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OB/OGが語る

日本生命保険相互会社 人材開発部 部長が語る、人生100年時代のキャリア選択とは

健康寿命が延び、これからは人生100年時代が到来すると言われる。働き方も多様化し、人生そのものも多様化している現代において、“ファーストキャリア”を選ぶ際に考えるべきこととは。日本生命保険相互会社で、ダイバーシティ&インクルージョンを推進する部署を統括し「男性の育児休業(以下、男性育休)100%取得」や「イクボス育成」に取り組みながら、人材開発部 部長を務める浜口氏にお話を伺った。

<企業紹介>
創業以来、約130年にわたって「共存共栄」「相互扶助」の精神を守り続け、お客様ひとりひとりのニーズに合った商品と誠実で丁寧なサービスを提供してきた最大級の生命保険相互会社。欧・米・豪・アジアにも現地法人や事業所があり、保険事業、資産運用、調査、人材交流の4つの分野で海外展開を進めている。

<人物紹介>
浜口 知実
人材開発部 部長
1990年入社

大学を卒業後、日本生命保険相互会社に入社。営業支援、予算管理、お客様窓口の全国展開などの仕事で幅広い知識を身に着けた後、東京コールセンター長や金沢支社次長、輝き推進室長を務め、管理職としてのキャリアを積んだ。自身が旗振り役となって取り組んだ「男性育休100%取得」では、在任3年中3年連続で目標を達成し、その後も毎年達成し続ける土壌を作った。部下の多様な活躍を支援する「イクボス育成」では、「イクボス企業同盟」の幹事を務め、加盟企業の管理職交流会を開催。現在は、これらの経験を活かし、人材開発部 部長を務めている。

まさか自分が部長になるなんて

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―――本日はよろしくお願いします。さっそくですが、ご自身の経歴についてお聞かせいただけますでしょうか。

1990年に入社し、スタッフ部門に配属となり、会社の予算管理、支社での保険営業支援を経験し、当社お客様窓口「ニッセイ・ライフプラザ」を全国展開するための立ち上げに参画しました。その後、2006年東京コールセンターのセンター長として初めて管理職を任され、それから、2010年金沢支社の次長、2014年に「輝き推進室」というダイバーシティを推進する部署の室長になりました。2018年の春からは人材開発部の部長という立場で仕事をしています。

―――入社当時から、現在のようなキャリアパスを描いていたのですか?

いやいや、当時の私からしてみたら、「まさか自分が人材開発部の部長になるなんて」という感じです(笑)。

―――入社当時はどのような仕事を希望されていましたか?

私が入社した当時は、時代背景もあって機関投資家としての側面が大きかったんです。だから、資産運用関係の仕事で活躍できたら、と思っていました。とはいっても、就職活動では「社会を広く支える仕事がしたい」という思いを軸に企業選びをしていたので、幅広くいろんな仕事に興味は持っていて。当社は、メインとなる生命保険の分野だけでなく、資産運用を含め幅広い分野も担うので、面白そうだなと思っていました。

救世主が現れ、ダイバーシティ推進を後押し

―――コールセンターで初めて管理職になり、大変だったことは何でしたか?

組織の規模に対する配慮です。組織の人数が多いと、話をまとめるためできるだけ具体的にプロセスを説明したり、誰から順番に伝えるか考えたりします。小規模なチームなら「こんな感じでやっておいて」という大まかな指示で良くても、大規模な組織ではそれぞれが多様な理解をします。情報が錯綜しては組織が大混乱してしまうため、丁寧なコミュニケーションを心掛けていました。

―――大規模というと、だいたい何名くらいの組織だったのでしょうか?

当時の東京コールセンターは150名くらいです。そのうちの大半が女性で、彼女たちのお客様にも部下にも丁寧に寄り添う働きぶりには学ぶところが多かったです。そして、「女性のポテンシャル」を強く感じるきっかけにもなりました。

―――ダイバーシティ推進の取り組みでは、どんなことをしましたか?

輝き推進室では「女性活躍からダイバーシティ推進へ」を大きなテーマとして掲げ、私は「男性育休100%取得」や「イクボス育成」を主に担当しました。

―――「女性活躍」がテーマなのに、「男性育休」ですか。あえて男性を対象にした理由を教えてください。

私も着任した当初は、女性にベクトルを向けるべきだと思っていました。でも、どんなに女性本人に「キャリアアップしよう」と言っても、職場の理解が伴わないと実効的ではないので、一見、当事者ではない男性たちに働きかける何かが必要だとわかったんです。そこで「男性育休」が良いのでは、と。折よく政府も「男性の育児参加率を上げる」という目標を掲げていたので、会社としても、やるならしっかりやろうということで「男性育休100%」に取り組みました。

―――「男性育休100%」を掲げ、男性職員の反応はどうしたか?

「何それ?何を言ってるの?」という感じでしたよ。世の中には「男性の育児参加」という動きがあったものの、営業の現場ではなかなか賛同を得られず苦労しました。全国の支社では「こんな忙しいのに育休なんか取れるわけがない。本部は何を言ってるんだ。」という雰囲気が大層でした。

―――取り組みは難航したのですね。

はい。でも、そんな時に救世主が現れました。「非常に良い取り組みだ。うちの支社を先駆けにして、全国へと広めよう」と言ってくれる支社長がいたんです。その支社長は、支社全体をあげて「イクメンプロジェクト」を打ち出し、育休を取る男性を支援してくださった。私たちはその流れを取材して、大々的に社内で取り上げて「絶対にダイバーシティを推進するぞ」という会社の本気度を、全職員に猛アピールしました。一方で育休取得対象者が育休を取ったかどうかひとりひとり確認し、取り組み初年度の3月には「あなたが最後のお一人です。明日から予定どおり取得してください」と念押ししました。こうして、初年度から「男性育休100%」という目標を達成することができました。

―――100%達成とは、凄い。支社での取得実績を取材して、そこから一気に畳みかけたのが成功の秘訣ですね。実際に何人くらいが育休を取得したのですか?

私自身もこの結果には胸を張っています。初年度の取得者は、当たり前ですが未取得者が多かったので約500人でした。2年目から現在までは、毎年約200~300人の男性職員が取得しています。

若い層とのギャップを埋める上司が必要

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―――現在の人材開発部では、どんなことを?

人材開発部では、「良い人を採用して、より良い人に育てること」をミッションとして、人財価値向上プロジェクトの推進をしています。その中で、私が行ったことは「ニッセイ版イクボス」という概念の浸透です。次世代を育成するための『育次』、地盤となる風土を作るための『育地』、ワークライフを尊重したマネジメントを推進するための『育児』、そして管理職自身が成長するための『育自』。管理職はこれら4つの『イクジ』を遂行すべきであるという概念を作り、広めました。

―――どうしてこの概念が必要だと思ったのでしょうか?

現代の管理職と若い層には、いろんなギャップがあります。職場においては、上司の影響は本当に大きく、上の人から意識を変えていくことが急務だと、これまでの経験から身をもって実感していました。そこで、「上司のための意識改革」のモチーフとして新たな概念「ニッセイ版イクボス」を作り、改革のきっかけにしたいと考えたんです。それぞれが個性をもち、専門性を身に着けて、総合的な強さとする組織作りに貢献したいと思いました。

―――現在の人材開発部での仕事を振り返ってみてどうですか?

とてもやりがいを感じています。世の中におけるダイバーシティ推進の議論では、何かと「女性活躍」が叫ばれますが、それに対して私は「本来のダイバーシティというのは、全職員がどうやってイキイキと活躍していくかがテーマではないか?」という疑問を感じていて、性別に関係なく働きやすく、働きがいのある職場環境を整える必要がある、と考えていました。そのため、全職員ひとりひとりを想定した仕事ができる人材開発部では、まさに私の希望通りの仕事ができています。

あなたはどんな軸で、何を選び取りますか

―――「人生100年時代」と言われる現代において、後悔しないキャリア選択をするためには何が大事だと思いますか?

選択軸が大事だと思います。多様性が尊重されて、自由な選択肢が増えている現代では、世の中も激しく変わっていく、その中で、自分が望むキャリア選択をするには、他人に流されずに自分の意思を持つことが大事です。働くといっても、今の時代は働き方も場所も時間も選べるし、兼業するとか副業するといった選択肢もあります。豊富な選択肢の中で、何を選び取るのか。どうして選ぶのか。そのあたりの選択軸を持っておくといいと思います。

―――浜口さんの「選択軸」とは、何でしょうか?

私の選択軸は、「人に働きかける仕事がしたい」です。これまでダイバーシティ推進や人材育成の仕事をして思ったのは、働き方の枠組みも大事ですが、実際に動く人の気持ちも大事だなということ。会社の取り組みと職員の気持ちにギャップを作りたくないので、職員の気持ちに寄り添い、働きかけて、会社が中からイキイキするような仕事がしたいです。人材開発部の仕事は、まさにそんな仕事です。この先、また違う分野の仕事を任されることもあると思いますが、私の根本にある選択軸はこの思いですね。

―――人に働きかけることは難しいですよね。ご自身の経験もふまえて、コツなどあれば教えてください。

ダイバーシティ推進の担当になり、最初に女性を管理職に登用していくための研修を企画していたときのことです。研修の目的は、選抜した中堅の女性職員たちに「自分らしい管理職を目指そう」と思ってもらうこと。そのためにどういう研修がよいか、対象となる女友達と話し合ったんです。そのとき彼女達から出てきたのは、研修の内容どうこうではなくて、「頑張れって言うけど、私達頑張ってきたよね?頑張ってないと思われてるの?」というモヤモヤとした気持ちでした。選抜の女性職員達は能力があって意識も高い。もちろん頑張っている。管理職を目指して頑張れだけでは、到底響かない。人に働きかけたいなら、相手のこれまでの努力を認めるプロセスは絶対に省いてはいけないと思います。私は当時の経験から、コミュニケーションの大前提は「相手を認めること」だと学びました。

―――ありがとうございます。では、そういう経験も踏まえて、もし、これまでと全く違う仕事をしていいと言われたら、何がしたいですか?

急に「何でもいいよ」って言われると困っちゃいますね(笑)。でも、外部と交流ができる仕事をしたいです。これまでのキャリアでは内部管理的な仕事が多かったものの、「イクボス」に取り組んでいる時は「イクボス企業同盟」に参加して、当社と同じようにダイバーシティを推進する違う会社の人たちと交流する機会があったんです。参加した会社は30社ほど。各会社の管理職の意識改革をどう進めるべきか話し合ったり、お互いの会社からイクボスたちを集めて啓発し合う交流イベントを開催したり。そこで、「社外の人達と交流しながら何かを生み出す仕事は面白い!」という感覚を覚えました。まだ具体的には考えられていないですが、「イクボス企業同盟」のように外部交流から何かを生み出す取り組みができたら、楽しいと思います。

就職活動は、頭が痺れるまで考え抜くこと

―――最後に学生に向けてメッセージをお願いします。

就職活動では、とにかく様々な業界を見てみてください。これだけ多くの会社に、フラットに関われる機会が持てるのは、学生ならではの特権。折角だから、この機会を最大限に活かすべきです。ゆくゆくは違う業界に就職しても、就職活動中に学んだ知識は自分の中に蓄積されて、いつか必ず役に立つ時がきます。最初のうちから可能性を狭めてしまうのは勿体ないので、業界の幅は広く、興味のアンテナは高く持つことが大事です。

―――たくさんの企業を見て悩んでしまった時は、どうしたらいいでしょうか?

とにかく考えて、考えて、考え抜く。もう頭が痺れるくらいに、自分の頭で考えましょう。誰かに勧められたから、大きな会社だから、という理由で決めるのはおすすめしません。どんな仕事にも、上手くいかない時が絶対にあります。そんな時に「自分はなぜこの会社で働いているのか」という問いの答えが明確にならない人は、大事な局面での“もうひと踏ん張り”ができないし、「この仕事向いてないのかな…」「もっと違う仕事がしたかったかも…」というネガティブな気持ちに引っ張られて、仕事が本当に辛くなってしまう。原因は、就職活動中にしっかり掘り下げて考えてなかったこと、自分の意思で決めなかったことにあるのではないか、と思います。だから、最終的に会社を決める時は、「何に魅力を感じて、どこが自分の軸と合っていて、だから私はここで働きたいんだ」と自分に説明できるようになるまで考え抜くことが必要です。仕事で頑張るコツって、実は会社に入ってからじゃなくて、その前の就職活動中にあると思います。たとえ壁にぶつかっても「自分で決めた会社なんだ」と思える人は何とかして乗り越えようって思えて、頑張れる。会社選びで妥協しないことがポイントです。

―――本日は貴重なお話、ありがとうございました。