新卒就活で使う履歴書の基本
新卒就活では、企業に提出する履歴書の選び方や書き方ひとつで受け取られ方が変わります。市販の種類の違いや、手書きとパソコン作成のどちらが適しているかなど、まずは知っておきたい基本を押さえておきましょう。
履歴書の種類と選び方
新卒就活で使う履歴書には、大きく分けていわゆるJIS規格タイプ(旧JIS様式に近い標準的なフォーマット)と、メーカーや文具ブランドが独自に作ったオリジナル履歴書があります。
JIS規格タイプのものは項目が標準化されており、学歴・職歴や資格欄がバランスよく配置されているのが特徴です。公務員やメーカー、金融など「きちんとした印象」を重視する業界では、この定番フォーマットを選んでおくと無難です。
一方で、自己PR欄や志望動機欄が大きめに取られているオリジナル履歴書は、自分の経験や強みを文章でしっかり伝えたい人に向いています。クリエイティブ職やベンチャー企業など”人物やスキル重視の選考”では、こうしたフォーマットの方がアピールしやすいこともあるでしょう。
企業によっては独自の履歴書フォーマットを指定している場合もあるため、まずは応募企業の募集要項をしっかり確認し、業界のカラーや自分が押し出したい情報に合った様式を選ぶことが大切です。
手書きとパソコン作成どちらがいい?
履歴書は「手書きの方がいい?パソコンでも大丈夫?」と迷いやすいポイントです。どちらか一方が絶対に正解というわけではなく、業界や企業の雰囲気、自分の志向によって選び方も変わってきます。

企業側の視点で見ると、最近は「読みやすさ」「データで保存・共有しやすい」といった理由からパソコン作成を歓迎する会社も増えています。また、昨今の業務では最低限のデジタルスキルは必須なので、手書きにすることで「普段PCに慣れていないのかな」とPCスキルに疑問を持たれてしまうことも。
一方で、今でも「手書き=気持ちがこもっている」「やる気が伝わる」と評価する企業もあります。その場合、精神論や気合い・根性などを重んじる社風であることも少なくありません。
DXやデジタル化が進む社会の中で、自分がどんな価値観の会社で働きたいのか、志望業界の傾向も踏まえつつ、どちらのスタイルがフィットするか考えてみるとよいでしょう。
履歴書の正しい書き方
履歴書は、写真の選び方や学歴・職歴の書き方、志望動機や自己PRの内容によって受け取られ方が大きく変わります。どの項目も“ただ記入すれば終わり”ではなく、採用担当者が最初に目にする重要な判断材料です。
それぞれの欄で意識すべきポイントを押さえておくことで、あなたの強みがより伝わりやすくなるのです。
写真の選び方とマナー
履歴書の写真は、書類全体の印象を左右する大事なパーツです。
サイズは一般的に「縦4cm×横3cm」が目安。服装はリクルートスーツに白シャツ、髪型は顔まわりが隠れないように整え、男性はなるべくおでこを出し、口角を軽く上げた自然な表情を意識しましょう。背景は無地の白か青系が無難です。
撮影は、できれば写真館でプロにお願いするのがおすすめです。ライティングや姿勢を細かく直してくれるため、スピード写真よりも仕上がりに差が出ます。スピード写真はどうしても安っぽく見えやすく、同じクオリティの写真を量産しにくいので、コスパ面でも微妙なのです。「これだ」と思える一枚を写真館でデータ付きで撮影し、そのデータをもとに必要枚数をプリントして複数社に使い回す、というやり方が現実的でおすすめです。なお、ピアスや派手なメイクは避け、清潔感を最優先に整えると安心です。
学歴・職歴の書き方
学歴欄は、高校卒業から時系列で記入するのが基本です。西暦か和暦かはどちらかに統一し、学校名は正式名称で書きます。例えば、
「2023年3月 東京都立○○高等学校 卒業」
「2023年4月 △△大学□□学部□□学科 入学」
「2027年3月 △△大学□□学部□□学科 卒業見込み」
という形です。
行頭は一マス空け、「入学」「卒業」「卒業見込み」などの表記もそろえましょう。
職歴欄は、新卒の場合「職歴なし」と一行で済ませるパターンもありますが、長期のアルバイトで責任ある業務を任されていたなら、書いておくと評価材料になります。例えば、
「2022年4月 株式会社○○ アルバイト入社(飲食店ホールスタッフ)」
「2024年3月 同 退職」
といった形です。
短期の単発バイトを細かく並べるより、継続して働いた経験を中心にまとめ、最後に「以上」と締めると、すっきり読みやすい欄になります。
志望動機と自己PRの効果的な書き方
履歴書の中でも、志望動機と自己PRは「この学生と会ってみたいか」を決める重要な欄です。
志望動機は、
①結論(この会社で働きたい理由)
②その会社だからこそ惹かれるポイント
③自分の経験とのつながり
④入社後に挑戦したいこと
という流れを意識すると軸がぶれにくくなります。
そのためには、企業サイトや説明会、ニュースなどから事業内容や強み、今後の方向性をきちんと調べ、「数ある企業の中でなぜここなのか」が伝わる言葉に落とし込むことが欠かせません。
自己PRでは、「私の強みは◯◯です」と一言で示した上で、その強みが表れた具体的なエピソードを一つに絞って書くのがおすすめです。
①状況・課題
②自分の行動
③結果
の順で整理すると読み手もイメージしやすくなります。
エピソードは結果の大きさだけでなく、そこでどんな工夫をし、どんな学びを得たかまで書けるものを選ぶと説得力が増します。最後に、その強みを志望企業のどんな仕事で活かしたいのかまでつなげられると、「たしかに、自身の強みを業務に活かしてくれそうだな」という印象を持ってもらいやすくなるでしょう。
履歴書の送付方法とマナー
履歴書の送付方法やマナーは、意外と細かく見られています。基本のポイントを押さえておきましょう。

これらのポイントを意識することで、マナーを押さえた履歴書にすることができます。
詳しくみていきましょう。
封筒の選び方と宛名の書き方
履歴書を郵送する場合は、白無地の封筒を選ぶのが基本です。
サイズは、履歴書を折らずに入れられる角形2号(A4サイズ対応)がおすすめ。中身はクリアファイルに入れてから封筒へ入れると、雨濡れや折れ曲がりを防げます。
宛名は表面の中央に、
「株式会社〇〇
人事部 採用ご担当者様」
のように、正式名称+部署名を書き、「御中」と「様」が重ならないよう注意します。
部署宛なら「株式会社〇〇 人事部御中」、個人名が分かっている場合は「〇〇様」です。
差出人は封筒の裏面左下に、
「〒123-4567
東京都〇〇区〇〇1-2-3
△△大学□□学部□□学科
氏名 電話番号・メールアドレス」
のように郵便番号から順に記載します。
読みやすいペン(黒インク)で、ゆっくり丁寧に書くことを意識しましょう。
郵送とデータ送付それぞれのマナー
履歴書を郵送する場合は、募集要項をよく読み「いつ必着か」を確認することが大前提です。
履歴書は折らずにクリアファイルに入れ、白無地の封筒に同封します。あわせて、応募職種・氏名・同封書類をまとめた送付状も”頭紙”として1枚入れておくと丁寧です。ポスト投函より、到着状況を追える簡易書留やレターパックを使うと安心でしょう。
データ送付の場合は、原則PDF形式で提出し、ファイル名は「履歴書〇〇大学氏名.pdf」のように一目で内容が分かるものにします。メールの件名は「新卒採用応募書類送付(氏名)」など簡潔にまとめ、本文では応募先・職種・添付ファイルの種類を明記し、最後に署名(大学名・学部学科・氏名・連絡先)を入れるのが基本的なマナーです。
業界別の履歴書の記入例やポイント
履歴書の基本は同じでも、業界によって評価されやすいポイントは少しずつ違います。
就活生に人気がある、IT・メーカー・サービス業・金融・コンサル・広告などの主要な業界ごとに、「どこを強めに書くと伝わりやすいか」ということについてみていきましょう。
IT・Web業界
IT・Web業界を志望する場合は、「技術への関心」と「変化に対応しながら学び続けられるか」を履歴書でどう伝えるかがカギになります。
志望動機では、単に「ITに興味がある」だけで終わらせず、なぜその企業のサービスや技術領域に惹かれたのか、具体的なプロダクト名やニュースに触れながら書けると説得力が出るでしょう。
自己PRでは、プログラミング経験や情報系の学びはもちろん、独学での勉強、ハッカソン・技術系インターンへの参加、Webサービスづくりの経験など、「主体的に手を動かしたエピソード」があると評価されやすいです。エンジニア志望ならGitHubやポートフォリオサイト、ビジネス職志望ならデータ分析や企画に関わった経験など、職種ごとにアピールの軸を意識して書き分けるとよいでしょう。
メーカー(製造業)
メーカー(製造業)を志望する場合は、「なぜその分野のモノづくりに関わりたいのか」を履歴書でしっかり言語化することが大切です。
志望動機では、製品や技術への興味だけでなく、そのメーカーならではの強み(素材・技術・ブランド・市場ポジションなど)に触れつつ、自分の経験と結びつけて書けると好印象です。
自己PRでは、コツコツ継続する力や品質へのこだわり、現場の人と協力して成果を出した経験など、長期的な視点とチームワークが伝わるエピソードが重視されます。技術系職種なら研究・実験・設計などの取り組み、文系職種ならサークル運営やアルバイトでの改善提案など、「地道な工夫で結果を出した」経験を軸に書くと、メーカーとの相性がイメージしてもらいやすくなります。
サービス業・小売・外食
サービス業・小売・外食を志望する場合は、「人と接する仕事をどう捉えているか」が履歴書の重要なポイントになります。
志望動機では、その企業の店舗コンセプトやサービスの特徴に触れつつ、「自分がお客さまにどんな価値を届けたいのか」を具体的に書けると伝わりやすいです。
自己PRでは、接客アルバイトやサークル運営などを通じて、お客さま対応やクレーム対応、チームで忙しい時間帯を乗り切った経験などを盛り込むと効果的です。ただ「接客が好きです」で終わらせず、「どんな工夫をした結果、こういう反応をもらえた」というところまで書くと、現場でのイメージが湧きやすくなるでしょう。
金融(銀行・証券・保険など)
金融(銀行・証券・保険など)を志望する場合、履歴書では「信頼してお金を任せられる人かどうか」が一番見られます。
志望動機では、金融の役割や地域経済への貢献に触れた上で、「なぜこの会社なのか(ビジネスモデル・商品・地域戦略など)」まで踏み込んで書けると好印象です。
自己PRでは、数字を扱うことへの抵抗のなさ、コツコツ継続する力、約束や締切を守る姿勢などを、具体的なエピソードとセットで示すことが大切です。例えば、ゼミでのデータ分析、資格勉強の継続、部活やアルバイトでの金銭管理の経験などはアピール材料になりやすいテーマです。感情的な「やる気」だけでなく、冷静さや慎重さ、責任感が伝わる書き方を意識しましょう。
コンサル・専門職系
コンサル・専門職系を志望する場合は、「課題を見つけて、筋道立てて解決に向けて動けるか」がポイントになります。
志望動機では、企業や業界がどんな課題に向き合っているのかを自分なりに整理し、「その解決に自分のどんな強みを生かしたいのか」を書けると好印象です。
自己PRでは、ゼミやプロジェクト、インターンなどでの「課題設定→仮説立て→検証→振り返り」までのプロセスを具体的に示すことが大切。単なる根性論ではなく、ロジカルな思考や、粘り強くやり切る姿勢、周囲を巻き込んだ経験が伝わるエピソードを選ぶと、コンサル・専門職系との相性をイメージしてもらいやすくなります。
広告・マスコミ・クリエイティブ系
広告・マスコミ・クリエイティブ系を志望する場合は、「おもしろいアイデアが出せるか」だけでなく、それを形にするまでのプロセスをどう語れるかが鍵になります。
志望動機では、企業の手がけた作品やメディアの編集方針に具体的に触れ、「どんな表現で、誰に何を届けたいのか」を自分の言葉で書けると印象に残りやすいです。
自己PRでは、コンペや制作物、サークル誌、映像制作などの経験を取り上げ、「リサーチ→企画→制作→振り返り」の流れが伝わるようにまとめるのがおすすめ。発想力に加えて、締切を守る力やチームで作品を仕上げたエピソードも入れておくと、現場で働くイメージを持ってもらいやすくなるでしょう。
【NG例】就活生がやりがちな”履歴書NG例”3選
履歴書の基本を理解しても、いざ書いてみると「その一言、ちょっとまずいかも…」というNGが紛れやすいものです。採用担当者が実はよく目にしている就活生のやりがちな失敗パターンを取り上げ、なぜ印象を下げてしまうのか、NGを避けるため意識したい点についてみていきましょう。
【NG例①】志望動機が「どの企業にも当てはまる内容」になっている
志望動機でありがちなのが、「御社の理念に共感しました」「成長できる環境だと思いました」などのみで終わってしまうパターンです。これだと他社にもそのまま使い回せてしまい、「どこにでも言えることだな」と思われてしまうことも。具体的な事業内容や取り組み、自分の経験とのつながりまで書けていないと、志望度が低いと見なされるリスクがあります。
【NG例②】誤字・脱字、数字や表記の不統一
履歴書で意外と多いNGが、誤字・脱字や表記ゆれです。
学歴の西暦と和暦が混在していたり、会社名・大学名を漢字一文字違いで書いてしまったりすると、「仕事でもミスが多いのでは?」と不安を与えます。書き終えたら必ず声に出して読み直し、日付・数字・固有名詞が合っているか、一つひとつチェックする習慣をつけましょう。
【NG例③】空欄が多い、または記入欄を埋めるためだけの内容が並ぶ
資格欄や自己PR欄が空欄だらけだったり、「特になし」「よろしくお願いいたします」など中身のない一文で埋めてしまうのもNGです。「この学生から得られる情報が少ない=志望度も低そう」と受け取られかねません。書けることが少ないと感じる場合でも、授業・サークル・アルバイトなどから経験を洗い出し、自分なりに工夫して記入することが大切です。
まとめ
履歴書は、ただ「決められた欄を埋める紙」ではなく、あなたをまだ知らない企業に自己紹介をするための大事なツールです。
本記事では、フォーマットの選び方や手書き・PC作成の違い、写真・学歴職歴・志望動機や自己PRの書き方、送付マナー、業界別に意識したいポイントまで整理してきました。
初めから完璧を目指さずに、基本を押さえながら改善していくことで履歴書の内容は確実に良くなっていきます。ぜひ、自身の良さを自分の言葉で伝えられる”渾身の履歴書”に仕上げていってください。
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