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OB/OGが語る

職種は変われど思いは同じ。これからも、イノベーションの最前線に立ち続けたい -OB/OGインタビュー第4弾-

「大学を卒業して何をしよう」「将来の夢ってなんだろう」。そんな風に考えたことはありますか? 経団連会長の「就活ルール廃止」発言が最近話題になりましたが、就活をしようがしまいが「どのように生きていくか」は、誰しもが考えるべきテーマです。今回、キャンパス編集部は、ビズリーチキャンパスのイベントに登壇していただいた先輩たちの中から学生に好評だった方にインタビューを実施。「先輩はどのように生きてきたのか、どのように生きていくのか」を根掘り葉掘り聞いてみました。第4回目は、パナソニックでMBAを取得したり、経産省に出向したりと、様々な職種を経験している磯貝さんにお話を聞きました。

<プロフィール> 磯貝和範氏 東京大学卒後業、2000年に パナソニックに入社。技術開発、知財経営を経験し、2010年にマサチューセッツ工科大学にMBA留学。2013年からは、 経済産業省で国際標準化(日本企業の優れた技術を国際標準にするための各国交渉など)を推進。2015年に パナソニックに戻り、業界マーケティングを担当後、現在は、本社にてM&A(企業買収および事業売却)や事業開発を推進している。

取材時:2018年9月

運に出鼻を挫かれた研究室選び

――本日はどうぞよろしくお願いいたします。まずは簡単に、磯貝さんの学生時代についてお聞かせいただけますか。

小さい頃は、地域では一通りの大会で優勝できるようになるくらい、そろばんを熱心にやっていました。それが勉強への自信につながったんでしょうね。中学時代は部活動に明け暮れて、一時期あまり勉強しなくなりましたが、その自信を胸に勉強を始めてみたらぐんぐん成績が伸びて、結果的に当時地元の公立高校でいちばん難しいと言われていた高校の理数学科に進学できました。

――高校入学の時点で理系を選ばれているのですね。何か理由があったのですか?

はい。もともと、イノベーションで世界に貢献したい、自分自身がものづくりを楽しみつつ人にも楽しんでもらいたい、という思いがあって、理系を選びました。 そういうわけで、当然ながら大学でも理系の勉強をするつもりだったのですが、入学前に学部や学科を決めるのは勇気がいるなあと思って、3年生から学部学科を決められる東京大学に進学したんです。だから、2年生までは心理学とか語学とか、自分が専門にしたい分野以外の勉強も積極的にしていました。

――色んなことを学べそうだ、ということで東大に入学したんですね。結局、どこの学部学科に進級したのですか?

工学部の電気電子情報工学科というところです。「イノベーションを通じて社会貢献したい」と思っている自分が、身の回りにある電化製品の動作原理を理解していないのはいかがなものか、ということで、そのあたりを一通り学べるこの学科を選びました。

――より専門性の高い勉強をするようになって、その思いに変化はありましたか?

具体的に「この研究をしたい」という思いは出てきましたね。青色ダイオードでノーベル物理学賞を受賞された中村修二さんの半生に刺激を受け、半導体レーザーの研究ができる研究室に入ろうと思っていたのですが…。

――ですが…?

電気電子情報工学科には、研究室をくじ引きとじゃんけんで決める伝統がありまして。私は130人中、ビリから4番目になってしまったんです。当然、私に残された選択権は少なく、鉄道関係車両の研究室と、スマートグリッドの研究室のどちらかしか選べませんでした。

――そんな大事なことが運で決まってしまうんですね!

そうなんです。勘弁してくれよ、って感じですね(笑) 2つとも興味のない分野だったので、本当に落ち込みました。いっそ留年して、自分の希望するテーマをやった方が良いんじゃないかとも思いましたが、ただ、来年もどうせくじ引きなので、やりたいことをやれる保証はないんですよね。それで結局、与えられたテーマの中で頑張るしかないと腹を括って、スマートグリッドの研究室に入り、1年間研究をやりきりました。

学びへの貪欲さが導いた多彩なキャリア

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――一度、半導体レーザーの研究からは離れたんですね。

研究という観点で言えばそうなりますが、自分で半導体レーザーに関する文献を取り寄せたりして知識を深めてはいて、学会の動向も抑えていました。その甲斐あって、半導体レーザーの事業化を目指しているいくつかの会社から、「一緒にやりませんか」と声をかけていただけたんです。それで、実際にそうした会社の方々と会って、自分の持っている知識ややりたいことをアピールしに行きました。

――入社したのは、その中にあった、パナソニックを選んだということですかね?

はい。大きな理由は2つあって、1つは自身のパナソニックにまつわる経験です。 大学時代、パナソニック製のCDプレイヤーを持っていて、ボディが傷だらけになるまで愛用していたのですが、ある日それが故障してしまったので、修理に出したんですよ。そしたら、新品同然のものが返ってきたんです。びっくりして、「これ僕のじゃないです」と連絡しようとしたのですが、添えられていた手紙を読んでみたら、「修理に出された製品を見ると、非常に愛用されているのが分かります。これだけ大事に使っていただいたので、日頃の感謝を込めて、ボディの方は弊社負担で交換させていただきました。これからもご愛用ください」と書いてあって。この会社はこんなにもお客さまを大事にしてくれるのかと、感銘を受けました。

――すごく素敵なエピソードですね。

純度100%の善意でこんなことをしてくれる会社が存在することに、驚きを隠せませんでした。ちょうどこのころは企業巡りをしている最中で、パナソニックの話も聞いていたので、「事業をつくる前に人をつくることを大事にしている」という話を実体験として理解できてよかったなと思います。 2つ目の理由が、研修制度に興味を持ったからです。

――どんな研修制度だったのですか?

私が入社した年は、エアコンの取り付けや冷蔵庫の販売、工場の生産効率を改善する作業など、実践のビジネスとは一味違う研修が7カ月ほどありました。すぐにでも研究をしたいと思う反面、ひょっとしたら何かに役に立つんじゃないかと思って、興味を持ったんです。 この研修制度と大学時代の経験が決め手となって、パナソニックに入社することにしました。

――入社後は学生時代の希望通り、半導体レーザーの研究に携わったのでしょうか。

はい。約6年半にわたって、光ファイバー通信用の半導体レーザーや、Suicaの半導体メモリを研究開発していました。ただ、7年目からは、自らの希望で知財経営の部署に移りました。

――どうしてですか?

半導体メモリの基本特許はアメリカの企業が抑えていたので、仮にパナソニックがその分野で成功しても、特許が弱いと莫大なライセンス料を支払わなければいけなくて、そこが会社の大きな課題でした。それを解決するために、技術と法律どちらにも明るい人材を育成する動きが起きていたんです。 技術者である私自身も、そこは課題として認識していて、何とか解決できないものかと思っていましたから、半導体レーザーの事業化に携わる傍ら、弁理士試験の勉強をして、社内の選抜試験を経て知的財産権部門に異動しました。

――技術者としてのミッションも遂行しつつ、だったんですね。ちなみに、どのくらい勉強されたんですか?

平均5~6年は勉強しないと受からないような試験だったので、毎日寝る間を惜しんで、1年半で5~6年分の勉強量、千数百時間をこなしました。

――すごい努力ですね。異動されてからは、どんな仕事をしていたのですか?

特許を取ることと、他社と交渉して特許使用料を抑えることの2つをメインにやっていました。この仕事って、何十億単位の費用を扱うのですが、そういうお金のやり取りの最前線に立って仕事をしているうちに、経営に対する意識がすごく高まってきたんです。それで、会社としても、知財経営の黒字化に向けて社員に技術・知財・経営のスキルを身に着けさせようという流れになっていたこともあり、会社の公募制度を利用して、マサチューセッツ工科大学でMBAを取得しました。

――MBAでの学びは、どのように仕事に活かしていったのでしょうか。

MBAを取得し、帰国後は他社協業、たとえば、国内外の企業と協力してフラッシュメモリや3D映像技術の業界標準をつくる仕事なんかをしていたのですが、ここではMBAで得た経営の知識や英語力、海外企業の社員とのつながりが活きました。

――2013年からは、経済産業省に入省されていますが、どういう経緯だったのですか?

当時、安倍政権が「3本の矢」という成長戦略を掲げていて、その中の一つに、日本の優れた技術を国際標準にして輸出規模を大きくしよう、という動きがあったんです。この国際標準をつくるには、知財経営の知識や交渉力が必要になってきます。それで、国から「知財経営に精通していて、国際的な交渉ができる人の力を貸してほしい」という要請があり、私を選んでいただいたというかたちになります。そういうわけで、2年間は経産省の人間として、日本企業の優れた技術を国際標準にするために奔走していました。 経産省からは3年間やってほしいと言われていたのですが、私は2年間でやるべきことをやり切ってパナソニックに戻りたいと思っていて、経産省にもそう伝えていたので、それこそ毎日終電で帰るくらいの勢いで仕事をしていましたね。

――2年間がむしゃらに働いて、パナソニックに戻られてからは業界マーケティングに携わっていたとのことですが、この仕事はどんなことをするのですか?

企業向けの新しいビジネスモデルをつくったり、新市場への参入を計画したりします。要はBtoBビジネスのマーケティングですね。

――なるほど。なぜその仕事を選ばれたのですか?

経産省で得た知識と経験が活かせそうだったからです。経産省で仕事をしていると、テレビ業界だとかレコーダー業界だとか、色んな業界の動向が見えるんですよ。そうやって私が各業界の動きを知識として取り入れているころ、パナソニックはBtoBビジネスを強化する方針をとっていて。それで、戻るときに「業界マーケティングの部署に入ることが一番会社への貢献につながると思う」と話して、この部署に移りました。 でも、ここで2年くらい新規顧客を見つけたり新しいビジネスモデルをつくったりしているうちに、会社に足りないものを0から補うことに、スピード的にも規模的にも限界を感じるようになってしまって。既に世の中にあるサービスや事業を取り込む方が、効率がいいんじゃないかと考えたんです。

――パナソニックのような大きな会社を変革するには、大胆に事業を売買する方がスピーディーということでしょうか?

はい。会社としても、そういうことができる人材を欲していたようで、「MBAでM&Aや投資のスキルも身に着けたようだし、うちの部署に来ないか」と声をかけられ、その誘いに乗るかたちで事業開発の部署に異動し、現在に至ります。

――今は実際に事業の売買をされているんですか?

今はどちらかというと、買うことより売ることに注力しています。うちの会社は、これまでとは違う革新的な事業を展開するというビジョンを発信しているので、そのビジョンにそぐわなくなった、要はパナソニックの投資領域から外れてしまった事業を、きちんと投資してくれる信頼できる他社に譲る、という感じです。 だけど売り続けるだけでは成長できないので、今後は大きな買収も成功させて、売上を10兆円まで伸ばすことを目指しています。実はこれまでにも何社か買収はしていて、その会社の売上を足せば、今頃10兆円を達成していてもおかしくはなかったのですが…。なにぶん、技術や事業環境の変化が激しい業界なので、そのスピードについていけなかったんですね。そこは会社としても素直に反省すべきところです。

――これからは、売上目標を達成するために新しい風を入れていきたいということですね。

はい。とはいえ、創業者の言葉にあるのですが、売上や利益が少ないのはその事業が社会から評価されていないことの現れですから。ただ単に数字を追い求めるのではなく、人々の暮らしを良くし、お客さまから評価していただいた結果売上も伸びていく、という姿でありたいですね。

――磯貝さん個人としては、これからどんな姿を目指したいと思っていますか?

私自身は、良いのか悪いのかわかりませんがだんだんと出世欲がなくなってきまして(笑)、プレイングマネージャーとして、部下を束ねつつ自分自身も交渉の最前線に立っていきたいなと思っています。もともと「イノベーションを人々に楽しんでもらいたいし自分も楽しみたい」ということで今日までずっと仕事をしてきたので、これからも人々の思いを肌に感じられるようなところで仕事をしたいです。そのうえで、技術者としてのバックグラウンドを活かして、イノベーションをビジネスとして形作っていくリーダーになれたらうれしいですね。

今すぐ天職に出会う必要はない。大事なのは広い視野を持つこと

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――ありがとうございます。最後に、学生に向けてメッセージをお願いします。

私自身、興味のあることには怖気づかずに飛び込んでみるというスタンスで仕事に臨んできた結果、この十数年で幅広い職種に携わることができました。だから、学生の皆さんが「早いうちから天職を見つけなきゃ」というプレッシャーを感じる必要はないと思っています。むしろ、柔軟な姿勢を崩さず、いろいろなことに関心を持ち、第一線で活躍している人の話を聞いてみることの方が、有益なんじゃないかなと。

――やりたいことに囚われすぎるな、ということですかね。

そうですね。そうやって話を聞いて、ちょっとでも関わってみたいと感じたのなら、ぜひ積極的に飛び込んでほしいと思います。ただ、一つだけ気を付けてほしいのは、一度関わったら中途半端で終わりにしないことです。私自身がそうだったように、何事も最後までやり切って、それを評価してもらえれば、誰かがまた新しいチャンスを持ち込んでくれますから。もちろん、先ほど話した弁理士試験のように、職種を変えるとなるとそれ相応の努力は必要なので、その覚悟が持てるのであれば、舞い込んできたチャンスにどんどん乗っかってみてください。それを繰り返していくうちに、次々やりたいことが見つかっていって、常にエキサイティングな人生が待っていると思いますよ。

――本日はお忙しい中、本当にありがとうございました。

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