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就活生が語る

私には、譲れないものがある。多数派からドロップアウトした女子大生の描く夢―私の就活 vol.4

履歴書に並ぶ華やかな経歴、受けた企業は軒並み内定…。そんな就活生を、人は「就活強者」と呼びます。彼らがフォーカスされる機会は数多くあれど、どこか自分とは違う世界の話のように聞こえてしまう。そこで本連載では、あえて、ごく普通~の大学生の就活体験記を集めました。すると、「就活無双じゃなくても、就活した人の数だけ、大切なストーリーがある」 ということが見えてきました。一足先に就活を終えた先輩の、等身大のお話を聞いてみましょう。

学生団体に捧げた大学生活

――初めまして。早稲田大学文学部3年(※)の中野はなと申します。就活の真っ最中なので、先輩のお話を聞けて嬉しいです。本日はどうぞよろしくお願いいたします!

紫垣さん:初めまして。一橋大学経済学部4年(※)の紫垣優花です。参考になるようなお話ができるかわかりませんが…よろしくお願いします!

――では早速お話を伺っていきたいのですが、紫垣さんはどんな大学生活を送っていたのですか?

紫垣さん:入学してすぐにアイセックに入って、そこからずっとアイセックで活動していました。
これは高校時代にダンス部の部長をしていたことがもとになっていて、ダンスをする目的ってなんだ?という質問に対して誇りをもって言える答えがないと気づいたことがあって。それで、大学に入ってからは社会的に意義のあることをしたいと思って入ったんです。

――アイセックではどのような活動をしていましたか?

紫垣さん:そもそもアイセックというのは、社会課題を解決できるグローバルリーダーを輩出しよう、というミッションを掲げて、海外インターンの企画・運営などをしている団体です。私はその中の一橋支部に所属していて、インターン生のサポートや、組織の運営などをしていました。
就活のときも、アイセックでの経験を中心に話していたかな。

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――アイセックの活動の中で、印象に残っている出来事はありますか?

紫垣さん:出来事というわけではないけど、3年の夏はかなり心に残っています。一番頑張ったし一番つらかった時期なので…。
そのころの私は、委員会の経営とか海外支部の視察とか、4つぐらいの活動を同時並行していたので、めちゃくちゃ忙しかったんです。
でも、この活動は長期的な目線での「将来への投資」的な活動だったので、やってすぐに達成感が感じられるものではなかったんですよね。それで、やり終えても「で、何だっけ?」みたいな気持ちになってしまって。その結果、燃え尽きて息切れ状態になってしまいました。
でもこの経験から、私の中で「達成感」は外せない要素なんだなと気づくことができました。

――つらい経験の中からも学びを得ることができるのは素晴らしいことだと思います。ちなみに、燃え尽きてしまってから、どうやって復活したのですか?

紫垣さん:良い質問ですね!(笑)
達成感不足で燃え尽きてしまったのなら、小さいことから達成感を積み重ねていこうと思って、ある方法を編み出しました。
どういう方法かというと、毎日のスケジュールを細かく立てて、それがどのくらい達成できたかを点数化するんです。今日は80点くらいかな?とか。主観ですけど。(笑) 
で、点数をグラフにして可視化すると、「3日連続で80点越えじゃん!私えらい!すごい!」みたいな感じで、自己肯定感が上がるんです。(笑)そんな風にギアをあげていきました。
少しでも自分を肯定してあげるのは本当に大事です。

インターンで感じた違和感。そこから見えてきた価値観とは

――就活で自己肯定感が削られまくっているのでめちゃくちゃ刺さります…(笑)ちなみに、他には何か活動されていたのですか?

紫垣さん:アイセックの他にも、3年のころに金融系メディアを運営しているベンチャー企業でのインターンをやっていました。
というのも、アイセックは学生NPOという性質上、目標を掲げても、それに対する本気度がどうしても弱くなってしまうというか、どこかで甘えてしまう部分があるなと感じていたんです。それで、より責任のある環境に身を置きたいと思って、始めました。半年くらい続けたかな。

――どうして数あるインターンの中からそのインターンを選んだのですか?

紫垣さん:自分の専門分野である経済学を身近なところにおいておこう、という気持ちからです。大学での学びを生きた学びにしたいという想いがありました。
まあ結局、そのインターンはあまり私には合わなくて、自分はこういうのは好きじゃないんだな、という学びに終わってしまったんですけどね…。

――そうだったんですね。そのあたりを詳しく聞かせていただけますか?

紫垣さん:まず、サービスを「誰に届けるか」よりも「いかに多くの人に届けるか」に主眼が置かれていて、読者の顔が見えてこなかったということがありました。
ビジネスなので、メディアの価値を最大化することに主眼を置くことは当たり前のことですが、私としては、どんな読者が記事を読んで、そこから何の価値を得ているのかをイメージしたかったんです。でも、それができなくて。
そもそも私がメディアとして情報発信するほど金融に関する専門知識を持っていなかったということもあったと思いますが…。
そんな感じで、私にとってはやりがいを感じにくかったんです。

――なるほど。その経験は就活に活きましたか?

紫垣さん:どんな会社が自分にあっているか、という観点で、ひとつの判断軸にはなったかなと思います。
そのインターンを通して、「誰の何のためにやっているのか」という、今自分がやっていることに対する「しっくり感」みたいなものがなければ絶対に頑張れないということに気づきました。
この経験から、もっと自分がやりたいことを考えて、「人生のテーマに向かって頑張ろう」と思うようになりました。

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人生のテーマへの目覚め

――人生のテーマ、ですか。なぜそれを掲げようと思ったのですか?

紫垣さん:きっかけは、2年生になったころにアイセックの活動で出会った、人材コンサルタントをやっていらっしゃる方の言葉でした。
その方が講師を務めるワークショップで、「自分だけの価値基準」や、「『これがあれば人生OK!』と思えるもの」は何かを考えな、と言われてハッとしたんです。自分には「点数」とか「成功・失敗」とか、画一的な価値基準しかないことに気づいて、それを機に一生懸命考え始めました。
とはいっても、ロジカルな考え方は全然できなかったので、色んな記事に載っている大人や、アイセックで出会う大人を見て、ただひたすらに「自分もこういう風になりたい」と思える人を探していました。そうして考え抜いた結果、「社会に居場所の少ない子どもがのびのびと成長できる環境をつくりたい」と思うようになりました。

――そのテーマを決めるにあたって、どんな出会いがあったのですか?

紫垣さん:一番ビビッときたのは、在日外国人のお子さん専用の学童を運営していらっしゃる女性のインタビュー記事です。そこに通っている小学生の学校の担任の先生がこの学童を訪ねたとき、こう語っていたんです。

「この子、小学校では笑っているのを見たことなかったけど、本当はこんなに笑う子だったんですね」

「あ、私がしたいのはこういうことだ」って思いました。本当に、直感でそう思ったんです。だけど今振り返ると、そういう考えに至る道筋は立てられていたなと思います。

――道筋、というと…?

紫垣さん:ひとつは、母親が公民館に地域の子どもたちのための文庫をつくる活動をしていたことです。学校ではおとなしくて全然しゃべらない子が、そこではたくさんの本を借りてすごく熱心に読んでいる姿を見て、子ども心に「この子にとっては学校ではなくてここが居場所なんだなあ」と思っていた記憶があります。そういう経験もあって、ビビッときたんでしょうね。

決断することから逃げていただけの自分

――素敵なテーマを見つけられましたね。そこからは、悩むことなく就活を進めていったという感じですか?

紫垣さん:いえ、そういうわけでもないんです。実は、「そもそもこのまま就活していいのかな?」と悩みながら、ぼやっと就活を続けていたんです。休学して、本当に自分がやりたいことは何なのか、じっくり考える時間を持ちたいなと思って。

お世話になっていた先輩方に、休学しようか悩んでいることを話すと、20代30代の若い社会人の方は、「お、いいじゃん!やりたいことやっちゃいなよ!」みたいな感じでわりと賛成してくださることが多かったのですが、50代くらいの方に同じ相談をすると、口を揃えて「やめとけ」と言われるんですよ。
「ただ決断を先延ばしにしたいだけでしょ?」と、痛いところを突かれました
何か明確な目的がある休学ならともかく、決断を先延ばしにすることが一番の目的の休学はもったいないと。

人生経験なんですかね?私の内面が見透かされているようでした。私も、明確な目的があれば反論もできたと思いますが、そう言われてぐうの音も出なかったんです。
最近は休学をする人がどんどん増えていて、休学が身近な選択肢になっているからこそ、それに甘えていたのかもしれません。
それで、結局休学はやめました。代わりに、今すぐ自分がやりたいことをできる場所を探してみようと思って、4年生になる前の2月からLITALICO(りたりこ)という会社の一拠点でスタッフのバイトを始めました。

――そこではどんなことをしていたのですか?

紫垣さん:簡単に言うと、発達障害のある子どもたちが通う塾の先生です。書く力や話す力、社会的なスキルがあまりない子どもたちに、楽しみながらそういうスキルを身につけてもらえるような環境をつくっていました。
このバイトを始めるとき、自分の設定したテーマが正しいかどうかを確かめたい、という目的があったのですが、ちゃんと合っていました。おかげで、楽しく仕事ができました。

あとは、譲れないものに向かって突き進むだけ

――それは良かった!正しいテーマ設定だったんですね。ところで、本格的に就活を始めたのはいつ頃なのですか?

紫垣さん:一応3年生の時にサマーインターンに応募していたので、その時から動いてはいました。だけど、アイセックの片手間にやっていただけなので全く受からなくて、結局1つも参加していません。それでも、全然焦ってはいませんでした。
結局、ちゃんとやり始めたのは3年の2月ごろです。だけど、2年のときに決めた人生のテーマを、3年になってからインターンやバイトを通じて確かめていたおかげで、やりたいことは絞れていました

――なるほど。ということは、受ける会社も厳選していたのですか?

紫垣さんすごく厳選しました。先ほどお話したLITALICOと、ほかに教育系の会社をもう2社の、計3社しか受けていません。
だけど実は、最初から教育系の道に進むのか、それとも最初は別の場所で修行を積んでから教育系に転身するのか、悩んでいたこともありました。それでも結局、初めから教育系にいくことを選んだのは、テーマだけが理由じゃないんです。

というのも、ずっとAという道で働いてきた人と、「長年別の道でやってきて得たモノを活かしてAで頑張ります!」という人が対峙したら、絶対Aでやり続けた人が勝つだろうなって私は思っていて。10年後から逆算して今必要なスキルが思い浮かべば、別の道からスタートするのもいいかもしれないけど、私には全く具体的なスキルが思いつかなかったんです。だったら最初から自分が行きたい道にいよう、と思った結果、進む道を絞れました。
むしろこっちのほうが、理由としては大きかったかもしれません。

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――ちょっと他のところも見てみよう、とは全く思わなかったのですか?

紫垣さん:一橋生って、メガバンクや外資系銀行を受ける人が多くて、私みたいな人はすごく珍しいんです。だから、正直に言うと、みんなと全く違う選択をしていることに対する不安はあったし、かなり勇気も要りました
だけど、サマーインターンで外資などの面接を受けたこともあって、完全にその選択肢は捨てられました。むしろ、受ける会社を絞ったことによって、選考が進むにつれて同じような志を持っている学生にたくさん出会えて、より気持ちが強くなりました

――譲れないものがあったからこそ、多数派に惑わされず自分の道を歩めたんですね。そのテーマ以外に、持っていた軸みたいなものはありましたか?

紫垣さん決めるときの最終的な判断軸は「人」でした。その会社で働いている人の雰囲気から、自分がのびのび楽しく働けるかどうかをイメージして、会社を選んでいました。楽しく頑張れる環境にいなければ、成長スピードも遅くなるし挑戦心も削がれていくと私は思っているので。

――紫垣さんにとって、楽しく仕事ができる環境ってどんなものですか?

紫垣さん自由かつストイックな環境ですかね…。LITALICOにはそれが揃っていて、すごく風通しがよかったので、ここに決めました。
今も引き続きLITALICOでのバイトはしているのですが、今度は先生ではなく、本社でWebメディア運営に携わっています。「この記事があれば助かる人がたくさんいるじゃん!」と感じながら仕事ができるので、やっていてすごく楽しいし、ウキウキするんです。

終わりに

――のびのびとやりたいことができる会社に巡り会えて良かったですね!では最後に、これを読んでくださっている学生さんに向けて、何かメッセージをお願いします。

紫垣さん:そうだなあ…。「お金を稼ぐ」こと以外で何かやりたいことがあるなら、それに向かって素直に取り組んでみてね、ってことですかね。
これを読んでいる人の中にも、周囲に自分と似たような考えを持っている人がいなくて不安に思っている人がいるかもしれないけれど、広い世界を見渡せば同じ志を持っている人に出会えるはずなので、自信を無くさないでほしいです。
自分らしく心躍る方へ進んでいける素敵な学生が増えればいいなと思うし、そういう人たちと仲間になりたいと私は思っています。

――貴重なお話、ありがとうございました!

取材:中野はな・秦正顕
編集:中野はな

※学年は取材時のものです

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