面接で「最近読んだ本」を聞かれるワケ
「最近読んだ本は?」という質問には、単なる雑談以上の意図があります。企業はこの質問を通じて、就活生の人柄や価値観、読書習慣、そして”伝える力”を見極めようとしているのです。
応募者の人柄を知るため
読んだ本のジャンルや内容からは、その人の関心や価値観が自然とにじみ出ます。
例えば、ビジネス書を読む人なら成長志向、歴史書を好む人なら探究心や考察力、小説をよく読む人なら感受性の豊かさや共感力、など、読み取れる要素は少なくありません。本をどう選び、何を感じたのかという話から、人柄や思考のクセを読み取ろうとするのが面接官の狙いなのです。
あえて本の内容よりも「なぜそれを選んだのか」「どんな影響を受けたのか」にフォーカスして話すと、自分らしさが伝わりやすくなるでしょう。
読書習慣があるのか知るため
読書には、日々の学びに対する姿勢や知的好奇心があらわれます。そのため、どんな本を読んでいるかだけでなく、そもそも普段から本を読む習慣があるかどうかを面接官はチェックしています。
読書を通じて新しい知識を吸収しようとしている人は、仕事でも前向きに学べるタイプだと捉えられやすく、成長意欲や向上心のアピールにもつながります。本の内容に加えて「読書の習慣そのもの」も、ポテンシャルを評価するうえでの材料になるのです。
プレゼンテーション力があるか知るため
その本を知らない相手にも、内容や魅力をわかりやすく伝えられるかどうか。実は面接官は、読んだ本について話す過程であなたの要約力や伝達力、論理的な説明スキルを見ているのです。
本の要点を簡潔に整理し、自分の言葉で説明できるかどうかは、仕事での報告や提案にも直結する力。単にタイトルを答えるだけではなく、「どんな本で、なぜ印象に残ったのか」を相手目線で伝える意識が求められています。
「最近読んだ本」を聞かれた時の答え方
「どんな本を読んだか」だけで終わると、なかなか印象には残りにくいもの。面接では、本を読んだ理由や学んだこと、それを今後どう活かすかまで伝えることで、あなたの思考力や成長意欲をより具体的に伝えることができるのです。
①最近読んだ本は何か伝える
まずは、本のタイトルと著者名をはっきり伝えましょう。ここで曖昧な答え方をしてしまうと、「本当に読んだのかな?」と疑念を持たれてしまうこともあります。タイトルだけで内容が伝わりにくい場合は、「〇〇について書かれた実用書です」「ビジネス書ですがストーリー仕立てで読みやすい一冊です」といった一言を添えると、相手にイメージが伝わりやすくなります。
難解な専門書を選ぶ必要はありませんが、社会人としての視点や関心が感じられる本であれば、評価につながりやすくなります。まずは正確に、かつ相手にわかるように伝えることが第一歩です。
②なぜ読もうと思ったのか理由を述べる
どんな本でも、「なぜその本を手に取ったのか」という動機をきちんと伝えることで、あなたの人柄や関心の方向性が自然と伝わります。
例えば「大学の授業で紹介されて興味を持った」「自分の課題を解決するヒントが欲しかった」など、読書に至った背景を具体的に話すことで、思考の深さや主体性が感じられます。面接官は、単なる内容の紹介よりも、その人がどんな問題意識や価値観を持って本を選ぶのかを知ろうとしています。理由の部分には、自分なりの視点を込めることがポイントなのです。
③その本から何を学んだか
読んだ内容をただ要約するのではなく、「どの部分に心を動かされたのか」「自分の考え方にどう影響したのか」を具体的に語ることが大切です。例えば、「ある登場人物の行動に共感し、自分のリーダーシップ観が変わった」など、自分なりの気づきや変化を交えて伝えると、説得力が増すでしょう。
また、印象に残ったフレーズや場面を一つ挙げて、それが自分にとってどんな意味を持ったのかを話すと、思考の深さもアピールできます。本を通して何を学び取ったかを、自分の言葉で丁寧に伝えることが評価のポイントになるのです。
④今後にどう生かしていくか
読書から得た学びを、自分の成長や将来の仕事にどう結びつけるかまで伝えると、より前向きな印象を与えられます。「チームでのコミュニケーションに活かしたい」「困難に向き合う姿勢を見習いたい」など、具体的な行動や思考の変化に落とし込むことがポイントです。
面接官は、インプットだけでなくアウトプットへの意識があるかを見ています。どんなに良い本でも、学びを自分ごとにできていなければアピールにはなりません。本の内容と自分自身を重ね合わせて、どう活かしていくつもりかを自然な言葉で伝えましょう。
【ジャンル別】最近読んだ本の回答例4選
どんな本を選び、どう話すかは人それぞれですが、自分に合ったジャンルを選ぶことで、無理なく説得力のある回答ができます。
小説・自己啓発・ビジネス書・専門書という4つのジャンルに分けて、それぞれの回答例を紹介します。自分に合った切り口を見つけるヒントとしてぜひ参考にしてください。
小説を読んだ場合
【例文】
『最近読んだ本は、中島らもさんの『ガダラの豚』です。大学のゼミで“宗教と社会”をテーマにした議論があり、その延長で興味を持って読みました。物語は“ニセ超能力”をテーマに、オカルトやマスコミ、学者など様々な立場の人物が交錯する社会風刺的な内容で、テンポの良さとユーモアの裏に深い問いが隠されていました。特に、情報を鵜呑みにせず自分の頭で考えることの重要性を改めて感じました。今後も、多面的に物事を見る視点を大切にし、どんな仕事でも一歩引いて考える冷静さを持って臨みたいと思っています。』
【ポイント】
小説を紹介する際は、「娯楽として読んだ」だけで終わらせないことが大切です。物語の背景やメッセージから、自分が何を感じ、どう成長につなげたいかを語ることで、思考力や感受性をアピールできます。あえてエンタメ性の強い作品を選んでも、「読み方」次第で十分評価につながります。
自己啓発本を読んだ場合
【例文】
『最近読んだ本は、堀江貴文さんの『金を使うならカラダに使え』です。就活が本格化するなかで、体調管理や集中力の維持が思うようにいかず、自分なりに改善のヒントを探したくて手に取りました。単なる健康指南ではなく、「時間やお金の使い方は、結局は自分の体と直結している」という視点にハッとさせられました。たとえば、食事や睡眠を軽視せず、コンディションを整えることが、自分のパフォーマンスや学びの質にもつながるという考え方です。今後は、成果を出すための土台として、体調や生活習慣への意識を持ち続け、仕事にも安定感と持続力を活かしたいと思っています。』
【ポイント】
自己啓発本を選んだ場合は、「実生活や意識がどう変わったか」を具体的に伝えると好印象です。本の内容そのものよりも、それを読んだ背景や気づき、行動の変化を語ることで、向上心や自省力が伝わります。等身大の悩みから本を選んだことを正直に話すのも、自然体の魅力として伝わります。
ビジネス本を読んだ場合
【例文】
『最近読んだ本は、中島大介さんの『この一冊で全部わかる ChatGPT & Copilotの教科書』です。生成AIが話題になっている中で、「実際にどう仕事に活かされているのか」を知りたくて手に取りました。単なる技術の紹介ではなく、ビジネス現場での活用事例やリスク管理、効率化の考え方などが具体的に書かれており、AIに対する見方が変わりました。特に印象的だったのは、ツールに使われるのではなく、自分で使いこなす視点が重要だという点です。今後は、こうした新しい技術にも積極的に関心を持ち、常に学び続ける姿勢を仕事にも活かしていきたいと思っています。』
【ポイント】
ビジネス書を紹介する際は、「業界理解」「課題意識」「視野の広さ」といったビジネスマインドを感じさせる伝え方がカギです。テーマ選びの理由に時事性や問題意識を織り交ぜることで、自分の関心の軸が明確になります。
また、本から得た知見を“今後の働き方”にどう応用したいかまで言及できると、前向きな印象を与えることができます。
専門書を読んだ場合
【例文】
『最近読んだ本は、片野秀樹さんの『休養学:あなたを疲れから救う』です。大学の課題で「生産性とコンディショニングの関係」を調べる機会があり、心身の回復について体系的に学びたいと思って読みました。休むこと=怠けること、という先入観がありましたが、本書では、脳科学や生理学に基づいた「戦略的な休養」の考え方が紹介されており、休養の質が仕事や学習のパフォーマンスに直結することを学びました。今後は、自分の状態を客観的に把握し、無理に頑張りすぎず、成果を最大化するための休み方を意識して行動していきたいと考えています。』
【ポイント】
専門書を取り上げる際は、「知識の深掘り」と「実生活への応用」をバランスよく伝えることが重要です。専門的な内容に触れつつも、それを自分の経験や意識の変化にどう結びつけたかを語ることで、思考の柔軟性や主体的な学びの姿勢をアピールできます。
また、難解な本を読んだこと自体よりも、「なぜその本だったのか」「何に気づいたのか」が伝わる構成を意識しましょう。
面接で「最近読んだ本」を聞かれた時のNG例
どんな本を読むのも個人の自由ですが、就活の面接で答えるにはふさわしくないNG例があるのが実情です。読んでいない本を取り繕ったり、内容に偏りすぎたジャンルを選んだりするのは逆効果になることも。本を読んでいないと正直に答えるのも避けたいところです。実際に避けたいNG回答の具体例と、その理由を解説していきます。
読んだことのない本を答える
面接で少しでも印象を良くしたいという気持ちから、有名な本のタイトルを“読んだふり”で挙げたくなることがあるかもしれません。しかし、これは絶対に避けるべきNG行動です。
面接官がその本を読んでいた場合、内容を深掘りされて話がかみ合わなくなり、「読んでいないのでは?」とすぐに見抜かれてしまいます。たとえ答えをごまかせたとしても、表面的な話し方や具体性のなさは伝わるものです。読んでもいない本を語る姿勢そのものが信頼を損ね、「誠実さに欠ける」と判断されかねません。たとえマイナーな本やジャンルでも、実際に読んだ本を自分の言葉で語るほうが、ずっと好印象につながるでしょう。
漫画やライトノベルを答える
たとえ本当に感銘を受けたとしても、漫画やライトノベルを「最近読んだ本」として面接で挙げるのは避けた方が無難でしょう。というのも、これらのジャンルはまだビジネスの場では“趣味の延長”と捉えられやすく、評価に結びつきにくいからです。面接官によっては「子どもっぽい」「深みがない」とマイナス印象を抱くことも。
読書の質問は、知的関心や思考力を測る意図があるため、社会人としての視点が感じられる書籍を選ぶようにしましょう。
最近読んだ本がないと答える
「特に最近は本を読んでいません」と答えてしまうと、それだけで“学ぶ意欲がない人”という印象を持たれてしまう可能性があります。読書習慣の有無は、知的好奇心や成長意欲を見極める材料のひとつ。たとえ読書量が多くなくても、印象に残った一冊があれば十分です。自己啓発書、ビジネス書、小説などジャンルは問いませんが、自分の関心や考えと結びつけて話せる本を一冊は準備しておきましょう。
何を読んだかよりも、それを通じて何を感じ、今後にどう活かしたいかを伝えることが大切なのです。
就活生におすすめな本3選
世の中には様々な本が溢れていますが、就活と相性が良くおすすめな本も多くあります。
「どんな本を読んでいいかわからない」という場合は、まずは試しにこれらの本を手に取ってみるのはいかがでしょうか。
【自己啓発本】嫌われる勇気
【小説】夢をかなえるゾウ
【ビジネス書】苦しかった時の話をしようか
どれもただ面白いだけにとどまらず、就活や毎日を彩るヒントが詰められた作品です。
①嫌われる勇気(自己啓発)
『嫌われる勇気』(岸見一郎・古賀史健)は、アドラー心理学をベースに「他人の期待に応えなくてもいい」「自分の人生を自分で選ぶ勇気を持つ」ことの大切さを説いた自己啓発書です。
対話形式で読みやすく、自分の軸を見失いがちな就活期にこそ刺さる内容が詰まっています。周囲と比べて焦ったり、評価ばかりを気にしてしまう時に、“どう生きたいか”という視点に立ち返らせてくれる一冊です。就職活動で自信が持てなくなったとき、前向きな気づきを与えてくれる本としておすすめです。
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②夢をかなえるゾウ(小説)
「夢をかなえるゾウ」(水野敬也著)は、平凡なサラリーマンが、ゾウの頭を持つ神様”ガネーシャ”から出される「29の課題」に挑むことで、少しずつ人生を変えていく姿を描いた“自己啓発小説”です。
本作の魅力は、堅苦しい自己啓発本ではなく、ユーモアある物語仕立てで「自分の人生を見つめ直すヒント」が自然と伝わる点。例えば「靴を磨く」「人を喜ばせる」「まず行動する」といったシンプルな課題が、読んでいるうちに“自分にもできそう”と思えるようになり、就活で悩む学生にとっても「行動を起こすきっかけ」として有効です。
就職活動中、「何を読んで実践できたか」を問われたとき、この一冊を挙げて「行動を通じて変えたいと思いました」と語れれば、学びを“知る”から“動く”へとつなげる姿勢が自然に伝わります。
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③苦しかった時の話をしようか(ビジネス)
森岡毅さんの『苦しかった時の話をしようか』は、就活に悩む娘に向けて語りかける形式で書かれた、実践的かつ温かいキャリア指南書です。
USJをV字回復させた敏腕マーケターの著者が、自身の挫折やキャリア形成のリアルな経験をもとに、「どう生きるか」「どう働くか」を深く考えさせてくれます。自己分析や志望動機の考え方など、就活に直結するヒントも多く、焦りや不安に飲まれがちな時期に“自分らしい選択”をする勇気を与えてくれる一冊です。
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まとめ
面接で「最近読んだ本」を聞かれたときは、ただタイトルを答えるのではなく、読んだ理由や学んだこと、それをどう活かしたいかまで自分の言葉で伝えることが大切です。どんなジャンルでも、自分の考えや価値観と結びつけて話せば、思考力や人柄が自然と伝わります。嘘や曖昧な答えは逆効果になるため、正直に話せる一冊を事前に準備しておきましょう。
今回紹介した回答例やNG例を参考に、あなただけの答え方を考えてみてください。
よくある質問
面接で最近読んだ本を聞かれたらどう答えればいいですか?
面接で「最近読んだ本」を聞かれたら、本のタイトルだけでなく、読んだ理由や印象に残った内容、そこから得た学びをどう活かしたいかまでを自分の言葉で伝えるのがポイントです。
答え方に正解はありませんが、「自分の価値観や関心が伝わること」を意識すると、より説得力のある印象になります。
面接で本に関する質問は他に何がありますか?
面接では「最近読んだ本」以外にも、「あなたが人にすすめたい本は?」「好きなジャンルは?」「本からどんなことを学びましたか?」といった質問がされることがあります。
これらは、読書を通じてどんな価値観や思考を持っているかを知るための問いです。本の紹介にとどまらず、自分の考えや行動にどう影響を与えたかを言語化できるように準備しておくと安心です。
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