企業紹介
1890年、フランスで染料技術を学んだ創業者の稲畑勝太郎が、京都で合成染料の輸入販売をする稲畑染料店を開業したことから歴史がはじまる。以来、情報電子・化学品・生活産業・合成樹脂の4つの領域に事業を拡大し、現在では海外に17カ国約60拠点を展開。これまでに取り組んできた「自動車分野」「ライフサイエンス・医療分野」「環境・エネルギー分野」へ引き続き注力するとともに、「農業を含む食品分野」への新たな展開も進めている。
人物紹介
稲畑産業株式会社
化学品本部パフォーマンスケミカル部 部長
田中 角哉(写真:右)
1993年、稲畑産業入社。情報電子や化学品など、様々な分野にて営業として経験を積む。2002年から約3年間シンガポールに駐在。2014年より、現職。
化学品本部パフォーマンスケミカル部 東京営業課
藤本 浩之(写真:左)
2016年、稲畑産業入社。入社以来、化学品本部にて材料販売に従事。アメリカから輸入する「コーティング顔料」を国内メーカーに向けて販売する仕事をメインで担当。
130年の創業事業を受け継ぐ、化学品本部
―――お二人はどんな就職活動をされてこられたのでしょうか。入社の決め手や簡単なキャリアについても聞かせてください。
田中:私は商社を狙って就職活動をしていました。入社したのはちょうどバブルが終わった頃。当時、商社はすごく華やかなイメージがあったんですよ。化学系企業の方と縁があって話を聞いているうちに興味をもち、最初に内定をいただいた稲畑産業に入社しました。入社後は情報電子や化学品など、複数の分野で営業に従事し、海外、大阪本社でも勤めていた経験があります。
藤本:僕は営業職を志望していたので、活躍できるのは商社かなというイメージでいました。給料が高そうだとか、飲み会が多そうだなとか、海外にも行けそうだ、なんて不純な動機で最初は受けてました(笑)。 稲畑の最初の印象は、すごくフランクな人が多いなと。質問に対してかっこつけずに答えてくれるし、悪いことも正直に話してくれる。裏表のない良い会社だなと感じたのがきっかけでした。
―――お二人の所属する化学品本部パフォーマンスケミカル部について、どんな仕事をされているか教えていただけますか?
田中:化学品本部は、稲畑産業の創業ビジネスでもあります。1890年に創業者がフランスから合成染料を輸入したことからはじまった会社なんですが、このときの染料関係の事業が今の化学品本部になっています。パフォーマンスケミカル部は主に塗料メーカーやインキメーカー、接着剤メーカーに原材料を販売する仕事をグローバルに展開しています。
藤本:僕が担当するお客様でいうと、大きなところで3~4社、そのほか小口取引を合わせるとけっこうな数の企業様と取引があります。自分は化学品の知識はまったくありませんでした。むしろ化学が嫌いで文系に進んだぐらいです(笑)。もちろん自分が取り扱う商材に関しては理解が必要になりますが、本当に細かい化学構造などの専門知識が求められる場には、材料メーカーの方を連れていくこともできますし、すべてを理解する必要はありません。
―――化学品を扱ってみて、どんなところに仕事の面白さを感じていますか?
藤本:意識をしてみると、化学品ってこんなところにもあんなものにも使われているのか、という驚きがありますね。取り扱っているのは原材料なので、直接製品を見てこれが自分の売ったものだというのはわかりにくいですが、社会に広く行き渡っているという意味では業界の規模の大きさを感じています。
田中:そうですね。目には見えないものですが、社会にとって必要不可欠なもの。化学品がなければ、車も走らないし、パソコンも使えない。社会に対して幅広く関わりがあるというところが、面白さかなと思います。
―――その他、化学品以外の分野でもかまいませんので、会社のトピックスがあれば紹介していただけますか?
田中:全社的に見ると、情報電子や合成樹脂の分野が伸びています。私の入社時からも全体売上、利益は順調に増えていますが、同時に海外比率も半分以上に伸びてきている。今後も全社的にグローバル化を進めていきます。変わったところで言うと、化学品商社でありながら、農業をはじめていることもトピックスでしょうか。生活産業本部の食品ビジネスは食料品の輸入販売だけでなく、実際に北海道でブルーベリーやにんにくの栽培にも取り組んでいます。化学品にとらわれず、いろんなビジネスに挑戦していこうとしているのが、稲畑産業の特徴ですね。
厳しくも、優しい職場環境で成長する
―――これまでの経験の中で、一番達成感を感じた瞬間はどんな時ですか?
藤本:我々の部隊は、海外から輸入したものを国内で販売するという商売がほとんどです。その中で僕自身は、アメリカのメーカーから仕入れたコーティング用顔料という材料を、在庫を抱えながら国内で販売するスキームを担当しています。はじめのうちは、国内の半分を任せてもらっていたんですが、取り組みが認められて2年後には残り半分もまかせてもらえるようになり、今では国内の総代理店としてお客様に対して僕経由で販売するまでになりました。もちろんフォローをしていただきながらではありますが、1年目から大きな仕事を任せてもらえたこと、またそれに応えることができたというのは僕の成功体験かなと思います。
田中:輸入元のコーティング用顔料メーカーはグローバルNo.1企業で、その製品はありとあらゆる産業に幅広く使われる材料です。この分野に関しては、彼が牛耳っているといっても過言ではありませんね(笑)。
―――その製品が伸びている要因は、どんなところでしょうか?商材そのものの品質がほかに比べて高いということですか。
田中:それは、まさに藤本の営業力に近いですね。製品自体はライバルとなるものがあります。その中で稲畑、もしくは藤本から買いたいと言ってもらえるようにするためには、価格や品質、サービスの面でどれだけ付加価値を付けられるかが大きな要素になります。
藤本:お客様から要望をきっちり吸い上げて、それをメーカーと直接話ができる環境をつくれることが大事なのかなと。それまで他の商社ではやっていないような、原材料の使い方をアドバイスするとか、在庫状況をしっかり管理してどこよりも早くデリバリーできる体制をつくるとか。うまくメーカーとつなぎながら、商社が間にいることによるメリットを訴求して取り組んでいます。
田中:要は、お客様の困っていることをどれだけ解決できるか。それを、いかにスピード感をもってやれるか。そこがポイントになるのかなと。
―――部長として田中さまが心がけている社員の育成方針などがあれば聞かせてください。
田中:基本的には、嫌われ役を買ってでも、言わなきゃいけないことははっきり言うようにしています。彼らが成長していくために必要であれば、怒るときは怒る。将来、自分の部下になった人がこの会社で幸せになってほしいというのがベースなんですけどね。
藤本:本当に、めっちゃストレートに言われます。ただ、僕らが失敗した時には必ず最後は、面倒を見てもらえる。今年のお盆休み中に、アメリカから製品が届かず、お客様に迷惑をかけてしまうトラブルがあったんです。急遽空輸してもらった製品を空港まで直接取りに行き、その足で翌朝一番に届ける対応をすることになって。その時、夜中の12時にも関わらず、田中さんが一緒に空港まで来てくれたんです。普段は怖いんですけど、僕が一番つらいときに助けてもらえる。本当に感謝しかありません。
田中:たしか、お盆休み中だったね(笑)。でも大変なとき、困っているときには当然のこと。そこで何か問題があったとき、その場ですぐに判断できた方がいいですから。それが私の役割でもあります。
「すべての人との関わりを大切にして、社会の発展に貢献する」という精神
―――貴社で働く魅力を紹介するとしたら、どんなことを伝えたいですか?
藤本:一緒に働いていて魅力的だなと感じる人が多いです。他の部署も含めて、こんなにできるんだとか、そんな業界のことまで詳しいんだとか、すごいなと思う方がいっぱいいます。会社の規模がそこまで大きすぎないというところも、ポイントかなと。ほとんどの社員と知り合いになれるのでコミュニケーションも取りやすいことが、働きやすさにつながっています。コロナの影響があってしばらく行けていませんが、懇親会も多い会社です。仕事ができる人だと近寄りがたいイメージがありますが、オンとオフの切り替えがしっかりしている人が多いので、オフの親しみやすい面も持ち合わせているところが魅力ですね。仕事だけでドライに付き合うよりも、もう少しウェットな方が好きなので、そういうところも自分には合っているかなと思います。
田中:人を大切にしている会社だということは言えますね。社是に「愛敬」という言葉があるのですが、“人間尊重の精神に基づいて社会の発展に貢献する”という、創業者から受け継がれた稲畑産業の経営理念にもなっている。この言葉通り、社員やお客様、関わるすべての人々のつながりを重要視していく文化は根付いていると思いますね。若手社員に対しても、早いうちからいろんなチャンスを与えますし、サポートする体制もできています。やってみたいという熱意のある方には、やりがいのある職場環境です。1年目でもがんがん海外出張に行かせていますしね。
藤本:僕も何度か行きました。アジアがメインではありますが、それこそ中国だと3日前ぐらいに「行くぞ」と言われたりする。アジアだと、国内ぐらいの感覚になっています(笑)。
―――では、ご自身の今後の目標を聞かせてください。
藤本:アメリカのメーカーの商材を扱っているものの、まだアメリカには行けていないので、そこには早く行きたいと思っています。目標設定シートにも毎年書いているんですが、10年目になるまでに海外駐在に行くこと。一つのビジネスを一人で完結させられる力を身につけて、現地で活躍できる人材になることが目標です。
田中:私も30歳前半の頃にシンガポールに駐在した経験があります。向こうでは自分で判断しなきゃいけない決裁権を持つことになるので、そういう責任の中で仕事ができるのは、非常に楽しいですね。
―――最後に、就活中の学生に向けてアドバイスをいただけますでしょうか。
田中:今、世の中にはたくさんの情報があふれていて、みなさん勉強しながら就職活動に取り組まれていると思うのですが、面接をしていると、教科書通りのような答えが返ってくることが多くてちょっと残念に思います。自分のやりたいことや志望理由など、自分の言葉で話せるようになることが大事。それが一番、面接官には伝わると思いますよ。
藤本:僕も田中さんとほとんど変わらないのですが。就活の時だけ取り繕った姿になっても、結局合わない会社に入社をして大変な思いをするのは自分です。だからこそ、素の自分で挑んでほしいなと。そこで合わなかったとしても、それは自分とは縁がなかったということ。実際に僕自身もそうでした。思いのままに話をして、経歴じゃなく中身を見てくれているなと感じられたことが、稲畑に入った理由の一つです。そういう姿勢で取り組むことが、自分に合った会社を見つける最善の方法だと思います。