4月9日に、「Special Career Talk」が開催されました。
今をときめく人気成長企業の人事責任者にご登壇頂き、これまでどのようにキャリアを選んできたのか、今だからこそ言える、これからの学生はどのようにキャリア選択していくべきだと思うのか、採用のプロとして、そして一人の社会人として語って頂きました。その様子を、書き起こし形式でお伝えします。
人事として歩んだ逆輸入のキャリア
▼株式会社アイスタイル
【VP ヒューマンリソース本部本部長 鈴木敬介氏】
1993年一橋大学卒業 P&G新卒入社。採用、給与・福利厚生などを経て、HRシェアードサービス、オフショアセンターの立上げに関わる。P&GがHRのバックオフィスサービスをIBMにアウトソースしたのに伴い、2004年日本IBMに転籍し、人事及び研修サービスのアウトソース事業に携わる。
その後、2009年アディダス ジャパンHRディレクター、2014年フィリップ モリス ジャパンHRビジネスパートナーを経て、2017年にアイスタイルに入社。
アイスタイルは@cosmeを運営する会社です。店舗やECも展開していますが、本日は私のキャリアについてお話しするということなので詳細は割愛します。本日登壇している皆さんよりもだいぶ年上なので学生の皆さんのお役に立てるかわかりませんが、せっかくの機会なのでお話しさせてください。
アイスタイルに入社して2年になります。ここまでのキャリアとしてはP&G、IBM、adidas、PHILIP MORRIS、istyleという感じです。
アメリカ、ドイツ、スイス、日本と、本社が所在する国の違う企業を渡り歩いてきましたので、マネジメントの仕方や、社風、服装などに至るまで各企業で異なっていました。新卒で入社したP&Gから人事として働きながら転職を重ね、複数の会社で業務知識や多様性を身につけてきたことは強みとして捉えていますが、それぞれの企業での経験を通して、自分自身の持っていた固定概念のようなものはいい意味で壊されていきましたね。
個人的仕事・職場選びのキーワード
新卒で就職しその後転職をしている私が、どんな軸で会社選びをしているのか少しお話しします。
転職の時
貢献できる:その会社で個人としてしっかり勝負ができること
変化が当たり前:新しい人が入ってきた時に前のやり方に固執しない社風
価値観が近い:自分の心地よい行動ができる環境
新卒の時
心地よすぎない環境:自分より優秀な人と働くこと
目標が野心的:会社としてさらに上を狙っているほうが勢いがある
個人名で仕事をしている:新しいことをやる時にりん議を通すことによって誰がやったか分からない仕事になるよりは、外資系企業のように自分の名前で働くことに興味を持った
学生の皆さんにキャリアアドバイス的な言葉を送るとすると、「いい経験を蓄積できそうなキャリアを創ること」でしょうか。
キャリアに正解はありませんので、仮に環境が想定と違っても、どんな仕事でもいい経験にできるような自らの働きかけと気持ちの持ち方が大事だと思います。漠然と成長できる会社を探すというより、たとえ同じ会社の中でもいい経験を蓄積できると思える場所を見つけるというスタンスがいいような気がします。
株式会社アイスタイルの新卒採用はこちら↓
https://fresh.istyle.co.jp/
座談会
Q オリンピックに合わせて、何か新しくリリースすることはありますか?
A オリンピックで化粧品の売り上げが一気に上がるとは考えにくいので、特別な開発は行なっていないです。ただ、プラットフォーマーとして全方位的に新しい提案や施策を進めているのが現状です。韓国や中国などアジア各国との連携も深めていますし、インバウンドの観点でも新たなユーザー体験ができるような取り組みは加速しています。
Q どうやって転職したのですか?
A これまで4回転職していますが、最初は転籍、2回はヘッドハンター。アイスタイルに来たのは知り合いの紹介です。人事のキャリアを築きながら、最後は日本の会社で海外進出をサポートしたいと思うようになりました。外資系で働いたキャリアを活かして、リアルに海外に勝って行くことを経験したいという思いを持って、今はアイスタイルに在籍しています。タイミングとフィーリングは大事です。転職の際には待遇をあまり気にしないで決めてきたので、これまで事前に家族に相談したことはないです。あとで文句言われますけど(笑)
高め合える環境
▼株式会社サイバーエージェント
【採用戦略本部採用広報責任者 宮本隆輔氏】
2005年入社 株式会社ウエディングパーク出向
営業責任者
2016年 株式会社シーエーモバイル出向
採用責任者
2018年 現職
サイバーエージェントが採用したい人物像は「素直でいい人」
なぜこれを採用基準として掲げているかというと、仲が良いと対話が生まれ、対話が生まれると情報量が増える、情報量が増えると選択肢が増える、選択肢が増えると意思決定が良く、適切な経営判断がされるという好循環が生まれることから、サイバーエージェントでは会話が増えると業績が上がるとしていますので、「一緒に働きたい人を採用する」ことに重きを置いています。
将来どうなりたいか、就活というこの機会に考えることをおすすめします。どの会社でも入社後活躍する人を採用したいと思っているのですが、活躍するかどうかは働いていないのに分からないです。そうなった時、インターンや学生起業では仕事とは異なるので判断できません。ただ、将来こういうことをしたいという明確な想いがあって、それが会社のベクトルと同じであれば、入社してからも頑張ると考えています。なので、自分の意思で行動できている人が強いのは確かです。入社後の辛い時にもこの想いをもっていることが大事になりますし、今の皆さんにはその想いを見つける時間にしてほしいです。何をやりたいかは分からなくても、どうなりたいかは考えておく。それが会社選びにもつながると思っています。
僕は就活の時に、誰と働くか、人を笑顔にできで自己成長できるサービスを提供しているか、お金の3つを大切に考えていました。中学時代の部活や高校時代の友人らの経験から、高め合える周りの環境の大切さを知り育ちました。頑張れば頑張るほど会社に貢献でき、貢献することによって自分のやりたい事の幅が広がるサイバーエージェントという会社と自分の経験や価値観がマッチしていたことによって現在も働きがいを感じながら日々を過ごしています。キャリアで言うと入社後がむしゃらに働き、その後営業でMVPを獲り昇格、当時こわい先輩として自己利益を考えた3年間で苦労も経験したのち、怒らずに褒める事の大切さに気付き、やりたい事の幅も広がってきたことを感じています。
株式会社サイバーエージェントの新卒採用はこちら↓
https://www.cyberagent.co.jp/careers/
座談会
Q バリュー重視と聞いたけどMVPなどの個人表彰機会もあって、実際に会社の雰囲気はどんな感じですか?
A たくさんの人を巻き込んだ人がMVPを獲っている。成長させるためには現場に入れてとにかく体験させるやり方で育てている。15年目の俺が「頼れる兄貴」と呼ばれているくらいですから、風通しは良いですよ。
Q 誰かだけが把握している仕事があることで褒められる環境が嫌なのですが、そういった雰囲気はないですか?
A 全くないですね。だって、その人が辞めたら終わるじゃん。その人だけが把握していると周りが困るので。サイバーエージェントは終身雇用ですから、みんなで「21世紀を代表する会社」を創るために働き続けることを想定しているんですよ。なので、起業は応援しない代わりに同じ会社の社員として一人も欠けずに目標達成に向けて走っていますよ。人を落とすのではなく活かす方法を考えていて、離職率は9%です(他のベンチャーに比べてかなり低い)。産休復帰率も高く、女性が働きやすい環境を整える取り組みにも積極的ですよ。
Q 宮本さんは今何になりたいですか?
A 僕はなりたいではなくてどうしたい、なのだけど。日本を笑顔にしたい。電車のサラリーマンの顔が暗すぎる。もっと楽しく働いて稼ぐことを知らない人が多いので、体現していきたいと考えています。もっと良い世の中にしたいですね。そのために、新卒採用だと思っていて。社会に出ていない皆さんに楽しい働き方を伝えていけることに喜びを感じていますよ。こういった働き方を知って、社会に出てほしい。
Q チャレンジが好きだけど、ベンチャー企業の教育制度って充実しているの?
A 教育制度はしっかりしていないですよ。いきなり飛び込ませて現場でチャレンジさせるスタイルで教育していますね。現場で見えてきた課題を先輩とすり合わせながら解決していけば良いと考えていますね。だから、失敗させてあげられる会社です。ちゃんと利益も出ているし、新しいサービスもあるので、失敗から学んで成長していけばいい。
挑戦の連続を乗り越えたキャリア
▼株式会社ディー・エヌ・エー
【執行役員 ヒューマンリソース本部 本部長 崔大宇(チェ テウ)氏】
東京大学大学院 工学系研究科卒業。2010年DeNAに新卒入社。 エンジニアとしてソーシャルゲーム開発に携わった後、中国など海外拠点での組織開発を担当。その後エンタメやメディア、AI領域での新規事業立ち上げを経て、18年4月より現職に就任。19年4月よりコンプライアンス・リスク管理本部 本部長を兼任。
DeNAはゲームが有名ですが、元々はeコマースから始まっていて幅広くチャレンジしている会社です。「社会にイノベーションを起こし続ける」と「チャレンジし続ける」を大事にしているのですが、実際にイノベーションやチャレンジがどうやって起きているのかについて僕を例にお話しします。
東大で航空宇宙を学びプログラミング未経験でDeNAに入社。
1年目 エンジニア職 チャレンジ
2年目 社長室に抜擢 Mobage Koreaの立ち上げなどモバゲーの海外戦略の策定と実行 チャレンジ
3年目 DeNA Chinaにてゲームの開発ラインを立ち上げる チャレンジ
仕組みづくりやマネジメント、また開発メンバーの現地採用を経験
4年目 DeNA Singaporeなど順次海外拠点の立ち上げ ゲームの協業開発
5年目 当時新規事業であったIPプラットフォーム事業に異動 マンガアプリのグロース アニメコミュニティの買収
6年目 メディア事業に異動
8年目 AI戦略室に異動 AI×新領域での新規事業を推進
9年目 執行役員 HR本部長 就任
10年目 コンプライアンス・リスク管理本部長 兼務就任
こう見てもかなりの変化とチャレンジだらけということが分かると思います。そんな僕も学生時代の思いは「世の中にインパクトを与えることをやりたい」くらいのものでした。部活や学生イベントを通して、才能あるメンバーのパワー最大化させたいという思いを持ちつつ、自分自身かなり変化を好み、変化によるストレスが心地いいと感じるタイプ、また難しいことが好きで負けず嫌い、そして文化祭前夜の熱狂感が好きでした。それを社会人になっても続けられたら良いなと漠然と考えながら就活していたところ、たまたまマッチしたのが僕の場合はDeNAでした。
この10年間、DeNAで自分のやりたいことをやってきたし、学生時代に考えていたことも実現できているんですよね。よく「崔さんだから出来たのでは?」と言われることもあるのですが、チャレンジは与えられるものではなく、チャレンジは自身が行うもの。なので、僕だから出来たものではないのです。
チャレンジを歓迎する組織を探すべし
成長したいと就活でよく聞くが、「何かができるようになること」はスキルの成長であり、「何かができる自信が高まること」が精神の成長(「俺/私できる」感)と捉えています。精神の成長は定めた目標を達成した時に、もの凄い達成感を得た結果、飛躍した目標も到達できると思ってしまう現象です。僕のキャリアを見てもらって分かる通り、様々なジャンプが生じているのですが、一つの物事を達成する度に次のチャレンジに挑むことができているのは、この精神の成長があったから。
なので、まずは チャレンジを歓迎する組織を探してみてください。
座談会
Q チャレンジのモチベーションは何ですか?
A 難しいことはやってみたい、という知的好奇心が大きいですね。分からないことはやってみたいと思ってしまうので、未経験でエンジニアを選んだのもそれが理由かもしれない。自分にとって難しいことに対峙して、それを乗り越える経験って、ストレスを感じながらも達成された時の心地良さを知っているとやめられない。
Q 事業立ち上げ時の価値の出し方は?
A どの場面でもバリューは出せると思っている。何かを作る時、エンジニアだけで作れるものはなくて様々な要素が必要。その時に呼ばれる人になっていることが大事。例えば、ユーザーの意見を取り入れることだったり、マーケのプロとしてだったり、そのチームの不足分を埋められる専門性を持っていると重宝されることも多い。ただ、新卒の場合は専門性に限らず、仕事を通じて伸びるかなので、今すでに持っているスキルもそうだが人としての魅力も大事。
Q スキルを持っていない前提で人の魅力はどこで感じますか?
A各社違うと思うのですが、DeNAの場合は“すごい人になりそうかどうか”を見ていますね。例えば、こだわり抜いたことをやってきた経験や、コミュニケーション力や周囲を見る力などが長けている、あるいは総合力・バランス力が抜群な人など。ただ、結局は「その人と働きたいかどうか」が一番大事ですね。話している時の表情や雰囲気、そういったもので社風へのマッチ具合と併せて、そのアサインが本人にとって幸せになれるかどうかの判断をしています。
Q 老後のなりたい世界はありますか?
A 決まっていない。5年後も見えていなくて、目標を超短期でしか決めていないですね。30年後を見るのではなく、目の前で困っている人を助けながら生きていきたいと思います。