企業紹介
創業1900年。印刷事業からはじまった凸版印刷は、時代とともに新分野への事業拡大に取り組んでいる。現在の事業分野は、情報の価値を最大化し円滑なコミュニケーションを提供する、セキュア・マーケティング・コンテンツからなる「情報コミュニケーション」。生活者の衣食住に直結する分野、パッケージ・建装材・高機能エネルギー関連からなる「生活・産業」。印刷テクノロジーをベースにしたディスプレイ関連製品・半導体関連製品を取り扱う「エレクトロニクス」の3つ。そしてこれまで培ってきた凸版印刷の強みを生かしながら、デジタル技術を活用してビジネスや生活に大きな変革をもたらすDX領域に力を入れている。
取材対象者
武田 稔(写真:左)
凸版印刷株式会社 DXデザイン事業部
事業推進センター DXビジネス推進本部
セキュアビジネス推進部 サービス開発チーム
課長
1990年入社。金融証券事業本部にてカード会社の担当営業として、機関誌や同封物の受注、ICクレジットカードの製造・発行に携わる。2007年からはカード販促部門でクレジットカード、公共系カード、社員証カードなどの販売促進、2012年より決済サービスの企画・販売推進を担当。2020年より、現職にてセキュリティ関連の事業戦略や新サービスの開発、「セキュアアクティベートサービス」の販売推進を担当する。
齊藤 悠真(写真:右)
凸版印刷株式会社 DXデザイン事業部
ビジネスアーキテクトセンター プロセッシングビジネス本部
ペイメント事業推進部
2017年入社以来、ペイメント事業推進部に所属し「ギフトカードASPサービス」を担当。飲食店やスーパーなど、店舗で利用できる電子ギフトカードの導入支援や、PayPayなどのスマホ決済の導入支援のほか、開発、プロジェクト管理、運用構築など幅広い分野に携わっている。
デジタル社会を牽引するIoTデバイスに、高度なセキュリティを
―――まずは、新時代のサービスに取り組まれているお二人から、それぞれのサービス内容について聞かせてください。
武田:私が担当しているのは、「セキュアアクティベートサービス」です。簡単に言うと、IoTデバイスのセキュリティ対策に関するサービス。近年のデジタル社会において急速に普及しているIoTデバイスは、ITインフラやモバイルデバイスに比べてまだまだセキュリティ対策が不十分で、不正アクセスやハッキングといったサイバー攻撃を受けやすい状況にあります。こうした事故を未然に防ぐためのデバイス実装や、負荷のかかる電子証明書の管理運用などを支援します。わかりやすい例を挙げると、街の至る所に設置されている監視カメラもその一つ。犯罪者に映像を盗まれることのないよう、特殊な鍵を施すことで安全にデータ通信を行う仕組みになります。
齊藤:私が担当しているのは、「ギフトカードASPサービス」です。カフェやスーパーなどで利用されている、事前にお金をチャージして支払いに使うカードがありますよね。あれらのカードは、凸版印刷のシステムが裏側でカード番号と残高の増減を管理する仕組みで成り立っているんです。当社の中では事業の歴史も長く、タリーズさまやセイコーマートさまなど大手の取引先も多いですね。システムの取扱額は総額で1兆円を超えるかなり規模の大きい分野になります。今もなお時代とともにサービスや機能を拡張し続けています。
―――武田さんの担当されている「セキュアアクティベートサービス」についてもう少し詳しくお聞きします。ここ数年で新しく参入した事業とのことですが、事業発足の背景について教えてください。
武田:凸版印刷では長年、金融系ICカードの製造・発行を手がけてきました。この分野においてはほぼ寡占市場でトップクラスのシェアを誇っています。高度なセキュリティが求められるICカードのテクノロジーやノウハウをIoTデバイスに活用したのが、セキュアアクティベートサービスです。2019年に立ち上がったサービスなんですが、この市場はまだまだ黎明期。IoTセキュリティの必要性についてまだ認知が進んでいないため、啓蒙活動からスタートしているような状況ですね。
―――市場の創造からはじめているというわけですね。現状は、いかがですか?
武田:まずセキュリティサービスを知ってもらうところからなので、難しさはありますね。ただ一度話を聞いてもらえると、IoTデバイスにセキュリティは大事なんだと理解してもらえますし、話が次につながる。徐々に前に進んでいるなという実感はあります。今IoTに力を入れていこうとしている業界の一つが、自動販売機業界ですね。ドリンクを補充するラウンダーが自販機を1台1台見に行くことなく、センターサービス側で在庫を検知できればコストも圧縮できると、数年前からIoT化に舵を切っている。自動販売機自体もどんどんバージョンアップされているので、次世代機でのセキュリティ導入を長期的な計画で提案しています。
キャッシュレス決済時代を、もっと豊かにもっと便利に
―――齊藤さんが担当されている「ギフトカードASPサービス」について、具体的な仕事を教えてください。
齊藤:プロジェクトとして規模が大きかったのは、𠮷野家さまでこのサービスを導入した案件です。チャージカードのほかに、PayPayなどのスマホ決済に対応する「ゲートウェイサービス」というオプションを組み込んだプロジェクトです。店頭でスマホ決済をする際は、当社のギフトASPサービスの機能を使ってお客様のバーコードを読み込み、その情報をキャッシュレス決済事業者用に変換して、凸版印刷のシステムから決済事業者に通信する仕組みを導入しました。この案件は私が2年目の時に担当したのですが、𠮷野家さまとレジを開発しているシステムベンダー、さらに決済事業者ともやり取りが発生するので、うまく連携できるようにするのに、かなり苦労しました。
―――常に進化が求められる分野ですね。今、力を入れて取り組んでいるのはどんなことでしょうか。
齊藤:チャージカードは凸版印刷側でカード番号と残高を管理していると先程お話ししたのですが、店頭で読み取っているバーコードはカード番号情報なので、板カードでなくてもスマホ画面に表示できれば、それを利用できるんです。WEBブラウザ上にお客様のカード番号になるバーコードを表示させる仕組みも我々のサービスで提供しています。よくクーポンをもらうとスマホ画面上にバーコードが表示されて、それを店頭で読み取ることで特典が受けられる仕組みがありますよね。それも同様で、この機能を使えば当選者にバーコードを表示させるURLを送るだけで簡単にSNSキャンペーンが実施できることもあり、力を入れて活動を広げているところです。
―――お二人とも「印刷」とは離れた業務に就かれていますが、そのあたりのギャップを感じられたことはありますか?
武田:入社したのはもうだいぶ昔になるのですが(笑)、当時から印刷以外のビジネス拡大に積極的な会社でした。まだインターネットという言葉すらなかった時代ですが、印刷技術をベースにしながら将来を見据えて新分野への事業拡大をする姿勢に魅力を感じたんです。印刷事業に代わる新しい情報メディアの時代に移り変わっても、凸版印刷なら永続的に発展できるだろうと思いましたし、私自身もいろんな事業に挑戦したいという想いがあったので、自分に合っているなと感じています。
齊藤:私は逆に「印刷」のキーワードで入社をした方で(笑)。こういうサービスが存在していることも知らず、配属されて1から学びました。大学時代は理系だったので、学んでいた分野とは違いますがモノの考え方はすごく生かせているなと思いますね。やってみると意外と奥が深くて、開発に自分のアイディアを採用してくれる環境もあり、今は楽しんで仕事をしています。
やりたいことが見つかる、凸版印刷の幅広い選択肢
―――お二人が感じている、凸版印刷で働く魅力を教えてください。
武田:DXのような新規事業の場合は特に、ネームバリューがあることは大きな強みだなと。テレアポをするときにも、初めて名前を聞く会社より知っている会社の方が信頼していただけますし、商談率も上がりますね。
齊藤:ネームバリューでの仕事のやりやすさは既存事業でもありますね。取引先も大手企業が多いので、当社のサービスが導入されたということがニュースになると、世の中への影響力の大きさも感じます。また凸版印刷は事業領域が本当に幅広いので、働く上での選択肢が多いことも魅力です。自分はこういうことがやりたいという自己申告が通る風土があるので、入社してからやりたいことを見つけることもできます。私自身は今の仕事で好きにやらせてもらえるのが楽しいので、しばらくは続けていくつもりです。
武田:年に1度、部署異動を申告できるチャレンジングジョブという制度があるんですよ。上司はそれを積極的に聞いてあげようとする姿勢もありますし、風通しの良さはすごくあると思います。それから2020年末にオフィスが新しくなったこともポイントかなと。リモートワーク環境も整っていますし、各段に働きやすくなりました。
―――会社でも自宅でも働きやすい環境、素晴らしいですね。最後になりますが、就活生へアドバイスをお願いします。
齊藤:就職活動はやりたいことが見つからなかったり、第一志望に落ちてしまったり、なかなか内定がもらえなくて不安に思うこともあるかもしれません。私自身ご縁があって凸版印刷に入社をして、イメージしていた「印刷」とは違う仕事をしていることもありますが、やりがいはいつでも見つけられるんだなと思うようになりました。特に凸版印刷では、先ほど述べたように選択肢が非常に多いので、その中で必ずやりたいことは見つかるはずです。そういう意味でも、あきらめず前向きに頑張ってほしいなと思います。
武田:当社を志望してくださる方に向けて言うと、印刷事業は今後縮小していく傾向にあります。でも我々の力を入れているDX領域は今後間違いなく伸びていく分野です。特に情報システム開発ですとか、データ分析を学ばれている方には活躍できる場は広がっています。
齊藤:文系採用の方でも研修はありますし、逆に理系採用の方で営業に入る人もいるので、大学の専攻とは関係がなくても、興味がある方はぜひチャレンジしてほしいです。