SPIの能力検査とは
SPIの能力検査は、大きく分けて
「基礎能力検査(言語・非言語)」
「英語検査」
「構造的把握力検査」
の3つがあります。
言語と非言語は国語や数学に近く、基礎的な学力を問う内容。一方、英語は一部の企業でのみ実施され、構造的把握力検査は文章の構造や論理関係を読み取る力が求められます。
それぞれの特徴を理解して、効率よく対策することが重要です。
基礎能力検査とは
SPIの「基礎能力検査」とは、言語分野と非言語分野に分かれ、いわば“考える力”そのものを測るパートです。文章の意味を正しく読み取る力や、数的な情報を整理し、手順を踏んで論理的に解を導き出す力が問われます。
ただの知識量ではなく、「条件を整理し、筋道を立てて考える力」が重視されるのが特徴。日常的な文章や簡単な数式を題材にしているため、地道な演習が得点アップのカギになります。
構造的把握力検査とは
SPIの「構造的把握力検査」とは、複数の文章の論理構造や関係性を正しく読み取り、全体の意味を整理する力を測る検査です。表面的な読解力ではなく、「どの文が主張で、どれがその根拠か」といった構造を見抜く力が求められます。
限られた時間の中で、論理的思考力や要約力、判断力を総合的に活用する必要があり、近年では論理的なコミュニケーション能力の指標として、多くの企業が重視しています。対策には“慣れ”が重要です。
構造的把握力検査の「ものごとの背後にある共通性や関係性を構造的に把握する力」とは
構造的把握力検査で問われる「ものごとの背後にある共通性や関係性を構造的に把握する力」とは、表面的な情報ではなく、その奥にある“つながり”や“仕組み”を見抜く力です。
これは単にテストの中だけで必要な力ではなく、実際のビジネスシーンでもさまざまな場面で求められます。以下のようなシーンで発揮される力です。
【問題に直面したときの対応力】
・複雑なトラブルや課題に対して、原因をただ列挙するのではなく、根本的な構造や因果関係を整理して捉える力
・「なぜこの問題が起きたのか?」を多角的に分析し、改善策を論理的に導く思考プロセス
【新サービスや企画を考えるときの発想力】
・ユーザーの行動やニーズの背後にある“本質的な価値観”や“共通する課題”を見極める力
・単なる思いつきではなく、異なる事象やデータを結びつけて、新たな切り口やアイデアを生み出す構造的な思考
【合意形成・調整を行うときの説得力】
・利害関係が異なる複数の立場を整理し、共通点や論点のズレを明らかにすることで、建設的な合意点を導く力
・感情的な対立ではなく、論理的な土台の上で話を組み立て、相手を納得させる力としても重要
このように、構造的把握力は、日々の業務や人間関係、チームでのプロジェクト推進など、あらゆる場面で活かされる“地頭力”ともいえるスキルです。SPIではこの力を可視化するために、文章や選択肢を使って論理的なつながりを読み取る問題が出題されます。試験対策としてだけでなく、今後のキャリアでも活かせる力として、しっかり身につけておきたい能力といえるでしょう。
構造的把握能力検査を実施している企業の傾向
構造的把握力検査は、特に「思考力」や「論理的な整理力」が重視される業界で導入される傾向があります。具体的には、総合商社、コンサルティングファーム、広告業界、不動産業界などでよく見られます。これらの業界では、膨大な情報の中から本質を見抜き、相手を説得する力や、新たな価値を創出する力が求められるため、単なる暗記型の試験ではなく、構造的な思考力を可視化できる検査が重視されているのです。
志望業界によっては、”構造的把握能力検査”の対策は必須といえるでしょう。
企業が構造的把握能力検査を実施する理由
構造的把握力検査は、単なる暗記や計算力では測れない“地頭力”を可視化できるため、導入する企業も増えているといわれています。その背景には、変化の激しいビジネス環境に対応できる人材を見極めたいという企業側の狙いがあるのです。
問題に対処できる人材か見極めるため
企業が構造的把握力検査を導入する理由のひとつは、「問題に対処できる力」を見極めるためです。現実の仕事では、前例のないトラブルや複雑な状況に直面することが少なくありません。そうした場面で、表面的な情報に振り回されず、本質を見抜いて整理し、最適な解決策を導き出せるかどうかは、非常に重要な資質です。
構造的把握力検査では、複数の文章や要素の関係性を読み解く問題を通して、その人が“物事の構造”を正確に捉えられるかを測っているのです。
アイデアを生み出したり改善する力を判断するため
その他の理由には、「アイデア創出力」や「改善提案力」を見極めたいという意図もあります。新しいサービスや業務改善を考える際には、表面的な課題だけでなく、その背後にある本質的なニーズや構造を捉える力が不可欠です。構造的把握力が高い人は、複数の情報を関連づけて整理し、既存の枠にとらわれずに新たな視点を生み出すことができる傾向が強いといわれています。そうした論理的かつ柔軟な思考力は、変化の激しいビジネス現場で大きな価値を発揮するのです。
相手を納得させる力を判断するため
また、ほかの理由のひとつには、「相手を納得させる力=説得力」を判断したいという意図もあります。
どれほど良いアイデアや分析結果があっても、それを論理的に整理し、相手に伝わる形で説明できなければ、ビジネスの現場では意味をなしません。特に社内での企画提案やクライアントとの折衝など、合意形成が必要な場面では、主張と根拠の関係をわかりやすく整理し、相手にとって納得感のある形で伝える力が求められます。構造的把握力が高い人ほど、話の筋道を意識しながらコミュニケーションを進める力も強いため、企業としてもこのスキルを重視する傾向があります。検査を通じて、「伝える力の土台」となる思考構造を把握しようとしているのです。
構造的把握力検査の問題例
構造的把握力検査は、問題の形式に独特のクセがあり、初見では戸惑いやすい科目です。文章の構造や論理関係を見抜く力が問われるため、出題パターンを知っておくことが得点アップの近道になります。
問題例①
次の文の構造と同じ関係になっているものを、選択肢の中から1つ選びなさい。
【例題】
A:この企画は失敗に終わった。
B:それは、社内での調整不足が大きな原因だ。
C:しかし、チャレンジした意義は大きかった。
【選択肢】
①
A:プロジェクトは無事成功した。
B:それは、全員の協力があったからだ。
C:今後もこの体制を続けていきたい。
②
A:新商品の売上が伸び悩んでいる。
B:それは、宣伝不足が原因だと考えられる。
C:だが、品質には自信がある。
③
A:売上は昨年を上回った。
B:その要因は価格改定だろう。
C:社員のモチベーションも高まっている。
④
A:この案は採用されなかった。
B:内容が抽象的すぎたからだ。
C:一方で、新たな視点を得る機会にはなった。
【正解】
④
【解説】
この問題のポイントは、「3文それぞれの論理的なつながり方」を読み解くことです。
A文:結果
B文:その理由・原因
C文:別視点からのポジティブな評価(逆説)
つまり、「失敗」→「原因説明」→「だが価値はあった」という構造になっています。
これと同じパターンになっているのが選択肢4です。
A:採用されなかった(結果)
B:内容が抽象的だった(原因)
C:だが、新たな視点を得た(逆説的な評価)
構造的把握力検査では、内容の良し悪しではなく、文章同士の関係性を見抜くことが求められます。慣れていないと感覚で選んでしまいがちですが、こうして構造を「型」で捉えることで、確実に得点できるようになります。
問題例②
次の文を意味の通る順番に並べかえたとき、3番目にくる文はどれか。
【選択肢】
A:ただし、すべての顧客にとって最適とは限らない。
B:この商品は、ユーザーの声を反映して設計されている。
C:そのため、使いやすいと評価されることが多い。
D:一部の専門的なニーズには応えきれていないからだ。
【正解】
A
【解説】
このタイプの問題は、文章同士の因果関係や対比の構造を捉える力が問われます。
ただ単に文の意味を理解するだけでなく、「どの文が話の導入で、どれが理由説明か」「逆説的な展開がどこで入るか」といった、全体の流れ=構造を読み解く必要があります。
■文の並び替えの思考プロセス
①まず導入文を探す
→ Bの「この商品は〜」が自然な出発点。ここで話題が提示されます。
②次に、それを受けた評価や展開を探す
→ C「そのため〜」はBを受けており、「ユーザーに配慮されている→使いやすいと評価」へ。
③その後に逆説が登場
→ A「ただし〜」で話の流れにブレーキをかけています。
④逆説の理由を補足
→ Dは「専門的ニーズには応えていない=最適とは限らない理由」にあたります。
■最終的な正しい順番:
B → C → A → D
このように、文章の順番を正しく並べるには、それぞれの「文の機能(主張・理由・対比・補足など)」を読み取り、構造的に整理する力が求められます。感覚で選ばず、論理的な接続を意識すると正答率がグッと上がるでしょう。
構造的把握力検査の中でも、このタイプは比較的差がつきやすい問題なので、繰り返し練習しておくのがおすすめです。
構造的把握力検査で高得点をとるためのポイント
構造的把握力検査で高得点を狙うには、感覚に頼らず「文章同士の関係性」や「構造の型」を意識することが重要です。問題のパターンに慣れることで、論理の流れを素早く整理できるようになるでしょう。
得点アップにつながる具体的な対策やコツについて、みていきましょう。
対策本を解く
構造的把握力検査で高得点を狙う上で、最も基本的かつ効果的な対策が「対策本を繰り返し解く」ことです。この検査は、出題形式に独特のパターンがあるため、初見では戸惑う受験者も少なくありません。しかし、実際の問題に近い形式の演習を重ねることで、「文の構造を意識する力」や「関係性を整理するコツ」が自然と身につきます。特におすすめなのは、SPI専用の問題集や模試形式の参考書。解説が丁寧なものを選べば、なぜその選択肢が正解なのか、どこで論理がずれているのかを言語化しながら理解できます。単に“正解を覚える”のではなく、“構造の型を見抜くトレーニング”として取り組むことが、得点力の底上げにつながります。
本番通りの制限時間で解く
構造的把握力検査は、じっくり考えれば解ける問題が多い一方で、限られた時間内に正確に処理する力も求められます。そのため、対策本を解くときから「本番を想定した制限時間内で解く」ことが非常に重要です。時間を測らずに解いていると、実力がついてきたように感じても、実際の試験では時間切れになるケースが多くあります。特に、設問ごとの論理構造を整理するには、瞬時に文章の関係性を読み取るトレーニングが必要です。
本番と同じ緊張感で演習を重ねることで、思考のスピードと正確性が同時に鍛えられ、得点力アップにつながるでしょう。
構造的把握力検査以外の分野も勉強する
構造的把握力検査で高得点を目指す上で意外と見落とされがちなのが、「ほかの分野の勉強も併せて行うこと」です。SPIの構造的把握力検査は、単独で出題されるとは限らず、基礎能力検査(言語・非言語)や英語能力検査とセットで実施されることが多いからです。特に時間配分や集中力の持続は、全体の構成を理解していなければ対策しづらいポイントでしょう。
また、他分野での論理的思考や読解スキルも、構造的把握力の問題を解く土台となる力を育ててくれます。全体的な得点力を底上げする意味でも、SPI全体を見渡した学習が大切なのです。
まとめ
SPIの構造的把握力検査は、文章の構造や論理関係を正確に読み解く力を測る科目です。一見とっつきにくく感じるかもしれませんが、出題傾向を理解し、問題演習を重ねることで着実に得点力は伸びていきます。ビジネスの現場でも活かせる「思考の土台」を養うチャンスと捉えて、計画的に対策していきましょう。
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