そもそも傾聴力とは?
「傾聴力」とは、単に人の話を「聞く」のではなく、相手の言葉・感情・意図にまで真剣に耳を傾け理解しようとする力を指します。このスキルは、チームで協働する際や顧客の声に応える場面で特に重要で、意見の食い違いや課題の芽を早期に把握し、信頼関係を築く役割を果たします。
就活においては、傾聴力を自己PRで示すことで「伝える力」だけでなく「受け止める姿勢」も備えていることをアピールできるのです。
傾聴力がある人はどんな人?
傾聴力がある人とは、ただ話を聞くだけでなく、相手の気持ちに寄り添いながら理解しようとする姿勢を持つ人です。共感力に優れ、自然と会話を引き出したり、周囲から相談を受けることが多いのも特徴です。
「傾聴力がある人の特徴」についてみていきましょう。
共感性がある人
共感性がある人は、相手の立場や気持ちに丁寧に寄り添いながら話を受け止めようとする姿勢を持っています。
自分の考えを押しつけず、まずは相手の感じ方や状況を尊重することで、「この人なら話せる」と安心感を与えることができるのです。その積み重ねが、信頼関係を築く上で大きな強みになります。
ビジネスの場面でも、相手の背景や意図をくみ取れる力は、円滑なコミュニケーションや問題解決に役立ちます。傾聴力を支える基盤として、共感性は欠かせない要素といえるでしょう。
相手の話を引き出すのが上手い人
相手の話を引き出すのが上手い人は、話しやすい空気づくりが自然とできる人です。
一方的に聞くだけでなく、相づちや表情、タイミングのよい質問を通じて「ちゃんと受け止めてもらえている」と感じさせることで、相手に安心感を与えられます。その結果、表面的な話だけでなく、本音や悩みといった内面的な部分まで引き出すことができるのです。
こうした聞き方ができる人は、対話の中から相手の意図や課題を的確にくみ取る力があり、職場でも信頼されやすい存在になります。
よく相談をされる人
傾聴力のある人は、自然と周囲から相談を受けることが多い傾向があります。これは、これまで紹介してきたように、相手に安心感を与え、信頼関係を築くことができるからです。「この人なら否定せずに話を聞いてくれる」「自分の気持ちを理解してくれそう」と感じてもらえることで、悩みや本音を打ち明けやすい存在になるのです。
相談をされる経験が多いということは、それだけ“聞く力”に信頼がある証拠。傾聴力を裏づけるエピソードとして、自己PRに活かしやすい特徴の一つでしょう。
傾聴力が評価される理由
傾聴力は、社内外を問わず人と関わるあらゆる場面で重要視されるスキルです。信頼関係の構築や本音の把握、円滑な問題解決においてもその力が発揮されるのです。
企業がなぜ傾聴力を評価するのか、その背景にある理由を把握しておきましょう。
社内・社外との信頼関係に必要なため
相手の話にしっかり耳を傾ける姿勢は、「きちんと向き合ってくれている」「この人には安心して話せる」という印象を与えます。そのため、傾聴力のある人は自然と信頼を得やすく、周囲との関係も円滑になりやすい傾向があります。
社内では、チームの意見や感情を丁寧にくみ取ることで協力関係が築きやすくなり、職場全体の雰囲気にも良い影響を与えます。また、顧客や取引先とのやり取りにおいても、相手の要望や懸念を丁寧に受け止めることで信頼を得やすくなり、長期的な関係づくりにもつながるのです。
相手の本音を引き出す際に必要なため
表面的なやり取りだけでは、相手の本音や本当のニーズにたどり着けないことも多くあります。特にビジネスでは、言葉にされない課題や懸念を汲み取ることが成果に直結する場面も少なくありません。
傾聴力のある人は、相手の話に共感を示しながら聞くことで、安心して話せる雰囲気を作り出します。そうした姿勢が、顧客との関係構築だけでなく、社内の人間関係やチーム運営にも良い影響を与えるのです。相手の内面に自然とアクセスできる力は、信頼を深める上でも欠かせないスキルといえるでしょう。
問題解決に必要なため
課題に直面したとき、傾聴力のある人は自分の考えに固執せず、まず相手の意見や立場を丁寧に受け止めることができます。その姿勢によって、一方的な判断では見落としがちな視点や背景事情にも気付くことができ、より多角的に問題を捉えられるようになるのです。
また、意見をしっかり聞いてもらえることで、周囲も安心して発言できるようになり、建設的な議論が生まれやすくなります。こうした環境づくりが、職場のチーム内における課題解決力を高める上で大きな意味を持ちます。
傾聴力は単なるコミュニケーションスキルにとどまらず、実務の成果にも直結する力なのです。
傾聴力の言い換え
傾聴力という言葉は馴染みがある一方で、自己PRでそのまま使うとやや抽象的に受け取られてしまうこともあります。そんなときは、自分の強みやエピソードの内容に応じて、より具体的な表現に言い換えるのも有効です。
例えば「洞察力」「理解力」「寄り添う力」「関係構築力」などに言い換えることで、伝えたい印象がより明確になり、説得力も高まります。
洞察力がある
「洞察力がある」という表現は、傾聴力をより具体的に言い換える際に使える言葉のひとつです。相手の発言の裏にある意図や感情、ニーズをくみ取る力を指し、ただ聞くだけでなく“気付く”力があることを強調できます。特に相手の立場や状況を読み取りながら対応できた経験を語る際に有効です。
理解力がある
相手の言動から、その背後にある意図や状況を的確にくみ取れる力は、「理解力がある」と表現できます。ただ話を聞くだけでなく、「なぜそう感じたのか」「何に困っているのか」といった背景まで踏まえて受け止められる人は、対話の質を高め、信頼関係の構築にもつながるでしょう。
例えば、バイト先やサークル内のすれ違いを円滑に整理できた経験などがあれば、理解力の高さとして自己PRに活かすことができるでしょう。
寄り添う力がある
相手の話を一方的に受け止めるのではなく、その人の立場や気持ちに寄り添いながら耳を傾ける姿勢は、「寄り添う力がある」と表現できます。話す側にとっては、自分の状況や感情を理解しようとしてくれる相手がいることで、安心して本音を打ち明けやすくなるのです。
例えば、悩みを抱える友人の話に丁寧に耳を傾け、言葉を選びながら励ました経験などがあれば、「傾聴力」よりも「寄り添う力」の方が自然に伝わるケースもあります。
関係構築力がある
相手の話を丁寧に受け止め、信頼を築いた上で円滑なコミュニケーションを図れる人は、「関係構築力がある」と表現できます。傾聴によって相手の価値観や考え方を理解し、適切な対応をとることで、信頼や安心感を生み出すことができるためです。
単に聞くだけで終わらず、その後のやり取りや協力関係へとつなげられる点が評価され、職場や取引先との関係づくりにおいて強みとなるでしょう。
自己PRで傾聴力の伝え方
傾聴力を自己PRで伝えるには、「聞く姿勢がある」だけでは伝わりきらないこともあります。「結論→具体→成果→今後」という”伝え方の型”を意識し具体的に示すことで、説得力のあるアピールになるのです。
①結論から伝える
まず最初に最初に「傾聴力があります」と一言で伝えることで、話の軸が明確になり、読み手にも印象が残りやすくなります。結論は短く簡潔に、ワンフレーズで伝えるのがポイントです。
その際、結論を述べてから具体的な経験や理由を示すことで説得力を高める「PREP法」が有効です。例えば、「私は傾聴力があります(Point)。相手の立場に立って話を聞くことを心がけてきました(Reason)。実際に〜という経験があり〜(Example)……」という流れで伝えることで、相手に伝わりやすい自己PRになります。
②具体的なエピソードを入れる
結論に続くのが、裏付けとなる具体的なエピソードです。
どのような場面で傾聴力を発揮し、どんな行動をとったのかを具体的に描写することで、強みに実感が伴います。例えば、「ゼミのメンバー同士の意見が対立した際、双方の話を丁寧に聞き取った上で共通点を整理し、合意形成につなげた」など、背景・行動・結果がわかるように伝えるのが効果的です。
聞き役としての役割を果たした経験を通して、自分らしい傾聴のスタイルが伝わる内容を意識しましょう。
③成果を伝える
エピソードのあとには、傾聴力がどのような成果につながったのかを具体的に伝えることが重要です。例えば、「メンバーの意見を丁寧に整理した結果、発表内容の完成度が上がり、学内コンテストで優勝した」など、行動によって得られた成果を明確に示すと説得力が増します。
また、「発表内容の完成にかかる期間を前年比で20%ほど短縮することができた」など、数値を用いると読み手の印象にも残りやすく、再現性や客観性を感じさせる効果もあります。成果は、傾聴力の価値を具体的に伝えるポイントなのです。
④今後会社でどう生かすか
最後に、傾聴力を入社後どのように活かしたいかを伝えることで、企業で働く姿がより具体的にイメージされます。例えば「お客様の声を丁寧にくみ取り、より的確な提案につなげたい」や「チーム内での意見調整や信頼関係づくりに貢献したい」といった形で、業務との接点を意識するのがポイントです。
企業側は“活躍のイメージ”を持てる学生に魅力を感じるため、自分の傾聴力がどう役立つのかを言語化して伝えましょう。
【職種別】傾聴力をアピールする自己PRの例文
傾聴力は、どの職種でも強みとして活かせる力ですが、業務内容によってアピールの仕方や伝え方は変わってきます。営業・事務・エンジニア・クリエイティブなど、職種ごとの特徴に合わせた自己PR例文をみていきましょう。
営業職の場合
【例文】
『私は、人の話をしっかりと聞き、相手が本当に求めていることを汲み取る姿勢を大切にしています。大学では学生広報チームの一員として、学内イベントへの参加を促す役割を担っていました。参加率が思うように伸びなかった際、これまで参加していなかった学生に直接話を聞き、手続きの手間や開催時間に負担を感じていたことが分かりました。そこで案内方法を改善し、柔軟な対応を心がけた結果、参加者数を前年より約2割増やすことができました。今後も、相手の声に丁寧に耳を傾けながら、信頼を築き、ニーズに沿った提案ができるよう努めていきたいと考えています。』
【ポイント】
営業職では、傾聴力を「顧客ニーズの把握」や「信頼関係の構築」にどう結びつけるかが重要です。
この例文では、丁寧なヒアリングを通じて課題を発見し、具体的な改善と成果につなげた経験を提示しています。数値による結果を添えることで、説得力も高まっています。
事務職の場合
【例文】
『私は、相手の意図を正確にくみ取る傾聴力を活かし、円滑な事務対応を行うことができます。大学のゼミでは運営係として活動し、教授やゼミ生からの依頼や相談などを引き受けていました。資料作成のサポートでは、表現や形式についての細かな要望を丁寧にヒアリングし、依頼者の意図に合う形で作成・修正を重ねた結果、「対応が的確で助かる」と評価されました。今後も、正確さと信頼性が求められる事務の現場で、周囲の声にしっかり耳を傾け、的確なサポートを心がけていきたいです。』
【ポイント】
事務職では「正確な対応」「周囲との信頼関係」が求められるため、傾聴力を“的確な業務遂行につなげた経験”として伝えることが効果的です。
この例文では、ヒアリングを通じてニーズをくみ取り、成果につなげたプロセスが具体的に描かれており、業務への再現性も伝わる構成になっています。
エンジニア職の場合
【例文】
『私は、相手の要望を丁寧にくみ取る傾聴力を活かし、より的確な成果につなげてきました。大学のプログラミング実習では、初心者の学生からよく質問を受けていましたが、すぐに答えを提示するのではなく、「どこでつまずいているか」を丁寧に聞き取り、相手の理解度に合わせた説明を心がけました。その結果、担当したチーム内の理解度が向上し、全員が無事に課題を期限内に提出できました。今後は開発現場でも、クライアントやチームの声に耳を傾けながら、ニーズに即した開発に貢献したいです。』
【ポイント】
エンジニア職では、技術力だけでなく「聞く力」を通じて仕様や要望を正確に把握する力も重要です。
この例文では、傾聴を通じて相手の状況を的確に理解し、成果につなげた過程を具体的に示しており、チームワークや対話力の面でも好印象を与える構成となっています。
クリエイティブ職の場合
【例文】
『私は、相手の要望や意図をくみ取る傾聴力を活かし、提案の質を高めることを意識してきました。大学では広告研究会に所属し、地域イベントのポスター制作を担当しました。依頼主の「親しみやすさを出したい」という漠然とした要望に対して、打ち合わせの中で丁寧に意図を聞き出し、「地元らしさ」や「手描き感」をデザインに反映。完成したポスターは「イメージ通り」と高評価を得て、来場者数も前年の1.2倍に増加しました。今後も相手の声をしっかり受け止め、形にしていけるクリエイターを目指したいです。』
【ポイント】
クリエイティブ職では、ヒアリングから相手の意図を汲み取り、それを具体的なアウトプットに反映させる力が求められます。
この例文では、傾聴によってあいまいな要望を明確化し、成果につなげたプロセスが具体的に描かれています。成果を数値で示すことで説得力も高まり、実務を意識したアピールになっています。
【業界別】傾聴力をアピールする自己PRの例文
“傾聴力”のアピールは、業界ごとにも求められる活かし方や切り口などが異なります。
金融・広告・商社・ITなど、就活生に人気の業界別に、傾聴力をどのように自己PRに結びつけると効果的か、具体的な例文とともに紹介していきます。
金融業界の場合
【例文】
『私は、相手の意図や背景をくみ取る傾聴力を大切にしています。大学のゼミでは副リーダーとしてグループをまとめており、議論が平行線になった際には、一人ひとりの意見に丁寧に耳を傾け、共通点を整理する役割を担ってきました。その結果、全員が納得できる形で方針をまとめることができました。金融業界でも、お客様の目に見える希望だけでなく、その背景にある意向や課題を正確にくみ取ることで、より信頼される提案や対応ができると考えています。』
【ポイント】
金融業界では、数字や商品知識だけでなく、信頼関係の構築やリスクに対する配慮が欠かせません。この例文では、傾聴によって対話の背景にある本音や意図をくみ取り、問題解決につなげた経験を通じて、対人対応力と調整力の両方をアピールしています。表面的なヒアリングにとどまらず、相手の「本当に大切にしていること」を理解しようとする姿勢が、金融業界で求められる信頼性と重なり、好感度の高い自己PRとなっています。
広告業界の場合
【例文】
『私は、相手の話の表面だけでなく、その背景にある意図やイメージをくみ取ることを意識しています。大学では広告ゼミに所属し、学園祭のポスター制作を担当しました。「もっと目を引くデザインにしたい」という依頼を受けた際、単に派手にするのではなく、どこにどう注目を集めたいのか、何を一番伝えたいのかをじっくりヒアリングしました。その上で配色やレイアウトを調整し、完成後は「分かりやすくなった」と好評を得て、来場者数も前年より増えました。今後も、言葉にならないニーズにまで丁寧に向き合い、形にできる人でありたいと考えています。』
【ポイント】
広告業界では、相手の感覚的な要望を具体化し、表現に落とし込む力が求められます。
この例文では、学生生活での実践経験をもとに、傾聴からアイデアの具体化、成果までを自然に伝えており、就活生らしいリアリティのある内容に仕上がっています。
商社業界の場合
【例文】
『私は、相手の立場や背景に配慮しながら話を聞く姿勢を大切にしています。大学では異文化交流イベントの運営チームに参加し、留学生との企画調整を担当しました。国ごとの慣習や考え方の違いから意見がぶつかる場面もありましたが、まずは一人ひとりの話を丁寧に聞き、何を大切にしているのかを理解することを心がけました。その結果、互いの要望を尊重した進行内容にまとめることができ、当日もスムーズに運営できました。多様な価値観を受け止め、信頼関係を築く力を、商社の仕事でも活かしたいです。』
【ポイント】
商社業界では、国籍や立場の異なる相手と信頼関係を築き、交渉や調整を進める力が求められます。
この例文では、傾聴力を“相手を理解し歩み寄る姿勢”として描き、実際に対立を解消し成果に結びつけたプロセスを伝えています。多様性を尊重する姿勢が、商社のグローバルな業務とも親和性の高いアピールになります。
IT業界の場合
【例文】
『私は、相手の言葉にしっかり耳を傾け、求められていることを正確にくみ取る力を意識しています。大学では、プログラミングゼミでチーム開発に取り組み、仕様決めの場面では議論がすれ違うことも多くありました。その際、全員の意見を丁寧に聞き直し、何を重視しているかを整理して共有したところ、方針が明確になり、スムーズに開発を進めることができました。IT業界でも、クライアントやチーム内のやり取りを的確に理解し、共通認識を持って開発を進められるエンジニアを目指したいです。』
【ポイント】
IT業界では、要件のすり合わせやチーム内でのコミュニケーションにおいて、相手の意図を正しくくみ取る力が不可欠です。
この例文では、傾聴を通じて認識のズレを調整し、プロジェクトを前に進めた経験を具体的に語っています。協調性や課題解決力と結びつけてアピールすることで、実務に活かせる強みとして伝えることができます。
【経験別】傾聴力をアピールする自己PRの例文
アルバイトや部活・サークル活動、ゼミなどでは、人との関わりを通じて“聞く力”が求められる場面も少なくない経験です。そうした日常的な経験を自己PRにどう落とし込むか、具体的な例文を交えて解説します。
アルバイトの場合
【例文】
『私は、相手の立場に立って話を聞く姿勢を大切にしています。飲食店でのアルバイトでは、常連のお客様から「スタッフによって対応に差がある」とご意見をいただいたことがありました。そこで、どのような点に不安や不満を感じているのかを丁寧にうかがい、他のスタッフとも共有したところ、接客時の声かけや対応を見直すきっかけとなりました。その後、「以前より居心地が良くなった」と言っていただけるようになり、店舗全体の接客レベル向上につながったと感じています。』
【ポイント】
アルバイト経験では、「接客」「お客様対応」「チーム内連携」など傾聴力が活きる場面が多くあります。
この例文では、相手の声を受け止めて改善行動につなげたエピソードを通じて、主体性とチーム貢献の両方を自然にアピールできています。数値ではなく“お客様の反応”を成果として伝えることで、等身大の説得力が生まれます。
部活・サークルの場合
【例文】
『私は、メンバーの声に丁寧に耳を傾けることを大切にしてきました。軽音楽サークルでライブ企画のリーダーを務めた際、演奏順や出演枠をめぐって意見が対立する場面がありました。感情的なぶつかり合いにならないよう、一人ひとりの考えや不安をじっくり聞き取り、全体の意図を整理して共有することで、最終的には納得のいく形で構成を決めることができました。この経験から、相手の思いを受け止める姿勢が、信頼関係や合意形成の土台になることを実感しました。』
【ポイント】
部活やサークル活動では、メンバー間の調整や運営などで傾聴力が発揮される機会があります。
この例文では、対立を丁寧な対話で解消し、円滑な進行につなげたプロセスを通して、調整力やリーダーシップとの関係性も自然に示しています。学生生活ならではのリアリティを活かした表現が、共感と説得力を高めています。
ゼミの場合
【例文】
『私は、相手の意見を丁寧に聞き、違いを尊重しながら対話する姿勢を大切にしています。所属していたゼミでは、グループで企業分析のプレゼンを行う際に、方向性をめぐって意見が分かれました。そのとき、一人ひとりの考えを聞きながら共通点を整理し、なぜその提案をしたのか背景を共有するように促したところ、自然と議論が前向きになり、全員が納得できる案にまとめることができました。この経験から、相手の話をしっかり聞くことで、チーム全体の納得感や一体感につながると実感しました。』
【ポイント】
ゼミでの活動は、議論やプレゼン準備などを通じて、傾聴力を活かす場面が多くあります。
この例文では、対立や意見の違いに対して“調整役”としての立ち回りを具体的に描き、単なる受け身の傾聴ではなく、「意見を引き出し、まとめる力」としてアピールできています。実践的なコミュニケーション力を伝えたい就活生に適した内容です。
自己PRで傾聴力をアピールする時の注意点
自己PRで傾聴力をアピールする際は、いくつか注意点もあります。
企業がどんな人物像を求めているのかを踏まえた上で、伝え方の工夫が必要です。受け身な印象を与えないよう意図を明確にし、面接での振る舞いにも一貫性を持たせることも大切です。さらに、他の応募者と差がつく視点を盛り込むことで、より魅力的なアピールにつながるでしょう。
企業が求めているものか確認する
企業が求めている能力は、業界や職種によって大きく異なります。
例えば、営業や接客のある仕事では傾聴力が重要視される一方、専門性の高い職種では別の能力が優先されることもあります。そのため、自己PRで傾聴力を軸にする前に、志望企業がどんな人物像を求めているのかを必ず確認しておきましょう。企業の採用ページ、求人票、社員インタビュー、募集要項に記載されているキーワード(コミュニケーション力、ヒアリング力、協働性、など)を読み取ることで、傾聴力が評価されやすいか判断できます。
企業のニーズと自分の強みが結びついているかどうかを確かめた上でアピールすることが大切なのです。
受け身の印象を残さない
傾聴力は強みとしてアピールしやすい一方で、「話を聞くだけの受け身なタイプ」と捉えられてしまう可能性もあります。そこで重要なのは、“聞いたあとにどう行動したのか”を必ずセットで伝えることです。
例えば、相手の話を丁寧に聞いた結果、チーム内の誤解を解消できた、顧客のニーズに沿った提案につなげた、意見の対立を調整できた、といった”具体的な行動と成果”を示すことで、主体的に動ける人物像が伝わります。
単に「聞く姿勢がある」だけで終わらせず、傾聴を活かして周囲にどんな変化をもたらしたのかまで描くことが、受け身の印象を避けるポイントです。
面接での振る舞いや言動に注意する
傾聴力をアピールするなら、面接中の態度にも気を配る必要があります。
例えば、話を聞くときにうなずく、表情で反応する、相手の目を見るなどの基本的な姿勢が、実際に傾聴できる人物かどうかを左右します。自己PRで「傾聴力があります」と語っていても、面接中にリアクションが薄かったり、相手の話にかぶせて話したりしてしまうと説得力が失われてしまいます。面接官の質問をよく聞き、間を取ってから的確に答える姿勢も、傾聴力を裏付ける大切なポイントです。
言葉だけでなく、振る舞いでも“聞く力”を伝える意識を持ちましょう。
他の応募者と差別化する
「傾聴力があります」だけでは他の就活生と内容が重なりやすいため、伝え方にひと工夫加えることが大切です。
例えば「関係構築力」や「理解力」「寄り添う力」など、経験に即した言い換えを使うと、印象がより具体的になります。また、「傾聴力を活かして意見の対立を調整した」「相手の話をもとに改善提案を行った」など、他の強みと組み合わせて伝えることで、オリジナリティを出すことができます。
自分にしかないエピソードと絡めて語り、他者との差別化を図りましょう。
まとめ
傾聴力は、業界・職種を問わず活かせる強みのひとつです。ただし、「話を聞くのが得意」と伝えるだけでは印象に残りにくいため、具体的なエピソードや成果、他の強みとの組み合わせを通じて、説得力ある自己PRに仕上げることが大切です。
この記事で紹介した例文や伝え方のポイントを参考にしながら、自分らしい傾聴力のアピール方法を見つけてください。企業に「一緒に働きたい」と思ってもらえる自己PRを目指しましょう。
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