キャリアビジョンとは?キャリアプランとの違い
キャリアビジョンとは、将来「どんな価値を発揮し、どう働いていたいか」という理想の姿や進む方向を示すものです。就活では、志望動機や自己PRとつながる“軸”になるため、言語化しておくと判断がブレにくくなります。
対してキャリアプランは、その理想に近づくために「いつ・何をするか」を並べた具体的な道筋。つまり目的は、ビジョンが“方向づけ”、プランが“実現の設計”。時間軸も、ビジョンは中長期のゴール、プランは短中期の行動計画と捉えると混同しにくいでしょう。
企業が面接でキャリアビジョンを質問する4つの意図
面接でキャリアビジョンを聞かれるのは、夢の大きさを測るためではありません。
①人柄や価値観と企業文化の適合性を見るため
②過去の経験と将来像の一貫性を確認するため
③入社後の活躍・貢献度を見極めるため
④長期的な就業意欲(エンゲージメント)を測るため
応募者のこのような要素を判断する材料になるためです。
①人柄や価値観と企業文化の適合性を見るため
企業がキャリアビジョンで見たいのは、「この人がうちの環境で気持ちよく力を出せるか」という相性です。どれだけ能力があっても、価値観が合わないと意思決定や働き方で摩擦が起きやすく、本人も周囲もパフォーマンスが下がってしまいがちなためです。
そこで面接では、例えば
①協調性(立場の違いを越えて前に進めるか)
②誠実さ(約束やルールを守り、周囲の信頼を積めるか)
③主体性(指示待ちでなく自分で課題を見つけ動けるか)
などを、将来像の語り方から確認します。
こうした要素は、新卒採用で重視されやすい観点でもあります。
②過去の経験と将来像の一貫性を確認するため
また、応募者の将来像が「思いつき」ではなく、過去の行動や選択から自然につながっているか、という論理の筋を知りたいという意図もあります。そのため、『経験→学び→次に伸ばしたい力』、の順で語れると納得感が出るでしょう。
【一貫性がある例】
学園祭で協賛交渉を担当し、相手の要望整理と提案で出展数を伸ばした→将来は顧客課題を言語化し、解決策を設計できる法人営業になりたい。
【矛盾があるNG例】
「人と向き合う仕事がしたい」と言いながら、根拠が「一人で黙々と作業するのが得意」だけ/開発職志望なのに学習計画や成果物が示せない。
準備不足や志望の浅さに見えやすい点は注意しましょう。
③入社後の活躍・貢献度を見極めるため
「入社したら、どの部署・どの仕事で力を発揮できそうか」を見立てるための質問でもあります。
学生の時点では実務経験がない分、企業側はこれまで培った力が、入社後の業務でどう活きるかを“つながり”で確かめます。だからこそ、キャリアビジョンは「やりたい」だけで終わらせず、事業内容と結びつけて語るのが重要なのです。例えば、「相手の課題を整理して提案する力」を、企業の○○事業の顧客支援にどう使うのか、まずはどんな役割で貢献したいのかまで落とし込む。そうすると配属・育成のイメージが明確になり、活躍の可能性として評価されやすくなります。
④長期的な就業意欲(エンゲージメント)を測るため
そのほか、応募者の将来の方向性が会社と重なり「働き続ける理由」を持てるかを確かめる意図があります。
会社が伸ばしたい事業領域と、応募者が磨きたい専門性・役割が一致していれば、配属や異動があっても目的を見失いにくく、学び直しや挑戦を前向きに続けやすいからです。企業側も、新卒は育成に時間がかかる前提で採用しているため、早期離職は大きなリスクになります。実際、厚労省の公表では新規大卒就職者の「就職後3年以内の離職率」が一定割合で存在します。だからこそ面接では、「この会社で中長期的にどう成長し、どう貢献するか」をキャリアビジョンとして示し、会社の方向性と接続できると安心材料になるのです。
※引用・参考:
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000177553_00010.html
刺さるキャリアビジョンの作り方4ステップ
刺さるキャリアビジョンは、思いつきではなく「根拠→方向→接続→行動」で組み立てましょう。
・自己分析
・将来像の明確化
・企業との接続
・行動計画
この4ステップで整理していくことがおすすめです。
①自己分析で過去の経験・価値観を棚卸しする
自己分析の段階でやっておきたいのは、「どんな経験に心が動き、何が得意で、どんな場面で力を出しやすいか」を言葉にすることです。そこで使いやすいのが『Will-Can-Must』(※)。
まずWill(やりたい・大切にしたい)でモチベーションの源泉や価値観を整理し、次にCan(できる・得意)で再現性のある強みを確認します。最後にMust(求められる・やるべき)で、企業や仕事側の期待と自分の接点を探す。3つが重なる部分を見つけられると、キャリアビジョンが「なんとなく」から「根拠のある将来像」に変わります。
この3つを埋めるには、過去の経験を“質問で掘る”のが近道です。次の問いを、部活・ゼミ・アルバイトなど具体的な場面に当てはめて書き出してみてください。
【棚卸しに使える質問例】
・最も「やりがい」を感じた瞬間は?なぜそう感じた?(Will)
・逆に強いストレスを感じた場面は?何が合わなかった?(Will)
・周囲からよく頼られること・褒められることは?(Can)
・成果が出た経験で工夫した点は?再現するとしたら何をする?(Can)
・その経験で「求められていた役割」は何だった?次に伸ばすべき力は?(Must)
(※)「Will Can Must(ウィル・キャン・マスト)」とは、「やりたいこと(Will)」「できること(Can)」「やるべきこと(Must)」の3つの要素を整理し、キャリア形成や目標設定に活かすフレームワークです。元はリクルート社が目標管理シートとして開発・活用したものが始まりとされており、現在は個人のキャリアデザインや組織の人材育成(1on1面談など)で広く用いられています。
※出典:https://www.recruit-ms.co.jp/glossary/dtl/0000000304/
②理想の将来像(Will)を具体的に描く
理想の将来像(Will)を具体化するときは、「立派な肩書き」を先に決めるより、5年後・10年後の自分を“場面”で想像して言葉にする方が失敗しにくいです。
5年後は、配属後に経験を積んだ上で「どんな職務に向き合い、何を任されていたいか」を中心に整理します(例:顧客課題を整理して提案する、開発の要件をまとめて形にする等)。
10年後は、その延長で「どんな役割(リーダー・専門家など)として価値を出したいか」まで広げましょう。加えて、
①担当したい職務内容
②立場・役割
③働き方(チームで進める、現場密着など)
④身につけたいスキル
の4観点で掘ると、漠然とした“なりたい”が現実味を帯びます。
最後に「今の自分に足りない経験は何か」を2〜3個に絞ると、次の行動計画につながります。
③企業の方向性と自分のビジョンを結びつける
企業に刺さるキャリアビジョンを作る上で重要なポイントが、「自分のWill」を語るだけでなく、その会社の進む方向と重なる理由までセットで示すことです。
まずは企業研究で、
①理念・パーパス(何のために存在するか)
②事業戦略(どこに注力するか、中期経営計画やIR、統合報告書のトップメッセージなど)
③採用ページの求める人物像
などを押さえます。こうした一次情報を読むと、会社が伸ばしたい領域や大事にする価値観が見えやすくなるためです。
次に「重なり」を探します。例としては、顧客課題に向き合う姿勢、挑戦を歓迎する文化、チームで成果を出す前提、など。
最後に、求める人物像×自分の強みを「経験→学び→志向→貢献」でつなげてストーリー化しましょう。例えば、「周囲を巻き込み改善した経験」→「協働の手応え」→「企業の○○戦略に共感」→「まずは△△業務で貢献」の順に置くと、志望理由とキャリアビジョンが自然に一本化します。
④具体的な行動計画(To Do)に落とし込む
ビジョンを「実現できそうな計画」に変えるのがこの工程です。ポイントは、入社後に何を学び、どんな経験を積み、どの状態になっていたいかを時系列で示すこと。
まず志望職種で求められる力を募集要項や職種ページで確認し、今の自分に足りない要素を2〜3個に絞ります。その上で、期間で区切った目標と行動目標をセットにしましょう。
【例】
・1年後:基礎固め(業務理解、先輩の商談同席、レビューで学ぶ、必要スキル学習、報連相の型)
・3年後:自走(主担当として案件・機能を任され、KPIや反応を根拠に改善提案まで出す)
・5年後:広げる(後輩育成や小チームのリード、専門領域を深めて指名される)
会社が注力する事業や顧客課題に沿ったテーマで経験を積む、と添えると「貢献の方向」も伝わります。短期目標は、期間でも行動でも考えられる点も押さえておくと組み立てやすいでしょう。
【状況別】キャリアビジョンの回答例文
【回答例】
『現時点のキャリアビジョンは、「相手の課題を言語化し、周囲を巻き込みながら解決まで導ける人になる」ことです。大学ではゼミ運営で意見が割れた際、論点を整理して合意形成を進め、成果につなげた経験があります。入社後はまず基礎を徹底し、1〜3年で顧客理解と提案の型を身につけます。5年後には、複数部署をつなぐ立場でプロジェクトを前に進め、成果が出る仕組みづくりにも挑戦したいです。』
【ポイント】
評価されやすいのは、
①経験→学び→将来像が一本線でつながる点
②入社後の成長プロセスが具体的な点
です。
企業は面接で、コミュニケーション力や主体性などを重視する傾向があるため、抽象的な夢より「どんな力で、どう伸びるか」を示すと説得力が増します。「まずは基礎を固める→任される範囲を広げる」と段階を置くと、長く成長する意欲も伝わるでしょう。
【職種別】キャリアビジョンの回答例文
職種によって、求められる役割や評価される成果の形は変わります。
代表的な、営業、ITエンジニア、事務管理を例に、キャリアビジョンの言い回しを職種別に紹介します。自分の志望職種に置き換えるヒントとして活用してください。
①営業職
【回答例】
『私のキャリアビジョンは、顧客の状況や課題を丁寧に理解し、信頼を積み重ねながら売上目標を安定して達成できる営業になることです。学生時代はアルバイトで常連のお客さまの要望をメモに残し、提案内容を見直した結果、指名で相談を受ける機会が増えました。入社後は商品・業界知識と提案の型を身につけ、3年目までに主担当として目標達成を継続。将来的にはチームの成功事例を共有し、成果が出る仕組みづくりにも貢献したいです。』
【ポイント】
評価されやすいのは、
①関係構築(傾聴・整理・提案)
②成果(目標達成)
③再現性(入社後の伸び方)
の流れが一本線になっている点です。
数字へのこだわりは「達成したい」で終わらず、「達成のために何を磨くか(知識・提案・振り返り)」まで言えると強くなります。同時に、成功を独り占めせず、ナレッジ共有や周囲の巻き込みに触れると“チームで成果を上げる姿勢”も伝わります。
②ITエンジニア職
【回答例】
『私のキャリアビジョンは、特定領域の技術力を磨きながら、事業にとって意味のある改善を継続できるエンジニアになることです。大学ではチーム開発で、要件のすり合わせ不足から手戻りが起きた経験があり、設計前の整理と合意形成の重要性を学びました。入社後はまず実装・テスト・運用の基礎を固め、3年目までにバックエンド(例:API、DB)を軸に設計まで任せられる状態を目指します。将来的には開発だけでなく、品質・セキュリティ・運用負荷も踏まえて、プロダクト全体の成果に貢献したいです。』
【ポイント】
評価されるのは、「専門性(軸の技術領域)」と「俯瞰(プロジェクト全体)」を両方示している点です。技術力の向上だけだと“自己完結”に見えやすいため、要件・設計・品質・運用まで視野に入れ、「何のために作るか」「どう価値につなげるか」を言葉にすると刺さります。
学生でも、チーム開発や研究の経験を使って「学び→次に伸ばす力」を語れば、入社後の成長意欲が伝わります。
③事務・管理部門
【回答例】
『私のキャリアビジョンは、正確さと段取り力を軸に、バックオフィスから現場が動きやすい仕組みを整えられる人材になることです。学生時代はサークルの会計・備品管理を担当し、申請フローを表計算で一本化したことで、締切遅れや確認漏れが減りました。入社後1年目は基本業務(データ管理、文書作成、社内調整)を確実に身につけ、3年目までに業務改善やマニュアル整備を主導。5年後には総務・人事・経理などいずれかの領域で専門性を高め、事業部の生産性向上に継続的に貢献したいです。』
【ポイント】
事務・管理部門では、単に与えられた作業をこなすだけでなく、業務の流れを整えて周囲が動きやすくなる状態をつくる視点が評価されます。
例文では、
①改善の具体(何をどう変えたか)
②関係者視点(現場の手間がどう減るか)
③専門性の方向(総務・人事など)
を順に示しています。
こうして「自分の仕事が組織全体にどう影響するか」を語れると、裏方として事業成長を支える姿勢が自然に伝わります。
注意!キャリアビジョンで評価を下げるNG例
キャリアビジョンは、うまく語れれば強い武器になりますが、伝え方を間違えると逆効果になることもあります。評価を下げやすい典型的なNG例を2つに分けて整理し、避けるポイントを解説します。
①企業の方向性と無関係・会社の踏み台にする内容
企業の方向性と無関係だったり会社の踏み台にする内容だったりがNGになりやすいのは、面接が“夢の発表”ではなく、採用後に会社側の投資が報われるかを確かめる場だからです。
例えば、「いずれ起業したい」ということを前面に出すと、企業は「その会社で成果を出す前に辞める可能性が高い」「育成しても回収できないかもしれない」と判断しやすくなります。さらに、事業内容や理念とかけ離れた将来像は、志望動機の根拠が薄く見え、「うちでなくてもいいのでは?」につながりがちです。
ビジョンを語るなら、まずその会社の方向性に沿って、入社後どう貢献し成長するかを軸に組み立てるのが安全でしょう。
②内容が抽象的で具体性・実現可能性がない
内容が抽象的で具体性・実現可能性がないキャリアビジョンが評価されにくいのは、企業が入社後の行動や成長の再現性を見ようとしているからです。
例えば、「社会貢献したい」は気持ちとしては良い一方で、何をもって貢献とするのか、どんな仕事で実現するのかが見えません。すると面接官側も、配属先でどう力を発揮できそうか、どんな育成が必要かを判断しづらくなるのです。
また「最短で役員になりたい」「入社1年で新規事業を任されたい」など、根拠や段階がないビジョンは非現実的に映り、理解不足や準備不足と捉えられがちです。
理想を語るときほど、
①対象(誰に何を)
②手段(どんな役割で)
③期限(1年後・3年後など)
を添え、実現までの道筋をセットにする。これだけで同じ言葉でも説得力が変わります。
まとめ
キャリアビジョンで大切なのは、未来を“当てにいく”ことではなく、迷ったときに立ち戻れる判断軸を言葉にすることです。
過去の経験から自分が力を出しやすい場面や価値観を掘り起こし、そこから「どんな価値を、誰に、どう届けたいか」へつなげる。企業研究でその方向性と重なる点を見つけられれば、志望動機や自己PRにも芯が通り、面接でも一貫した人として伝わります。完璧な将来像より、現時点での解像度と伸びしろを示すこと。自分の言葉で語れるビジョンが、選考の場であなたの強みになるでしょう。
よくある質問
3年後どうなっていたいかの例文は?
『3年後は、担当顧客を任され、課題ヒアリング→提案→振り返りまで自走できる状態になりたいです。1年目は基礎を徹底し、2年目は成果を安定させ、3年目は改善提案まで担います。』
面接で「将来のビジョン」と聞かれたらどう答えればいいですか?
将来のビジョンは、「方向性+根拠+入社後の伸び方」で答えるのが基本です。
【例】
顧客課題を整理し提案で成果を出せる人材に。学園祭で調整役を担った経験を活かし、まずは基礎を固め3年で主担当として貢献します。
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