最近は自己PR動画が増えている
近年、多くの企業が採用手法に”自己PR動画”を取り入れており、それを後押ししているのが「選考の効率化」と「ミスマッチ防止」へのニーズです。特に、オンライン選考が一般化した今、動画は面接前に応募者の印象を知る手段として有効なのです。
話す内容だけでなく、表情や声のトーン、言葉選びなどから“人となり”が垣間見えるため、短時間で多くの応募者を把握したい企業にとって、自己PR動画は効率的かつ重要な選考材料になりつつあります。
自己PR動画は「文章だけでは見抜けないマッチ度」を判断するための有効な手段なのです。スキルや経験のほか、「その人が会社の空気や文化に馴染みそうか」「チームで活躍できそうか」という部分も探ることができるのです。
Web面接を行う企業の増加
コロナ禍をきっかけに、選考のオンライン化が進み、現在では自己PR動画の提出から最終面接まですべてWebで完結する企業も珍しくなくなりました。
企業側にとっては、会場の手配や日程調整の手間が省ける上に、全国から応募者を募りやすくなるというメリットがあります。一方で、就活生にとっても移動時間や交通費の負担が減り、より多くの企業へチャレンジしやすい環境になったといえるでしょう。こうした流れは今後も主流になっていくと考えられます。
自己PR動画で企業が見る3つのポイント
自己PR動画では、就活生のスキルや情報だけでなく、「どんな人か」「どんな思いで応募しているか」といった雰囲気や熱意も企業に伝わります。採用担当者は、就活生の話し方や表情、声のトーンなどからも多くの情報を読み取っているのです。
①応募者の人柄や雰囲気
自己PR動画でまず見られているのは、内容そのものよりも「どんな人なのか」という人柄や雰囲気です。エントリーシートや履歴書だけでは、文面から想像することはできても、実際に話す様子までは伝わりません。一方で動画であれば、表情、声のトーン、話すスピード、間の取り方などから、「この人は落ち着いているな」「コミュニケーションが取りやすそうだな」といった印象を具体的にイメージできます。
企業にとっては、全員といきなり面接で会うよりも、動画を通して人柄の雰囲気を事前に確認できるのは大きなメリットです。実際に会う前の段階で、“一緒に働く姿”をイメージしながら効率的に判断できるため、自己PR動画はミスマッチを減らす手段としても活用されています。
②わかりやすい話し方ができるか
自己PR動画では、「どれだけ話せるか」よりも「限られた時間で、どれだけわかりやすく伝えられるか」が重視されます。多くの企業は、1〜2分程度の短い動画の中で、自分の強みや経験を整理して話せているかを見ています。ダラダラと情報を詰め込むのではなく、結論→理由→具体例というように、ポイントを絞って話せているかが大切です。
また、そもそも自分の強みを理解できていないと、話す内容もぼんやりしてしまいます。自己分析を通して「自分は何が得意で、どんな場面で発揮されるのか」を言語化した上で、「相手にどう伝えるか」を考えることが必要です。動画は、その整理された内容をシンプルに表現できているかどうかを確認する場だと考えるとよいでしょう。
③企業への志望度や熱意
自己PR動画では、「この企業で働きたい」という気持ちがどれくらい本気なのかも見られています。話している内容そのものはもちろんですが、表情や目線、声のトーンなどから、その企業に対する関心や前向きさは意外と伝わるものです。なんとなく話しているのか、本気で伝えようとしているのかは、見る側にははっきり伝わるのです。
また、「どの企業にも使い回せそうな内容」かどうかも、採用担当者は敏感にチェックしています。その企業ならではの魅力に触れているか、自分の経験と志望理由が結びついているか、といった点から志望度を判断しています。企業理解をした上で、「なぜこの会社なのか」「入社後にどう貢献したいのか」まで言葉にして動画で伝えることが大切なのです。
自己PR動画の作成方法
いきなりカメラを回すのではなく、自己PR動画は「準備→練習→撮影→確認」という流れを踏むことが大切です。まず話す内容を原稿にまとめ、何度か声に出して練習した上で、撮影環境を整えてから撮影します。最後に動画を見直し、問題がなければ提出する、というステップで進めていきましょう。
1.動画で話す内容の原稿を作成する
自己PR動画を作るときは、まず「何を話すか」を原稿に落とし込むところから始めましょう。構成は、「自己紹介→強みや経験→具体的なエピソード→入社後にどう生かしたいか」という流れにしておくとまとめやすくなります。企業から指定されている時間(例:1分、90秒など)を意識しながら、読み上げて収まる分量かどうかも必ず確認してください。
原稿を書くときは、レポートのようなかたい文章ではなく、実際に話すことを前提にした「話し言葉」で書くのがおすすめです。また、「どんな人材を求めている企業なのか」を採用ページや募集要項から把握し、その人物像に合う強みやエピソードを選ぶことも大切です。
同じ自己PRでも、企業ごとに少し内容を調整する意識を持てると、動画の印象はぐっと変わってきます。
2.何度も原稿を読む練習をする
原稿ができたら、次は「声に出して読む練習」です。頭の中で何となくイメージしているだけだと、いざカメラを前にしたときに言葉が詰まったり、早口になったりしがちです。実際に声に出して読んでみることで、言いにくい表現や息継ぎのタイミング、時間オーバーしそうな部分が見えてくるのです。
最初は原稿を見ながらで構いませんが、慣れてきたらカンペを見ずに話せるかも試してみてください。一度練習しただけで本番に臨むのではなく、「これなら落ち着いて話せそうだ」と自分で思えるところまで、何度も繰り返すのがおすすめです。練習を重ねるほど、表情や声のトーンにも余裕が生まれ、動画越しでも自然な印象を与えやすくなるでしょう。
3.撮影環境を用意する
自己PR動画は「何を話すか」だけでなく、「どんな環境で撮っているか」でも印象が変わります。撮影場所は、できるだけ静かな室内を選びましょう。外だと風や周囲の声が入りやすく、内容が聞き取りにくくなることがあります。
照明は、顔がはっきり見えることが大事です。自然光だけに頼ると天気や時間帯で暗くなりやすいので、可能であればデスクライトやリングライトなどを使い、正面からやや斜め上あたりに光が当たるように調整すると、表情が明るく見えます。
背景は、生活感のあるものが映り込みすぎないよう注意しましょう。白や明るいグレーの壁、本棚などシンプルな背景がおすすめです。音声についても、エアコンの音や家族の話し声などが入らないよう、録る前に一度テスト撮影をして確認しておくと安心です。こうした環境づくりが、動画全体の「きちんと準備している印象」にもつながるのです。
4.撮影をする
撮影環境と身だしなみが整ったら、いよいよ撮影に進みます。撮影はパソコンのWebカメラでも、スマホのカメラでも問題ありません。自分がやりやすい方を選びましょう。
スマホで撮影する場合は、手で持たずにスタンドや本などに立てかけて固定するのがおすすめです。画面ではなく「レンズ」を見るよう意識すると、相手と目線が合っているように見えます。また、指定がなければ基本は横向きで撮影し、カメラの位置が目線と同じくらいになるよう高さを調整しましょう。レンズの汚れや、充電残量・保存容量も事前にチェックしてから撮影に臨むと安心です。
5.撮影した動画の確認
撮影が終わったら、そのまま提出せずに必ず動画を見直しましょう。
まずは音声から確認します。雑音が入っていないか、声が小さすぎないか、聞き取りづらい話し方になっていないかをチェックしてください。次に、照明がしっかり当たっていて顔が暗くなっていないか、画角が極端にアップや引きすぎになっていないかも確認したいポイントです。
身だしなみや表情、姿勢、声のトーンも、自分で見ると意外と気づきが多いはずです。「早口になっていないか」「表情が固くないか」「志望度や熱意が伝わる話し方になっているか」を意識して見直し、気になる点があれば撮り直しも検討しましょう。少し手間はかかりますが、このひと手間で動画の完成度がぐっと上がります。
6.動画を提出する
動画の内容や映りに問題がなければ、最後に企業の指示に沿って提出します。
自己PR動画は、企業ごとに指定されているフォーマット(MP4など)や容量、録画時間、提出方法(専用フォームにアップロード、URLで提出など)が異なります。募集要項やマイページの案内をよく読み、指定通りの形式で提出することが大切です。万が一アップロードできない場合に備えて、データのバックアップも取っておくと安心でしょう。
評価される自己PR動画の撮影のコツ
同じ内容を話していても、見せ方次第で動画の印象は大きく変わります。清潔感のある身だしなみや、ゆっくりとした話し方、カメラ目線の笑顔といった基本を押さえるだけでも、ぐっと伝わりやすくなります。
小道具の使い方や動画の始め方・締め方など、評価につながる撮影のコツについてみていきましょう。
身だしなみは清潔感のある見た目に
自己PR動画では、話す内容と同じくらい「見た目の清潔感」も見られています。もちろん第一印象だけで評価が決まるわけではありませんが、「きちんとした身だしなみで臨む」という姿勢は、最低限のマナーとして重視されます。
清潔感を出すポイントとしては、まず「しっかりアイロンのかかったシャツやスーツを着る」こと。シワやヨレがあると、それだけでだらしない印象になってしまいます。次に「髪型を整え、前髪で目が隠れないようにする」こと。表情が見えるだけで印象はぐっと良くなります。男性はおでこが出る髪型にすることをおすすめします。最後に、メイクやヒゲ、アクセサリーを控えめにし、「ビジネスの場でも違和感がないか」を基準に整えること。派手さよりも、落ち着いた清潔感を意識すると安心です。
ゆっくり・ハキハキと話す
自己PR動画では、落ち着いたスピードで、ハキハキと話すことがとても大切です。早口になってしまうと内容が伝わりにくく、逆にゆっくりすぎると自信がないように見えてしまうこともあります。適度なテンポで丁寧に話すことで、相手にしっかり届く言葉になるのです。
また、話し方は動画全体の印象を大きく左右します。語尾をはっきり言う、要所で少し間を置くなど、聞き手が理解しやすい話し方を意識すると、落ち着いていて信頼感のある印象につながります。練習の段階から、自分が話すスピードと声の出し方を確認しておくと安心でしょう。
表情は笑顔で目線はカメラ目線
自己PR動画では、表情と目線も大きなチェックポイントです。少し口角を上げて笑顔を意識するだけでも、「話しやすそう」「前向きな人だな」といった印象を持ってもらいやすくなります。無表情で淡々と話すよりも、穏やかな笑顔で話したほうが、内容もポジティブに伝わりやすくなるでしょう。
また、画面上の自分の顔ではなく、“カメラのレンズ”を見ることも重要です。レンズをしっかり見ることで、見る側からは「目を合わせて話してくれている」ように感じられます。スマホやPCを少し高めの位置に置き、目線と同じか、やや上から映るように調整すると、伏し目がちにならず自然な表情になりやすいです。撮影前に、カメラ位置と目線を必ずチェックしておきましょう。
小道具などを活用する
自己PR動画では、必要に応じて小道具を取り入れるのも一つの工夫です。
例えば、自分の強みやキーワードを書いたフリップを用意しておくと、話の流れが視覚的にも伝わりやすくなりますし、「行動力」「継続力」などアピールしたいポイントを強く印象づけることができます。また、数字や成果をフリップにまとめて見せることで、相手の記憶にも残りやすくなります。ただし、あくまで主役は自分自身です。派手すぎる小道具や、内容と関係の薄いものは避け、話を補助するアイテムとしてバランスよく活用することが大切です。
動画の「始め」と「締め」は丁寧に
「動画だから」といって、いきなり本題から入ってしまうのは避けた方が安心です。面接やESと同じように、最初と最後の一言で全体の印象が変わります。冒頭では「◯◯大学△△学部の□□です。本日は自己PR動画をご覧いただきありがとうございます。」といった形で、簡単なあいさつと自己紹介を入れましょう。
締めくくりも同様に大切です。「以上が私の自己PRです。貴社で〜として貢献したいと考えております。ご視聴いただきありがとうございました。」のように、内容を締めつつ感謝の一言を添えると、丁寧で誠実な印象になります。始めと締めを整えるだけでも、動画全体がぐっと“きちんとした自己PR”らしくまとまります。
自己PR動画についてよくある質問
自己PR動画は何を話せばいいですか?
自己PR動画では、まず簡単な自己紹介をした上で、「自分の強み」と「それを表す具体的なエピソード」を中心に話すとまとまりやすいです。強みだけを並べるのではなく、「どんな場面で発揮したか」「その結果どうなったか」まで伝えることが大切です。最後に「その強みを入社後どう生かしたいか」を一言添えると、企業側もイメージしやすくなります。
自己PR動画に挨拶は必要ですか?
はい、自己PR動画でも挨拶は入れた方がいいでしょう。いきなり本題に入るより、最初に「◯◯大学△△学部の□□です。本日は自己PR動画をご覧いただきありがとうございます。」と簡単に名乗ることで、丁寧な印象になります。最後も「以上が自己PRです。ご視聴いただきありがとうございました。」と締めくくると、動画全体がきれいにまとまり、誠実さも伝わりやすくなります。
まとめ
就活で求められる自己PR動画は、「完璧な映像作品」よりも、人柄や強み、志望度が素直に伝わっているかが何より大切です。本記事で紹介したように、「原稿作成→練習→撮影環境の準備→撮影→確認→提出」と段階を踏めば、初めてでも落ち着いて臨めるでしょう。
清潔感のある身だしなみやカメラ目線の笑顔、聞き取りやすい話し方を意識するだけでも印象は大きく変わります。動画は、あなたらしさを企業に届けるチャンスです。「この会社でこう貢献したい」という思いを、自分なりの言葉で丁寧に伝えてみてください。
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