世界の日産自動車
今や国内だけではなく、アメリカや中国など、さまざまな国で自動車の高いシェア率を誇る日産自動車。そんなグローバル企業への入社を希望している人は、企業について理解し、業界動向を頭に入れ、OB/OG訪問することをおすすめします。
企業概要
日産自動車は、国内トップクラスの自動車メーカーです。具体的な事業内容はどういったものなのでしょうか。過去5年間の売上・利益推移、次年度の戦略も併せてみていきましょう。
事業内容
日産自動車の手掛けている事業は、基本的には自動車事業のみです。子会社においては、多岐にわたる事業を展開しています。具体的にはどのような事業をしているのか確認していきましょう。
自動車事業
日産自動車の展開しているブランドには、大人気車種「NOTE」などを展開している「NISSAN」、世界各国に高級車を届けている「INFINITI」、インドやロシアなどで販売している「Datsun」などがあります。他にも、ビジネスカーや福祉車両、モータースポーツなどを手掛け、技術力の高さや品質の良さに定評があります。
話題の電気自動車「LEAF」などもあり、ブランドだけではなく、車種のラインナップも豊富。フランスの自動車会社・ルノーや三菱自動車工業と「ルノー・日産・三菱アライアンス」と締結し、グローバルで活躍する地盤は盤石です。
その他
日産自動車は、子会社の事業を含めることで「自動車メーカー」の枠から抜きん出ます。たとえば、日産フィナンシャルサービスであればクレジットやカーリースなど金融、日産ネットワークホールディングスであれば不動産、日産専用船は海運業、横浜F・マリノスはサッカークラブ、日産工機はエンジンが事業内容です。大企業を隅々まで調べると、多彩な事業を展開していることがわかります。
過去3年間の売上/利益推移
これからは日産自動車の、過去3年間の売上と利益推移をみていきます。データは下記のサイトを参照しましたが、営業利益率は計算した後で、端数を切り捨てしています。
(単位/億) | 2016年度 | 2017年度 | 2018年度 |
売上 | 121,895 | 117,200 | 119,511 |
営業利益 | 7,932 | 7,422 | 5,747 |
当期利益 | 5,238 | 6,634 | 7,468 |
営業利益率 | 4% | 6% | 6% |
2016年には、12兆円を超える売り上げまで伸びましたが、2017年には売り上げが下がり、利益が少し伸びます。上記の表にはありませんが、2018年にも12兆円近くまで売り上げが伸びますが、利益が下降。日産自動車の今後の動き次第では、より売り上げも利益もアップするでしょう。
次年度の戦略
日産自動車は、「e-POWER」を搭載している自動車や100%電気自動車を、年間100万台を2022年度までに販売し、売上高16兆5,000億円の突破を目指すと発表しました。ほかにも、自動運転の技術である「プロパイロット」やモビリティサービス、電動駆動車の拡大を目論んでいます。
2018年の日産自動車に関するトピックス
2018年、経済界で日産自動車はどのような動きをみせたのでしょうか。ハイブリッドにプラスアルファが求められる時代、中国においての日産自動車、進化する「ノート e-POWER」についてみていきましょう。
ハイブリッドにプラスアルファが求められる時代
自動車といえば、「ハイブリッド」が当たり前といわれている日本市場。長期的には、電気自動車が主役になるといわれています。日産車の人気自動車「ノート」は、登録車販売ランキング(2018年1月~6月)において首位になりました。
その理由は、電動パワートレイン「e-POWER」を搭載したからといわれています。しかし、ハイブリッドが当然となっている今、売り上げが落ちてきている状態です。国内は、ハイブリッドにプラスアルファが求められる時代になったといえるでしょう。
中国においての日産自動車
中国において、日産自動車の売れ行きが好調のようです。2018年7月、新車の販売台数が前年と比べて、2.0%増えたと発表しました。セダン、スポーツタイプともに販売台数を伸ばしています。中国法人の日産(中国)投資は、2018年の販売台数目標を「160万」としています。
進化する「ノート e-POWER」
日産自動車の「ノート e-POWER」は、4WDを追加することでより安定した走行ができるようになりました。また、踏み間違い衝突防止アシストし、事故防止機能も向上。販売価格は上がるものの、カラーバリエーションも増え、今まで以上に色の選択肢が多くなりました。
自動車業界の動向
日産自動車含む自動車業界の動向について見識を深めましょう。自動車業界は、とても大きな産業であり、巨額が動いている世界です。自動車業界に就職しないとしても、世界経済をみるうえで欠かせない業界ですので、業績推移や浮き沈みの原因について押さえておいてください。
自動車業界の業績推移
2005年から2007年までは、順調に拡大していた自動車業界ですが、2008年~2009年に自動車業界は一気に下降することになります。その後、低空飛行を続けながら、2012年には景気回復。2013年には、2007年なみの高水準を保てるようになりました。
サブプライムローン・リーマンショックの衝撃
2008年~2009年に一気に販売台数が減少した原因は、サブプライムローン・リーマンショックです。自動車業界に限らずではありますが、世界中が影響をうけ、赤字経営となりました。その後は、徐々に景気が回復し、新興国においても販売台数は順調です。
業績が回復したとしても、自動車業界の課題はあり続けます。日本のマーケットは縮小し、ハイブリッド車の動向も気になるところ。しかしながら、長期的にはグローバルで今まで以上に躍進する可能性がありますので、こまめにチェックしておくべき業界です。
日産自動車へOB訪問に行く前に準備すべき3つの項目
日産自動車へOB訪問に行く前に準備すべきものをまとめます。まずは、日産自動車についてとことん調べることです。日産自動車がリリースしている車の種類だけではなく、日産に関わる会社についても情報収集しておきましょう。
日産に興味を持った理由を明確化し、社会人としてのマナーを確認することも怠ってはいけません。こうしたOB訪問に行く前に準備すべき3つの項目について解説していきます。
日産自動車を熟知する
日産自動車の事業内容について前述しましたが、OB訪問に行く前も、必ず企業研究を行いましょう。企業研究することで、当日の質問する内容に深みがでるだけではなく、ちょっと調べればわかることを質問してしまう失礼な行為がなくなります。
グローバル企業の日産自動車だからこそ、規模が大きく、また歴史もあります。部品販売会社は国内で25、日産販売会社は123あり、設立したのは1933年。日産自動車を熟知するために、時間をかけて資料などに目を通してください。
日産に興味を持った理由を明確化
OB訪問は、自分から質問するシチュエーションが多いですが、先輩から、日産自動車に興味を持った理由を問われることもあるでしょう。そうした際、興味を持った理由を明確に答えることで好印象を与えることができます。
そのために、業界動向について理解を深めるだけではなく、日産自動車のライバル社についても知る必要があるでしょう。自動車業界は、国内メーカーだけではなく、海外にも有名な企業がたくさんあります。OB訪問に行く前は、情報収集を必須として認識しておいてください。
OB訪問でもマナーは必須
就活生がOB訪問で怠りがちなのは、社会人としてのマナーです。マナーは今のうちから身につけておいても損はありませんので、日産自動車によい印象を与えるためにも、書籍などを通して学んでおきましょう。
訪問前には、予約のメールなどをしておくことも大切です。質問する内容も1週間以上前に送付しておけば、当日の会話がより有意義なものになります。
当日は、言葉遣いに気を付け、絶対に遅刻しないようにしましょう。自動車業界の話はしても問題ありませんが、別業種のことについて自ら口を開かないようにしてください。訪問した後は、お礼のあいさつです。訪問のお礼や印象に残ったことなどをメールで送りましょう。
日産自動車は、日本全国に拠点を設けている大企業です。そのため、訪問先が会社の場合、住所を間違えないようにしてください。OBから社名と住所をしっかりと確認し、当日は電車遅延などを考慮し、早めに出発しましょう。
OB/OGへの質問を準備
OB/OGにどのような質問をするべきなのでしょうか。前提として、日産自動車とは無関係の質問は避けてください。必要な資格やスキルなどは聞いてもほとんど役立ちません。
OB/OGへの質問としてふさわしいことは、例えば、職種についてです。さまざまな職種があり、具体的な内容を聞いてもわるくありません。また、研修制度や表彰などについて質問してもよいでしょう。ダイバーシティ関連でさまざまな賞を受賞している企業でもありますので、気になる人はその方面の話を聞いてみてください。
職種や事業部についての質問
日産自動車は、2017年3月末現在、単独ベースで2万人以上、連結ベースで13万人以上の従業員が働いています。もちろんすべての社員が同じ仕事をしているわけではなく、さまざまな部署・事業部があり、職種もバラバラ。職種名を聞いても、仕事内容を読んでもわからない仕事は、ぜひ現場の人に聞いてみましょう。
- ○○という仕事は具体的に何を行うのでしょうか。
「コネクティドカー & モビリティサービス」、「マーケットインテリジェンス」、「グローバルサプライヤーエンジニアリング」、「グローバルコントロール&ファイナンス」などの事業部や職種を聞いて、ピンとくる人は少ないのではないでしょうか。
詳しく話を聞くことで自分に合った仕事がみつかるかもしれません。OB/OGが実際に携わっているのであれば、1日の仕事の流れなども聞きだし、具体的にイメージできるとよいでしょう。
- ○○と○○という採用方法についてお教えください。
人事的なポジションのOB/OGへ質問する際は、採用方法のディテールについて聞いてもわるくありません。日産自動車には、職種を選択できる「Specific Expertise採用」、職種を選ばない「General Competency」があります。
それぞれでキャリアの形成などが異なりますが、どれくらい自分の希望が通るのか、専門性は高められるのかなど質問できると有益な情報を掴めそうです。
研修や表彰制度
大企業だからこそ気になる研修や表彰制度。現場の社員でなければ、どれぐらい充実しているのかわからないこともあります。研修であれば、入社年数によっても受ける内容が異なりますので、具体的な流れなどを質問してみてください。
- 研修制度によって資格は取得できるのでしょうか。
もちろん、職種によって研修制度の内容は異なります。テクニカルスタッフであれば、「日産〇級整備士」という資格の取得を目指せ、工場長や店長にキャリアアップすることができるでしょう。
また、日産自動車には「NISSAN BUSINESS COLLEGE」という会社の学校があります。ここで学べることや身につくスキルについても聞いてみてください。
- どんな表彰制度があるのでしょうか。
入社後に確認するのでも遅くはありませんが、表彰制度のディテールを聞き出し、モチベーションアップを図ることができます。先に紹介したテクニカルスタッフであれば、応対力や実技の競争があり、自身のレベルを把握できます。
表彰制度には「日産ウイナーズコンベンション」があり、優秀な成績を収めた社員にさまざまな賞が贈られます。大企業のスケールの大きさを知るためにも、質問してみましょう。
働き方の多様性をチェック
ダイバーシティ運動に力を入れ、さまざまな賞を受賞している日産自動車。「働き方が気になる」という人であれば、働き方の多様性について詳しく聞いてみましょう。話題になっている在宅勤務や労働時間について、日産自動車がどのような制度を整えているのか質問してみてください。
- 在宅勤務制度などはあるのでしょうか。
日産自動車では、在宅勤務制度を整え、基本的にはすべての社員が活用できるものです。この制度を利用している社員は、2015年度で4,000人ほどおり、管理職も含んでいます。在宅勤務制度によってどこまでの仕事ができるのか、どれくらいの時間可能なのかなど、聞けることはたくさんあるでしょう。
こうした質問は、「出社したくない」という意見表明に感じられてしまう可能性もありますので、聞き方には十分注意しましょう。
- 残業に対してどのような取り組みを行っているのでしょうか。
質問する相手や聞き方によっては、残業について聞きだせないかもしれませんが、良好な関係性を築けているのであれば、働く時間の詳細について質問してみましょう。1日8時間労働を意識する「Happy8」というプログラムを日産自動車では取り入れています。
また、ライフステージによって時短勤務なども可能ですので、どれぐらいの社員が使用しているのか聞くことで企業のダイバーシティについて理解を深めることができるでしょう。
日産自動車のOB訪問で未公開情報を入手
数々の自動車メーカーの中でも、ひと際活躍の目立つ日産自動車。「NISSAN」、「INFINITI」、「Datsun」というブランドにより数々の自動車をリリースしているだけではなく、子会社においては、金融、不動産、海運業、サッカークラブなどの事業も展開。
人気自動車「ノート」は、登録車販売ランキング(2018年1月~6月)においてはトップに立ち、中国市場でも売り上げを伸ばしている成長企業です。
日産自動車のOB訪問をする前には、こうした情報を仕入れるだけではなく、自動車業界の業績推移についてもおおまかに頭にいれておきましょう。上昇・下降の背景も併せてチェックしておいてください。
OB訪問に行く前には、まずは日産自動車について熟知し、会社に興味を持った理由を明確にしておくことです。社会人としてのマナーも学んでおき、相手によい印象を与えられるようにしましょう。
当日、OB/OGへ質問する際は、日産自動車ならではの内容にしてください。現場の人しかわからないことはたくさんあります。仕事内容、事業内容、研修制度、表彰の仕組み、働き方、休日、残業などなど、世にでていない情報を入手できるように、事前に質問を準備しておきましょう。