観や環境変化を啓蒙していくことが必要です。時代的にも皆が長時間労働できる時代ではありません。精神論や根性論にせず、上の世代に対して多様性への理解促進を進めていかないといけません。そのため、管理職向けの研修会をすでに行っています。もう1つは、中間層のキャリアアップモチベーションの醸成。若手職員の多くは、男女関係なく育児や介護も自分事として含めたキャリアアップを認識している傾向にありますが、もう少し上の世代に対して意識醸成をしていく必要があると思っています。

土田:
私自身も若手の頃は長時間労働で成果を出してきました。仕事の量で押しつぶされそうになる中で質も求められ、試行錯誤しつつ長時間労働で乗り越えてきたことが成功体験です。しかし、そういう働き方が通用しなくなった今の時代、どのように若手を育成すればよいのかが1つの課題だと思っており、私も模索しています。こういう育成方法が良いという指針がないので、そこがダイバーシティを求める若手の壁になっているのではないでしょうか。時代の変化とともに若手の育成方法も変えなくてはいけないので、私たち管理職層がしっかり考えていく必要があると思っています。

司会者:
もう1つ学生からコメントが来ています。「制度としての産・育休に女性と男性で違いはあるのでしょうか」という質問いかがでしょうか。

内海:
女性には産前産後の休暇と育児休暇、男性にも育児休暇がありますので、男女の差はございません。

【トークテーマ③これからの展望】
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司会者:
最後のテーマは「これからの展望」です。お二人はダイバーシティ推進のこれからについて、どのようにお考えでしょうか。

土田:
「様々な価値観があるのが当たり前」ということを、みんなが改めて自覚することですね。多様性の時代なので、様々な事情や働き方があるものの、職場にいる間は頑張って働きたいという根っこの部分はみんな同じです。企業の中ではどうしても人事評価の観点に集約されてしまいがちですが、より多くの評価軸を持つ組織になっていく必要があると思っています。色々な評価軸があることで、様々な人が評価され、より職員が働きやすい組織を目指していきたいと思います。

内海:
農林中央金庫の職員一人ひとりが「なぜ今ダイバーシティ推進を行っているのか」を理解することが重要だと思っています。社会的な要請があるからではなく、制約がある職員にやさしくするためだけではなく、会社の成長のため必要な戦略だから進めているのです。様々な価値観や視点を持った職員がいるからこそアイディアの幅も広がり、経営に活きてくる。農林中央金庫は100周年を迎えますが、次の100年も持続して存続できるよう、自分たちが生き残るための経営戦略としてダイバーシティが必要ということを、きちんと理解することが重要ですね。

司会者:
ありがとうございます。それでは最後になりますが、就活中の学生さんへのメッセージをいただけますでしょうか。

土田:
様々な制度の有無や柔軟な働き方が実現できるか、という点ももちろん気になると思いますが、まず大切な軸として「その仕事を楽しめそうか」「その職場を好きになれそうか」ということを考えてください。私が新卒入庫した頃、リモートワークはもちろん時短勤務すらありませんでしたが、世の中は変わっていきます。皆さんがライフイベントを迎える頃、どんなスタンダードが登場しているかは誰にも分かりません。まずは、仕事や職場を好きになれそうかを大切にし、社会人としての第一歩を踏み出す場所を決めてください。その際に、農林中央金庫のことを思い出していただけたら嬉しいです。本日はありがとうございました。

内海:
私はダイバーシティ推進を担当しておりますが、自分が担当するまでは正直意識していませんでした。自分がマイノリティな立場にいたことにも気づいていなかったぐらいです。しかし今思うのは、様々な立場を抱えて働いている方が本当に多くいるということです。ダイバーシティ推進を行っていく中で、今までより多くの方がその人本来の力が発揮できる組織に徐々に近づいてきていると思っています。就活中の皆様はこれから多くの企業を見ていくと思いますが、ぜひその選択肢の一つとして農林中央金庫も候補に入れていただけると嬉しいです。今日はありがとうございました。

司会者:
お二人ともありがとうございました!


取材・記事:島名(Webライター)