KDDIについて
KDDIは業界トップNTTの最大のライバルともいえる、日本の大手通信事業社です。「通信とライフデザインの融合」を実現し、通信の力で日々の生活をより豊かなものにすることをKDDIは目的としています。
学生にとってはauという商品が一番身近なものかもしれませんが、企業が行っている業務はそれだけにとどまりません。今後選考に進むのなら、KDDIの事業内容についての知識をより深める必要があるでしょう。
学生がKDDIの企業研究や内定を勝ち取るための手段の一つにOB訪問をするのなら、ぜひ知っておくべき内容があります。KDDIの企業概要や最新トピックス、通信業界の動向、それに加えてOB訪問前に準備しておくべき質問内容などもお伝えします。
企業概要
KDDIはいわずと知れた大手通信事業者であり、KDDIが提供するauスマートフォンやタブレットは多くの人が周知しています。KDDIという名前は、2000年10月1日に国際電信電話(KDD)と京セラ出資の第二電電(DDI)、TOYOTA子会社の日本移動通信(IDO)が3社合併して生まれたもの。
国内・国債通信全般を手がけていて、専用線、固定電話サービス、携帯電話(au)、プロバイダ、衛星電話などの電気通信役務を主に担っています。auブランドを中心に、金融や教育などさまざまなライフデザインに関わっていこうという取り組みがみられるKDDI。
そこには企業を支える12職種に分かれていますが、応募する際には、総合職となります。どのような部署で活躍できるのか、仕事内容はどのようなものか、内定獲得の秘訣はなにか、ぜひOBから話を伺ってみましょう。
事業内容
OB訪問時だけではなく今後の選考を乗り切っていくためにも、KDDIの事業内容をしっかりと押さえる必要があります。企業のことをよくわかっていないということは、その企業でなにをしてみたいのか、どのような人生プランを描いているのか不明ということ。
まずはKDDIがどのようなものに取り組み、社会貢献をしているのかを知りましょう。そしてその中で、自分が目指すべきものをみつけてください。
パーソナルセグメント
個人向けの通信サービスを行っています。主力のブランドは「au」。他に展開している事業内容は「MVNO携帯電話サービス」(連結子会社のUQコミュニケーションズ株式会社が提供)、固定通信の「FTTHサービス」、「CATV」など。
また通信以外のサービスも行っており、その内容は物販サービスの「au WALLET Market」、エネルギーサービスの「auでんき」、教育サービスなど多岐にわたっています。
ライフデザインセグメント
KDDIが目指すのは、従来の通信サービスだけではありません。今後は通信以外の付加サービスにも力を入れたいと考えているようであり、その一つがライフデザインセグメントです。2019年よりバリューセグメントから名称が変更した点からも、力の入れ具合がみられます。
ライフデザインセグメントが見据えるのは、個人向けのコマース、金融、決裁、エンターテイメントサービスなどの提供です。商品名でいえば「auスマートパス、auスマートパスプレミアム」などのデジタルコンテンツサービスや、コマース事業の一環である「Wowma!」など。また金融事業にも力を入れ始めています。
ビジネスセグメント
法人向けのサービス提供を行っている部門です。企業向けに通信サービスやIVTソリューション、データセンターサービスなどを展開。またスマートフォンやタブレットなどのモバイルサービスだけではなく、企業に合わせたネットワークやアプリケーションのサービスなどを行います。昨今ではIoT分野に関しても進出をはかりはじめています。
グローバルセグメント
KDDIが活躍するのは日本国内だけではありません。世界的に活躍しているのがグローバルセグメントです。ここでは海外での個人や企業向けに、通信サービスやICTソリューション、データセンターサービスを行っています。
法人に対してデータセンター「TELEHOUSE」をメインにサービスを提供する他、ミャンマーやモンゴルといった国でのコンシューマビジネスにも取り組んでいるのが特徴です。
その他の取り組み
KDDIが関わっているサービスは幅広いので、その一端をお伝えします。意外なところでKDDIが生活に関わっていることに気づくでしょう。下記の4つ以外にも驚くところでKDDIの活躍を知ることができます。
- au WALLETクレジットカード
- じぶん銀行
- au損保
- KDDI Open Innovation Fund(ベンチャー企業への投資)
過去3年間の売上/利益推移
これからはKDDIの、過去3年間の売上と利益推移をみていきます。データは下記のサイトを参照しましたが、営業利益率は計算した後で、端数を切り捨てしています。
(単位/億) | 2016年度 | 2017年度 | 2018年度 |
売上 | 44,661 | 47,482 | 50,419 |
営業利益 | 8,333 | 9,129 | 9,627 |
当期利益 | 4,944 | 5,466 | 5,725 |
営業利益率 | 11% | 12% | 11% |
全体では順調に成長しているKDDI。しかし内訳をみると、収益が減少している部門もあるようです。それはパーソナルセグメントのモバイル通信料収入。その分ライフデザインセグメントやグローバルセグメントが好調で利益をたたき出しています。またビジネスやその他の部門も順調に業績を伸ばしています。
モバイル通信料収益の減少は、新料金プランの影響を受けているようですが、プラン開始から1年経った振り返りにおいて、料金プランの満足度があがりau解約率も大幅に改善してきています。そのため今後パーソナルセグメントの収益がどう改善してくるかと、それ以外の分野の成長から目が離せません。
次年度の戦略
トップのメッセージや株主総会の資料などによると、今後は「通信とライフデザインの融合による体験価値の提供」を事業戦略の1つにしていくようです。
従来の通信サービスだけではなく、コマースや金融、エネルギー、エンターテイメント、教育などのライフデザインサービスに力を注いでいくのでしょう。体験価値の創造を目指し、5G時代に向けた取り組みを計画。「ワクワクを提供し続ける企業」を目指しています。
2018年のKDDIに関するトピックス
志望する企業の最新トピックスを押さえておくことは非常に重要です。今後のKDDIがどのような方向に向かっているのかを知ることができますし、OBとの会話の中でちょっと話題に出すだけで、KDDIに興味を持っていることを伝えることができます。ここでは、最新の情報をみていきましょう。
携帯大手3社への引き締め強化
携帯電話料金の引き下げについて、情報通信審議会での議論が行われています。総務省が2015年末にNTT、KDDI、ソフトバンクの携帯大手3社に引き下げについて要請。その後もさまざまな政策などにより、格安スマートフォンを扱うMVNOなどの参入が進むなど、携帯電話に関する状況が変化してきています。
総務省は2019年の7月から中古機種でも「SIMロック」を解除させるほか、大手3社が行っている「2年縛り」の見直しを始めています。また2019年からは大手3社に加え、楽天が参入予定。携帯大手3社への引き締めが、今後さらに強化されていくことが考えられます。
KDDI「緊急速報メール」が全国の自治体を網羅
災害・非難情報である「緊急速報メール」。KDDIと沖縄セルラー電話は、2018年8月に日本国内すべての都道府県と市区町村へ、「緊急速報メール」の配信が可能になったと発表しました。
またKDDIの「au災害対策アプリ」からは、配信対象エリアではない場所を含む、地方自治体が送った緊急速報メールを確認することができます。その速報メールは、3日前のものまでさかのぼることも可能。このことにより日本国内ならどこにいても、自治体が送る災害に関する注意や非難情報を知ることができるようになりました。
au店舗にカフェ併設
KDDIが目指すのは「通信とライフデザインの融合」。通信の力で日々の生活をより豊かなものにしたいと願っています。そんな企業方針の一端がみられるのが、カフェを併設したau店舗のオープンです。
京都市下京区に2018年8月オープンしたのは、KDDIの直営店「au KYOTO」。ここには「BLUE LEAF CAFE(ブルー・リーフ・カフェ)」というカフェが併設されています。
カフェ併設店舗はこれで2店舗目(最初の店舗は仙台)。カフェでは飲み物や軽食を楽しむことができるほか、雑貨も販売しています。au商品の購入有無にかかわらず、幅広いターゲットを相手に今後もサービスを提供し続けます。
通信業界の動向
自分の将来の仕事を決める上で、その業界の動向を知ることは非常に重要です。今後伸びしろがある業界なのか、それとも衰退の過程にあるのか。ここでは通信業界の、現状と今後の予想をみていきます。
通信業界の業績推移
通信業界は社会と密接に関わる業界です。携帯電話は単なる連絡を取り合うツールではなく、いまやネットやSNSにより他者や社会とつながれるツールとして、生活に欠かせないものとなっています。通信業界に関わる労働者数は3万人以上。就職活動をしている学生にとって気になる年収は、966万円と高水準です。
通信業界は大きく分けて2種類に分けられます。それは通信キャリア業と放送業です。まず放送業ですが、テレビやラジオなどの分野といえばわかりやすいでしょう。もう一つの通信キャリア業は、携帯電話などの通信キャリアをメインとした業界で通信電波や通信インフラに関わっています。KDDIもこちらの通信キャリア業に含まれます。
放送業に関しては昨今テレビの視聴率が落ちてきています。そのためテレビ広告を載せるスポンサーの運用にも変化の兆しがみられます。人々がテレビをみなくなったその隙間時間をなにに使用するようになったかというと、メインはインターネット。そのためインターネット広告が普及し始めているのです。
次に通信キャリア業ですが、こちらは順調に成長をしています。しかし個人向け通信キャリアの普及も一段落をした感じがあり、また大手3社によるほぼ独占状態だった市場にも変化が現れてきています。
通信業界の規模は32兆5,764億円。その中でも通信キャリアは順調に成長を遂げてきましたが、政府からの締め付けも徐々に厳しくなってきており、今後の推移から目が離せません。
通信キャリアの普及限界と今後の課題
通信キャリアはこれまで携帯電話の拡販により収益を上げてきました。しかしそれがスマートフォンの頭打ちにより、大きく揺らぎ始めています。
各社は今後自社ブランドの通信キャリアの販売だけではなく、時代のニーズに従ってあらたな通信の形をみつけていかなければなりません。
また大手数社によるほぼ寡占状態であった通信キャリア業界に、楽天モバイル、イオンモバイル、LINE Mobile、DMMモバイルなどの企業、そして格安スマホが参入を始めました。それに加え、政府からの携帯料金の引き下げ要請による締め付けも厳しくなっています。
通信業界そのものに関しては頭打ちの感がいなめません。しかし最新テクノロジーが次々と生まれてくる現代において、今後もわずかながら発展していくと考えられます。急激に変化している現代社会において、まだまだ通信業界のなすべきことは多いといえるでしょう。
KDDIへOB訪問に行く前に準備すべき3つの項目
KDDIの選考では、通常の選考ルートに加え、特別ルートがあります。たとえばKDDIにエントリーしているとOB訪問の誘いのようなメールや電話がくることがあるそうです。その際には、すでに選考の一端が始まっていると考えたほうがよいでしょう。
電話での質疑応答結果でもしもリクルーター枠に乗れた場合には、内定への近道を走ることができるかもしれません。そのためには、いつ何時相手から連絡がきても答えられるように、事前の準備を早めにしておく必要があります。
KDDIだけではなく通信キャリア主要3社の業界研究をする
KDDIの面接の中で必ずといっても質問される内容のひとつに、通信キャリア3社の比較があるようです。そのためにOB訪問の前には、少なくともそれぞれどのような特徴があり、なぜその中で自分はKDDIをよいと思っているのかをしっかりと自己確認しておく必要があります。
OBからも気軽に「なんでうちなの?NTTとかDOCOMOじゃなかったの?」と聞かれることもあるでしょう。その際にしどろもどろになったのでは、熱意が相手に伝わらないどころか企業研究さえまともにできていないという印象を与えてしまいます。
通信キャリア3社については、それぞれの特徴や印象の違い、企業理念など目指す方向性やそれぞれの強みや弱みなどをまとめておくとよいかもしれません。業界研究をする中で、自分自身がKDDIでやりたいこともみえてくるはずです。
KDDIで何をしたいのかビジョンを持つ
業界研究などをしっかりとしていれば、いわゆるKDDIに惚れている内容を話せるようになるでしょう。次に大切なのは、OBから「KDDIで何をやりたいと思っているの?」と聞かれたときにスムーズに答えられることです。
KDDIには全部で12職種があります。その中には営業やカスタマーサービスなどの顧客との関係を築く仕事もあれば、企画・開発など商品やサービスを生み出す仕事もあります。また技術開発などインフラをつくり守る仕事もあれば、基礎研究や情報システムなどもあります。
KDDIの募集は「総合職」であり、どこに配属されるのかわかりません。希望通りにいかないこともあるでしょう。しかしOB訪問や選考の過程でやりたいことをしっかりと社員に伝え続けることで、希望の道が開ける可能性はあるのです。
KDDIの会社案内を熟読し用語も調べておく
基本中の基本ですが、社長のビジョンの他に企業が今後目指すべき方向性や中期目標なども、会社案内には具体的に書かれています。少なくともOB訪問前には、その内容のすべてを頭に入れておきましょう。
また、通信業界でよく使用する用語や、auブランドなどの商品名などもOBとの会話の中で出てきたときに聞き返さなくてもよいように予備知識をつけておく必要があります。KDDIの内定を本気で取りに行きたいと思っているのならば、会社をよく知ることは非常に重要です。
会社案内、ホームページ、セミナー、インターネットなどさまざまな企業研究手段はありますが、内定をとった就活生がおすすめをしている本の中に、就職活動研究会が共同出版している「KDDIの会社研究」という本があります。OB訪問というより、今後の選考に役立つと思うので是非一度手に取ってみてはいかがでしょうか。
OB/OGへの質問を準備
OB訪問をより実りあるものにするためには、事前の準備が必要です。特にリクルーター枠を取り入れているKDDIは、社員が持った学生の印象を重要視する傾向があるといえます。企業が自分に合っているのかどうか判断するよい機会ではありますが、逆にOBからもKDDI向きの学生かどうか判断されているという意識を持ってのぞみましょう。
競合他社や通信キャリア業界に関する質問
実際に他社と競い合っているOBに、他社と競い合うことの難しさやKDDI独自の強みについて聞いてみるのもよい質問です。
- 格安スマホや楽天モバイル参入予定など、これまでと状況が変わってきていますが、現場でその実感はありますか?
通信キャリアの状況は一刻一刻変化しています。そのスピード感のまっただ中で働いているOB。彼らからは他社と競い合うことの難しさや、厳しさといった話を聞きだせるかもしれません。
- 先輩はなぜKDDIだったのでしょうか?(NTTやDOCOMOでなかった理由はなんですか?)
短い質問ですが、あなた自身が「なぜ自分はKDDIがよいと思うのだろう」と思っている疑問を、かつてはOBも自分に問いかけていたはずです。内定を勝ち取ったOBの、生の志望動機を聞き参考にしましょう。
通信業界は今後楽天モバイルなどを含め他社の参入が見込まれるといっても、現在数社が寡占状態です。そのためKDDI以外の競合他社のことは、今後選考で聞かれることも多いでしょう。
就活生の口コミによると面接でKDDIのことではなく「ソフトバンクの強みは?」と他社のことを質問されることもあるようです。調べればわかるようなこともありますが、実際に競合他社と競い合っているOBにそれぞれの会社の特徴を聞いてみるのもよいかもしれません。
職種に関する質問
KDDIで募集するのは、総合職。しかし実際には12職種あり、採用後どこに配属されるのかはわかりません。実際に入社した後どのような流れで配属されていくのか、OBに尋ねてみましょう。
- KDDIの商品・サービス企画という職種に興味があります。実際は総合職募集でどこに配属されるのかわからないのですが、希望などは通りやすいのでしょうか?
学生なら企業だけではなく、どのような仕事内容につくのかが気になるところでしょう。総合職募集だとどの部署に配属されるのかも、どの地域で働くことになるのかも検討がつきません。OBの場合はどうだったのか、参考にしてみてはいかがでしょうか。
- コンシューマ営業の一日のスケジュールを教えていただけますか?
もしもOBがあなたの希望する職種と同じ職種にあるのならば、一日のスケジュールを聞くことで仕事のイメージが非常にクリアになるはずです。通信業界というと華やかなイメージが先行しがちですが、イメージと現実のギャップを埋めておきましょう。
制度や風土に関する質問
やりたい仕事内容も重要ですが、その企業の制度や風土が自分に合っているかどうか。その相性は非常に重要です。OBとの話の中で、その部分をしっかりと確認しておく必要があります。
- 通信業界、特にKDDIで活躍するためには、どのようなスキルを身につけておくと仕事に役立ちますか?
通信業界は、日進月歩のテクノロジーとともにあります。そのためスピード感も早く、取り入れていかなければいけない情報量も多いでしょう。そのような中で先輩社員はどのようなスキルを磨いているのか聞いてみましょう。
- KDDIは通信キャリアだけではなく、グローバル事業や新規事業など幅広く手がけていると思います。なにごとにもチャレンジしていくような社風に惹かれたのですが、もしも改善点ややりたいことを思いついたら、声に出せるような雰囲気があるのでしょうか?
自分の性格が企業の社風にマッチするか、OBとの会話の中からヒントをつかんでください。
また学生が気になることの一つに福利厚生があります。聞きにくい質問ですが、OB訪問だからこそさらりと尋ねてみることができるのも事実。しかしその際には、それだけを気にしているような素振りをみせず、制度や風土に関する質問の中にさりげなく混ぜてしまいましょう。
KDDIの内定を勝ち取るためにOB訪問に挑戦しよう
通信業界は、社会への影響も大きくやりがいのある仕事です。もしも通信業界を考えているのならば、しっかりと大手数社の企業研究を行わなければなりませんが、企業研究をやりこんでいる学生の中では目立つことはできません。
リクルーター制を大切にしているKDDIだからこそ、OB訪問に挑戦して直接社員と話をする機会を作っていきましょう。その際には相手に失礼にならないように、そして自分の熱意をみせるために、事前準備に力を入れてください。