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OB/OGが語る

三井物産 人材開発室長が語る、人生100年時代のキャリア選択とは

健康寿命が延び、これからは人生100年時代が来ると言われる。働き方も多様化し、人生そのものも多様化している現代において、“最初の就職先”を選ぶ時に考えるべきこととは。三井物産株式会社で様々な部署・職種や事業の立ち上げも経験し、現在は人材開発室 室長を務める古川氏にお話を伺った。

<企業紹介> 「360°business innovation.」をコーポレートスローガンに掲げ、「金属」「機械・インフラ」「化学品」「エネルギー」「生活産業」「次世代・機能推進」の6つの事業分野において、多岐にわたるビジネスを展開する総合商社。多種多様な事業知見から生み出される総合力を組み合わせ、日本および世界各国と地域に付加価値の高いサービスやソリューションを提供している。

<人物紹介> 古川 智章 人事総務部 人材開発室 室長 1991年入社

入社後、機械経理部でプラントプロジェクトの経理を3年にわたり担当。その後、物資本部(現・コンシューマービジネス本部)に異動しスポーツ用品の輸入、内販を担当。1996年に研修員としてフランス駐在。1998年、インターネット系の事業会社を設立して代表取締役として出向。このころから事業の立ち上げ・事業経営に携わるようになる。ベトナム駐在を経て、2012年、情報産業本部でインターネット・ECの投資事業室長を務める。2016年から現職。

20年後、幸せに生きている自分を想像する。

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―――本日はよろしくお願いします。早速ですが、ご自身の学生時代を振り返って、どんなことを考えて就職活動をされていたのでしょうか。

一番に考えていたのは、自分が40歳、50歳になった時にどう生きていたら幸せかということです。たとえば、広告代理店で世の中に新しいものを発信する仕事も面白そうだなと思いましたが、40歳を過ぎた時の自分が時代のトレンドを追い続けているイメージは持てませんでした。銀行や保険業で活躍する姿も思い描けなかったし、メーカーで働く自分を想像しても、一生ひとつの商品を愛し続けることはできないかもしれないな、と。そうしていきついたのが、「自分は将来経営請負人になりたい」ということでした。

―――なりたい自分を実現できるのが、商社だったわけですね。

正直に言うと、総合商社が具体的にどういうものなのかは分かっていなかったかもしれません。ただ、たくさんの事業会社がありましたし、そこでの経営チャンスもあるだろうと思ったんです。もしかしたら自分自身が新しい会社をつくることもできるかもしれない。たくさんのチャンスの中で、ビジネスを生み出す仕事がしたいという想いで、商社で働くことを決めました。プロの経営者になれば、カテゴリーやジャンルに捉われることなく、自分で新しい事業を立ち上げることもできますし、年齢を重ねてもいきいきと働けるというイメージはありましたね。

―――今、当時の想いを体現する年代になって、いかがですか。

これまで実際に3度、会社の立ち上げと経営を経験することができました。最初の2社はインターネット系のビジネス。そして3社目がベトナムでの家電販売会社の立ち上げです。振り返れば、かなり無茶な挑戦もしました。特にベトナムでの事業は、家電販売の経験もありませんでしたし、ベトナムもまだ発展途上の頃だったので日常生活もままならない。日本で練っていた戦略は現地にフィットせず、在庫の山を抱えてしまいました。胃の痛い日々でしたね。それでも一緒に駐在してくれた家族に支えられながら、「絶対に成功させてやる」と誓って前進し続けました。今ではその事業はメーカーさんに売却譲渡しましたが、アジアでも最大級の販売拠点になっています。入社当初に思い描いた姿を100とするなら、70か80までは実現できたのかな。でも、私のキャリアはまだゴールではありません。もっと新しいことにも挑戦して、大きな成功を残したいと考えています。

ファーストキャリアは、毎日幸せに生きていくための第一歩。

―――初めての仕事を選ぶという観点で、大切なことはなんでしょうか?

業界研究や企業研究はもちろん必要ですが、まずは自分自身と向き合うことが非常に大切です。自分はいったいどんな人間なのか。20年ちょっと生きてきて、どんなことに喜びを感じてどんなことに涙するのか。どんな時にモチベーションを感じ、アドレナリンが出てきたのか。それらを振り返ることで、自分のやりたいこと・向いている仕事がきっと見えてくると思います。

―――そうやって見極めることで、自分が幸せにいきいきと働くことができるわけですね。

定年までの時間を考えると、およそ40年間は仕事に打ち込むわけですよね。だとすれば、やはり毎日幸せに生きていける仕事を探すのが一番です。そのための最初の一歩はすごく大事。まずはよく自分を理解することです。人気ランキングとか、他人にどう見られるかなんて、どうでもいい。もっと言えば、必ずしもビジネスパーソンが最適な道とも限りません。職人や料理人、農家だってあります。たくさんの選択肢の中から視野を広げて仕事を選んでほしいですね。ある程度自分の棚卸ができた段階で、仕事人としての先輩に会いに行くこともお勧めです。私たち人事も会社説明会やHPでの情報提供には注力していますが、一方的なプレゼンにはどうしても限界があります。OB・OGにちゃんと話を聞いて、将来の自分の姿を思い浮かべてから進路を決めれば、ミスマッチも減ると思います。

人生100年時代における、日本の働き方

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―――今後、日本の働き方はどのように変わっていくと思われますか?

若い人たちのキャリア観はすごい勢いで変わっていますよね。人生100年時代と言われる中でライフシフトが起きた時、さらに大きな変化があると思います。私ももう50歳になりますが、まだまだチャレンジを続けていくつもりです。人事として日本の採用に一石を投じたいという想いもありますし、その後はもう一度ゼロから新しい事業を立ち上げたい。時代や環境が変化すれば、新たなビジネスチャンスも生まれます。現代で言うなら、AI、IoT、ロボティクスといった技術革新。こうした領域でコンシューマーの生活をダイナミックに変革するような事業に挑戦したいと思っています。それに定年を迎えた後も、別に引退しなければいけないというわけじゃない。今の60歳って元気じゃないですか。そうした元気なシニアの気持ちを理解できる立場としてベンチャーを起こしてもいいし、三井物産とは違うキャリアを歩んでもいい。いろんな生き方の形が生まれてくるだろうなと思います。

―――企業の中でのキャリアの積み重ね方はいかがでしょうか。

以前は、人脈や経験のある人が重宝されてきました。だからこそ年功序列にもそれなりの意味があったのです。でもこれから先は、経験だけがいきる世の中でなくなることは間違いありません。変化の激しい時代でもありますし、今まで以上に若い感性や考える力が重要になります。たとえば人生100年時代に合わせて定年が65歳や70歳に延びたとしましょう。もちろん元気に活躍する年配の方が増えることは素晴らしいのですが、リーダーがみんな60歳代であってはいけないと思うのです。力のある若い人たちが重要なポストについて、年配者はそれまでのマネジメント経験を元に若いリーダーをサポートしていく。そんな働き方もあり得るのではないでしょうか。

―――今お話に出た「感性」「考える力」というキーワードについて詳しくお聞かせください。

これは商社に限らないと思いますが、変化を予測する力はこれからのビジネスで間違いなく求められる能力の一つです。「たぶん世の中ってこう変わるからこのままではダメだよね」「こういう変化があるならこの領域がチャンスじゃないか」と、環境変化のリスクとチャンスをしっかり捉えて次の一手を考える必要があります。たとえば自動車を例にとれば、100年続いた内燃機関の時代が変革期を迎えている。電気自動車の普及を見すえるなら、電池のリチウムをどう確保するか、EVのパワーステーションをどうやって普及させるのか等、考えられることは無数にあります。こうした変化は、自動車に限らず食料でも流通でもあらゆるところで起きているわけです。時代の変化を捉える感性と、打つべき施策を考える力。このスキルがあれば、商社での仕事は非常に楽しくなりますよね。

―――そうした力を磨くにはどうすればいいのでしょうか。

スタートはやはり好奇心ですね。この仕組みはどうなっているのだろう、なぜあの変化が起きたのだろうと、自ら好奇心を持って世の中を深く見つめることが大切です。言われたことだけをやっている人がいきなり考える力を身につけるのは難しいですよね。最初は簡単なことからでかまいません。本を読むとか映画を見るとか、美術を鑑賞するとか。インプットが少ない人はアウトプットも当然増えないので、好奇心・探求心を持って日々インプットしていけるといいのではないでしょうか。

0勝0敗より、1勝9敗。

―――就職活動をしている方へのメッセージをお願いします。

人事として感じるのは、概して今の若い人には「すごいな」と思う方が多いということ。相当勉強もしていますし、いろんな経験をされていて、エネルギーも豊富で好奇心あふれる方々に出会えています。日本の未来もなかなか明るいと感じます。ぜひそのまま真っすぐ、成長に向かって挑戦を続けてほしいと思います。

―――三井物産ではどのような成長を実現できますか?

私は先ほど申した通り「経営請負人」を目指して就職しましたが、三井物産には様々なプロがいます。法務や財務、プロジェクトマージャ―といった機能面でのプロ。一方で商品軸、たとえば食料や化学品、エネルギーといった分野ごとのプロ。その他に、地域のプロもいます。「ロシア」と言えば日本人ではこの人しかいない、といったようにです。自分自身に向き合って、進みたい道に挑戦し続け、新しい価値を生み出していく。それが、この場所で実現できる成長です。

―――貴社の理念のひとつである「挑戦と創造」ですね。

そうです。私たち自身も、新たな価値創造に挑戦し続けています。もちろん、新しい挑戦には失敗も付きもの。でも、弊社は絶対に減点主義での評価はしません。1勝9敗でもいいからリスクをとってチャレンジしている方が評価されますし、0勝0敗のような生き方ではここに居場所はないと思います。失敗から何かを学び取り、その上で次のチャレンジに向かう。そんな生き方に興味があれば、ぜひ一度私たちに会いに来てください。

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