<企業紹介>
未来を切り開き、変革を起こそうとしている世界のビジネス・リーダーを支援しているコンサルティングファーム。1973年の創設以来、クライアントの成功をベインの成功指標とし、世界37か国58拠点のネットワークを展開している。クライアントが厳しい競争環境の中でも成長し続け、「結果」を出せるようにクライアントと共通の目標に向かって支援している。また、ベインのクライアントの株価は市場平均に対し約4倍のパフォーマンスを達成している。
<人物紹介>
安達広明
プリンシパル
2010年4月入社
東京大学工学部卒業、工学系研究科技術経営戦略学専攻修了後、ベイン・アンド・カンパニーに入社。
金融、小売・サービス、消費財、情報通信、ヘルスケア、テクノロジー等の幅広い業界において、全社戦略策定を中心にデジタル戦略策定や顧客戦略策定・実行支援等のプロジェクトをリードしている。
若手も中堅も誰もが楽しそうに働いていたコンサル業界
――本記事は、コンサル系を就活の選択肢に入れている読者の方が多いかと思います。まずは安達さんの就活時代のお話をお聞かせください。
私のいた学部は、理系でありながらも院に行かずに就職する人も多く、周りが受けていたのが商社、コンサル、金融業界でした。そのため、それらの業界の情報は大学院に進学した私の耳にも自然と入ってきていました。
――商社や金融系の情報も入ってきていながら、コンサル業界を中心に受けたのはどういった理由からでしょうか?
就職活動中にお会いしたコンサル業界で働く社員さんは、その雰囲気がイメージと違っていて驚いたんです。忙しくてボロボロなのを想像していたのですが、若手も中堅もみんなイキイキと働いていました。皆さん、すごく仕事にポジティブで、楽しそうで、いわゆる「目が死んでいる」ような人が一人もいない(笑)。どんな立場の社員さんにお会いしても、口を揃えて「楽しい」とおっしゃっていて、愚痴を言う人もいませんでした。こんな面白そうな職場があるのか、と衝撃を受けたんです。
――それで、大学院に行かれていざ就活本番が始まったときも、そのままコンサルを受けて……今に至るんですね。
そうです。コンサル業界の中でも、ベイン・アンド・カンパニー(以下、ベイン)は、自分のこれまでに培った考え方と、仕事に対する姿勢がフィットすると思いました。学生時代、私はバレーボールをやっていました。バレーボールはもちろんチームスポーツなので、一人だけうまくても、絶対に勝てないんですよ。就職活動中にインターンやOBOG訪問をして、ベインは自分の力だけで闘うのではなく、チームでお互いに強みを出し合い、チーム一丸となって同じ目標に向かって結果を創出し、そして会社全体で個人の成長を後押ししてくれる風土がある、と感じたのが決め手になりました。
キャリアアップで環境が目まぐるしく変化
――実際、入社してみて社風をどのようにお感じになられていますか?
やはり入社してからも改めて、ベインはチームワークを大切にする会社だと実感しました。社内もクライアントも一緒になって物事を進めていくことを重視しています。一見、学生の立場から見ると、外資系ですし、できない人は振り落とされていくハードそうなイメージがありますが、実際はむしろ真逆。全員が成功できるように良いところを伸ばし、足りないところはより経験のある社員からアドバイスをもらい、スキルを伸ばせるようにレビュー制度が整っていて個々人の成長を促進しています。
――安達さんは現在10年目ですが、具体的な仕事の内容については、どういったことをやられてこられたのでしょうか?
人にもよりますが、1~2年で役割がどんどん変わっていきます。最初の半年~1年くらいは、ベーシックな分析作業が主な仕事です。売り上げをしっかり分析して、どこが増えてどこが減っているのか、市場をセグメントに分けて競合分析をして……というような仕事が中心となります。2年目になると、新入社員をマネジメントしながら、クライアントとダイレクトに関わる機会が与えられてきます。担当するクライアントが増えたり、経営層と話したりする機会も出てくるのが3年目以降。その後はマネージャークラスになり、プロジェクト全体を任されるようになって、クライアントの社長にプレゼンすることも出てきます。このように、目の前の仕事ができるようになったらすぐにキャリアアップしていく。短いスパンで着実に成長し、新しいことにチャレンジさせてもらえ、大変ながらも充実しています。
今はプリンシパルとして、プロジェクトやチームのマネジメント業務を担いながら、新たなクライアント開拓や、既存プロジェクトをさらに深めるための課題設定など、取引拡大に向けた活動も増えてきています。
10年間やってきて、今ようやくスタートラインに立てたと実感している
――安達さんは10年間、どのようなプロジェクトを担当されてこられたんですか?
特定の業種というわけではなく、様々な業種・業界の案件に携わってきました。その中でも、「経営戦略」・「デジタル」・「顧客戦略」・「顧客ロイヤルティ(NPS®)向上」、「パフォーマンスインプルーブメント、オペレーションの改善、サプライチェーン」などに取り組んできました。
――その中でも「思い出深い仕事」というとどんな案件が浮かびますか?
思い出だらけなので絞れないのですが……、2つありまして、ひとつめは2年目の頃にやっていた通信系のクライアントのお仕事でしょうか。その会社についての分析が非常に的を射ているとのことで、当時の私の上についていたマネージャーが「せっかくだから、安達さんプレゼンしてみたら?」と言ってくれました。2年目の私にそのプレゼンの機会が回ってくるとは考えてもみませんでした。しかもその分析というのが、広告宣伝についてのもので、これは社長としては非常に難しい決断の一つ。広告宣伝にCMを打つとなると、何十億円の投資になり、それが無駄になる可能性もあるわけです。そのような重要な社長の意思決定を、私の分析により後押しすることができました。結果的にクライアントの売り上げも増え、価値を提供できたと思っています。分析→意志決定→アクション→売り上げ→結果、のサイクルを2年目で味わえて、心に残っています。
――2年目という早い段階ではなかなか体験できないことだと思います。もうひとつはどんな案件だったのでしょうか。
もうひとつ印象に残っているのは3~4年目の頃、関西で4ヶ月間の泊りがけのプロジェクトがありました。3~4年目にもなってくると、社長や会長を含めたミーティングで発言の機会も増えてきます。オーナー社長の意思が強い会社で、クライアントとも真正面から議論を重ねるということが続きました。そういったやり取りを重ねるうちに、自分のことも覚えてもらえて、宴席で冗談交じりに「うちの会社来ない?安達さんが来てくれたら百人力だよ」と言われたことがありました。「クライアントさんから会社に誘われるようになったら、コンサルとして一人前だ」と話に聞いていたのでこれは冗談でも嬉しかったですね。
――そういう言葉をいただけると、コンサルとしての自分に自信がつきますよね。
でも、実際は今ようやくスタートラインに立てたくらいの段階だと思っています。入社する前、「会社のトップの方々にアドバイスをしてお金をもらう」という仕事自体、正直不思議だったんです。なぜアドバイスだけでお金をもらえるんだろう、と疑問に思うと同時に、形のないものに対して対価をいただくこと、自分たちで価値を創造していることに憧れもありました。それを10年目の今、ポジションもマネージャーからプリンシパルに上がって、ようやくできるようになってきています。
――10年でようやくスタートラインですか。やはり厳しい世界ですね。
今でも自分自身、まだまだ未熟だと思うことは多々あります。目の前の仕事に忙殺されてしまい、どうしても近視眼的になることもある。一人前になるには、常に遠くを見ながら地に足がついたことを考えられるようにならなければなりません。
キャリア選択と自分に向き合うことの重要性
――学生さんに向けて最後にアドバイスをお願いします。
私自身の就職活動を振り返って、どういう目線で職業選択をしたかというお話をしたいと思います。何よりも大事なのは、「情熱を持って取り組める職業」であることです。「受かったからこの会社に行く」ではなく、好きで自分の中に情熱があるかどうか。ただ同時に、「ある程度自分のスキルがマッチしているか」という目線も必要です。好きでも下手だったら成功はできませんし、上手にできても情熱がなかったらやっぱりうまくいきません。さらに、「好き」と「上手」を満たしていても、お金にならないと、つまり、世の中の需要がある仕事じゃないと意味がない。就職活動中は、このすべての要素のバランスが取れている業界や会社を探していてこのような考えも大切なのではないかと思います。
そして、大学受験のときのような労力を就職活動に費やすことも重要です。大学受験はみんな頑張る風潮はありますが、一方で就職活動は頑張らない人もいます。でも、よく考えたら、受験よりもキャリアプランのほうが一生のことだからもっと大事なはず。就職活動は、自分のやりたいことや得意なことに向き合って、答えのない答えを出す活動だと思います。あるいは、保留にして働きながら考えるという選択もできます。どのような選択をしようとも、自分の人生における大きな決断であることは間違いありません。少なくとも、時間と労力をかけて、キャリア選択を真面目に考えてほしいと思います。
大学受験は、あれだけみんな頑張るのだから、就活はもっと頑張って欲しい。「意識高い系」と揶揄されることもあるようですが、そんなことは一切気にせず、全力で打ち込んで欲しいですね。