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就活生が語る

陸上競技にスキル全振りの「空っぽ」な僕がハードルを越えられたわけ―私の就活 vol.9

履歴書に並ぶ華やかな経歴、受けた企業は軒並み内定…。そんな就活生を、人は「就活強者」と呼びます。彼らがフォーカスされる機会は数多くあれど、どこか自分とは違う世界の話のように聞こえてしまう。そこで本連載では、あえて、ごく普通~の大学生の就活体験記を集めました。今回のストーリーテラーは、筑波大学OBの司馬明浩さん。陸上競技に全力を注いできたという司馬さんは、一体どんなストーリーを紡いできたのでしょう…?

陸上に始まり陸上に終わった4年間

――本日はどうぞよろしくお願いいたします!

司馬さん:筑波大学大学院2年の司馬明浩です。よろしくお願いします!

――早速ですが、まずは司馬さんの学生生活について教えてください。

司馬さん:僕、高校生のときから陸上をやっていて、そのときに「陸上競技に体育学的なアプローチをとればもっと強くなれるんじゃないか」と思って、そういう勉強ができる体育専門学群に入ったんです。そこでトレーニングのことなんかを勉強しつつ、陸上に全てのエネルギーを注ぐ大学生活を送っていました。

ケガで何か月も走れなくなったり、周囲との実力差に苦しめられたりと、順風満帆の競技人生というわけにはいかなかったけど、最終的には目標としていたインカレ出場を果たすことができました。

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――全国の舞台に立ったんですね!すごいです…。

司馬さん:ありがとうございます。(笑)
でも、インカレに出たことが僕の陸上生活の全てではなくて、副主将として部の運営に携わってきたことも、僕にとってはかなり大きな出来事でした。
僕の部活は部員が250人くらいいるので、競技力も目標も様々で。その250人を同じ方向に向かせるために、色んな取り組みをしていました。

――具体的にどんなことをしていたのですか?

司馬さん:もともとうちの部活では、「個人競技だし、一人ひとりが強ければそれでいいじゃん」という考え方の人が多かったのですが、僕は「それじゃいかん」と訴え続けていました。個人競技だからといって、自分以外の人間に無関心では絶対に強くなれない。チーム力が強くなければ、上にいくことはできないんです。

だから、部内のコミュニケーションを活発にするために、ミニ運動会や清掃活動をやったり、各部員が担当している部の仕事を可視化して情報発信させたりしました。

そしたら、みんなが少しずつお互いのことに興味を示し始めて。前までは、自分の競技が終わったら帰っていたのに、最後まで他の部員を応援するようになったんです。

初めてぶつかった「越えられないハードル」

――250人の心を動かしたんですね!ところで、今までのお話を聞いていると、大学生活は陸上に振り切って、他のことに割く時間があまりなかったように思うのですが…。実際はどうだったのですか?

司馬さん:まさにその通りですね。(笑)もともとは教員になろうと思っていたので、そもそも就活するかどうかも定まらないまま、3年生の冬くらいまで陸上漬けの日々を送っていました。3年生の6月にインターンの情報が解禁されることすら知りませんでしたから。
けれど、部内で就活する人たちが3年の1月ごろに急にざわつき始めて、僕もそのタイミングでようやく就活を意識し始めたんです。

――教員志望なのに就活をしようと思ったのはなぜなのでしょう?

司馬さん:教え子たちがやがて直面する「就活」のことを、何も知らないまま教師になってもいいものか、という思いがあり、社会経験としてやっておくべきだと思ったからです。
そんな感じで、一般的な就活生から後れを取ること数か月、製菓会社のウインターインターンに参加することになりました。

――なぜ初めてのインターンに製菓会社を選んだのですか?

司馬さん:お菓子が好きだから、という超単純な理由です。(笑)
その会社の採用ページを見た瞬間、すごくワクワクして、「ここだ!」と思いました。

――実際に参加してみて、どうでした?

司馬さん:毎日お菓子に埋もれて仕事できるなんて幸せだなあ、と思いました。
それから、その会社への気持ちが強くなって、完全にをしてしまいました。(笑)
考えなしの僕は、初めてのエントリーなのにとんとん拍子でここまで来られたから、「これは運命だ!」って思っちゃったんですよね。

――その企業に恋をした状態で、3月の本選考解禁を迎えるわけですね。

司馬さん:はい。インターンに参加して、お菓子の会社が好きだということに気づいたので、製菓会社を中心にエントリーしていきました。

でも、当時の僕は就活をナメていたので、自己分析だとか企業研究だとか、そういった準備は全くと言っていいほどしておらず、「型にはまりたくない」「ありのままの自分を受け入れてくれた会社にしかいきたくない」と、わがまま放題で。そんな風に、「このまま勝負してもイケるっしょ」と高を括っていたせいで、かなり痛い目に合いました。

だけど、一社だけ最終面接にこぎ着けた会社があったんです。奇しくも、僕の初恋のあの会社でした。

――おお…まさに運命ですね。ちなみに、その恋は成就…

司馬さん:しませんでした。
ふかふかのソファーに座った僕と対面しているのは、無知な自分でも「あ、偉い人だ」と瞬時に察せるくらい、ただならぬ雰囲気をまとった人で。初めての最終面接の場でそんな人と話をして、平常心を保てるほど僕は強くなかったんです。

空っぽな自分と目が合った

――緊張で自分を出し切ることができなかった、と。

司馬さん:そうですね。声が震えましたもん。
それに、自分のことを聞かれているのに、全く答えられなかったんですよね。なぜかというと、「ありのまま」の意味を履き違えて、自分のことを理解しようともしていなかったから。
だから、出てくる言葉はすべてピーマンでした。

――ピ、ピーマン…?

司馬さん「中身がない」という意味です。(笑)

――なるほど!すごく分かりやすい例えです。

司馬さん:ありがとうございます。(笑)
とまあ、中身のない僕が何を言ったところで相手に伝わるはずもなく、あっけなくその会社との縁は切れました。いわば失恋です。

でも、僕が失恋の傷を負ったからといって、それが他のことをやらなくていい理由にはならないんですよね。失意のどん底にいる僕にも、試合や教育実習は容赦なく押し寄せてくるし、副主将の仕事もしなければいけないから、ただただやるべきことを捌いていくのに必死で。何も考える余裕がないくらい慌ただしかったです。

――その慌ただしさはいつ頃落ち着いたのですか?

司馬さん:4年の6月末、ちょうど教育実習が終わったころですね。ただ、教育実習を経て「教員は違うな」と思ったのに、いざ忙しさがひと段落すると、いわゆる「駒が無い」状態に陥ってしまったんです。
だから、慌てて夏選考の枠で募集している企業にエントリーしたのですが、僕はピーマンのまま何も成長していなかったので、案の定ことごとく落ち続けました。

――八方塞がりになってきましたね…。その後、司馬さんはどうしたのですか?

司馬さん:内定は無いし駒も無い、かといってエントリーする気も無い、体力は尽きた、ストレスはピーク。いよいよ追い詰められて、さあどうしよう、となったときに、今までの就活を振り返ってみたんです。すると、常に不安と隣り合わせだったことに気づきました。

――それは一体どんな不安だったのでしょう?

司馬さん大学という学びの場にいたのに、何も語れることがないことに対する不安です。
もちろん陸上のことは語れますが、逆に言えば、陸上のこと以外は何も分かりませんでした

「大学で何を勉強したの?」と聞かれると、「トレーニングのことだけど…」と、言葉に詰まる。運動栄養学の研究室に所属しているのに、栄養のことなんて全く話せない。

こんなに中身がすっからかんのままで、社会に出ていいのか?
このままじゃ何の役にも立てないんじゃないか?

そんな違和感を持ったまま、就活をしていたことに気づいたんです。
勉強が足りていなかったな、と思いました。

空白を埋めていく中で得た気づき

――それで、大学院進学を決めたんですね!

司馬さん:そうです!学部生時代は陸上しかやってこなかったので、大学院に入ってからはもっと色々な経験をしたい、と思って、いい意味でのイエスマンになりました。何かに誘われれば「行く!」「やる!」と答え、目の前に降ってくるコトにはすべて手を出しました。

――イエスマン!いいですねぇ。どんなことをしたんですか?

司馬さん:大学の海外プロジェクトに消防士の食環境調査、それから、子どもたちや理系女子学生に向けた栄養セミナーなんかもやりました。
もちろん、学部生のときの反省を踏まえて、就活も6月から始めましたよ。(笑)

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――本当に色々なことにチャレンジしたんですね。そんな中で、何か得たものや気づきはありますか?

司馬さん:自分は優秀ではない、ということに気づきました。
これはグループディスカッションをしているときに思ったことなのですが、みんな論点をずらさず建設的に話を進めていくんですよ。そんな人たちを目の当たりにして、僕がいかに自分を買いかぶり、見栄を張っていたかに気づかされました。

できないことも「できる」と言い、分からないことも「分かる」と言う。そうやって自分を優秀に見せようとしていた僕が「ありのまま」を語るなんて、おかしな話ですよね。
こんな風だから僕の就活はうまくいかなかったんだ、と思い知りました。

――自分の何がいけなかったのかに気づくことができたんですね。

司馬さん:はい。
それから、身内ばかりの狭い世界で生きていては何も生まれないけど、異なる背景を持つ人が集まればすごくいいアウトプットができることも、身をもって知りました。
だから、もっとたくさんの人や文化に触れたいなと思って、留学生ばかりの授業をとったりして。アフリカからの留学生と、”Hi!”とか”Good!”とか言い合いながら授業を受けていました。(笑)
そうやって、自分の生きる世界や視野をどんどん広げていったんです。

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――その結果、司馬さん自身にどんな変化が生まれましたか?

司馬さん:就活のことで言うと、「お菓子じゃない」と思いました。(笑)たくさんの業界がある中で、食品業界ならまだしも、製菓に限定するのはいくらなんでも視野が狭すぎるだろう、と。それに、ある一点に固執しているようでは、陸上しかやってこなかったころの自分と何も変わらないですしね。だから、間口を広げて色んな業界を見ていくことにしました。

――なるほど。ちなみに…新たな「恋」は見つかりました?

司馬さん:それが、恋はしなかったんですよ。盲目になっちゃいかん、と思って(笑)。あくまでも冷静な目で見ていました。
そんな感じで就活を続けていくうちに、だんだんと学部生時代には見えていなかった軸が定まってきました。

――それは一体どんな軸だったのでしょう?

司馬さん:僕はもともと、栄養学の研究室に所属していることや陸上をやっていることもあり、「健康」という分野に関心があって。だけど、それだけではまた視野が狭くなってしまう、と思ったので、「人々の暮らしを豊かにする」と広義に解釈して、それを叶えられる場所を探していったんです。

それと、これからの時代は会社に依存することなく、自分の力で稼げるようにならなければ生きていけない、と分かったので、「経営者としての能力を身につける」という観点も重視するようになりました。

僕が僕であるために

――ほうほう。それで、院生としての選考はどんな気持ちで臨んだのですか?

司馬さん:大学院での活動を通じて、ピーマンから肉詰めピーマンになれたという自負があったので、学部生時代とは違い根拠のある自信を持って臨むことができました。その上で、「ありのまま」の自分を出そうという思いはブレずに持ち続けていましたね。

――「中身が詰まった」ということですね!(笑)ところで、「ありのまま」という言葉がよく出てきますが、司馬さんにとっての「ありのまま」とは、一体何なのでしょう?

司馬さん:分かりやすいところで言えば、「僕」という一人称を曲げないことですかね。
就活においては、男女問わず「私」という一人称を使うのが常識になっていますが、僕は24年間ずっと「僕」として生きてきたので、そこを曲げてしまったらそれはもはや「僕」ではなくなってしまうな、と思って。
あとは、「御社」という表現も使わないようにしていました。使い慣れない言葉を使うのは、自分を少し綺麗に見せようとしている証拠ですしね。

――世間の常識に惑わされず、自分を貫いたんですね。

司馬さん:そうですね。
それから、分からないことは「分からない」と答えることも、ありのままの自分を伝える上で大事にしていました。2年前の僕だったら、分からないことを聞かれたら分かるふりをして適当にやり過ごしていたけど、見栄を張っても何もいいことなんてないと気づけたので。
そんなことよりも、自分のサイズを正しく伝えることの方がよっぽど大事です。

――なるほど…。では、等身大の自分を伝え続けた結果、どんな会社に内定をもらえたのですか?

司馬さん:建築、消費財メーカー、総合商社の3社です。最終的には、総合商社で働くことを決めました。

土壇場で動き出した運命

――その決め手はなんだったのですか?

司馬さん:ぶっちゃけちゃんとした根拠はそれほどなくて、一番の理由は「運と縁」です。(笑)
とはいっても、どちらも自分が行動を起こしたからこそ掴めたものなので、それを信じて決断するのも正しいことだと僕は思っています。

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――どういった点に運と縁を感じたのでしょう?

司馬さん:実は僕、総合商社の選考が始まる前に消費財メーカーの内定を頂いていたんです。
もちろん、総合商社に後ろ髪をひかれる思いもあったのですが、実質1年半くらい就活をしてきて正直もう疲れ果てていたので、「ここに決めてしまおう」と思っていました。
だから、「商社を受けずメーカーに決めてしまっていい理由」を探し続けて…。結局5月31日に、商社も含めて、他の企業を全て辞退したんです。

――選考解禁の前日に総合商社への想いを振り切ったというわけですね。

司馬さん:はい。
でも、辞退の連絡を入れてからすぐに、総合商社の人事の方に電話で「司馬くん、色んなイベントに来てくれたし、受けてくれるのかなと思っていたんだけど…どうしたの?」と聞かれて。
「もう、メーカーでいいと思ってます」と、正直に自分の気持ちをこぼしたら、「いやいや、最後までやるべきだよ!内定があってもいいから、とりあえず受けてみてよ!」と言ってくれたんです。

僕はすごく単純な人間なので、その言葉を聞いて「求められてる…!」と思っちゃって。(笑)
「そこまで言うなら…」という感じで、選考を受けることにしました。

――なるほど…!たしかに運と縁を感じますね。その選考でも「ありのまま」を貫けたんですか?

司馬さん:もちろんです!
なんなら、今まで受けた選考の中でいちばんありのままの僕でいられたと思います。

先ほども述べたように、メーカーに入る気満々でいたところに声をかけてもらったので、正直言って商社の対策なんて全然できていなかったんですよね。だから、「落ちたら落ちたで僕は違う場所で頑張れるし、もし受かったらどうするかはあとで考えればいいさ」と、ある意味吹っ切れた状態で挑みました。
それでもこうして評価をしていただけたので、「あ、これは運命なんだな」と思って、ここで働くことを決めたんです。

――一年以上の時を経て、本物の運命を引き寄せたんですね!ちなみに、これから社会に出ていく司馬さんは、どんな大人になりたいと思っていますか?

司馬さん:一言で言うと、”only one”な人ですね。「司馬さんがいないとこの仕事成り立たないですよ」「司馬さん異動しないでくださいよ」って言われる人になりたいと思っています。”one of them”は嫌なんです。(笑)

この1年半、はち切れんばかりの勢いでピーマンに肉を詰めてきたので(笑)、それを色んな形で活かせるように頑張ります!

今なら分かる。なめちゃいけない

――司馬さんならきっとそんな人になれると思います!では最後に、この記事を読んでくださった学生さんに、何かメッセージをお願いします。

司馬さん:うーん、そうだなあ…。いちばん言いたいのは、「就活をなめたらだめだよ」ってことですかね。(笑)

大学受験と比べると、就活の方が人生における重要度は遥かに高いじゃないですか。それに、就活で求められることって、インプットではなくてアウトプットだと思うんです。そういう意味で、受験勉強と就活は全くの別物なのに、受験勉強に比べて就活をなめてかかる人が多いなと僕は感じています。だけど、そのスタンスをとっていると、いつか絶対に痛い目を見る。僕自身がそうだったから、よく分かるんです。

これから就活を始める人の中に、もしもかつての僕のように「なんとかなるっしょ」と思っている人がいたら、そうじゃないよ、入試よりはるかに真剣に向き合わないとダメだよ、と伝えたいなと思います。

――貴重なお話ありがとうございました!

取材:中野はな・山野内智也
編集:中野はな

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