銀行業務以外にも多くの事業がある三井住友信託銀行とは
三井住友信託銀行を志望するライバルはたくさんいます。就活を有利にするためには、情報収集や準備をしっかり行いましょう。ただしポイントを理解していなければなりません。準備不足ではよい結果は得られないからです。
質問についても質の良いものにしなければなりません。OBに悪印象をもたれれば、本選考にも影響が出る可能性もあるからです。OB訪問前の質問や準備ではどんな所に注意をすればよいか理解しておきましょう。
企業概要
三井住友信託銀行株式会社は、三井住友トラスト・ホールディングス傘下の完全子会社です。7つの事業領域を持ち、多数の商品やサービスを提供しています。
2009年、住友信託銀行、中央三井トラスト・ホールディングスが経営統合し、三井住友トラスト・ホールディングスが生まれました。2012年4月1日には、三井トラスト・ホールディングス傘下の住友信託銀行、中央三井信託銀行、中央三井アセット信託銀行という3つの銀行が合併し、三井住友銀行が生まれたのです。
事業内容
三井住友信託銀行では、7つの事業領域で商品やサービスを取り扱っています。受託、個人トータルソリューション、マーケット、方陣トータルソリューション・アセットマネジメント、証券代行、不動産などがあります。三井住友信託銀行のOB訪問へ行くなら、基本の事業内容はチェックしておきましょう。
受託
受託事業は顧客の金銭や物品を預かり運用します。例えば年金関連業務などがあげられるでしょう。企業年金制度の導入、変更について法人を対象に行います。また、経営戦略や人事、財務などの要望を聞いて制度設計をするのも業務の1つです。
機関投資家から資産を預かり運用も行います。さらに資産管理業務も重要な業務の1つです。日本国内だけではなく、海外の機関投資家の有価証券の保管、決済、レンディングなどもあります。
個人トータルソリューション
個人トータルソリューション事業は、預金や運用商品、ローンや、不動産、相続までさまざまな資産運用と管理などを行います。普通預金や定期預金だけではなく、金利に関する各種プラン、投資信託と外貨預金と定期預金がセットになったプランなどを取り扱います。さらに顧客のニーズにあった商品の提案するのです。
資産運用コンサルティングも重要な業務の1つでしょう。顧客の要望を基に資産運用の提案を行います。また、承継機能を持った保険商品や新商品の開発と導入まで対応しているのです。
他にも住宅、アパート、リフォームまでさまざまなローンも取り扱います。他にも不動産コンサルティングとして、不動産物件の紹介をはじめ不動産に関する資産運用や相続の相談に対応しているのです。
相続関連業務も個人トータルソリューションの担当です。遺言書の作成の相談から、保管、内容の照会、遺言執行までサポートしています。
不動産
信託銀行は不動産を取り扱います。オフィスビルや商業施設など大きな物件にも関わるのです。不動産業務として、不動産コンサルティングをはじめ、仲介や、証券化アレンジメントなども行います。不動産運用管理では、資産価値を高める運用管理、また、JREITや私募ファンド運用、商品の提案から情報提供などが業務です。
不動産事業では、不動産鑑定士や一級建築士といった専門家も複数抱えています。一般的な不動産のことから、専門的なことまであらゆるサービスを提供しているのです。
マーケット
マーケット業務もさまざまです。金利や為替の変動による保有資産や財務へのリスクコントロールを行っています。また、安定的に収益を確保するための財務マネージ業務。他にも、債券や株式、不動産やクレジットなどの資産に関する投資業務などを行います。
また、対顧客機能などもマーケット事業の業務です。レーティングや金融技術を使った市場性金融商品を組成し販売などを行います。他事業と連携し、顧客のニーズに対する金融商品やコンサルティングサービスなどが業務としてあげられるでしょう。
法人トータルソリューション
法人トータルソリューション業務では、銀行や信託、不動産など全般のソリューションを提供します。資金ニーズへの対応、プロジェクト、不動産に関するファイナンス、信託と不動産機能を活用した商品やサービスの帝京を行っているのです。
また、海外進出にも関係しています。法人でも初めての海外進出では、知識も経験も不足し、なかなか上手くいかないものです。法人トータルソリューションでは、海外進出を検討する法人のニーズに合わせたサービスを行います。進出先での資金関係のこと、提携先を通した信託ビジネスを展開しているのです。
法人アセットマネジメント
法人アセットマネジメントでは、資産流動化、法人資産運用を行います。資産流動化とは、貸付金や売掛金などの金銭債権や不動産などの資産を分離し、資産が生み出したキャッシュフローを原資として金融商品を組成するというものです。
法人資産運用では顧客の資産運用ニーズを受け、マーケットや受託、不動産など、三井住友信託不動産が行うた事業と連携し、運用商品やサービスを開発して提供しています。
証券代行
証券代行では、株主名簿管理や株式法務コンサルティング、IRやSRコンサルティングを行います。株主名簿管理では、株主名簿管理人となって株主名簿の管理、株主総会の招集通知を発送、配当金の支払いといった事務を担当する業務です。合併、株式交換、株式移転などの株式に関する事務も行います。
株式法務コンサルティングという業務では、株主総会の運営や資本政策から買収防衛策の導入といった株式実務に関連するコンサルティングサービスを提供します。また、法務コンサルタントではセミナーを開催するのです。IR・SRコンサルティングは、IRとSRをサポートする専門担当者がサービス。ノウハウを生かし、IRやSRをサポートします。
過去5年間の売上/利益推移
単位/億 | 2015 | 2016 | 2017 |
売上 | 11,989 | 12,612 | 13,509 |
経常利益 | 2,780 | 1,963 | 2,326 |
当期利益 | 1,597 | 1,669 | 1,214 |
営業利益 | 13% | 13% | 9% |
2012年から2017年にかけての連結経常収益で、三井住友トラストホールディングスの利益推移をみていきます。基本的にすべて1兆円台をキープ。ただ、2013年に下降しています。2014年に少し上昇しますが、そこから2016年までほぼ横ばいという状況です。2017年には1兆2613億円となり少し回復しました。
2013年は、日本銀行の量的、質的金融緩和政策があり、円高是正が行われています。この政策により、製造業などである程度の業績改善が見られました。経済政策のアベノミクスの好影響も無視できません。
2014年からは有効求人倍率もアップし、雇用環境もよくなりました。しかし個人消費や設備投資が伸び悩んだのです。原油価格や中国経済の勢いも多少失われ、世界経済にかかった霧もなかなか晴れない状況でした。
(数値データは端数を四捨五入しています。売上高と営業利益率はそれぞれ経常収益と経常利益率の数値です)
次年度の戦略
三井住友トラスト・ホールディングスでは中長期で目指す経営戦略を策定しています。
基本情報
・ 専業信託銀行グループとしての強みに磨きをかけ成長を追求
・ コスト競争力の抜本的強化
・ ビジネスモデルと整合した資本政策
・ ガバナンスの実効性強化とフィデューシャリー・デューティーの高度化など
三井住友トラスト・ホールディングス経営戦略より引用
中期経営戦略では、特にニーズの変化に注目しています。景気変動や市場変化は、個人だけではなく社会にも大きな影響を与えるものです。そのような大きな変化があっても、安定的な成長を目指すことが掲げられています。
具体的には、信託と銀行機能を融合し総合力をアップすること、信託機能などに付加価値をつけるため、専門性の強化、トータルソリューションの提供力を高めることが目標です。
他にも、環境変化をピンチと捉えず新しい飛躍のチャンスと捉えてビジネスモデルの変革に取り組みみます。このような取り組みで安定的な成長につなげることを目標にしているのです。
2018年の三井住友信託銀行に関するトピックス
三井住友信託銀行のことを深く知るには、ニュースをチェックしましょう。三井住友銀行の近況をチェックすることができるからです。勉強不足をOBに指摘されるリスクを低くできるでしょう。2018年、三井住友信託銀行ではどのような動きがあったのでしょうか。
資産運用に特化した未来を感じるコンサルプラザ調布がオープン
9月14日、三井住友信託銀行は「コンサルプラザ調布」をオープンしました。場所は京王線調布駅前です。コンサルプラザ調布の特徴は資産運用に特化していることです。また、デジタル化で事務スペースを通常の店舗より大きく縮小しています。
信託型次世代店舗という位置づけで、2020年秋ごろまでで全148店舗でデジタル化を目指しています。利用は予約制ですが、平日午後7時まで対応してくれます。そのため、昼間は仕事で銀行へなかなか行けない層にとっては助かるサービスでしょう。
RPAの技術を全社で展開中
三井住友信託銀行ではロボティックプロセスオートメーション(以降RPA)の全社展開を進行中です。三井住友信託銀行では、AIを中心としたFinTecへの取り組みを進めています。ただ、RPAは、AIと異なるテクノロジーです。
RPAとは、簡単に言えばロボットによる業務自動化の取り組みです。これにより、本来人間が行う業務の一部が不要になります。今回、三井住友信託銀行が入を決めたのは、サーバ型RPAツール「UiPath」です。
サーバ型のRPAは、サーバ内でデジタルレイバーが働き、業務の一括管理を行えます。リスク予防や安定した運用実現を見据え、仕組みを整備してRAPによる効果を全体的に底上げすることを三井住友信託銀行では模索中です。
九州の食べ物を海外に輸出するプロジェクトに出資
9月11日、九州経済連合会が、養殖ブリの出荷式典を開催しました。場所は福岡空港です。このイベントでは中国山東省の自治体幹部が招かれました。この取り組みの目的は、九州の農林水産物の輸出の拡大が挙げられます。特に中国市場は狙い目でしょう。
今回はブリでしたが、すでに香港やシンガポールや台湾へ野菜や果物を輸出しています。この輸出を引き受けるのが九州農水産直販です。この会社は九州経済連合会の呼びかけにより設立されたものです。その出資企業として、三井住友信託銀行が入っているのです。
銀行業界の動向
三井住友信託銀行を知るには業界チェックが大切です。業界の動向は三井住友銀行にも影響を与えます。だからこそ、銀行業界のことをチェックしましょう。主に平成17年から27年まで、銀行業界はどのような状況だったのでしょうか。
銀行業界の業績推移
銀行業界では、平成17年から19年まで順調に業績が上昇していました。ただ、平成20年になると下降。21年から22年まで上昇せず低調のまま横ばい状態が続いています。平成23年になると上昇傾向が見られたものの、平成19年頃の水準には至っていません。平成27年まで低調な状態が続きましたが、今後、上昇の兆しも見えています。
世界的な不景気を乗り切り回復の兆し
平成19年頃までは、不良債権処理の一段落と共に、大型金融グループの合併や再編が見られました。しかし平成20年、リーマンショックによる世界的な金融危機が起きています。その影響で勢いがストップしました。
銀行業界だけではなく、日本社会全体にも影響が出たのは記憶にも新しい所でしょう。銀行では軒並み有価証券評価損が生まれました。メガバンクでも巨額の赤字が出ています。この状況に危機感を持った銀行業界はメガバンクを筆頭に安全性を重視する経営状態に移行しています。その1つに安全性の高い国債の大量購入がありました。
日本の国債は世界的に見ても安全性が高いという評価が多いです。結果、日本の国債が買われて国債の価値が上がり、メガバンクも回復しました。そのため平成23年から徐々に業績も回復しています。また、平成28年や29年では、地銀最大の金融グループが生まれるなど、地方銀行で統合や再編の動きがありました。
三井住友信託銀行へOB訪問に行く前に準備すべき3つの項目
三井住友信託銀行のOB訪問へ行くなら準備を行いましょう。準備をすることで、精神的な安心感も得られます。特にはじめてOB訪問をする人にとっては重要なことです。
信託銀行とはなにかをしっかり理解しましょう
通常の銀行と信託銀行は異なります。信託銀行は通常の銀行業務以外にも、信託業務、併営業務を行います。通常の銀行より、行う業務の幅の広さが特徴としてあげられるでしょう。信託銀行は、一般の銀行業務の他に、年金信託、証券信託、資産流動化業務などがあります。
また、併営業務は不動産の売買仲介や鑑定、証券代行、相続関連も業務に含まれるのです。銀行業界を志望するなら、一般的な普通の銀行ではなく、信託銀行、さらに言えばどうして三井住友信託銀行でなければならないのかしっかり考える必要があります。
求める人物像を考えておきましょう
三井住友信託銀行のOBは、一緒に働きたい人材と出会いたいと考えています。そのためには求める人物像に沿った人間でなければ期待されないでしょう。ただ、どんな人材が求められる人間といえるのかはむずかしい所です。それを探るなら採用担当者のメッセージなどをチェックしましょう。
三井住友信託銀行のホームページでは、採用プロジェクトチームからのメッセージが掲載されています。また、トップメッセージにも目を通しましょう。
事業内容や、募集要項をチェックするのは大前提です。それ以外にも、OB訪問の前に知っておいて損がない情報はホームページに掲載されています。隅から隅まで読み込み、同時に自分で考えることで、企業研究を深められるのです。
実際に働いている人の意見はOBにしか聞けないものでもありません。三井住友信託銀行では、社員へのインタビューも掲載されています。入社した年や部署などの情報が掲載されているのでチェックしましょう。
同時に、OB訪問での質問につながる情報もあります。OB訪問でわざわざ質問しなくてもよい情報が掲載されている場合も少なくありません。どんな業務をするのか、実際に働く時のイメージ形成についても役立つのでチェックしましょう。
OB/OGへの質問を準備
OBやOGはOB訪問で行われる質問に期待をしています。質問次第で、本気度の高い就活生かどうか、ある程度分かってくるものです。
ただ、どんな質問をすればよいか分からない人も多いでしょう。事業内容や設立日など、少し調べれば分かるような質問をしてもがっかりさせるだけです。就活に役立ち、OBやOGがうなるような質問を準備しましょう。
マッチング度をはかれる質問
三井住友信託銀行との相性はどうなのか事前に知っておくことも大切です。OBから現実的なことを聞けば、ある程度、三井住友信託銀行で長期的にがんばれるかどうかが見えてきます。
- 私は、個人トータルソリューション事業で働きたいと考えています。御社は求める人物像は一言で言い表せないという話を聞きました。それでもあえて聞きますが、個人トータルソリューション事業で働いている人をどのような特徴を持った人がいるとお感じになられるでしょうか?
三井住友信託銀行は多種多様な事業を展開しています。そのため一概にこのような人材を求めているという、人物像について明確な答えはないというスタンスを取っています。
それでも人には特徴があるものです。実際に働いていれば、その仕事に合う人や合わない人の特徴も多少は見えてくるでしょう。その点を深く聞いてみることで、マッチしているかどうかの判断材料になります。
- 不動産事業を志望しています。その不動産事業部で仕事をしていて、楽しいと思うこと、逆に辛いと感じたことがあれば教えてください。
不動産事業に限らず、受託事業など、三井住友信託銀行では多くの事業が行われています。自分が志望する事業だけではなく、仕事をする上では楽しいことも辛いこともあるでしょう。
長期的に働くには、楽しいことだけではなく、辛いことも事前に知っておいたほうがよいはずです。それを踏まえ、志望する事業の現実をOBに聞いてみましょう。
企業研究に役立つ質問
三井住友信託銀行について深く研究を行わなければなりません。企業研究で自分がどのような働き方ができるかも分かってきます。しかし事業内容の浅い部分を知るだけではいけません。企業について深い部分が分かるような質問をしてみましょう。
- 御社の人事制度はキャリアを主体的に選択するコース体系となっていることを知りました。また各コース間の転換については会社の認定が必要となっています。この転換希望はどれぐらいの割合で聞いてもらえるのでしょうか?
三井住友信託銀行では、全国転換型のGコース、地域限定型のAコースが設けられています。それぞれ期待される役割も異なります。
転居や転勤についてもそれぞれ違いますが、入社してから途中で変わりたくなった場合、その希望が叶えられるかどうかは、会社に認定してもらわなければなりません。自分の希望はどれぐらいの割合で叶えられるのか、OBに聞いてみましょう。
- グローバルビジネス分野に興味があります。アジアナンバーワンの信託銀行グループという戦略という目標についても、素晴らしいと感じています。今後、海外で仕事をするに当たって、どのような人材が求められるでしょうか。
三井住友信託銀行では、グローバルビジネスを広げています。海外への視野を持っている人は、三井住友信託銀行が海外でどのような事業を広げようとしているか詳しく知っておきましょう。同時に、どのような人材が求められるのか知ることで、ふさわしい人材に近づけます。
その他の質問
他にも就活に役立つ質問をぶつけてみてください。ホームページに掲載されていない実際の情報はOBしか分からないものです。その点をしっかり意識した質問をしましょう。
- グローバルビジネスの領域に対し非常に興味があります。グローバルビジネスでは、TOEICやTOEFLの点数が条件と聞きました。ただ、それ以外にも必要な条件などがあれば、教えてください。
希望する初期配属に関し、グローバルビジネスやデジタルトランスフォーメーションなどを志望した場合、チャレンジする機会を提供してもらえます。グローバルビジネスの場合、Gコースを選択すること、TOEICや、TOEFLの点数が条件となります。ただ、公表されている以外の条件があるかもしれません。
- 異動や転勤について、Gコースでは転居も必要な転勤があり、Aコースでは、地域限定で自宅から通える範囲での転勤があると聞きました。私は地元に愛着がありAコースを希望しているのですが、例外として転勤することなどはないでしょうか。
介護など家族などが理由となり、転勤がむずかしい人もいるでしょう。三井住友信託銀行では、GコースとAコースで、転勤の条件が違います。転勤が嫌な人は、Aコースという選択となるでしょう。
ただ、何事も例外はあります。Aコースでは絶対に転勤がないかどうか聞いてみるのもよいかもしれません。ただし「そんなに転勤がいや?」と思われて、印象が悪くなる可能性もあります。理由も伝えて慎重に質問したほうがよいでしょう。
事業内容をチェックし求められる人材は何か考えよう
三井住友信託銀行は、通常の銀行業務はもちろん、信託業務や不動産業務など、さまざまな事業を展開しています。OB訪問へ行く前には、自分がなにをしたいのか、どのような働き方をしたいか整理し、まとめておくとよいでしょう。
どんな人間が求められているか、少ない情報から分析することも大切です。そうすることで、OB訪問の前に三井住友信託銀行の企業研究を深められるでしょう。