森ビルとは
森ビルは、正式名称を森ビル株式会社といい、本社である東京の六本木ヒルズ森タワーが広く知られています。また、ラフォーレ原宿や表参道ヒルズなどの商業施設も森ビルが運営しており、不動産事業を日本だけでなく海外にも展開しています。
海外では、中国の大連において、1996年に海外初のプロジェクトとなる森茂大厦の竣工を始め、2008年には世界最高水準のオフィスビル「上海ワールド・フィナンシャル・センター」を開発し、運営しています。
また、特定の電波に対して周波数帯の利用免許が与えられるホワイトスペースを有効活用し、森ビル六本木ヒルズウエストウォークエリア放送などの3つの局でフルセグやワンセグでの放送を開始しています。
さらに、自然と都市の共生をテーマに都市開発を進めてきた森ビルは、普段は非公開にしている屋上庭園や備蓄倉庫を活用し、「ヒルズ街育プロジェクト」として子供たちと六本木ヒルズ周辺を探検するツアーなどを開催しています。
企業概要
不動産業の大手として知名度の高い森ビルは、リゾート開発や商業施設の開発、マンション分譲などを手掛ける総合デベロッパーとして、不動産を活用した国内外の都市開発などを行っています。
なお、デベロッパーとして住宅分譲を行う不動産企業は、三井不動産、住友不動産、東急不動産、東京建物、野村不動産、大京が大手として広く知られています。
事業内容
森ビルは大手不動産企業ですが、意外にも東証などの上場は行っておりません。それでは、森ビルが手掛けている事業内容を順にみていきましょう。
都市開発
東京や大阪などの主要都市圏だけでなく、最近では地方でも都市開発が活発化しています。都市開発には、行政との協力体制や周辺の地域住民との折り合いを円滑に進めていかなくてはなりません。
これらはプロジェクト形式で長い期間をかけて進めていくことが必須となっており、1959年の創業以来、不動産事業を行う企業として培ってきた多彩なノウハウで、地域社会からの信頼関係を築くなどして、開発計画の立案から竣工までを進めています。
都市設計
森ビルが提案するアーキテクトには、理想的な都市空間を実現するための建設計画を始め、電機や機械設備などのさまざまな分野における専門家の高い知識と技術力が活かされています。また、実際に利用するテナントに関わる人の声を反映するために、情報収集なども積極的に行っています。
オフィスビル
24時間複合都市として、1986年に竣工したアークヒルズの一角に、安全性、快適性、利便性、可変性などの観点に優れたアーク森ビルというオフィスビルを建設しています。
このようなインテリジェントビルと呼ばれるオフィスビルを、これまでに東京都内に約120棟を手掛けた実績があります。これらのビルには、近年の多様化するワークスタイルを考慮したオフィススペースなどを提供し、多くの人に利用されています。
レジデンス
日本人だけでなく外国人からも人気のある東京都港区において、「MORI LIVING」というブランド名で高級賃貸住宅などの供給をしています。「MORI LIVING」は、職住近接をテーマとしており、東京都中心部に職場を持つ富裕層を中心に多くの人に利用されています。
また、都市部は緑などの自然から遠いイメージがあるものの、「MORI LIVING」では、屋上庭園にオリーブやラズベリーなどを植樹し、高原にいるような雰囲気を味わうことができます。
リテール&マーチャンダイジング
森ビルでは、都市を豊かにすることを目的として、以下のような大型商業施設を開発しています。
・ ラフォーレ原宿
・ ヴィーナスフォート
・ 六本木ヒルズ
・ 表参道ヒルズ
また、草間弥生氏などの数多くの芸術家とコラボレーションしており、ミュージアムショップなども展開しています。
文化・教育・アート
森ビルでは、以下のような教育や文化交流の場を提供しています。
・ アカデミーヒルズ:創造活動など、ビジネスパーソンの知的活動の場を提供しています。
・ 森アーツセンター:24時間利用できる会員制ライブラリーや、プロフェッショナルスクールを開催しています。
・ 森美術館:さまざまなジャンルのアートの展覧会や、文化交流の場として利用することができます。
タウンマネジメント
街全体をプロデュースすることを目的として、ブランディングやプロモーション活動などを行っています。東京シティービュー、六本木ヒルズアリーナなどの関連施設を運営しています。
ホテル
グランドハイアット東京を始め、パークハイアット上海、アンダーズ東京を運営しています。これらのホテルは、大規模なカンファレンス施設を設けるなど、宿泊施設を超えた質の高いサービスを提供しています。
リゾート&ウェルネス
休日に楽しむことができる施設として、ゴルフコースである「宍戸ヒルズ」や「静ヒルズ」などを運営しています。また、フィットネスや食事を楽しむことができる複合施設「ヒルズスパ」や、60歳以上の終身利用権方式の施設「サクラピア成城」も運営しています。
海外事業
森ビルでは、1996年に竣工した中国・大連のプロジェクトを皮切りに、上海でも「恒生銀行大厦」や「上海ワールド・フナンシャル・センター」のオフィスビルを手掛けています。
ノンアセットビジネス
森ビルは、不動産業で長年培ってきた建物設計や管理などのノウハウを、自社が保有していない資産にも活かしていく「ノンアセットビジネス」を開始しています。この事業によって、建物自体の資産価値を高め、より効率的に運用できるようにコスト管理などのサポートも行っています。
内装・設計管理
建物に対するニーズは、その形態によってさまざまです。森ビルでは、形態の違うそれぞれの建物に対して、ニーズに合った内装や設計をすることによって、建物を活かすことができる空間作りに取り組んでいます。
このように森ビルでは、不動産業を12の分野に振り分け、時代とニーズに合った都市開発を目指しています。
過去3年間の売上/利益推移
これからは森ビルの、過去3年間の売上と利益推移をみていきます。データは下記のサイトを参照しましたが、営業利益率は計算した後で、端数を切り捨てしています。
(単位/億) | 2016年度 | 2017年度 | 2018年度 |
売上 | 2,591 | 2,587 | 2,497 |
営業利益 | 688 | 588 | 631 |
当期利益 | 545 | 274 | 402 |
営業利益率 | 21% | 11% | 16% |
森ビルの過去3年間の売上や当期利益について示しています。なお、営業利益については、小数点第一位を四捨五入して計算しています。
過去3年間の売上や利益推移をみると、売上、当期利益共に上昇し続けているということがわかります。今後については、2年後の東京オリンピックを控え、外国人観光客が急増していくことが予想されており、森ビルが所有するホテルの稼働率がアップする見込みです。
また、2017年にオープンした「GINZA SIX」は、東京メトロ銀座線や都営地下鉄浅草線の最寄り駅からもアクセスがよく、館内には観光ステーションや多目的ホールを備えているため、さまざまなイベントを通じての集客アップが予想されています。
次年度の戦略
森ビルの辻社長によると、これまでに企業ブランドやヒルズブランドの強化に努め、これからの大規模都市再生プロジェクトに向かって、2018年が変革の年になると述べています。
「虎ノ門・麻布台プロジェクト」においては、立地や地権者数などの問題から、これまでに比べて難しいプロジェクトとなっていますが、2019年の着工を目標として邁進しています。
また、企業が飛躍するには、これまでと同じ方法では通用せず、AIやバイオなどの最先端の技術を取り入れ、変革に向けて変化と競争が不可欠となると考えられており、そのためには、社員一人ひとりが、自分自身の変革を図り、強い組織と個へと成長することの必要性が求められています。
2018年の森ビルに関するトピックス
2017年には、プロゴルファー・畑岡奈紗選手と所属契約を発表するなど、森ビルは幅広い分野で注目されています。それでは、2018年の森ビルに関するトピックスを順にみていきましょう。
森ビルとVia社が提携!メルセデス・ベンツVクラスで実証実験!
森ビルとアメリカのVia社が提携し、最先端アルゴリズムの「オンデマンド型シャトルサービス」の実証実験を、メルセデス・ベンツVクラスを使って行うと発表しました。
メルセデス・ベンツVクラスは、乗車定員7人で走行時の安定感が優れています。Via社が独自開発したアルゴリズムを使うことによって、従来よりも都市部に適したオンデマンド型シャトルサービスが実現できると期待が高まっています。この実証実験は、2018年8月1日から開始され、2019年7月31日までの一年間を予定しています。
アークヒルズで夏ならではのイベント開催!
森ビルが運営する東京都港区のアークヒルズにて、「トウモロコシ&枝豆フェスティバル」が7月28日から開催されます。このイベントは、毎週定期開催されている「ヒルズマルシェ」の特別企画として、日本各地の野菜やフルーツの生産者が出展します。
開催期間中には、塩ゆでとブラックペッパー&ごま油の枝豆「枝豆2種盛り」や、「アークヒルズカフェ特製 冷たいコーンポタージュ」などの一日限定のメニューが準備されます。
また、会場に近い「アークヒルズカフェ」では、イベントに出展される野菜やフルーツを使ったランチプレートやデザートなどが準備され、都心部で朝採れ野菜やフルーツを楽しむことができるイベントとなっています。
東京五輪目前!都心に新駅登場!
2年後に開催される東京オリンピックに向けて、東京周辺では再開発などが活発になりました。その一環として、JR山手線に新たな駅が完成予定であったり、虎ノ門に新駅が開設されるのを機に、森ビルが運営している虎ノ門ヒルズ付近に、新たに3棟のビルが建設される予定です。
また、JR品川駅においては、東西の自由通路が増設されるなど、東京オリンピック後も都内のアクセスに利便性が高まることが予想されています。
森ビルがチームラボとコラボ!
森ビルが運営するデジタルアートミュージアム「MORI Building DIGITAL ART MUSEUM: EPSON teamLab Borderless」が、東京のお台場に登場します。ここでは、チームラボが手掛けた作品を展示し、世界初公開を含めた50点近くの作品が展示されます。
3Dなどを使ったデジタルアートは、進む部屋ごとにさまざまな仕掛けが施されており、来場者自身が体感することができます。また、館内では、520台のコンピュータと470台のプロジェクターを使って表現されており、壮大なスケールの空間を楽しむことができます。
不動産業界の動向
就職活動を進めるにあたって、就職を希望する企業について、業界の動向をリサーチしておくことも大切だといえるでしょう。ここでは、森ビルが手掛けている不動産業界の動向を順に解説していきます。
不動産業界の業績推移
国内の不動産業界全体で、約12兆円もの業績規模を誇っており、業界規模ランキングにおいて第24位となっています。伸び率や収益性も上昇傾向にあり、東京を中心とした都市開発によって、オフィスと商業施設が一体化した複合型施設が増加し、地方でもアウトレットモールが次々に開発されています。
また、2年後に控えた東京オリンピックに向けて、さらなる開発が推し進められているのが現状です。さらに、東京オリンピック後の低迷を見据えて、今後はより一層海外にも視野を広げ、アジア圏を中心にさらなる飛躍が期待されています。
増税の影響で駆け込み需要が高まる
2017年4月に予定されていた消費税率の引き上げが、2019年10月まで延期されたことを受け、消費者が住宅やマンションなどの高額な不動産を駆け込み購入することが予想されています。
増税まで約1年となった今、物件はもちろんのこと、住宅ローンだけでなく引っ越し費用や司法書士に支払う費用などにも消費税が課税対象となるため、今後も駆け込み需要が一層高まるでしょう。
森ビルへOB訪問に行く前に準備すべき3つの項目
森ビルは、就職活動をする大学生が選ぶ人気企業ランキングに毎年上がってくるなど、就職したい企業の一つとして人気です。ここでは、森ビルへOB訪問に行く前に押さえておきたいポイントをみていきましょう。
どのような職種を採用しているのかチェックしておこう
不動産業といっても、関連する職種はさまざまで部門も数多く分かれています。また、総合職として採用されても、実際にどのような仕事をするのかということを事前にリサーチしておくことも大切です。
森ビルの公式ホームページ上にある「採用情報」では、採用活動を行っている総合職とビルマネジメント職のページに移ると、詳しい仕事内容や社員紹介、若手社員による座談会などの情報が掲載されています。ここで、どのような職種を採用しており、どのような採用試験を実施するのかということを事前に知っておくとよいでしょう。
公式SNSアカウントを活用しよう
現在、SNSが普及しており、多くの企業が公式SNSを開設して情報を発信しています。森ビルでは、Twitter、Facebook、YouTubeの公式アカウントを開設しています。これらの公式SNSでは、森ビルに関する最新のニュースやイベント情報が発信され、リアルタイムで最新情報をチェックすることができます。
この他にも、六本木ヒルズや森美術館など各施設の公式SNSを開設しているので、必要に応じて活用してみましょう。森ビルに関する情報をいち早く入手することによって、森ビルがどのようなことに取り組んでいるのかということを知ることができます。
イベント情報をチェックしておこう
森ビルは、森美術館や東京シティービューなどの芸術や文化に触れることができる施設を運営しています。森ビルの公式ホームページ上の「施設・イベント情報」で、近隣で開催されているイベントをチェックし、OB訪問前に足を運んでみましょう。
OB訪問は、企業を直接みることでしか得られない情報を入手できるだけでなく、イベントを円滑に進めるために、社員たちがどのような仕事をしているのかを客観的にみることができます。また、イベントへの参加を通じて、近い将来、森ビルの社員として働いている自分をイメージしやすくなるのではないでしょうか。
OB/OGへの質問を準備
森ビルにOB訪問したときに、疑問に思ったことをその都度質問することもできます。しかし、何も質問することができずに、後になって質問しておけばよかったということを防ぐために、OB訪問に行く前に質問を準備しておきましょう。
弱みに関する質問をしてみよう
企業調査やOB訪問で企業の強みを聞いて、ますます魅力を感じることもあるのではないでしょうか。しかし、これから自分が就職して働くにあたって、企業の弱みも把握しておくことは大切です。これらのことを踏まえながら、以下のような質問をしてみるのもよいでしょう。
- 都市開発を長年手掛けてきており、現在では地方都市の開発にも取り組んでおられます。しかし、西日本では、森ビルという名前がほとんど浸透していないという現状から、今後は西日本の都市開発にも力を入れられる予定なのでしょうか。
企業の弱みを質問することは、質問しにくい内容かもしれませんが、企業が感じている弱みを知り、その弱みをどのようにカバーしているのかという企業力を確認することができます。
配属先の決定に関する質問をしてみよう
森ビルでは、新卒は総合職とビルメンテナンス職で採用活動しています。しかし、総合職の中には、総務や人事などの事務や営業、企画などの不動産業に携わるさまざまな部門に分かれています。 しかし、採用後、どのような基準で各部門に配属されるのかということに不安を感じている人もいるのではないでしょうか。これらのことを踏まえながら、以下のような質問をしてみるのもよいでしょう。
- 採用を募集している職種について、総合職の中でも事務や営業などの部門に分かれていると思うのですが、採用後はどのような基準で配属が決定されるのでしょうか。
このような質問から、採用後に設けられている研修期間を利用して配属先を決定するなど、採用から配属までの流れを詳しく知ることができるでしょう。
企業が推進している資格取得について質問してみよう
森ビルは、不動産業を手掛けているので、職種や仕事内容によっては、国家資格である宅地建物取引士などの資格取得が必要になるかもしれません。また、経理部門に配属された場合には、簿記などの資格取得を推進している可能性があります。これらのことを踏まえながら、以下のような質問をしてみるのもよいでしょう。
- 入社後、仕事に活かすことができる資格取得について、企業側は推進されているのでしょうか。また、資格取得に伴い、通信教育などの受講料のサポートはあるのでしょうか。
近年は、仕事に必要な資格取得に関わる費用を福利厚生としてサポートしてくれる企業や、資格取得によって年収アップして社員のモチベーションをあげている企業も多く見受けられます。
コンプライアンスに関する取り組みについて質問してみよう
近年、セクハラやマタハラなどのコンプライアンス問題が表面化しています。企業にとって、コンプライアンスを遵守することは必要不可欠であり、社会的信用に関わってきます。
また、コンプライアンスに反することを企業側が認めてしまえば、一気に「ブラック企業」のレッテルを貼られてしまいかねません。これらのことを踏まえながら、以下のような質問をしてみるのもよいでしょう。
- 森ビルには、コンプライアンス委員会が設置されていますが、社員へのコンプライアンスはどのように指導されているのでしょうか。
企業では、コンプライアンスに関する研修を社員全員を対象に行っているところもあり、現代社会を生きる上で企業のコンプライアンス対策を知っておくとよいでしょう。
森ビルは熱い想いを持った学生を求めている!
森ビルは、都市開発を進めるにあたって、屋上などの空間を利用した都市と自然の共生や、省エネ対策としてCO2排出量を抑えるなど、環境問題にも積極的に取り組んでいます。
また、採用にあたっては、どのような困難に直面しても対処していこうとする熱い想いを持った学生を求めており、このようなエネルギーを持った人材であれば、難しい都市開発という仕事にも向き合っていけると考えられています。
都市開発と聞くと、自然を壊していくイメージがあるかもしれませんが、森ビルでは、都市開発していく上で、自然などの環境問題の対策にも関わっていくことができるでしょう。