外資系投資銀行とは、主に法人向けに専門的な金融サービスを提供している外資系の金融機関のことを指します。預金を集め、それを元手に融資を行い金利収入を稼ぐ銀行と違い、投資銀行は主に、証券取引仲介や資金調達サポート、M&Aなどの財務戦略のアドバイザリーによって手数料を稼いでいます。預金者と被融資者の間に立ち、資金に余裕がある方々から一旦預金を集め、資金に困っている企業に融資することで金利収入を稼ぐ 間接金融 を行います。
・投資銀行
「資金に困っている企業の証券発行を手伝い、資金に余裕がある企業に購入してもらう。」
「資金に困っている企業の会社の売却を手伝い、資金に余裕がある企業に購入してもらう。」
のように、株式・債券といった証券や企業・事業の売買を介して、資金に余裕がある企業と資金に困っている企業を直接繋ぐ 直接金融 を行います。
具体例としては、
米系投資銀行:Goldman Sachs・Morgan Stanley・J.P. Morgan・Bank of America・Citi
欧州系投資銀行:Barclays・Credit Suisse・UBS・Deutsche Bank
といったファームがあります。
上記のように、とりわけ巨大で影響力のある主要投資銀行をバルジブラケットと呼ぶ一方、M&Aアドバイザリーなど特定の業務に特化したブティック系と呼ばれる投資銀行も存在し、多様な投資銀行がしのぎを削っています。
部門紹介
主に外資系投資銀行は以下の通り3種類で分類されております。
フロントオフィス:投資銀行部門 証券部門 アセットマネジメント部門
ミドルオフィス:リスク管理部門 リサーチ部門
バックオフィス:テクノロジー部門 ファイナンス部門 オペレーション部門
今回はフロントオフィスの3部門に関して説明します。
フロントオフィス
顧客や市場と直接対峙し、収益責任を負う部署のことを指します。
・投資銀行部門
クライアント企業の企業価値向上を目的とし、以下のように財務面でのサポートを提供しています。
―企業や事業の合併・売却・提携アドバイザリー
―株式・債券の発行・引受・売買
―ストラクチャードファイナンス
―レバレッジドファイナンス
―各種デリバティブ
―コモディティ
―企業投資
等が挙げられます。
一般的にInvestment Banking Divisionの頭文字をとりIBDもしくはIBと呼ばれます。また証券発行業務を取り扱うため、発行市場での業務=プライマリー業務とも呼ばれ、証券が取引される流通市場での業務=セカンダリー業務とは区別されます。そのため非公開情報(インサイダー情報)を扱うため、情報管理が特に厳重です。
また、主にクライアントに対し提案活動を行うカバレッジチームと主に案件を実行するプロダクトチームに分かれており、
カバレッジは業界毎に
―通信・技術系業界を担うTMT
―金融業界を担うFIG
―不動産業界を担うREG
―上記以外を担うGIG
などに分かれており、
プロダクトチームは機能ごとに
―案件執行のプロフェッショナルであるM&A
―株式発行に関する業務を担う株式資本市場部門(ECM)
―債券発行に関する業務を担う債券資本市場部門(DCM)
などに分かれております。
・証券部門
主に機関投資家をクライアントとし、株や債券といった金融商品の取引のサポートを提供しています。証券取引が行われる流通市場であるセカンダリー市場で業務を行うため、マーケット部門と呼ばれることもあります。
扱う商品種別に株式担当と債券担当の大きく2つに分かれており、その中でも機能別にセールス・ストラクチャリング・トレーダーの3種類に分かれています。例えば、債券セールス、株式トレーダーといった具合です。
―セールス
機関投資家と良好な関係を構築し、彼らのニーズに合わせ、株式や債券、金融派生商品といった金融商品を販売する。
―ストラクチャリング
セールスを通じて顧客ニーズを知り、社内調整をしつつ新たな金融派生商品の組成を行う。
―トレーダー
セールスを介して売買値を即座に提示し、クライアントに代わり売買を行う。また自己勘定取引(自社の資金を用いたトレード)を行い利益を上げるプロップトレーダーもいる。
・アセットマネジメント部門
顧客から資産を預けてもらい、金融商品などを用いての運用サービスを提供しています。上記のIBD・証券部門は販売を行うためセルサイドと呼ばれる一方、アセマネ部門は、自ら金融商品を購入し資産運用するためバイサイドと呼ばれます。したがって利益相反が起こり、互いに競合関係となるため、IBD・証券部門が証券会社、アセマネ部門が資産運用会社として別会社になることが多いです。
大別すると営業部隊と運用部隊の2つに分かれています。
―営業
クライアント企業に出向き、資産を預けてもらえるよう営業をします。保険会社、年金機構、金融機関といった企業をクライアントとしており、クライアント業界毎にチーム編成しています。
―運用
営業部隊が獲得した資産を実際に運用します。運用商品別にチームがありますが、日本での運用は少なく、海外に拠点を置いていることが多いです。