総合商社各社の違いを理解するためには、”これまでの歩み”、”現在の強み”、”今後の成長分野”の3点をしっかりと抑えることが重要です。今回はこの点を重点的にまとめます。
三菱商事
海運業を起源とし、戦前から様々な商品の貿易で基盤を築いてきた三菱商事は、戦後は海外の資源事業への投資を積極的に行い、資源分野での地盤をさらに強固にしました。さらに自動車等の機械分野や子会社ローソンを始めとする食料分野等の非資源分野にも強みを持ち、総合商社の中でもトップクラスに幅広いビジネスを手がけています。今後の成長戦略として、サービス分野などのより消費者に近い川下の領域を強化することで、自社の高い安定性を誇る事業をより成長軌道に載せていくことを挙げています。 三菱商事を一言で表すならば、 「資源と非資源の双方に強みを持つ万能型」 と言えるでしょう。
伊藤忠商事
繊維業を祖業とする伊藤忠商事は、食品や機械、IT分野などの非資源分野に早期から取り組み、他の財閥系の総合商社とは異なる成長を遂げてきました。特に現在顕著な収益を上げているのが、子会社のファミリーマートを中心とした食品分野です。近年では「第8カンパニー」が創設され、ここでは市場からニーズを吸い上げ、自社の資源を分野横断的に活用して新たなビジネスを創出するという成長戦略を発表しています。 伊藤忠商事を一言で表すならば、 「非資源分野で圧倒的な強みを持つ変革のリーダー」 と言えるでしょう。
三井物産
呉服・両替業を起源に、明治期から日本初の総合商社として国内最大規模の商取引を行ってきた三井物産は、戦後は経済復興による需要の拡大もあり、エネルギーや金属資源分野へ積極的に参画しました。そんな三井物産の現在の特徴はやはり、資源分野の圧倒的な規模の大きさです。鉄鉱石を筆頭に総合商社首位級の規模を誇ります。また、資源とシナジーの高い機械・化学・発電といった分野にも強いという側面もあります。今後の成長戦略として、資源ビジネスを他の分野とかけ合わせることで今後の成長分野のビジネスを強固にする経営方針を掲げており、安定性の高い非資源分野への注力を狙う様子が表れています。 三井物産を一言で表すならば、 「かけ合わせでさらなる武器の創出を狙う資源の王者」 と言えるでしょう。
住友商事
住友財閥系の企業ですが、実は商社としての起源は戦後と比較的歴史の浅い住友商事は、資源分野はもちろん、ケーブルテレビやテレビ通販等のメディア事業やリース事業など、他の商社にはあまり見られないビジネスに強みを持っていることが特徴です。また、ドラッグストアやスーパーケット等の生活事業にも深く参画しており、総合商社業界の中でも一味違ったビジネスを展開しています。 住友商事を一言で表すならば、 「生活に深く根差す、戦後発の財閥系商社」 と言えます。
丸紅
戦後に現体制が発足した丸紅は、実は伊藤忠商事と発祥が同根の会社です。こうした歴史もあり、伊藤忠と同様に繊維業やアパレル事業を行うほか、海外中心の発電事業や穀物や農業分野といった生活の根本に関わる分野に特に強みを持っています。今後はこうした強みを武器に、既存の分野の垣根を超えた市場のニーズに応える新ビジネスを生むことを目標としています。 丸紅を一言で表すならば、 「衣食住に強みを持つ古豪の総合商社」 と言えるでしょう。
いかがでしたでしょうか。今回は簡単に特徴をまとめましたが、さらに深く理解を進めるためには、ネットの情報に加えて生の情報を手に入れることが必要不可欠です。総合商社を志望している方はぜひ、ビズリーチ・キャンパスのOB訪問を活用しさらなる企業理解を進めてみてくださいね。