鉄道業界とは??
鉄道業界は、人やモノの移動を支える重要な社会のインフラです。都市部の通勤通学はもちろん、地方の観光や物流にも欠かせない存在で、在来線や新幹線、貨物輸送といった多様な形で活躍しています。交通だけでなく、不動産や商業施設などを手がける企業も多く、地域との結びつきが強いのも特徴です。
・在来線
・新幹線
・貨物輸送
鉄道業界の基本的な役割を、上記3つに分けて解説します。
在来線
在来線は、都市部から地方まで日本全国を網羅する鉄道網で、通勤・通学・買い物・観光など、日常生活に欠かせない移動手段です。運行距離が長く、駅数も多いため、地域ごとのニーズに合わせたダイヤ設定が行われています。
普通列車、快速列車、特急列車など多様なサービスが展開されており、鉄道会社によっては観光列車の運行や地域振興イベントも実施し、地域経済の活性化に貢献しているという特徴もあります。
新幹線
新幹線は、長距離移動をスピーディかつ快適に実現する高速鉄道で、日本の技術力を象徴する存在です。
都市間を短時間で結ぶ交通手段としてビジネス客や観光客に広く利用されており、時間の正確さや安全性の高さでも世界的に評価されています。運行ダイヤの設計や車両メンテナンス、駅でのサービス業務など、携わる仕事は多岐にわたります。また、地域経済の活性化や災害時の迅速な対応など、社会的な役割も大きいことも特徴の1つです。
貨物輸送
鉄道による貨物輸送は、トラックでは対応が難しい長距離の大量輸送に強みを持ち、日常生活に欠かせないモノの流れを静かに支えています。例えば、食品や日用品、工業製品などがコンテナに積まれ、全国を移動しています。
特徴的なのは、二酸化炭素の排出量が少なく、環境への負荷が低いこと。最近では「脱炭素」や「物流の2024年問題」なども背景に、注目度が高まりつつあります。
鉄道業界の職種
鉄道業界には、列車の運行を支える仕事だけでなく、多彩な職種があります。
例えば、新たな移動体験を企画する開発系の職種や、駅や車内で直接お客様と接するサービス職、地域と連携した営業・販売促進、不動産開発まで、幅広い職種で業界に携わることができるのです。
管理・整備
鉄道業界における「管理・設備」の仕事は、鉄道インフラの安全性と快適性を守るうえで欠かせない存在です。
例えば、線路やトンネル、橋梁といった鉄道施設の点検や保守作業は、日々の安定運行を支える重要な業務のひとつです。さらに、駅構内の設備や電気系統の管理、故障時の修理対応なども担当し、利用者が安心して鉄道を利用できる環境づくりに貢献します。加えて、地震や豪雨といった災害時には、速やかな復旧作業や安全対策の立案にも関わります。
高度な専門知識と技術に加え、安全を守るという強い責任感が求められます。鉄道を支える縁の下の力持ちとして、社会的にも大きな意義を持つポジションでしょう。
サービス開発
サービス開発の仕事は、鉄道をただの移動手段にとどめず、「乗る楽しさ」や「駅を使う楽しさ」を生み出すことを目的としています。
例えば、ICカードやQRコードを活用した新しい乗車システムの開発や、観光列車・イベント列車の企画を通じた旅行需要の創出が挙げられます。駅ナカ商業施設や周辺エリアのサービス企画・プロモーションにも関わり、鉄道と暮らしをつなげる役割を果たしています。
利用者の視点に立つ発想力と、時代の変化を捉える柔軟さが求められる、創造性の高い分野でしょう。
サービス提供
サービス提供の仕事は、駅や車内といった現場で利用者と直接向き合い、鉄道を安心・安全かつ快適に利用してもらうための対応を行う職種です。
例えば、駅での案内や改札業務、車内でのアナウンスや乗客対応を担う車掌の役割、さらには列車の運転そのものを担う運転士の仕事もここに含まれます。利用者と接する最前線に立つからこそ、丁寧なコミュニケーションやその場に応じた判断力が求められるでしょう。
現場での一つ一つの行動が、鉄道の信頼性や会社のイメージに直結する、責任とやりがいのある仕事です。
営業・販売促進
営業・販売促進の仕事は、鉄道事業の収益を向上させるために、さまざまなアイデアを形にしていく役割を担っています。鉄道サービスの魅力を伝え、より多くの人に利用してもらうための仕組みづくりが業務の中心です。
例えば、定期券や旅行商品の販売を促進したり、新たな利用者層を取り込むためのマーケティング施策を立案したりと、活動の幅は広がります。また、地域と連携したイベントやキャンペーンの企画・運営にも携わり、鉄道と地域社会をつなぐ橋渡しの役割も果たします。
売上に直結するポジションだからこそ、自分の発想や工夫が成果として見えやすい分野でしょう。
不動産開発
不動産開発の仕事は、鉄道会社が所有する土地や建物を活用し、新たな収益を生み出すことを目的としています。駅ビルや商業施設の企画・開発をはじめ、マンションやオフィスビルの建設・運営にも携わります。鉄道事業に依存しない経営基盤を築くため、不動産事業は年々重要性を増しています。
また、土地活用プロジェクトを通じて街づくりに関わる場面も多く、地域とともに成長していけるやりがいのある分野でしょう。
鉄道業界の動向とは?
鉄道業界では、旅客数の減少や収益構造の変化といった課題に対応すべく、各社がさまざまな取り組みを進めています。
ここでは、近年とくに目立つ4つの動向を取り上げてご紹介します。
①旅客数減少への対応
少子高齢化の進行やテレワークの定着を背景に、鉄道の利用者は全国的に減少傾向にあります。特に地方では人口減少の影響が顕著で、運行本数の見直しや赤字路線の存続をめぐる議論が活発化しています。
こうした状況を受け、鉄道各社は自治体と連携しながら、ダイヤの最適化や需要に応じた柔軟な運行体制への見直しを進めているところです。
また、観光資源を生かした列車の運行や、イベント列車といった新しい利用シーンの創出にも力を入れています。ただ減便するだけでなく、地域と共に価値をつくる姿勢が求められており、今後はより柔軟で持続可能な運営スタイルへの転換がカギを握りそうです。
②非鉄道事業の拡大
近年、鉄道業界では運賃収入だけに依存しない経営体制の確立が重要な課題となっています。こうした背景から、商業施設やホテル、不動産など、非鉄道分野への展開を加速させる企業が増えています。
特に駅周辺の再開発や駅ナカ事業の拡充は、収益源の多様化に大きく貢献しており、駅直結型のショッピングモールやオフィスビルを整備することで、鉄道利用者以外の集客も可能になりました。また、ホテルやリゾート施設の運営によって観光需要の取り込みも図られており、安定した収益を確保するための戦略として注目されています。
③事業の多角化戦略
鉄道会社の役割は、いまや「交通インフラを提供する企業」にとどまりません。観光、物流、ITなどの分野に事業を広げる動きが活発になっています。
例えば、地域の観光資源を生かしたツアー企画や、鉄道輸送と連動した物流サービスの強化など、多様な領域での展開が進んでいます。
近年では、EC需要の増加を受けて、鉄道貨物のスピード化・効率化に取り組む企業も増加しています。また、IoTやAI技術を活用した次世代サービスの導入も進んでおり、運行管理の自動化やスマホによるチケットレス乗車といった便利な仕組みが広がりつつあります。
こうした取り組みは、利便性の向上だけでなく、業務の効率化にもつながっています。事業の多角化を進めることで、鉄道会社は安定した収益確保と新たな成長の柱を模索しており、単なる交通手段にとどまらない企業像が求められ始めています。
④地域密着型のサービス展開
地域と深く関わる取り組みも、いまの鉄道業界では欠かせないテーマとなっています。
観光列車の運行や地域イベントへの参加を通じて、地元住民や観光客との接点を増やす活動が各地で展開されています。特産品をテーマにした列車の運行や、地元企業と連携したプロモーションなど、ユニークな施策も数多く見られます。
こうした取り組みによって、鉄道の利用促進と地域経済の活性化が同時に進められており、鉄道は移動手段としてだけでなく、地域の魅力を伝える存在としての役割も担いつつあります。これからの鉄道会社には、地元と共に歩む姿勢がより一層求められるでしょう。
JR主要3社の特徴・強み
JRとは、1987年の国鉄民営化によって誕生した鉄道会社グループで、現在は6つの旅客会社と1つの貨物会社で構成されています。
なかでも、JR東日本・JR東海・JR西日本の3社は、それぞれの営業エリアや事業方針に違いがあり、個性や強みも異なります。
そんな主要3社について、特徴や事業内容、今後の展望などを詳しく見ていきましょう。
JR東日本(東日本旅客鉄道)
特徴 関東・東北を中心に広範囲をカバー。日本最大規模の利用者数を誇る旅客鉄道会社。山手線・中央線・東北新幹線などを運行。
強み 圧倒的な輸送力と収益力。Suica事業や駅ビル開発など非鉄道事業も充実。
事業内容 旅客鉄道/不動産/流通(アトレ・ルミネ等)/ホテル・レジャー/情報通信/MaaSなどのデジタル交通サービス
今後の展開 スマートシティ構想の推進/Suicaの機能拡張とグローバル展開/地方創生に向けた再開発事業/環境配慮型の移動サービスの開発
募集職種 運輸系/技術系/事務系/IT系/都市開発系(建築・土木など)
JR東日本は、関東・東北・甲信越エリアを中心に、広大な路線網を展開している旅客鉄道会社です。日本全国にあるJR旅客会社のなかでも、規模・利用者数ともに最大を誇ります。
首都圏では山手線や中央線といった通勤通学の基幹路線を運行し、新幹線では東北新幹線や上越新幹線を通じて、地方都市と東京を結んでいます。日々、膨大な数の人がJR東日本の鉄道を利用しており、その存在感は群を抜いています。
こうした交通インフラとしての役割に加えて、JR東日本が持つもう一つの強みは、その事業領域の広さにあります。駅ビルやショッピング施設の運営、Suicaを中心としたICカード関連事業、ホテルや飲食、流通まで、多角的なビジネスを展開しています。鉄道以外の分野でも収益源を確保しており、それが経営の安定性を支えています。
Suicaは単なる乗車カードではなく、今や日常の買い物や支払いにも活用されるインフラ的存在となっています。このように、JR東日本は私たちの生活に自然に入り込んでおり、「鉄道会社」という枠を越えて、暮らしをつくる企業へと進化しつつあります。
さらに、スマートシティの実現や地方創生を見据えた都市開発にも積極的です。Suicaのさらなるデジタル化や、MaaS(Mobility as a Service)といった次世代モビリティ分野にも着手しており、移動の利便性だけでなく、地域や社会全体の課題解決にも取り組んでいます。
採用では、運輸・技術・事務に加え、都市開発系(建築・土木)やIT関連など、幅広い分野の職種が用意されています。鉄道やまちづくりに関心のある人はもちろん、デジタル技術を駆使して社会に新しい価値を提供したいという志向を持つ学生にとっても、挑戦できるフィールドが広がっているでしょう。
JR東海(東海旅客鉄道)
特徴 東海道新幹線を中心に運行。東京〜大阪間の大量輸送を支える。リニア中央新幹線の建設も進行中。
強み 東海道新幹線による高い収益力。安全性や定時運行に強み。技術開発にも積極的に取り組んでいる。
事業内容 旅客鉄道(新幹線中心)/リニア中央新幹線の開発/車両整備・点検業務/技術開発
今後の展開 リニア中央新幹線の開業に向けた取り組み/老朽化した施設の更新工事/環境に配慮した新技術の導入
募集職種 技術系(機械・電気・土木・建築)/運輸系(車掌・運転士)/事務系(営業・企画・管理)
JR東海は、東京・名古屋・大阪という日本の三大都市を結ぶ「東海道新幹線」を主軸に、国内でも特に重要な交通インフラを担っている鉄道会社です。東海道新幹線はJR東海の収益の大部分を占めており、同社の経営を支える主要な事業となっています。
最大の強みは、やはりこの東海道新幹線の存在にあります。スピード、正確さ、安全性のいずれにおいても世界トップクラスの水準を維持し、多くのビジネスパーソンや観光客の足として厚い信頼を得てきました。
加えて、JR東海は次世代を見据えた技術開発にも力を注いでいます。その象徴ともいえるのが「リニア中央新幹線」プロジェクトです。時速500キロ超という圧倒的なスピードを可能にするリニアモーターカー技術は、従来の鉄道とはまったく異なる仕組みで、国内外から大きな注目を集めています。
※リニア中央新幹線の開業は当初2027年を予定していましたが、静岡県内のトンネル工事の未承認などにより、開業時期は現在未定です。
もちろん、既存のインフラにも丁寧に向き合っています。東海道新幹線では、老朽化対策や災害対応の強化、さらには省エネ車両の導入など、安全と環境への配慮を両立させる施策が進められています。最先端の技術と地道な保守管理が両輪となり、長年にわたって安定運行を支えている点も見逃せません。
今後のJR東海にとっての大きなテーマは、リニア中央新幹線の円滑な開業を実現すること、そして既存インフラの維持・高度化を両立させていくことです。高速化だけでなく、持続可能性や地域社会との調和も視野に入れた事業運営が問われていく時代に入っています。
採用分野は、機械・電気・土木・建築などの技術系を中心に、運輸・事務系も含めて幅広い職種があります。インフラを支える仕事に興味のある方はもちろん、最先端のモビリティ開発に携わってみたいという意欲を持った学生にとっても、大きなやりがいを感じられる環境が整っているでしょう。
JR西日本(西日本旅客鉄道)
特徴 関西・中国・北陸エリアを広くカバー。都市部と地方路線の両方を支える幅広いネットワークを持つ。
強み 地域密着型の取り組みや観光資源を活かした列車企画が強み。都市圏の輸送と地方創生の両立を目指している。
事業内容 旅客鉄道/観光列車運行/不動産・ホテル事業/駅ビル開発/ICT・AIを活用したサービス開発
今後の展開 観光資源の活用強化/地域と連携したまちづくり/デジタル技術を使った利便性向上/安全対策の高度化
募集職種 運輸系/技術系/事務系/地域連携・まちづくり系など、多様な職種で採用を実施中
JR西日本は、大阪・京都・神戸といった関西の主要都市から、広島、博多に至るまで、西日本エリア全体を広くカバーする旅客鉄道会社です。
関西圏の通勤・通学路線はもちろん、中国地方や九州北部にかけての地方路線、そして山陽新幹線などの幹線輸送まで、多様な運行ネットワークを有しています。都市部の利便性と地方の移動手段、その両方を支える存在として、日々多くの人の暮らしを支えているのが同社の大きな特徴です。
同社の強みは、都市間輸送と地方路線の両方を担うバランスの良さにあります。大阪や京都といった大都市の鉄道需要に応えつつ、観光地や地域都市を結ぶ列車の運行にも注力しています。こうした広がりのある路線網を背景に、多様なニーズに柔軟に応えられる体制を築いています。
また、地域に根ざしたサービス展開にも力を入れてきました。
例えば、豪華観光列車「トワイライトエクスプレス瑞風」は、列車での移動を“旅の主役”に変える取り組みとして注目を集めました。鉄道を軸にした体験価値の提案は、他のJR各社と比較してもユニークな取り組みと言えるでしょう。加えて、駅を中心としたまちづくりプロジェクトにも積極的で、地域社会との接点を大切にしながら事業を広げています。
今後の方向性としては、沿線地域との連携をさらに深め、「地域とともに未来をつくる」まちづくりへの取り組みが強化される見通しです。観光需要の拡大も大きなテーマのひとつであり、AIやICTを活用した新サービスの開発などデジタル技術にも力を注いでいく方針です。単なる移動手段を超えて、地域の課題に寄り添い、暮らし全体を豊かにしていく企業像が求められています。
採用の面でも、運輸系・技術系・事務系のほか、まちづくりや地域連携といった分野への職種展開が進んでいます。インフラだけでなく、地域社会と関わりながら働きたいと考える学生にとって、JR西日本は多くのチャンスが広がる職場といえるでしょう。
私鉄主要5社の特徴・強み
私鉄とは、国が運営する鉄道とは異なり、民間企業が主体となって運行している鉄道会社のことを指します。地域に根づいた交通網として、通勤や通学といった日々の移動を支えているだけでなく、沿線エリアのまちづくりや観光の活性化にも深く関わってきました。
私鉄各社はそれぞれに個性を持ち、地域に寄り添った独自の取り組みを展開しています。ここでは、数ある私鉄の中でも特に知名度が高く、規模も大きい5社をピックアップし、それぞれの特徴や強みを解説していきます。
小田急電鉄
特徴 東京・神奈川を中心に展開。新宿と小田原・江ノ島を結ぶ路線を持つ。
強み 観光資源が豊富(箱根・江ノ島)で沿線ブランド力が高い。
事業内容 旅客鉄道/観光(箱根グループ)/不動産開発/ホテル・レジャー
今後の展開 観光強化・MaaS展開・環境対応型の地域連携プロジェクトの推進
募集職種 運輸系/事務系/技術系/観光・ホスピタリティ系
小田急電鉄は、新宿から小田原・箱根・江の島方面へと伸びる路線網を中心に、東京都と神奈川県の広いエリアをカバーしています。通勤・通学に欠かせない都市の足である一方、週末や休暇には観光地へのアクセス路線としても親しまれており、日常と非日常の両方に寄り添う存在とされています。
同社の最大の魅力は、都心と自然豊かな観光地の両方を沿線に抱えている点にあるでしょう。日々の暮らしを支える便利な移動手段であると同時に、箱根や江の島といった名所への玄関口として、多くの旅行者にも利用されています。
中でも「ロマンスカー」は、小田急の代名詞ともいえる存在です。洗練されたデザインと快適な乗り心地を兼ね備えた特急列車は、“移動すること”そのものを楽しみに変えてくれます。日常の延長にある小さな贅沢を提供してくれるその姿勢は、多くのファンを惹きつけてきました。
近年は、電車・バス・タクシー・シェアサイクルといった多様な移動手段をスマートフォンひとつでシームレスに利用できる「MaaS(Mobility as a Service)」の実現にも力を入れています。加えて、環境配慮型の車両導入や省エネ設備の整備など、サステナブルな移動を支えるインフラ整備も進行中です。沿線自治体と連携したまちづくりにも積極的に関わり、単なる鉄道会社を超えた存在をめざしています。
採用職種は、運輸、事務、技術にとどまらず、観光やホスピタリティといった分野にも広がっています。都市の利便性と自然のやすらぎ、その両方に関わる仕事をしたいと考える学生にとって、小田急電鉄は魅力あるフィールドといえるでしょう。
東武鉄道
特徴 関東最大級の私鉄。浅草・池袋から北関東への広大な路線網を展開。
強み 大型ターミナルとの接続や直通運転により、利便性が高い。沿線開発にも積極的で地域密着型の運営が強み。
事業内容 旅客鉄道/不動産開発/流通事業(東武百貨店など)/観光業
今後の展開 インバウンド観光の受け入れ強化や、主要駅周辺での再開発・地域連携の推進
募集職種 運輸系/技術系/事務系/まちづくり系
東武鉄道は、東京の浅草や池袋を起点に、埼玉・群馬・栃木といった北関東エリアまで広がる関東有数の私鉄です。特急「スペーシア」や「リバティ」などを運行し、日光・鬼怒川方面への観光アクセスを支える一方で、日々の通勤・通学の足としても多くの人に利用されています。
同社の魅力のひとつは、首都圏と北関東を結ぶ広大なネットワークと、その輸送力の大きさにあります。とりわけ世界遺産・日光へと向かうルートは、国内外からの旅行者にも好評で、沿線の文化や自然の魅力を伝える役割も果たしています。
また、東武の路線には乗り換えなしで都心までアクセスできる系統が多く、毎日の通勤のしやすさを実感している利用者も少なくありません。こうした直通運転の多さは、暮らしの利便性と快適さの両立につながっており、日常と旅のどちらにも強い鉄道として支持されています。
さらに、鉄道事業にとどまらず、駅周辺の再開発やまちづくりにも積極的に関与してきました。大型商業施設やホテルなどを含む複合開発を通じて、鉄道が街の中心となるような空間づくりを進めています。都市の未来に関わる存在として、東武は着実にその役割を広げているといえるでしょう。
採用面でも、運輸・技術職に加え、都市開発や地域連携といった分野の仕事も用意されており、活躍の場は幅広く展開されています。鉄道を軸に、地域とともに成長していく仕事に魅力を感じる学生にとっては、面白いフィールドが待っているはずでしょう。
東急電鉄
特徴 渋谷を中心に東京・横浜エリアを結ぶ。都市型鉄道として通勤・通学需要が高い。
強み 鉄道とまちづくりを一体で進める「東急モデル」。利便性と生活の質を両立した沿線づくりを展開。
事業内容 旅客鉄道/都市開発/商業施設運営(渋谷ヒカリエなど)/教育・介護/エネルギー事業
今後の展開 スマートシティの実現/地域と連携した共創型のまちづくり/持続可能な都市環境の整備
募集職種 運輸系/技術系/IT・情報/開発・デザイン/まちづくり関連
東急電鉄は、渋谷を起点に東京から横浜方面へと路線を伸ばす都市型の私鉄です。東横線や田園都市線といった主要路線を中心に、都心と郊外をバランスよく結ぶネットワークが構築されており、通勤や通学はもちろん、日々の買い物や週末のお出かけにも便利な足として親しまれています。
同社ならではの特徴は、「鉄道」と「まちづくり」を一体で捉えているところにあります。
沿線には渋谷、自由が丘、二子玉川といった人気エリアが点在し、どこも住みやすさと洗練された街並みが共存するのが魅力。実際、住みたい沿線ランキングでも常に上位に名を連ねるなど、暮らしの質にこだわる人たちから高い支持を集めています。
事業の範囲も鉄道にとどまりません。駅直結の商業施設の運営や大規模な再開発、さらには教育・介護など生活インフラ全般にまで事業を広げており、「暮らしをまるごと支える企業」としての存在感を強めています。
近年はスマートシティの実現に向けた取り組みにも注力しています。
センサーやIT技術を活用して駅の混雑状況をリアルタイムで可視化したり、地域情報を一括で取得できるアプリを開発したりと、都市の利便性そのものを底上げする挑戦を続けています。
また、環境問題への意識も高く、カーボンニュートラルの実現を視野に入れた取り組みも本格化しています。
太陽光・風力といった再生可能エネルギーの導入や、電力消費を抑える鉄道車両の開発、省エネ型駅舎の整備など、持続可能な未来の都市づくりにもまっすぐに取り組んでいます。
募集されている職種も多彩で、運輸・技術・事務はもちろんのこと、都市開発やデザイン、IT領域まで幅広く展開。鉄道にとどまらず、まちそのものをつくる仕事に関心がある学生にとって、東急電鉄はまさにその挑戦の舞台となるでしょう。
阪急電鉄
特徴 大阪・京都・神戸を結ぶ、関西エリアの都市型路線。住宅地開発と鉄道運営の先駆け的存在。
強み 沿線の暮らしや文化を大切にする経営。高いブランド力と街への愛着。
事業内容 旅客鉄道/不動産/流通/ホテル/文化施設(劇場・美術館)など多角化
今後の展開 芸術・文化とまちをつなぐ取り組み/観光列車の充実/地域と連携した持続可能なまちづくりの強化
募集職種 運輸系/事務系/技術系/文化・観光推進系
阪急電鉄は、大阪・京都・神戸といった関西の主要都市を結ぶ都市型の私鉄です。
梅田をターミナルに広がる路線網は、通勤や通学に便利なだけでなく、沿線に暮らす人々のライフスタイルや文化とも深く結びついています。
実は、日本で初めて私鉄が住宅地を開発するという手法を取り入れたのも阪急なのです。その歴史をひも解けば、「鉄道とまちづくりはセット」という思想の先駆者であることがわかります。
阪急の魅力は、単に電車を走らせるだけにとどまりません。沿線そのものを「住みたい街」へと育ててきた実績があります。洗練されたカフェやショップが並ぶ街並み、緑の多い住宅エリアなど、阪急沿線には「日々の暮らしが少しだけ豊かに感じられる風景」が広がっています。
また、文化の発信地としての顔も見逃せません。宝塚大劇場や阪急うめだ本店といった施設は、その象徴とも言える存在です。電車に乗るだけでなく、「文化を運ぶ」役割を果たしてきたのが阪急です。観光列車や沿線イベントなども積極的に展開し、街と人のつながりを自然に生み出す仕掛けを多数打ち出しています。
近年は、地域とともに街を育てる「共創型まちづくり」にも力を入れています。これは、鉄道会社が一方的に開発を進めるのではなく、地域の人たちとアイデアを出し合いながら、街の姿を一緒につくっていくという考え方です。
例えば、駅前スペースを地域の人々と一緒にイベント会場として活用したり、住民の声を取り入れて新たな店舗のコンセプトを練ったり、などがあげられます。
採用の面でも、運輸や技術、事務などの基本的な職種に加え、観光や文化事業に関わるポジションもあります。街づくりに携わりたい人、地域と深く関わる仕事を求めている人にとって、阪急はぴったりの舞台になるでしょう。
近畿日本鉄道(近鉄)
特徴 日本最長の私鉄路線網。近畿エリアを中心に、都市と観光地をつなぐ広域輸送に強みがある。
強み 長距離・広域の鉄道輸送に対応。伊勢志摩・吉野など観光資源も豊富で、旅行との相性がよい。
事業内容 旅客鉄道/観光業(近鉄グループ)/バス・タクシー/レジャー・流通/不動産など多角的に展開
今後の展開 沿線開発と観光振興の両立/次世代型まちづくり/国際観光への対応強化
募集職種 運輸系/技術系/事務系/観光・国際交流系
近畿日本鉄道は、三重・奈良・大阪・京都など、関西を中心に広大な路線網を展開している私鉄です。その総営業距離は日本でも最大級を誇り、通勤や通学はもちろん、観光地へのアクセスとしても多くの人に利用されています。まさに日常と旅の両方を支える存在といえるでしょう。
近鉄のいちばんの魅力は、「日常」と「観光」のちょうど真ん中にいるような存在感です。
大阪や京都など都市部での移動に使われる一方、伊勢志摩や吉野といった観光地へ向かう列車としても親しまれています。特急「ひのとり」や「しまかぜ」といった豪華列車は、旅の時間をより特別なものにしてくれるでしょう。
また、鉄道だけでなく、観光施設やホテル、バス・タクシー事業も手がけており、近鉄グループ全体で「移動と滞在」をトータルにサポートしています。旅行の入口から滞在先まで一体で支えるこのしくみは、近鉄ならではの強みだといえるでしょう。
最近では、インバウンド(訪日外国人旅行者)への対応も強化されており、多言語案内やWi-Fi整備、国際PRなども積極的に進められています。さらに、観光だけでなく、地域と連携したまちづくりの取り組みも拡大しており、長く愛される沿線づくりを目指しているようです。
募集職種は、運輸・技術・事務に加え、観光や国際交流といったフィールドも用意されています。鉄道の枠をこえて、旅や地域とのつながりを仕事にしたい人にとって、近鉄はぴったりのステージになるでしょう。
鉄道業界の年収・主力事業比較まとめ
鉄道会社といっても、それぞれの事業規模や収益構造、展開エリアには違いがあります。
これまで紹介してきたJR3社と私鉄5社のあわせて8社を対象に、年収・売上高・利益率・主力事業・営業範囲などをまとめました。
企業名 平均年収 売上高 営業利益率 主力事業 営業範囲
JR東日本 約725万円 2,887,553
(百万円 ) 約13% 旅客鉄道・不動産・流通 東日本(関東〜東北)
JR東海 公式情報なし 1,831,847
(百万円) 約38% 東海道新幹線・リニア開発 東海道(東京〜名古屋〜大阪)
JR西日本 公式情報なし 1,707,944
(百万円) 約10% 旅客鉄道・地域密着型事業 西日本(関西〜中国地方)
小田急電鉄 約735万円 409,837
(百万円) 約12% 鉄道・観光・不動産 東京〜神奈川
東武鉄道 約677万円 635,964
(百万円) 約12% 鉄道・流通・観光 東京〜北関東
東急電鉄 公式情報なし 1,037,819
(百万円) 約9% 鉄道・開発・IT 東京〜神奈川〜横浜
阪急電鉄 公式情報なし 997,611
(百万円) 約11% 鉄道・文化・不動産 大阪〜京都〜神戸
近畿日本鉄道 公式情報なし 1,629,529
(百万円) 約5% 鉄道・観光・地域交通 三重〜奈良〜大阪〜京都
※記事執筆当時(2025年5月4日)時点の情報です
数字を通して見ることで、各社のビジネスの強みや経営の特徴がより具体的に浮かび上がってきます。単に鉄道会社として一括りにせず、事業の幅や収益性の違いを踏まえて、それぞれの会社の個性を理解しておくことが大切です。
鉄道業界で活躍するのに必要なスキル
鉄道業界で働くうえで、何より大切になるのは「安全」と「信頼」を守り続ける意識です。どの職種であっても、人の移動を支えるという社会的な責任が土台にあります。
それぞれの現場で求められるスキルや特性も異なるため、自分の強みや志向と照らし合わせて理解しておくことが大切です。
職種 求められるスキル
技術職
(施設・車両・電気・ITなど) 設備の点検やトラブル対応のスキル
技術や機械への基本的な理解力
正確で冷静に作業を進める集中力
サービス職
(駅係員・車掌・乗務員など) 丁寧な接客と安心感を与える対応力
状況に応じた判断力と落ち着いた行動
相手を思いやる気配りと会話力
事務・企画職
(総合職・間接部門など) チームで動くための調整・連携力
データ整理や書類作成の正確さ
柔軟な発想と業務改善への前向きさ
このほかにも最近では、ICTやAIを活用した混雑状況の見える化やキャッシュレス決済、駅のスマート化など、新しい取り組みも広がっています。こうした変化に対応するには、技術への関心や、柔軟に変化を受け入れる姿勢が大切です。
そして何よりも、「人の役に立ちたい」「誰かの安心を支えたい」という思いが原動力になります。鉄道は単なる移動手段ではなく、日々の生活を支える社会インフラです。だからこそ、自分の力を社会の中で生かしたい人にとって、大きな可能性を持つ業界だといえるでしょう。
鉄道業界の就活で有利になる自己PRの書き方
自己PRでは、自分の強みをただ並べるだけでなく、「どんな場面で強みが発揮されたか」「その強みはどう役立ったのか」などを具体的に伝えることが大切です。
また、「結論→エピソード→学んだこと→入社後の意気込み」などのように、伝える順番を整理することも重要です。
結論
自己PRでは最初に「私の強みは〇〇です」と、結論から伝えましょう。
冒頭で強みをはっきり示すことで、読み手に印象が残りやすく、その後の内容も伝わりやすくなります。結論を書くときのポイントは以下のとおりです
ポイント 例文
・一文目で結論をはっきり書く
・抽象的な言葉だけでなく、具体的に伝える
・自信を持って言い切る ・私の強みは、相手の気持ちをくみ取りながら行動できるコミュニケーション力です。
・私の強みは、周囲の状況を見ながら自然と行動に移せる判断力です。
はじめに強みを一言で伝えることで、自己PR全体に一貫性が生まれ、読み手の印象にも残りやすくなるでしょう。
曖昧な表現を避け、自分の言葉でしっかり言い切ることが大切です。
エピソード
結論で伝えた強みを裏づけるには、それを実際に発揮した場面を具体的に示すことが大切です。
まずはその強みを意識するようになったきっかけを簡単に書きます。その後に経験談として「どのような行動をとり、どんな結果が出たか」を順を追って説明しましょう。
ポイント 例文
・その強みを意識するようになったきっかけを軽くふれる
・行動・工夫・結果の流れを整理して書く
・役割や工夫、成果を具体的に伝える 高校時代、放送部で文化祭の運営を担当した際、クラス内で意見が分かれて雰囲気が悪くなったことがありました。私は皆の意見を一人ずつ聞き取り、落ち着いて内容を整理しました。その結果、全員が納得できる進行案をつくることができ、「今年の進行はスムーズだった」と先生にも評価されました。
エピソードは、自己PRに説得力を持たせるための一番の土台です。
自分がどんな場面で強みを発揮したのか、どんな行動や工夫をしたのかを丁寧に描くことで、読み手に「この人は実際に行動できる人だ」と伝えることができます。
学んだこと
エピソードのあとには、その経験を通じて自分が何を学び、どのように成長したのかを伝えましょう。
ここでの「気づき」は、単なる感想ではなく、これから社会人としてどう活かしていけるかにもつながる内容にするのがポイントです。
ポイント 例文
・経験を通して気づいたこと、変わった考え方を書く
・強みに対して自覚や手応えが深まったことを伝える
・抽象的すぎず、行動や価値観に落としこむ ・この経験を通して、相手の立場に立って話を聞くことが、人間関係やチームワークを円滑にする大きな力になると実感しました。意見の対立があっても、誰かが冷静に全体を見て行動すれば、場の空気や成果は大きく変わると気づけたことは、自分にとって大きな成長でした。
単に「うまくいった」だけで終わらせるのではなく、自分なりに考え、そこから何を学んだのかを言葉にすることで、自己PRに深みが出ます。実感のこもった学びが伝えられると、「この人は成長できる人だ」と思ってもらいやすくなるでしょう。
入社後の意気込み
最後に大切なのは、「この強みを入社後どう活かすのか」を具体的に伝えることです。
これまでの経験をもとに、働く中でどんな姿勢で取り組んでいきたいかをイメージして書くと、読み手に前向きな印象を残すことができます。
ポイント 例文
・これまでの強みや学びを仕事にどう活かすか伝える
・企業や職種とのつながりを意識する
・前向きな行動の意思を示す ・入社後は、駅や職場の中でさまざまな立場の人と関わる場面が多いと思います。だからこそ、相手の立場に立って考える姿勢を大切にしながら、一緒に働く人たちやお客様にとって心地よい環境づくりに貢献したいです。目の前の人をしっかり見て、行動できる社会人を目指します。
入社後のビジョンを明確にすることで、「この人と一緒に働くイメージがわく」と思ってもらえる可能性が高まります。経験と気持ちをつなげて伝えることで、自己PRにしっかりとした締めくくりが生まれます。
鉄道業界の就活で有利になる志望動機の書き方
志望動機を書くときは、「業界を選んだ理由」と「その中でなぜこの会社なのか」を分けて考えることがポイントです。
どちらも自分の経験や考えと結びつけて書くことで、説得力のある志望動機になるでしょう。
なぜ鉄道業界を志望するのか
志望動機では、鉄道が社会に果たす役割と、自分の価値観がどう重なるかを伝えることが大切です。
【例文】
高校時代、毎朝時間どおりに到着する電車に支えられて通学していました。安心して行動できる日常は、鉄道が支えていたと気づきました。今度は自分がその一部になり、誰かの暮らしを支えたいと思っています。
このように、自分の原体験と結びつけて伝えることで、共感されやすい志望動機になります。
なぜこの鉄道会社に就職したいのか
会社ごとの特徴や方針を理解したうえで、自分が共感した点や魅力に感じた理由を伝えることがポイントです。
【例文】
駅をまちづくりの中心ととらえ、地域とともに発展していく姿勢に共感しました。移動を支えるだけでなく、人の暮らしを豊かにする取り組みに、自分も関わっていきたいと考えています。
志望動機は、その会社だからこそ共感した点を具体的に伝えることが大切です。企業理解を深めたうえで、自分の想いと重なる部分をしっかり言葉にして伝えましょう。
まとめ
鉄道業界は、人やまちの移動を支える社会インフラであり、地域とのつながりや安心を生み出す重要な役割を担っています。人々の「日常」を守りながら、地域の未来をともにつくっていけるのが、鉄道業界で働く魅力のひとつです。
就活では、企業ごとの方針や特性を理解したうえで、自分の経験や強みがどう活かせるかを考えていくことが大切です。業界への理解と自己理解を深めることで、納得のいくキャリア選択につながっていくでしょう。
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