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業界研究

【総合商社】業界研究「グローバル・プロジェクト」7つの地域、16の事例 (中)

世界各地でビジネスを創造する「総合商社」。業界研究のためのアプローチのひとつとして、ビズリーチ・キャンパスでは各総合商社の実際のビジネス事例を紹介しています。今回は中巻、「ヨーロッパ」「アフリカ」の2つの地域、4つのプロジェクトをピックアップ。

こんにちは、ビズリーチ・キャンパス編集部です。
トップ学生からの人気が根強い「総合商社」。ビズリーチ・キャンパスではその業界研究をサポートすべく、総合商社のビジネスモデルや実際のプロジェクトについて解説しています。

前回の記事では、「グローバル・プロジェクト」7つの地域、16の事例と題し、「東南アジア」「中国」「中東」の3つの地域で実際に総合商社が手がけてきたプロジェクトを紹介しました。今回は前回につづく中巻として、「ヨーロッパ」「アフリカ」の2地域から4つのプロジェクトを解説します。

グローバル・プロジェクト事例「ヨーロッパ」

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昨今のBrexitやギリシャ金融危機などの問題から、経済の先行きを不安視されることが多いヨーロッパ。
市場全体が上向きであるとは言いがたいものの、魅力的な企業が数多く籍を置いていること、ビジネス環境が整備されていることなどから、現在もなお総合商社の主戦場の一角を成しています。

三菱商事: サーモン養殖事業 @ノルウェー【食料】


三菱商事は、ノルウェーの大手サーモン養殖加工会社・Cermaqを100%子会社としています。
2014年、約1,500億円を投じて同社全株式の公開買付けを実施しました。

三菱商事は2011年にもチリのサーモン養殖会社・Salmones Humboldtを買収。
Cermaq、Salmones Humboldtの2社の年間サケ生産量を合計すると約20万トンとなり、この市場においては三菱商事グループ全体で世界2位のシェアを誇ります。

サーモン養殖事業において高い技術力をもつCermaqを買収したことで、三菱商事は貴重な水産資源の生産セクターを獲得したことになります。
三菱商事はその強みであるグローバルな供給網を活かし、Cermaqの養殖サーモンの販路拡大を目指して取り組んでいます。

三菱商事が開拓した販売チャネルとして分かりやすい例が、同じく三菱商事の子会社であるコンビニエンスストア、ローソンです。
2014年の買収後、日本国内のローソンで販売されている「焼さけハラミ」おにぎりの具にCermaqのサーモンが使われるようになりました。

サーモンの生産セクターから消費者への販売チャネルまでを子会社として保有し、国境をまたいで一連のバリューチェーンを構築する、総合商社らしいビジネス事例です。

【プレスリリース】
ノルウェー・サーモン養殖加工会社株式に対する公開買付けの開始に関するお知らせ

【参考情報】
「資源をつくる」お家芸に 三菱商事サケ養殖の深謀 (日本経済新聞)
三菱商事、サケ赤字で資源安とダブルパンチ(東洋経済オンライン)


伊藤忠商事: First Response Finance Ltd. @イギリス【金融】


伊藤忠商事は、イギリスでコンシューマ向け中古車ローン事業を展開するFirst Response Finance Ltd. (FRF社)に100%出資しています。
自動車やバイクを購入したい個人の資金ニーズに答えるリテールファイナンス事業であり、自動車産業とのシナジーも期待できる海外投資案件です。

FRF社の設立は1999年。
伊藤忠商事はその設立当初からコミットしており、現在は人員派遣や資金調達を通じて持続的・安定的な企業価値向上に貢献しています。
実際、FRF社は9年連続で最高益を更新するなど継続的な発展を遂げており、伊藤忠商事が展開する海外金融ビジネスのなかでも注目すべき案件になっています。

現在はアジアを中心に世界各地で消費者の資金ニーズが高まっており、これに応えうるリテールファイナンス事業は注目すべき事業領域です。

伊藤忠商事は、香港・中国に拠点をおくUnited Asia Finance Limitedや、タイでアコム株式会社と共同設立したEasy Buy Public Co., Ltd.など、イギリス以外の地域でもリテールファイナンス事業を展開し、そうした資金ニーズの取り込みを図っています。

【参考情報】
伊藤忠商事 事業ポートフォリオ (PDFファイル)
FRF社 企業ページ

グローバル・プロジェクト事例「アフリカ」

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いまだ発展途上国が多く、ビジネス環境が整備されているとは言いがたいアフリカ。
爆発的な人口増加が見込まれるブルーオーシャンに目を光らせ、果敢にビジネスを仕掛けにいく総合商社パーソンの姿がここにもあります。


三井物産: 総合開発 @モザンビーク【金属・インフラ・エネルギー】


三井物産はアフリカ南東部・モザンビーク共和国にて、炭鉱への出資やロジスティクス網の整備など、資源とインフラを抱き合わせた総合開発案件を推し進めています。

三井物産はブラジルの資源会社Vale S.A.の子会社への出資を通じて、Vale社がモザンビークで推進するモアティーズ炭鉱の開発、ならびにナカラ回廊鉄道・港湾インフラ事業へ参画しました。

現地の石炭権益へ投資を行うと同時に、採掘した石炭などを運搬するための鉄道・港湾インフラへの投資も敢行する、総合的な開発プロジェクトとして推進されています。
三井物産が伝統的に強みをもつ資源投資分野にインフラ開発を組み合わせることで、モザンビークを拠点にした鉱物資源の供給体制の整備をねらいます。

長いあいだ内戦の渦中にあったモザンビークは、資源に恵まれているにも関わらず開発の遅れている国のひとつ。
ここは三井物産にとって重点注力地域のひとつであり、過去にも同国にてLNG (液化天然ガス) プロジェクトを推し進めてきました。

大規模な資源投資・インフラ投資を通じて、総合商社がひとつの国家の発展に大きく貢献しているプロジェクトの好例です。

【プレスリリース】
モザンビークにおける炭鉱及び鉄道・港湾インフラ事業への出資参画について

【参考記事】
三井物産、モザンビーク LNGプロジェクト (PDFファイル)
三井物産、モザンビーク巨額投資の大胆不敵(東洋経済オンライン)


豊田通商: 自動車事業 @アフリカ【機械製品】


トヨタグループ傘下の商社・豊田通商は、アフリカ地域に明確な強みを持っています。
自動車ビジネスを中心に発展を遂げた同社は、2006年のトーメンとの合併を経て、現在は多様な事業ポートフォリオを保有する総合商社としてのビジネスモデルを有します。

2012年、豊田通商はフランスの商社・CFAO社へ2,345億円を投資し、同社の株式97.5%を保有する大株主となりました。
アフリカ33カ国で自動車販売ビジネスを展開するなど、アフリカ地域で大きなプレゼンスをもつCFAO社の子会社化は、豊田通商のアフリカ戦略を決定づける重要な投資案件でした。

CFAO社とのアライアンスによって豊田通商はアフリカ事業をさらに強化、54カ国中53カ国をビジネス領域としてカバーするようになりました。

アフリカで最強の総合商社として、お家芸の自動車販売事業はもとより、南アフリカでの自動車生産支援事業、ケニアでの中古車販売事業、自動車購入向けファイナンス事業など、その沿革ビジネスにも積極的に乗り出しています。

【参考】
豊田通商 アフリカでのプレゼンスNo.1へ


最後に

そこにビジネスチャンスがあれば、地球のどこであれ勝負をしかける総合商社。案件数は多くないとはいえ、多くの学生にとってあまり馴染みのない「ヨーロッパ」「アフリカ」でも果敢にビジネスを創造していることが分かりました。このビジネス領域の地理的な幅広さも、総合商社と呼ばれる所以のひとつです。
次回は「グローバル・プロジェクト」下巻として、「南北アメリカ」そして「日本」の2地域から5つのビジネス案件を紹介します。

実際にOB訪問をしていくなかでも、その社員の方が過去にどんなプロジェクトを手がけたか、その案件を進めるなかで具体的にどんな業務・役割を担ったかをきいてみると、より総合商社に対する理解を深めることができるでしょう。この機会にぜひ、OB/OG訪問にトライしてみましょう。

【総合商社】業界研究シリーズ

「まず"トレーディング"から知ろう」仕事内容を解説
「総合商社の本質とは?”事業投資”を理解しよう」
「あなたは商社で何したい?」10個に分けて理解する!総合商社のビジネス領域

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