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OB/OGが語る

ドイツ銀行グループが語る最先端のダイバーシティとは

昨今メディアでもよく目にする、「ダイバーシティ経営」という言葉。多様な人材を活かし、その能力が最大限発揮できる機会を提供することで、イノベーションを生み出し、価値創造につなげていく経営のこと。就職活動中のみなさんも、企業はどのようにダイバーシティを取り入れているか気になるはず。そこで今回は、ダイバーシティ&インクルージョンに注力し、高い評価を受けているドイツ銀行グループで活躍する三保氏にインタビュー。その積極的なダイバーシティ&インクルージョンにおける取り組み、そしてご本人のマネージャーとしての意識やワークライフバランスについてもお伺いいたしました。

<企業紹介>
ドイツ銀行グループ
1870年にベルリンで創業されたドイツ銀行は、欧州を拠点とするグローバルな総合金融機関。世界の全ての主要な国地域において事業を展開し、幅広い金融サービスを提供している。日本においては、ドイツ証券株式会社、ドイツ銀行東京支店、ドイチェ・アセット・マネジメント株式会社、ドイチェ信託株式会社の主要4法人を通じて、証券・投資銀行、コーポレート・バンキング、資産運用など広範なサービスを提供している。その多様性に富んだ環境から、ダイバーシティ&インクルージョンの取り組みにおいても注目されている。

※日本のドイツ銀行グループはwork with Pride(wwP)が策定するPRIDE指標において、3年連続となる最高評価の“ゴールド”を獲得。また、今年5月1日に発足した30% Club Japanに参加し、日本企業と密に連携することにより、日本のジェンダーダイバーシティ促進のための運動に大きく貢献することをコミットしている。
work with Pride(wwP)は企業や団体においてLGBTなどの性的マイノリティに関するダイバーシティー・マネジメントの促進と定着を支援する任意団体で、2016年より日本で初めて企業のLGBT社員に関する取り組みを評価する指標を策定、発表している。
30% Club は、取締役会やマネジメントなど企業の意思決定機関における健全なジェンダーバランスの実現を目的として世界的なキャンペーンで、日本を含む14カ国で展開している。

<人物紹介>
ドイツ証券
三保友賀
ディレクター アンド アソシエイト ジェネラル カウンセル
イギリス法事務弁護士(ソリシター)
日本の大学で法学を専攻。卒業後、イギリスのロースクールを経てイギリスの弁護士として法律事務所に4年間勤務。帰国後、外資系証券会社の法務部で17年のキャリアを重ねた後、2015年より現職。また、2017年よりダイバーシティ&インクルージョン・フォーラムの代表に就任し、組織を拡充、対内・対外的に意欲的に活動している。趣味はゴルフやガーデニング。寿司職人の顔も持つ。


もっと知りたい、もっと挑戦したい。

世界を広げるためイギリスに


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——— 本日はお忙しい中、ありがとうございます。早速ですが、就職活動のエピソードからお伺いできますか。

三保友賀(以下、三保):実は、日本で一般的に言う就職活動は経験していないのです。日本の大学卒業後、自分の知らない世界に行ってみたいという気持ちから渡英しました。ロンドン郊外で大学院そしてロースクールに通った後、シティにある大手弁護士事務所で2年間研修をしてイギリス法の弁護士資格(ソリシター)を取得しました。この研修先を見つけるのが実質的な就職活動にあたるのですが、当時も今日も日本人でイギリスの弁護士なった人は希少で、どうアプローチしてよいのか全く手探り状態で苦戦しましたね(笑)。インターネットも先輩も就職活動のハウツー本もありませんから、手紙を書いて面接をしてもらうといった地味なアプローチを繰り返し、心労から体重が10㎏ほど減りました。

— それは大変でしたね。でも、結果的に大手法律事務所に採用されたのですよね?どんなご縁だったのですか。

三保:まずはインターンからと思い、日本の拠点にコンタクトしましたが案の定、前例がないからという理由で断られました。「よし、断られてからがはじまり」と粘り、結果的にインターンとして仕事をさせてもらい、それがその後の就職にもつながりました。もちろん研修中も毎日が驚きと挑戦の連続で、自分の常識が非常識だと思い知らされ、自分の意見を持つことの大切さ、自分の判断に責任を持つことの大変さ、自分の個性だけでなく相手の個性を尊重することなど肌で学びました。

— その後2002年に帰国されたのですね。

三保:はい。帰国後は外資系証券会社の法務部に就職、2015年に現在の会社に転職しました。今は6人の部下のマネージャーをしていますが、自分もプレイヤーとして案件を手がけるので、契約書を読んだり、ドラフトしたり、さまざまな業務があって1日があっという間に感じられる忙しさです。

ダイバーシティ&インクルージョン・フォーラムをリードする会社のCEOという顔も!


— そんな忙しい中で、さらにダイバーシティ&インクルージョンの活動もリードされているのですよね。

三保:そうです。2017年3月よりダイバーシティ&インクルージョン・フォーラムの代表を務めています。我々が目指すのは、個人の違いを尊重し、個性を認め、一人ひとりが自分らしく働くインクルーシブな企業文化を作ることです。一人ひとりの可能性を最大限に発揮させることで、組織として力を発揮できる、これが経営戦略の一つの柱となっています。ダイバーシティ&インクルージョン・フォーラムは、日本におけるドイツ銀行グループの経営の最高意思決定機関であるエクゼクティブコミッティの任を受けており、ジェンダー、LGBT、ファミリーという3つのピラー(柱)を通して活動しています。社員が主役となって活動を推し進めており、会社主導のダイバーシティ&インクルージョン推進室はありません。各組織の代表メンバーはさまざまな部署に所属して、自分の仕事をしながらイベントの企画や運営をしています。代表就任後、有志で参画する社員がきちんと評価され、活動をスムーズに運営できるプラットフォーム作りが大切だと思い、活動を組織化し、その成果を可視化することで経営陣からお墨付きをもらいました。そしてトップやミドルも組織のメンバーに巻き込み、いまに繋げています。ちなみにこれらのメンバーには私よりも職位の高い人もいるのですが、私が代表ということで、みんな私の部下になります(笑)。

— なるほど(笑)。就任後2年ほどになりますがいかがですか?

三保:ダイバーシティ&インクルージョンの活動に関して、掲げているビジョンと現状に大きな乖離がある、つまり人事制度や福利厚生制度の充実、数値目標だけが一人歩きして、それらが絵に描いた餅で終わっているという他社のお話を聞くこともあるのですが、私たちの活動はとても現実的で、着実な成果を感じています。例えば、LGBTの社員にとって有益な福利厚生制度をマネジメントに提唱したり、介護休暇・福利厚生の認知度を上げる取組みや家族の介護の葛藤や不安を共有する活動等は、ダイバーシティ&インクルージョンに携わる社員の声からはじまりました。また、今年から職場のLGBTについての勉強会を月次で行います。これらはインクルーシブな組織だからこその成果だと思います。他方で、トップの声は非常に重要です。日本における代表である本間民夫自身は、Tokyo Rainbow Paradeに参加するなどLGBTのテーマで旗振り役として強いメッセージを発信していますし、マネージャークラスの会議でもイベントへの参加が推奨され、ベストプラクティスを共有する流れにあります。もともとユニバーサルバンクとして多様性に富んでいる企業風土があり、社員の多くが海外拠点と連携して業務を行うことが多いことから、個性豊かな社員一人ひとりが力を発揮することが求められるインクルージョンの思想がフィットしやすいのでしょう。社内だけでなく、Association of Women In Finance、ACCJ(在日米国商工会議所)、JSDA(日本証券業協会)の働き方改革・女性活躍支援分科会、30% Club Japanなどの外部団体や他の企業とも積極的に交流し、学んだことやネットワークを社内還元することにも注力しています。年間で内外80くらいのイベントを企画、運営、参加しているでしょうか。自称CEO(チーフ・エンターテイメント・オフィサー)です(笑)。

— 最近、印象的だった取り組みはありますか?

三保:女性への差別撤廃と地位の向上を目的とする「国際女性デー」(毎年3月8日)に開催したイベントです。若手の社員に「#Balance for better」という題でTEDTalkスタイルのプレゼンしてもらいました。スピーカーとなった社員のチームや部署が全面的に協力し、トークやスライドの完成度も非常に高かったのです。もちろん話す内容も様々。スピーカーの多様な視点や考え方に参加者からも熱いフィードバックがたくさん寄せられ、多くの社員の気持ちを高めることができましたし、いろいろな意味で今後につながる成功体験でした。

マネージャーとしてできることを追求する


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— 色々なお立場から学んだことを元に、ご自身がマネージャーとして意識している事はありますか?

三保:イギリスで経験した多くの失敗やCEOとしての活動から学んだ事は、一人ひとりの個性が力になるということ。仕事では、部下の個性を活かすこと、自分が大切にしていることを見つけてもらうこと、そして他の社員が大切にしていることも心から理解することを常に意識しています。個人の働き方に多様性が尊重されるべきで、私たちの会社ではリモートワークやフレックスタイム制を取り入れた働き方も推奨されていて、私も全面的に賛同しています。オフィスにどれだけいるかというフェイスタイムではなく、仕事のアウトプットとプロセスにおいて個人がどう対応したかを評価することが大切だと思っています。趣味や家庭を大切にしている部下が、多様な人とのつながりを大切にして、自分らしく仕事ができる風通しのよい環境を作り、そしてワークでもライフでも一人ひとりが幸せになってもらう為に、自身がマネージャーとして何ができるかを意識しています。

— ご自身のライフはどのように充実させているのですか。

三保:資格試験の勉強をしたり、気になるセミナーに参加したり、エステに行ったり、友達とご飯を食べたり。土日もしっかり休んで、趣味のゴルフ、山登り、ガーデニングを楽しんでいます。寿司職人としての腕を高めるため、修行もしています(笑)。また、弁護士としてのチャレンジもしたい。NPO法人等をリーガル面でアドバイスするような活動に携わり、自分の強みを様々な社会課題の解決に挑戦している方に提供できたらという思いがあるのです。

— それでは最後に、ご経験をふまえ人生の先輩として就職活動中の学生にメッセージをお願いできますか?

三保:インターネットもハウツー本もあり、情報があふれている時代です。でも、それをコピー&ペーストするのは違うと思いますし、ブランドで企業選びをするのはもったいない。私自身は試行錯誤の就職活動の中で自分の個性や強みを力にすることを学び、それを使って他人の役に立つという自分の所以を拠り所としてきました。長期的なビジョンがあるなら、そのために何が必要なのかを不確かでも良いので考えて、優先させてほしいです。最後に、みなさんに贈りたい言葉があります。

You have a choice to decide how you live your life (one time): to live for yourself or to live for others. I am living for others.

人生にはふた通りの生き方があります。自分のために生きるのか、人のために生きるのか。この言葉を発した方は、後者の生き方を選んだ方。日本では容易に手術で治すことができる白内障で、インドでは命を落としたり、視力を失ったりする人が多い現状を変えようとファンドを立ち上げた方です。この方の利他的な言葉や行動が、私にはとても響きました。みなさんもぜひ、自分が大切にしていることを実現するための一歩として就職活動を行ってください。

———本日はお忙しい中、ありがとうございました!