中部電力とは
本店を名古屋市東区に置く、中部地方を主な営業地域とする電力会社です。1951年に設立され、かつては名古屋の有力企業四摂家(他の3社は東邦瓦斯・名古屋鉄道・松坂屋)の1社ともいわれ、現在でも特に東海地方では高い知名度と人気を誇る企業です。
電力会社はインフラ系の中でも安定した企業の印象が強いため、高い学生人気につながっています。また、中部電力は他の電力会社と比べても、電力事業の拡大だけでなくさまざまな事業の企画・運営などを積極的に行っています。
企業概要
中部電力は主に電気事業およびその附帯事業を行っていますが、それ以外にも事業内容があります。営業地域は、愛知県、長野県、岐阜県、三重県、静岡県(富士川以西)の5県で、ほぼすべての地域において周波数60Hzの電気を供給していますが、長野県の一部に周波数50Hzの地域も存在します。
事業内容
以下が主な事業内容です。電気事情を主軸に、現在ではさまざまな事業を行っています。
電気事業およびその附帯事業
発電、送配電、販売の部門で、電気事業が行われてきましたが、2018年の現在では、「発販分離型モデルへの移行」を目指し、2020年には送配電部門が分社化する予定で、発電・販売部門もそれぞれに分社化する予定となっています。電力の安定供給という、これまでの使命を果たしつつも、サービス水準や技術、販売力などを高めていくのが狙いです。
ガス供給事業
電力以外に、ガス事業も行われています。天然ガスの販売や、ガス託送供給として、ガスを供給する事業者(ガス託送供給依頼者)が、中部電力のガス導管を利用して、利用者にガスを供給しています。
蓄熱受託事業
熱源機、蓄熱槽などを設置し、エネルギー効率をよくすることで電力消費などを抑えるのが「蓄熱」です。ピークタイムシフト(電力が必要な時間帯に集中する事を避ける)などが可能なため、中部電力では官公庁などの大型施設とも契約しています。電力コスト低減のため、推進されている事業です。
分散型エネルギー事業
現在、エネルギー供給の分野において、再生可能エネルギー、蓄電池などの分散型エネルギー資源の普及が進んでおり、エネルギー供給のあり方が変わってきています。中部電力は分散型エネルギーについても事業化しています。
海外コンサルティング・投資事業
中部電力では海外事業の拡大を成長戦略の大きな柱の一つと考えており、特に市場成長が著しいアジアを対象にコンサルティング・投資などを行っています。 2018年7月(予定)にシンガポールに合弁会社が設立されます。
他、不動産管理事業、IT事業など
それ以外では、不動産事業、IT事業などが事業内容に挙げられています。中部電力では、学校保護者向け携帯連絡網サービス「きずなネット学校連絡網」のサービスを提供しており、1,500校以上の保育園・幼稚園・小学校・中学校・高等学校で、70万名近くの利用者がいます(2016年5月時点)。
他にも、子供のGPS見守りサービス「どこニャンGPS BoT」や、エアコンの管理や家電の遠隔操作「ココリモ」などのサービスを提供しています。
過去3年間の売上/利益推移
これからは中部電力の、過去3年間の売上と利益推移をみていきます。データは下記のサイトを参照しましたが、営業利益率は計算した後で、端数を切り捨てしています。
(単位/億) | 2016年度 | 2017年度 | 2018年度 |
売上 | 28,540 | 26,035 | 28,533 |
営業利益 | 2,849 | 1,364 | 1,365 |
当期利益 | 1,697 | 1,146 | 743 |
営業利益率 | 6% | 4% | 3% |
2015/3期の売上高は3兆1036億300万円でしたが、2017/3期には2兆6,035億3,700万円にまで減少しました。 営業利益率は2015/3期の1.94%から、2017/3期には4.67%にまで上昇しています。
2018年度 経営課題への取り組み
中部電力は2018年度の経営課題への取り組みを、特に4つの重要課題を以下のように発表しています。
- 浜岡原子力発電所における安全性のさらなる向上
- 新たな時代の安定供給
- 成長に向けた事業基盤の強化と持続的な成長の実現
- 環境変化に即応できる事業体制・経営基盤の構築
電力会社全体を取り巻く大きな変化に対して、中部電力がどのように取り組んでいるかを、この4つの重点課題が表しているといえます。特に、原子力発電所の安全性の向上については、中部電力一社のみならず業界全体のミッションとして、重大に考えていることがニュースなどでも伝えられています。
2018年の中部電力に関するトピックス
2018年の中部電力に関するトピックスをピックアップしました。インターネット上の、いくつかの話題をみていきます。エネルギー業界は現在、大きな変革の時を迎えています。
堅実な大手企業としての評価が挙げられる一方で、日々新しいニュースが電力業界について報じられており、その中で中部電力の社名も度々登場しています。
「学生に勧めたい大手企業ランキング」で36位の中部電力(本社・愛知県)
各大学のキャリアセンターが、「学生に勧めたい大手企業」を選択式でなく答える形式のアンケートをおこないました。その結果、選択式でないため回答は多岐にわたりますが、地方優良企業として中部電力の名前が挙げられていました。
「海外投資家お墨付き」の低リスク銘柄としてMSCIに中部電力が採用
「MSCI日本株最小分散インデックス」がこのインデックスに採用している日本株は145銘柄。低リスクのイメージが強い電力セクターですが、電力株は10銘柄上場しています。MSCIに採用されているのは半分の5銘柄(中部電力、関西電力、中国電力、東北電力、九州電力)。
JERA(東京電力フュエル&パワーと中部電力が共同出資)、米ガス発電へ参画
JERAは米国子会社を通じ、発電所の運営会社スターウッド・エナジー・グループに50%出資します。米卸電力市場での知見獲得などが狙いといわれています。
中部電力とIIJ、ICTを活用した稲作支援の実証実験
中部電力株式会社と株式会社インターネットイニシアティブ(以下、IIJ)は、静岡県磐田市・袋井市内において、ICTを活用した稲作支援に関する実証実験を共同で実施すると発表しました。期間は、同日より2020年3月まで。
今回の実証実験では、水位を計測する水田センサー、遠隔制御に対応した給水弁など、水田に設置する各種機器の無線基地局(LoRaWAN)を電柱に設置し、インターネット経由で水田の水位・水温の把握、給水弁の開閉制御を行える通信インフラを整備しました。
また、Webカメラや気象センサーを電柱に設置し、水田のセンサーだけでは収集できない、より正確な水田の状況把握も可能にしているといいます。これらの電柱に設置したWebカメラ、気象センサーや水田に設置した機器の保守を中部電力が担当。機器ベンダーでなくても保守可能なことを確認するほか、Webカメラ、気象センサーに関する顧客ニーズの検証を行います。
原発事業で提携協議:東電、中部電、日立、東芝の4社
東京電力ホールディングス、中部電力、日立製作所、東芝の4社が原子力事業での提携に向け、本格協議を始めました。4社は、提携に関する覚書を交わし、原発の保守管理を担う新会社設立の案が出ているとのことです。
東電福島第1原発事故後、国内では原発の再稼働が遅々として進まず、新設や増設のハードルも高いままであり、今回の提携協議は将来、他の電力会社などを巻き込んだ国内の原子力事業の再編につながる可能性もあるといえます。
浜岡原発安全協定4市勉強会を御前崎市長が開催へ
延期になっている中部電力浜岡原発(御前崎市佐倉)の安全協定に関する地元4市の勉強会について、御前崎市の柳沢重夫市長は定例記者会見で、牧之原、掛川、菊川の3市や静岡県との調整が付き次第、開催する方針を明らかにしました。
エネルギー(電力)業界の動向
「電力」は個人の生活のみならず、どのような仕事・環境でも必要とされる、なくてはならないものです。ガスや水道などを含め、これらの業界は「インフラ系」ともいわれます。
その中でも電力会社は、これまで地域独占といわれており、他社との競争も激しくなく安定した業界と考えられていました。そのため、他社との競争よりも、安定した電力の供給やクリーンなエネルギーの創生が主な業務とされていました。
しかし、東日本大震災の影響や電力の小売全面自由化により、電力会社の業務形態や社会的な役割も大きく変化しつつあります。中部電力で行われている分社化や、新しい事業への展開、蓄熱事業のような省エネへの取り組みなど、今まさに変化しつつある現状です。
電力業界の業績推移
電力業界の業績は、電力自由化や世界的な省エネルギー化の影響を受け、ほとんどの電力会社の電力販売量は減少しています。東日本大震災以降、原子力発電所の停止の影響などで社員の平均年収に影響があると思われます。
しかし、原子力発電所の再稼働により増減することが予想されます。今後の人口の減少も影響が避けられず、電力の販売のみという面でみれば、今後も全体として縮小していく傾向は続いていくと思われます。
電力の小売全面自由化
現在とこれからの電力業界について、電力の小売全面自由化を抜きに語ることをはできません。2018年現在、多くの事業者(2017年3月現在で約380事業者)が参入し、それぞれの家庭などで新電力への契約の切替えを選択することができるようになりました。その事により、これまでなかった競争が生まれ、既存の電力会社も多様な料金メニューの提供など、新しいサービスと価値を求められるようになっています。
中部電力へOB/OG訪問に行く前に準備すべき項目
中部電力は人気の就職先で、内定を勝ち取るためにOB/OG訪問をする学生もいます。ここではOB/OG訪問するときの、ポイントを確認しましょう。
先輩社員紹介からOB/OGを検索
大学のキャリアセンターでOB/OGを紹介してもらうことができますが、中部電力公式の新卒採用のためのwebサイトから、各部門のOG/OBを検索することができます。自分の興味のある職種や部門などにOB/OGがいないか、探してみましょう。
新卒採用webサイトの内容に目を通しておく
中部電力では、公式webサイトとは別に新卒採用のためのwebサイトがあります。そちらには先輩社員紹介以外にも、志望者に向けてのメッセージなどが掲載されています。
また、公式webサイトの方では、会社案内のパンフレットのpdfや、中部電力グループのアニュアルレポート(1年間の財務、非財務情報(経営戦略、CSR活動など)を総合的に掲載した印刷物)のpdfなどがダウンロードできます。
基礎的な事は先にそれらに目を通しておき、OB/OGへの質問をよりスムーズに、意味のあるものにできるように準備しておきましょう。内容のすべてを理解しておく必要はなく、むしろ疑問点やわからないことはメモしておいて、質問の内容につなげていけると考えましょう。
OB/OGへの質問を準備
それでは、実際のOB/OG訪問の際の質問例を、「なんのための質問か」という目的別にみていきましょう。
マッチング度を測れる質問
- 仕事のやりがいはなんですか?
インフラ企業(電気・ガス・水道)は一般企業以上に公益性の高い企業です。それを重圧でなく、自分の仕事のやりがいに感じているOB/OGに、詳細を聞いてみましょう。
- 電子通信部門(他、各部門)の仕事内容はどうですか?
- これまで学んできた事で、仕事に活用できていることはなんですか?
中部電力では多岐に渡る部署・部門があります。自分のやりたいことや、これまで学んできた事が活かせそうな部門のOB/OGに質問をしてみましょう。発電所の種類だけでも水力・火力・内燃力・原子力・新エネルギー(太陽光・風力など)があり、それぞれの仕事内容も違っています。なお、中部電力での就活生は、発電の形式としては火力の部門が人気が高いといわれています。
企業研究に役立つ質問
- 発送電分離で仕事内容や取り巻く環境はどう変化すると思いますか?
エネルギー業界は現在、大きな変革の時を迎えています。その中で中部電力では「発販分離型モデルへの移行」を目指し、2020年には送配電部門が分社化する予定で、発電・販売部門もそれぞれに分社化する予定となっています。それが実際の仕事内容などにどのように影響するかを聞いてみましょう。
- 蓄熱事業について、どのように考えていますか?
これまで「発電」を事業の柱としていた中部電力が、今行っている蓄熱事業は「熱をためておいて、電力を使う時間をずらしたり減らす」という省エネルギーの事業です。なぜ今この事業に取り組んでいるか、具体的に聞いてみましょう。
選考に役立つ質問
- 海外投資事業などに興味があるのですが、英語はどの程度できたらよいでしょうか?もしくはどのような言語を勉強したら役立つでしょうか?
中部電力ではアジアを中心に海外投資などを行っています。また、電力事業でも海外出張などがあります。具体的にどの程度の語学力が必要とされるかわかれば、その後の選考ステップでアピールのポイントがわかります。
アジアと一口にまとめても、主に使われている言語は多数ありますし、海外投資ではなくガス事業であっても、海外への出張などがあります。そのため、英語以外の言語の状況も聞いてみるとよいでしょう。
- なぜ中電を選んだか、ご自身のことを教えてください。
今後の選考ステップで必ず聞かれることになる質問なので、OB/OGにもこの質問をしてみましょう。特に中部電力については、「なぜ他の電力会社でなく、中部電力なのか」を強く問われます。
OB訪問の時点では、まだ電力会社の細かな業務内容を把握できない部分があると思います。OB訪問でどのような話をするかは人によって詳細は違うかもしれませんが、後の選考ステップではOBとは話をした前提で質問などが行われます。
その際に役立つ、有意義な面談になるよう、「中部電力とは」、「電力業界とは」を掘り下げられる質問はしっかり用意していきましょう。
中部電力は新しい電力会社の人材を求めている
一般的に「安定している」と思われがちなインフラ(電力)業界において、中部電力は新しい試みや研究、海外投資などを積極的に行う特徴があります。そのため、インフラ業界に求められる、公益性の高い事業に従事したいという真摯な気持ちとともに、新しい事に果敢に取り組んでいく姿勢も評価されるようです。
逆に、漠然と「安定していそうだから」で志望する人は、現在の電力業界を取り巻く状況を理解していないとみなされます。「人柄」、「熱意」を評価してもらえる姿勢が自分にあるか、「なぜ」他の電力会社でなく中部電力を志望するのか、今一度自分に問いかけてみましょう。
学生の皆さんのキャリア選択を応援します!
ビズリーチ・キャンパスでは、早期から将来を意識し、キャリア選択に前向きな学生の皆さんを応援します!
対策や企業研究よりも前にやるべきことがある…それは「どんな生き方をしたいか?」を考えること。その方法はネットで検索することでも、内定者の先輩に聞くことでもありません。実際に働く社会人の先輩たちに聞くことです。