京都大学生のOB訪問事情とは
日本の大学で最難関大学グループ「東京一工」、その「京」とは皆さんもご存知の京都大学です。京都大学は、しばしば東京大学と並んで語られることがありますが、実はその学風は東京大学とは正反対なのです。
東京大学の学生の多くが、官僚志向でお堅いイメージがあることで知られていますが、京都大学に通う学生はは非常に自由な校風でのびのびと大学生活を謳歌しているのです。
ここでいう自由というのは放任主義という意味ではなく、自分のやりたいことを尊重してもらえる環境にあるということです。こうした京都大学の特有の自由な学風や京都という土地柄に憧れを抱いて、西日本だけでなく日本全国から受験生が集まります。
日本トップの頭脳と、自由にわが道を行く京都大学の学生は、どのように就職活動に取り組んでいるのでしょうか。今回は就職活動の必須事項ともいえる、OB訪問に焦点を置いて、京都大学での就職活動をご紹介していきます。この記事を参考に、自分のキャリア選択について考えてみてはいかがでしょうか。
京都大学の就職・就活状況
世界的にみてもトップクラスの実績を誇る京都大学からは、毎年多くの卒業者が国内有数の大手企業から内定をもらっています。
京大文系学生の多くが就職する企業は、金融や保険業、サービス業などが挙げられますが、しかし製造業をはじめとする一見すると理系だと思われるような会社でも総合職や事務職で募集が数多くあるため、文系学生にとっても選択肢が広いのです。そんな京大生の就職事情について、学部別の傾向をつかみながら詳しくご紹介します。
京大から就職する学生は、学部出身者が全体の約30%、修士課程の修了者は全体の約70%、博士後期課程修了者は全体の約50%です。学部卒業者の内、半数以上が大学院へ進学するため、文系理系問わずに京大から就職する多くが修士課程や博士後期課程の修了者となります。
京都大学の学部別就職状況
学部 | 業界 | 企業 |
法学部 | 金融・コンサル | 三井住友銀行・みずほ銀行・野村総合研究所 |
文学部 | 公務員 | 京都府庁・外務省 |
教育学部 | 旅行・サービス | JR西日本・日本旅客鉄道 |
理学部 | メーカー・製造業 | パナソニック・トヨタ自動車・NTTデータ |
どの学部でも日本を代表する超有名企業に内定をもらっている学生が多いことがよくわかります。さらに京都大学は西日本の大学なので、関西に本社を置く企業への就職率の高さも特徴的です。
京都大学が公務員に強い理由
京都大学は実はこじんまりとした大学です。同大学のホームページによると、平成24年3月の学部卒業者は2,893名なのですが、学部卒でそのまま就職したのは886人、そのうち104名は公務員ですから、民間企業で学部卒の京大生と出会う機会はどうやら少なそうだということがわかります。
この理由として、京都大学の学生は頻繫に比較対象とされる東京大学の学生よりもビジネスに触れる機会が少ないとされています。京都府という、歴史や観光が発達している地域に大学があるからか、東京大学の学生の方が企業でインターンをしたり、企業セミナーに通う人が多いのです。
一方で京都大学の学生は、国家公務員を目指す学生が多いのです。昨年度の国家公務員総合職試験合格者をみると、京都大学からは151名。
教員に限らず国立大が公務員に強いことについて、ある私立大のキャリアセンター職員は、「やはり、センター試験を経て、入学しているのが大きい。3教科の入試で入学できる私立大とは異なり、広く学んできている分、採用試験に強いのではないでしょうか」と分析しています。
京都大学が実施しているOB訪問に向けた取り組み
では、京都大学ではどのようにOB訪問が進められているのでしょうか。日本の大学の2強である東京大学と京都大学では、就職活動やOB訪問のに取り組み・認識に差があるようです。
その大学の風土は、入学当初から所属する学生に影響を与え続け、4年後の進路を決める大きなカギになります。のびのびとした自由な校風が魅力の京都大学の特徴と共にご紹介します。
京都大学Nexus
京都大学 Nexus(ネクサス)とは、2005年に主に京都大学の外資系企業内定者が集まって立ち上げた団体で、毎年内定を終えた有志の学生が主導となって京都大学に通う学生の進路選択を手助けしています。今年度も2019年卒業予定の各業界内定者によって「Nexus2020」がを立ち上がり、2020年度に大学を卒業する学生の就職活動支援を行っています。
具体的には、「就職活動生」・「企業」・「内定者」の三者が出会い、交流できる「場」を提供することを基本理念として、企業にはより良い人材発掘の手段を、就職活動生には幅広い視野で自身のキャリアを考える機会を、内定者には業界を超えたネットワークを提供しています。
このように学生側から主体的に就職活動に向けたアクションが生まれる大学は、日本中を探しても決して多くはありません。ここに京都大学ならではの強みを見出すことができます。
参考:http://kyoto-nexus.jp/
京都大学キャリアサポートルーム
キャリアサポートルームと、学生(学部・大学院)、博士号取得者(ポストドクター)等の就職活動を支援するために、求人票や卒業生名簿等の情報・資料を各種取り揃えて提供しているほか、学生のキャリア形成に資するための就職ガイダンス、キャリアデザイン講座、キャリア研究セミナー、国家公務員各府省業務説明会等を開催している大学施設です。
学生が気軽に就職相談ができるブースも設けられているので、就職活動に不安がある学生は積極的に活用することをおすすめします。
就職相談は京都大学のホームページから予約をとることができるので、待ち時間を減らしてスムーズにカウンセリングを受けることができます。OB・OG訪問の斡旋もキャリアサポートルームで行うことができます。就職活動が本格化するとOB訪問の依頼が殺到してしまうので、興味のある企業や業界を見つけたら早めに行動に移すようにしましょう。
また、京都大学の先輩たちの就活体験記もキャリアサポートルームで閲覧することができます。同じ大学の先輩がどのように就職活動を乗り切ったかを知ることで、現段階でどこから準備をしてよいのかわからない学生でも計画を立てやすくなります。
参考:http://www.gssc.kyoto-u.ac.jp/career/misc/job_hunting/
ビズリーチ・キャンパスfor京都大学
ビズリーチとは、2016年10月に東京理科大学ベンチャーファンド、グロービス・キャピタル・パートナーズ・SMBCベンチャーキャピタル・パートナーズなどの計5社から総額11.5憶円の資金を調達したOBと学生の最新マッチングサイトです。
現在利用できる大学は限られていますが、2017年にサービスが開始した時から京都大学は対象大学に入っているので、現在1,000社以上のOBが名簿をビズリーチに公開しています。メールや電話でOB訪問の依頼をするのは少し緊張してしまいますが、ビズリーチ・キャンパスに登録している社会人はOB訪問の受け入れ可能な人ばかりなので、アプローチがしやすいです。
参考:https://br-campus.jp/
京都大学のOB訪問に対する考え方
京都大学の学生あれば、「大して就職活動を行わなくても自分の希望の企業から内定をもらえるのでは?」と思う方もいるかもしれませんが、決してそんなことはありません。難関大学の学生が希望の進路に進むことができるのは、学生たちの努力があるからなのです。
就職活動で非常に重要な意味を持つOB訪問とは、自分の大学の卒業生を中心に社会人に話を聞きに行くことを指します。普段なかなか社会人と一対一で会話をする機会がない大学生にとっては、自分の新路を真剣に考える絶好の機会になります。
もちろん、企業側にも大きなメリットがあります。早い段階で就職活動に対して積極的にアクションを起こしている大学生とコンタクトをとることで、優秀な人材の囲い込みができるようになるのです。
OB訪問の目的
選択肢がたくさんありすぎて悩んでしまう現代の就職活動ですが、どの業界・企業が自分に一番合っているのか、本当に納得するにはOB訪問で社会人の生の声を聞くこと非常に効果的です。「候補の業界・企業が自分の価値観にあっているだろうか」、「将来その会社で自分が活躍できるだろうか」といった不安を解消するには、OB訪問が効果的です。
既にやりたいことや職種が決まっている学生でも、OB訪問で現場の声を聴くことで入社後のギャップを解消することができます。希望の業界に入っても、希望と全く異なる職種に配属される可能性もあるので、そのリスクをあらかじめ知っておくことは非常に重要です。
OB訪問をするときの注意点
OB訪問は自分と同じ大学出身者と話をすることができるので、就職活動以外の点で共通点をみつけやすく、話しやすいことが特徴です。しかし、自分と同じ大学の先輩だからといって、準備を怠ったり、失礼な態度で質問をすることはご法度です。
京都大学とその他の大学の違い
京都大学の卒業生は、文系理系問わず様々な業界のトップとして活躍している人が非常に多いことで有名です。大企業で出世コースを歩んでいる卒業生もいれば、自らの高い志を強みに起業してベンチャー企業の社長になっている人もいるので、数ある進路選択の中で自分が一番納得できる道を選べるまで妥協はしないようにしましょう。
OB訪問前へ行く前に準備すべきこと
現在は会社の基本的な情報や社員の口コミなどもインターネット上で調べることができる便利な時時代ですが、ヒット数の高いWebページは多くの学生が閲覧していることが考えられます。そのため、ネットの情報を鵜呑みにしているだけでは、他の就活生との差別化をすることができないため、情報収集の手段としてはイマイチです。
少子化によって大学生の数が減っているにも関わらず、毎年OB訪問をする就活生の人数は増え続けています。この傾向から、学生がOB訪問の重要さに気が付いているだけではなく、企業側も超売り手市場といわれる近年の採用活動で、より優秀な人材と接触するのに必死であることが考えられます。このような貴重なOB訪問の場を有効活用するためにも、事前準備をしっかりとしましょう。
企業・業界研究をまとめ、説明できるようにする
OB訪問の意義をしっかりと理解していない大学生の典型的なのが、OB訪問の場でインターネットで調べて簡単に分かるようなことをわざわざ社会人に聞いてしまうケースです。これはOB訪問の場ではNG事項で、OBへの失礼に当たるので要注意です。
OB訪問に登場する先輩社員たちは、人事部から同年代の中でも優秀だと評価されている人たちです。せっかく志望する企業で活躍している先輩社員と話ができるのに、誰でもわかるような質問をするようでは、企業側もせっかく時間をとっているのにがっかりしてしまいます。予め基礎的な業界・企業研究を済ませたうえで、要点を自分のことばで説明できるように準備しておきましょう。
自己分析を言語化する
多くの企業説明会や就活セミナーでは「就職活動で自己分析を怠る人は、高い確率で自分に適した企業に巡り合うことができない」と、何度も口酸っぱく言われますが、これは素直に聞き入れるべき重要なアドバイスです。
自己分析に関しては、やり方は様々ですがやっておいて絶対に無駄にならないので早い段階で分析を終え、面接などのアウトプットの場でしっかりと話せるよう練習する必要があります。
OB訪問は自己分析の結果と、OB訪問先の企業の理念がどれだけ一致しているかをアピールする場であることを頭に入れておきましょう。
ここで自分の価値観を共有し、先輩社員から今の自分に必要な情報を的確に引き出すファーストステップになります。この段階を丁寧に踏むことで、よく考えられている学生である、とお墨付きをもらうことができるでしょう。
一歩踏み込んだ質問リストも作っておく
企業説明会では、時間のほとんどが企業から学生への一方通行な情報提供で終わってしまうため、学生の疑問を十分に解消することができないのですが、OB訪問ではこちらが用意した質問への回答を確実に得ることができます。OB訪問の特徴を活かして、残業時間や離職率などの普段聞きづらい質問もしてみましょう。
京都大学の学生がOBに聞いている質問内容
では、実際に京都大学の学生たちはOB訪問でどのような質問をしているのでしょうか。大学の先輩の例を参考にしてOB訪問への準備を進めましょう。
出社してから帰るまでの1日の流れはどのようなものですか?
実際働くことになった時、「自分は会社でどのような業務をするのだろう。」「業務に対してどんなやりがいを感じたり、壁にぶつかることになるのだろうか。」などの疑問を抱える就活生は多いはずです。不安を解消するためにも、選考に進む前に具体的な仕事内容を知っておきたいですよね。
業務内容や、具体的に自分が働いている姿をイメージできるように、一日や一週間の流れを聞いておくことをおすすめします。とはいえ、社会人は繁忙期やプロジェクト完了後など、時期によってスケジュールに差があることが想定されます。そのため、最も忙しい一日のスケジュールや、一番多い帰宅時間を聞いてみましょう。
今の職種以外で、やってみたいと思う職種は何ですか?また、それはなぜですか?
大企業になればなるほど、1つの企業内でも様々な職種があります。営業、マーケティング、企画、人事などなど、部署によって風土も業務内容も全く異なります。入社してからのイメージを明確にするためにも、これらの職種にはどのような特長があるのか理解を深めたいですよね。
そこでOB訪問で実際に現場で働いている先輩社員に話を聞いて、どの部署で何ができるのかをはっきりさせておきましょう。同じ名前の部署でも、企業によって担当する業務範囲に差があるため、一社の基準を他社に用いるのは危険です。あらかじめ理解を深めておきましょう。
今までの業務で一番の失敗は何ですか?また、どのように乗り越えましたか?
仕事の概要がつかめたら、社員の人が仕事で挫折をした時やつらいと感じた瞬間などの、ネガティブな要素に対して質問をしてみましょう。会社説明会では、企業のプラスのイメージが全面に紹介されてしまうので、実際の業務の泥臭い部分は見えません。
そこで、入社後のギャップをなくすためにも普段の業務の中でどのような大変さがあるのかを事前に理解しておきましょう。ネガティブ要素で完結せずに、苦労を経験したからこそ得られるやりがいや達成感を聞いてみることをおすすめします
業界内での御社の立ち位置についてどのようにかんがえていますか?
就職活動をしていると、社会人の方が自分の働く業界や企業についてどのように考えているのか気になることがあるはずです。また、エントリーシートや企業の面接では、「競合他社のなかでもどうしてその企業を志望しているのか」について聞かれることがよくあります。
このような質問は学生がきちんと業界研究をしているか、また志望度の高さを測るための質問なので、答えられないと問題です。
ある程度の情報はwebや書籍などに記載のある情報での業界研究・企業研究などで集められますが、それではすべてを理解できていない可能性があります。現場で働く社会人の方からリアルな情報を聞いておきましょう。
京都大学の卒業生を参考にして就活をすすめよう
日本トップレベル大学・京都大学のOB訪問事情を見てみると、毎年日本を代表する一流企業や国家公務員などの華やかな卒業生を輩出している理由がわかります。
しかし日本の大企業は、本社が東京にあることが多いため、就職活動時には学生が東京まで移動しなければなりません。そのため、関東の大学生よりも体力的な負担が大きいことが考えられます。
しかし、そのようなハンデを感じさせない京都大学生だからこそ、社会に出ても高いパフォーマンスを発揮することができると人事にアピールすることができるのでしょう。是非この記事を参考にして、就職活動を充実したものにしてください。
学生の皆さんのキャリア選択を応援します!
ビズリーチ・キャンパスでは、早期から将来を意識し、キャリア選択に前向きな学生の皆さんを応援します!
対策や企業研究よりも前にやるべきことがある…それは「どんな生き方をしたいか?」を考えること。その方法はネットで検索することでも、内定者の先輩に聞くことでもありません。実際に働く社会人の先輩たちに聞くことです。