企業紹介
1669年に名古屋城下に開業した金物店として創業。日本の鉄鋼需要の変化にともなって輸入鉄をはじめると、時代の変遷とともに事業を多角化。海外へと拠点を広げ、商社機能を拡充するとともに成長を続ける。現在、鉄鋼製品や高付加価値の特殊鋼を販売する岡谷鋼機の基幹ビジネス「鉄鋼」のほか、エレクトロニクス・非鉄金属の商材を扱う「情報・電機」、産業用ロボットや生産設備、樹脂原料や樹脂成型品を供給する「産業資材」、住宅・配管・食品など暮らしに密着した商材を扱う「生活産業」の4つのセグメントで幅広く事業を展開している。
人物紹介
岡谷鋼機株式会社
人事総務本部
名古屋人事総務部 人事室
プロジェクトリーダー
小本 紗由香
2003年入社。約14年間、豊田支店のメカトロ室にて自動車を製造する設備の販売に従事し、2017年から人事総務部に異動。採用業務を中心に教育・研修・労務・制度設計等幅広く従事。営業として現場で活躍してきた視点と、仕事と育児を両立しながら働く視点、両方を生かして日々業務に邁進する。
素材から製品に至るまで、ものつくりに関するところはすべてが事業領域
―――まず、会社概要のご紹介をお願いします。
岡谷鋼機の特徴として挙げられるのは、事業領域の幅広さです。専門商社でありながら、「鉄鋼」「情報・電機」「産業資材」「生活産業」と、4つのセグメントがある会社というのも珍しい特徴かと思います。素材から製品になるまで、ものつくりに関するところはすべて扱うのが岡谷鋼機です。その幅広さから、総合商社という見方をする方もいますね。また他には、独立系であるという事。仕入先や営業先にも自由度が高く、独自の事業展開ができます。
―――専門商社と総合商社、両方の特徴を持った会社と言えそうですね。
事業領域が幅広く、1つの分野に限らないところは総合商社に近い魅力ですね。一方で、岡谷鋼機では大事にしている言葉があります。それは「現地・現物・現人」。机上で仕事をするのではなく、現場に行ってモノを見て、人と会って仕事をつくること。こうしたスペシャリストとしての気質を持ち合わせているところが、専門商社ならではの魅力ではないでしょうか。
―――4つの事業領域の中で、特に強い分野はどこになりますか?
どの分野が一番強いか、というのがわかりにくいのも特徴かもしれません。私が入社した当初は、売上の約半分が鉄鋼領域だったため、鉄鋼商社というカテゴリーではありました。今ではその比率も変化していて、鉄鋼が4割、産業資材が3割、情報電機が2割、生活産業が1割です。どのセグメントでも業界のリーディングカンパニーとお付き合いがあり、そこから上がってくる情報を掛け合わせてビジネスを大きくする場合もあり、この分野だけに注力しているという考え方はあまりされないですね。この全体の規模を、一回りも二回りも大きくしていきましょうというのが、私たちの目指すところです。
―――貴社ならではの強みといえば、どんなところでしょうか。
やはり、「現地・現物・現人」に尽きると思います。そのメーカー様の新技術や新工法をサーチし、お客様のニーズを引き出した深い提案営業をすることを大事にしています。一つの素材だけではなく、設備と組み合わせた提案までできるのも、岡谷鋼機ならではですね。現場に入り込んでいるからこそ、開発段階から携わらせていただくことも多く、世の中にまだ発表される前の新しいものを共同開発に結び付ける取り組みや生み出すという取り組みにもつながっています。
今も未来も変わらない、大事にすべき「現地・現物・現人」
―――貴社の魅力が発揮されたご自身の経験の中で、プロジェクト例などがあれば教えてください。
私が入社して1年目が終わる頃の事ですが、あるメーカー様で新工法開発案件があり、そこで必要となる取り出し装置の相談がありました。エレクトロニクスや工具等の他の部署とも情報共有し、別の商材でもアプローチを重ねる事で、設備の全体像も把握する事ができました。私自身の取り出し装置への取り組みに関しては、汎用性の高い産業用ロボットでの提案を試み、周辺設備システム含め5社取り纏めて提案をしましたところ、見事受注。その後、同設備が全世界・グループ会社にも展開されて、全体としては、億単位のビジネスになっただけでは無く、この機会にアプローチが出来ていなかったグループ会社や全世界のお客様とも接点を持つ機会にもなりました。
既存の商材だけでは無く、他の商材を組み合わせ、よりお客様の求めるものを提案する事が出来る面白さがある。また、1年目でも年次関係なく、自ら主体的に動く事で新規ビジネスと創っていく、岡谷鋼機らしい取り組み例だと思います。
―――深い提案営業で世の中に新しいものを生み出す貴社ならではの事例ですね。ご自身の経験の中で、特にやりがいを感じたエピソードはありますか?
リーマン・ショックを経験したことは、自分の中でも大きかったですね。それまでは新設の設備を年間何百台、何十億という数字を追いながら販売をしてきましたが、リーマン・ショックのあおりを受けて、ぱたりと発注が止まってしまって。どうしようと思ったとき、やっぱり現場に戻ったんです。これからも車は製造されることは間違いないですし、どういうものが求められているだろうと。用件をつくって現場に行ったり、理由がなくても顔だけ出しに行ったり。現場で直接話を聞いていく中で、新しい設備を入れることはなくても、保守メンテナンスや点検、改造という仕事につながっていきました。あの状況下であっても、赤字部署にならなかったことも大きく、私自身の設備知識や営業の幅、自信にも繋がった経験になりました。
―――まさに現場主義の実践が、結果につながったというわけですね。今後の会社としての方向性・事業戦略について聞かせていただけますでしょうか。
業界としては「自動化」や「電動化」、「軽量化」がキーワードです。ドローンやIoTを活用するなど、最先端技術を取り入れていく動きは加速していくと思います。そのための海外拠点も積極的に展開しています。その中で、今も未来も変わらないのはやはり、「現地・現物・現人」の考え方ですね。現場を知っているからこそ、本当に適切なものが提案できる岡谷鋼機の特徴はそのままに、大切にしながら進めていくこと。それが今後の目指すべき方向性だと感じています。
やったことのないこと、できるかわからないことにも可能性を見出す
―――貴社の求める人材は、どんな方になりますか?
何事も好奇心を持って、失敗を恐れずに主体的に動き挑戦する人、そして周りを巻き込む力のある人ですね。新人研修でもよく言うのですが、当社は失敗しても大丈夫。失敗で終わらせなければ良い。そしてそこから何を学ぶかが大事と。失敗しても前向きに取り組んでいれば、それをフォローするのが先輩や上司の役割なので、安心して挑戦してほしいです。また悩んだり迷ったりしたときは、周りを巻き込んでいくこと。社員は皆、どんなに忙しくても手を止めて話を聞いてアドバイスしてくれますから。それらができる人は、知見も視野も広がり、成長できる人だと思います。
―――研修担当としてのご経験もおありだと思いますが、グローバルで活躍する人材を育成するための教育制度などもあるのでしょうか。
語学研修に関しては、かなりラインナップがありますね。社内に講師が来てくれるものもありますし、今の総合職の新入社員向けには、業務時間中に1日1時間は英語の勉強をするということを制度化しているものもあります。ただ、語学力以前に基本的な仕事ができていないと海外に行っても活躍できないよね、ということから思考力を鍛える研修が重要です。ビジネススクールと提携をしてプログラムをつくっていますし、自分で自己啓発として受講しに行くことも可能にしています。当社では5年後10年後のなりたい自分を描いて、今足りないのは何なのかを言語化し、それに合わせて研修内容・自己啓発を自分でピックアップする仕組みになっています。
―――最後に、就職活動中の学生へアドバイスをお願いします。
多くの方は自己分析をしていると思いますが、その中で、今の自分ができることや得意とするものの中だけで勝負しないでほしいという想いがあります。最初から可能性を狭めずに、やったことのないことや、できるとは限らないことでもいいのでもっと広げて考えてみてください。自分がどうありたいか、何をやっていきたいのかという大きな軸で自分を描いてほしい。その後で、じゃあ具体的にどんな仕事がどんな業務をするのかというのは、企業側である私たちがいくらでも説明します。海外が好き、語学を活かしたいという理由で商社を志望する方は多いですが、商社の面白さはそこだけではありません。是非就職活動ではたくさんの発見と経験をしてほしいと思います。