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FASとは？主な仕事内容や必要スキルを徹底解説！ | ビズリーチ・キャンパス

FASという言葉を就活で見かけても、「具体的に何をする仕事なのかイメージしにくい」という声は少なくありません。企業の重要な経営判断に関わるだけに、専門性の高い領域という印象を持つ人も多いでしょう。本記事では、FASの概要や仕事内容、そこで求められるスキルを、初めて学ぶ方にもわかりやすく整理して解説します。数字を武器にビジネスの最前線で活躍したい方は、ぜひチェックしてみてください。

公開日： 2025/11/19

FASとは？

就活でいうFASとは、「Financial Advisory Services（ファイナンシャル・アドバイザリー・サービス）」の略で、企業のM&Aや事業再生、企業再編などを財務面から支援する専門会社・部門を指します。
具体的には、監査法人系のファームやコンサルティング会社の中にFAS部門が置かれているケースが多く、企業価値の算定やデューデリジェンス（財務調査）などを手がけます。いわゆる一般の事業会社ではなく、企業同士の取引や経営判断をサポートする“プロフェッショナル集団”だとイメージすると分かりやすいでしょう。

Big4系
Big4系のFASは、デロイト、PwC、EY、KPMGといった大手監査法人グループが展開する財務アドバイザリー部門で、企業の重要な意思決定を数字の面から支える役割を担っています。主なサービスは、M&Aの戦略立案から実行・PMIまでの一連の支援、対象企業の財務デューデリジェンスや企業価値評価（バリュエーション）、事業再生・リストラクチャリング、不正調査などです。
また、世界中の拠点と連携できるグローバルネットワークや、監査法人で蓄積された会計・財務データの知見を生かせる点もBig4系ならではの特徴で、大型案件やクロスボーダーM&Aに関わるチャンスが多い環境と言えます。

Big4系以外
Big4系以外にも、国内にはさまざまなFASがあります。例えば、日本M&Aセンターや山田コンサルティンググループ、フロンティア・マネジメントなどは、”独立系のFAS”として中堅・中小企業のM&A支援や事業再生に強みを持つファームです。
Big4系がグローバルネットワークを生かした大型案件や複雑なスキームを多く扱うのに対し、独立系はオーナー企業に寄り添い、現場に入り込んだ実行支援や実務を伴走して支援する実践的なアドバイスを提供するケースが目立ちます。
案件規模はややコンパクトでも、「経営者と近い距離で伴走したい」「地方企業や事業承継にじっくり関わりたい」といった志向を持つ就活生には、Big4系とはまた違った魅力のある選択肢といえるでしょう。

M&Aコンサルタントとの違いは？

「FAS」は、監査法人系やコンサルファームなどに置かれた“財務アドバイザリー部門そのもの”や、そこで提供されるサービス領域を指す言葉です。一方で「M&Aコンサルタント」は職種名に近く、FAS部門に所属する人だけでなく、独立系のM&A仲介会社や投資銀行で、案件のマッチングや交渉支援、戦略立案を行う人も含みます。
つまり、FASは“組織・機能の呼び方”、M&Aコンサルタントは“その中で働く人の仕事の呼び方”という違いがある、とイメージすると整理しやすいでしょう。

FASの仕事内容は？

FASの仕事は、一言でいうと「企業の大きな意思決定を数字で支える仕事」です。
M&Aの検討や実行支援、買収後のPMI、DDや企業価値評価、不正調査、さらには経営戦略の高度化まで、専門性の高い業務を幅広く担うのです。
FASの代表的な仕事内容を、順番に整理してみていきましょう。

①M&A業務
M&A業務は、企業同士の合併や買収を「お金と数字のプロ」の立場から支える仕事です。
例えば、どの会社を買うべきかという戦略の検討段階から、条件交渉のサポート、株式や事業の譲渡価格の試算、金融機関からの資金調達スキームの検討などに関わります。また、候補先の財務状況やビジネスリスクを見極めるために、他の専門チーム（DD担当やバリュエーション担当など）と連携しながら、経営陣が判断しやすい形で資料をまとめるのも重要な役割です。
単に「買うか・買わないか」ではなく、「どんな条件なら企業価値を高められるのか」を考え抜く、FASの中でも中心的な業務といえるでしょう。

②PMI（ポスト・マージャー・インテグレーション）
PMI（Post Merger Integration）は、M&Aで会社を「買ったあと」に行われる統合プロセスです。契約を結んで終わりではなく、ここでシナジー（相乗効果）をどれだけ実現できるかが、M&A成功のカギになるのです。
統合プロセスは、例えば

①組織・人事（部署構成や評価制度の整理）
②業務プロセス（営業・バックオフィスなどの仕事の進め方の統合）
③システム・インフラ（基幹システムや情報共有ツールの一本化）

といった観点で進められることが多いです。
FASのコンサルタントは、現状の課題や両社の違いを丁寧に分析した上で、「どこを、どの順番で、どう変えていくか」を設計し、経営陣に提案していきます。そのため、数字を見る力に加えて、物事の優先順位を組み立てる分析力と、相手が腹落ちできる形で伝える提案力が求められる仕事なのです。

③DD（デューデリジェンス）
DD（デューデリジェンス）は、M&Aを行う前に対象企業の実態を見極めるための調査です。売上や利益、借入金などの財務面だけでなく、主要な取引先、ビジネスモデル、契約・訴訟リスクなども多角的にチェックします。
ここを甘く見ると、想定以上の負債や不正が後から発覚して高値づかみになったり、統合後に大きな損失やトラブルを抱えるおそれがあるため、FASにとって非常に重要な仕事です。

④企業価値評価（バリュエーション）
企業価値評価（バリュエーション）は、M&Aで「いくらなら妥当なのか」を見極めるために、買収対象企業の価値を数値で算出する業務です。
高すぎる価格で買えば投資回収が難しくなり、安すぎれば相手側の合意が得られません。適切にバリュエーションを行うことで、交渉の根拠を持てるだけでなく、経営陣が投資判断を下す際の重要な材料にもなります。
具体的な手法としては、将来のキャッシュフローを現在価値に割り引く「DCF法」、上場企業や過去のM&A事例の株価指標を参考にする「マルチプル法」、保有資産と負債をベースに評価する「時価純資産法」などがあります。FASでは、これらを組み合わせながら、その企業の実態や業界の特徴に合った価格レンジを導き出していきます。

⑤不正調査（フォレンジック）
フォレンジックは、企業の不祥事や不正の「発見」と「予防」に関わる専門領域です。
粉飾決算や横領、内部不正などの疑いが生じた際に、事実関係を客観的に調査し、再発防止策まで含めて企業の信頼回復を支援します。具体的には、会計帳簿や取引データの分析、関係者へのインタビュー、メール・ログなどのデジタルフォレンジック調査、社内統制（内部統制）の点検などを行います。また、不正が起きやすい仕組みがないかを診断し、ガバナンス強化の提案を行うことも重要な役割です。
数字と事実に基づいて原因を突き止めるため、冷静な分析力と高い倫理観が求められる仕事です。

⑥経営戦略・高度化
経営戦略・高度化の領域では、企業がグローバル化やデジタル化の流れに乗り遅れないよう、「次の一手」を一緒に考えていきます。
例えば、新しい収益源となる事業ポートフォリオの見直し、海外展開や提携戦略の検討、データ活用やDX（デジタルトランスフォーメーション）による業務効率化などが代表的です。現状の収益構造やコスト、組織体制を細かく分析した上で、どこに資源を投下すべきか、どんなビジネスモデルに転換していくべきかを提案し、実行計画づくりまでサポートします。
数字と戦略の両面から、企業の「稼ぐ力」を底上げしていくイメージに近い仕事です。

FASに必要スキル

FASで働く上では、まず財務・会計に関する基礎知識が欠かせません。
M&Aや企業価値評価、DDなどの業務では、財務諸表や決算書、各種の会計資料を日常的に読み解いていくことになります。そのため、新卒であっても「数字に強い」ことを示せる資格があるとプラスです。代表的なのは、公認会計士や公認会計士試験合格者、または日商簿記検定2級レベルの知識です。必須ではないものの、志望度の高さや勉強への姿勢をアピールできるため、FASを本気で目指すなら早めに取り組んでおくとよいでしょう。

FASの年収はいくら？

Big4系FASは、コンサル業界の中でも比較的高い年収水準と言われます。
ポジションごとの目安は、おおよそ以下のように整理できます。

もちろん、実際の金額はファームごとの給与テーブルや個人の評価、ボーナスによって変動しますが、新卒で入社して数年でアソシエイト〜シニアアソシエイト帯、早ければ20代後半で年収1,000万円を超えるケースもあります。
ハードな環境ではありますが、その分「専門性と成果に見合う報酬」が期待できるフィールドといえるでしょう。

FASのやりがいは？

FASのやりがいは、まさに「企業の転機」に深く関われることです。
例えば、苦戦していた会社のM&Aや事業再生がまとまり、PMIが軌道に乗ったときには、数字の上でも業績改善が見えてきますし、現場の空気が変わっていくのを実感できます。DDやバリュエーション、フォレンジックなどの地道な分析が、最終的には「この案件は御社にとって大きな一歩になりました」「ここまで支えてくれてありがとう」といったクライアントからの言葉につながるのも大きな喜びです。
かなりのハードワークではありますが、自分の仕事が企業の未来を動かしている実感を得やすい点が、FASならではの魅力と言えるでしょう。

まとめ

FASは、M&AやPMI、DD、バリュエーション、不正調査、経営戦略の高度化などを通じて、企業の大きな意思決定を数字の面から支える仕事です。そのぶん財務・会計の知識やロジカルな思考力が求められ、公認会計士や日商簿記2級といった資格が力になる場面も少なくありません。決して楽な道ではありませんが、難しい案件が無事にまとまり、クライアントから感謝の言葉をもらえたときの手応えは大きいはずです。数字を武器にビジネスの最前線で活躍したい方は、FASというキャリアも選択肢の一つとして考えてみてください。

FASについてよくある質問

FASで有名な企業は？
FASで名前が挙がりやすいのは、いわゆる「Big4」と呼ばれる監査法人グループのアドバイザリー部門です。
具体的には、デロイトトーマツファイナンシャルアドバイザリー、PwCアドバイザリー、KPMG FAS、EYストラテジー・アンド・コンサルティングなどが代表的です。ほかにも、山田コンサルティンググループやフロンティア・マネジメントといった独立系のFAS・アドバイザリーファームも、M&Aや事業再生の領域で知られています。

FASとは何の略ですか？
FASは「Financial Advisory Services（ファイナンシャル・アドバイザリー・サービス）」の略で、M&Aや事業再生を財務面から支援する専門部門を指します。代表的な企業として、デロイトトーマツファイナンシャルアドバイザリー、PwCアドバイザリー、KPMG FAS、EYストラテジー・アンド・コンサルティングなどが挙げられます。