三菱総合研究所とは
三菱総合研究所は、英語の頭文字をとって「MRI」、もしくは「三菱総研」と略称で呼ばれることもあります。東京都千代田区に本社を置き、大阪、名古屋、仙台の国内だけでなく、海外のワシントンも拠点としています。三菱の創業100周年を機に、1970年に創設され、2017年9月時点で約4,000名の従業員を抱える企業です。
また、シンクタンク事業、コンサルティング事業、ITソリューション事業の3事業を主な事業としており、一般企業だけでなく、産業や環境エネルギーなどの分野において、官公庁も顧客対象としています。
このような事業の経験によって、政府や地方公共団体などから、都市開発やインフラ整備などの調査研究という面において強いことが特徴で、東京証券取引所に上場しており、以下のような企業理念を掲げています。
- 英知と情報に基づき社会へ貢献
- 公明正大な企業活動
- 多彩な研究個性による総合力の発揮
このような企業理念には、社員として企業に貢献するだけでなく、社員一人ひとりが高い専門性を身につけ、自己実現を図ることを目指し、組織的な総合力を身につけることを目標としています。
三菱総合研究所が創業してからしばらくは、官公庁などの公的機関に対する貢献に重きを置いていましたが、現在はITソリューション事業を拡大し、システム開発を目的とした関連子会社を持つなど、企業自体が多様化しています。さらに、これまでに三菱総合研究所の事業に研究員として関わった人物には、一橋大学教授の蜂谷豊彦氏や同志社大学教授でエコノミストの浜矩子氏がいます。
企業概要
三菱総合研究所は、1970年の創業時には、分析業務や委託調査を行うコンサルティング事業と情報処理サービスを主な事業として始めました。その後、本社を移転し、事業の補助作業に関わる人材派遣会社を設立するなど、関連するグループ会社の事業は多岐にわたります。
事業内容
三菱総合研究所の事業内容は、主にシンクタンク事業、コンサルティング事業、ITソリューション事業の3つの事業を展開しています。
シンクタンク事業
シンクタンクとは、社会政策を始め、経済や技術などの分野において、政策立案や政策提言などを行う研究機関のことをいいます。主に、官公庁などの公的機関を対象としており、三菱総合研究所では、幅広い分野での政策提言や研究、調査などを行っています。
また、シンタンク事業での長い経験を活かして、その実績を基盤としての研究開発を行い、個々の公的機関に合う変革やソリューションモデルの提案を行っています。
コンサルティング事業
三菱総合研究所のコンサルティング事業では、主に民間企業を対象としています。ここでは、個々の企業に合った経営計画を提言し、企業価値を向上することに努めています。
また、三菱総合研究所内の研究開発部門と連携することによって、1つの提言だけでなく、さまざまな選択肢を提示し、企業と共に経営環境の向上や改善を目指しています。
ITソリューション事業
ITに関わる事業が多様化した現代において、システム開発や技術向上、セキュリティ対策など、ITに関するさまざまな問題が発生しているのが現状です。
三菱総合研究所では、このような状況の中で、さまざまな分野における基幹システムの運用や保守の技術を駆使し、業務効率化や経営戦略の実現に向けて以下のようなITソリューションを提示しています。
ITアウトソーシングソリューション、事業継続・災害対策ソリューション、サーバ総合ソリューション、業務システム構築、データセンターソリューション、ビジネスプロセスアウトソーシングソリューションなどです。
また、銀行などの金融機関を対象としたコンサルティング事業では、金融事業の高度化を目指した成長戦略などを通じて、ITコンサルティングを行っています。
研究開発
三菱総合研究所と同じグループ会社の三菱重工業が、三菱リージョナルジェット(MRJ)の開発や製造していることは周知の通りで、現代のニーズに先駆けた研究開発が積極的に行われています。同様に、三菱総合研究所でも、地球規模で深刻化している環境問題や高齢社会問題の解決策を産業化する研究開発が行われています。
このように、時代と共に変化する社会問題やニーズに対して、これまでに培ってきたノウハウを活かし、マクロ経済を基にした未来予測や未来社会の構想などをするとともに、その提言も行っています。
三菱総合研究所では、シンクタンク事業、コンサルティング事業、ITソリューション事業を主に手掛け、強みであるデータの分析や調査研究を駆使し、日本だけでなく海外にも事業を展開しています。
過去3年間の売上/利益推移
これからは三菱総合研究所の、過去3年間の売上と利益推移をみていきます。データは下記のサイトを参照しましたが、営業利益率は計算した後で、端数を切り捨てしています。
(単位/億) | 2015年度 | 2016年度 | 2017年度 |
売上 | 853 | 869 | 894 |
営業利益 | 55 | 54 | 57 |
当期利益 | 36 | 34 | 38 |
営業利益率 | 4% | 4% | 4% |
三菱総合研究所の過去5年間の売上や利益推移をみると、大幅な減少や増加がみられることなく、常に高い推移で維持しているということがわかります。
また、三菱総合研究所の2014年10~12月期にプレスリリースされた資料によると、2014年は、消費の回復や在庫調整の進展によって、やや前向きな動きがみられたため、2014年の売上や利益が上昇したと分析されています。
三菱総合研究所では、国内市場が低迷しており、マーケット環境が厳しい中で、以下のような3つの課題を認識しています。
- 短期的な動向だけでなく将来の見通しを立てること
- 創造的で実効性のある戦略を立案
- 即座に判断して実行する力
このような3つの課題を三菱総合研究所全体で認識し、長年培ってきたシンクタンク事業の経験を通じて、得意分野であるデータを使った中長期の予測を駆使し、三菱総合研究所ならではの独創的な発案を基に、経営戦略をしていくことを目標としています。
また、三菱総合研究所に在籍する専門家だけでなく、法律事務所や会計事務所などの外部の専門家と連携することによって、経営の向上や改善をサポートすることを掲げています。
2018年の三菱総合研究所に関するトピックス
現在、三菱重工業や三菱自動車など、三菱グループのトピックスが頻繁にニュースとして報道されています。ここでは、2018年に報道された三菱総合研究所に関するトピックスを順にみていきましょう。
地震や台風における大阪への影響について
2018年6月18日の朝、大阪の北部を突然の地震が襲いました。1995年に起こった阪神・淡路大震災以降、大きな地震に襲われることがなかった大阪では、約3カ月後の9月4日に台風という天災に襲われてしまいました。
大阪を含めた広範囲に影響を及ぼした台風21号は、関西国際空港にも高潮によるダメージを与えました。また、関西国際空港では、大型タンカーが対岸を結ぶ連絡橋に衝突したために、一時孤立状態を引き起こすなど甚大な被害に見舞われました。
このような状況を受け、三菱総合研究所の研究員である劉瀟瀟氏は、外国人観光客が急増している日本において、こうした災害による情報提供が不足していると警鐘を鳴らしました。
私たちのような日本人でさえ、突然の災害に混乱してしまう状況の中、言葉の通じない外国人観光客にとっての不安は計り知れません。2年後に控えた東京オリンピックに向けて、今後も増加が予想される外国人観光客向けに、災害時の情報提供についてSNSなどを駆使して情報発信が求められていくでしょう。
また、劉瀟瀟氏は、相次ぐ天災によって、ツアーやホテルのキャンセルが一時的に相次ぐという事態が発生していますが、このような状況は1~2カ月程度で解消する見通しであるとしています。
新しい物流ビジネスの実証実験が開始
ここ数年の間に、さまざまな分野で小型無人機ドローンが急激に活躍するようになりました。2016年には、大手WEBサービス会社「Amazon」が、ドローンを使った商品の配達実験を試みたことが話題となりました。
現在、日本国内においては、物流に携わるドライバー不足が深刻化し、ドライバーの過重労働対策がなされたことでも記憶に新しいところです。このような状況の中、長野県伊那市では、小型無人機ドローンを使った物流ビジネスの構築を積極的に行っています。
伊那市では、KDDIとゼンリンに委託し、過疎地域などの居住する高齢者などを対象にして、市街地のスーパーマーケットや商店と連携したショッピングサービスの実用化を目指しています。
この試みは、2021年度のサービス実用化を目標としており、気象情報を日本気象協会、学術研究で東京海洋大学、コンサルタントで三菱総合研究所が関わっています。
AIが自分にあった大学や学部を提案
大学進学に向けて、自分のやりたいことや将来の夢がなかなか決まらず、どの大学に進学すればよいのか悩んでいる高校生も多いのではないでしょうか。
就職や転職支援サービスを展開する「マイナビ」とコンサルティング企業の「三菱総合研究所」は、AIによる大学や学部の提案をするサービスを開始することを発表しました。
このサービスは、高校生が大学で学びたいことだけでなく、個人の性別や学校名、興味のあることなどをコンピュータに打ち込むだけで、AI技術によって、おすすめの大学や学部をランキング形式で提案してくれるという内容です。
なお、利用料は無料で、パソコンだけでなく、スマートフォンからも利用することができます。今後は、このサービスに携わった2社が協力し、学校情報などの詳細情報をAIに学習させることによって、より精度を向上させる取り組みが進められていく予定です。
北京大学と共同研究されたAIの活用
三菱総合研究所は、AIについて中国の北京大学と共同研究し、財務諸表の説明文を自動生成することを目指しています。
北京大学では、自然言語処理と深層学習の分野において、世界最先端の技術と人材を確保しており、2017年9月に三菱総合研究所と包括協力協定を締結したことによって、AIの共同研究が実現しました。
共同研究の第1弾として、日本の大手企業からシステム開発受託などの事業を展開する株式会社北京大学天公システムと連携し、文章情報の生成と提供を自動化する技術の構築が目的とされています。
三菱総合研究所の業界の動向
企業にOB訪問に行く前に、その企業が携わっている業界が、どのような動向であるかを確認しておくことも大切です。ここでは、三菱総合研究所の業界の動向を順に解説していきます。
コンサルティング業界の業績推移
三菱総合研究所の主な事業の1つ「コンサルティング事業」は、1800年代後半には、アメリカの工場において、科学的なマネジメントを取りいれたことが起源といわれています。一方で、日本では、1966年にアメリカのコンサルティング会社が進出し、コンサルタントに対するニーズが少しずつ増加したという経緯があります。
現在のコンサルティング事業は、業界規模では約4,500億円で、伸び率は9.0%という数字をみても、上昇傾向にあるということがわかります。また、平均年収が約700万円で、航空業界に続く第33位となっています。
近年の日本では、不景気の煽りを受け、多くの業界が業績不審に陥ったり、横ばい傾向であったといえるでしょう。しかし、コンサルティング事業は、2010年以降、やや増加傾向をたどっており、地球規模で深刻化している環境問題や企業の経費削減指向によって、コンサルタントに頼る企業が増加しているのが現状です。
多岐にわたるコンサルティング事業
日本では、アベノミクスの効果などにより、社会全体の景気が回復傾向にあるといわれています。また、2013年頃からグローバル化が急激に進み、海外に事業を展開する企業が多く、アジア圏などによるニーズも増加しています。
近年では、IT技術に特化した事業が数多く展開されており、ビッグデータやクラウド、海外進出サポートなどの新しい分野にもコンサルティング事業が求められています。現在、中国が急激な経済成長を遂げている中で、アジア圏のマーケットにスポットが当てられており、日本でもアジア圏への進出を計画している企業も多いのが現状です。
しかし、コンサルティング事業が発祥し、活用度の高いアメリカと比較すると、日本のコンサルティング事業の活用度が低く、今後は、日本独自のコンサルティングを活用していくことが課題とされています。
三菱総合研究所へOB訪問に行く前に準備すべき3つの項目
企業へOB訪問に行く機会は、就職を希望している全員が叶うものではありません。このようなチャンスに、三菱総合研究所に関する情報をしっかりと押さえてOB訪問に臨みましょう。
三菱総合研究所に在籍する研究員をリサーチしておこう
三菱総合研究所では、シンクタンク事業やコンサルティング事業など、さまざまな分野のデータ分析や研究などを行うことが基盤となっています。そのため、三菱総合研究所には、多くの研究員が在籍しており、専門性の高い知識や技術が活かされています。
また、かつて三菱総合研究所で活躍した研究員は、現在、大学の教授やエコノミストなど、多様な活躍をしている人が多くいます。
三菱総合研究所の公式ホームページには、在籍する研究員のプロフィールが写真付きで詳細に掲載されています。このような情報から、三菱総合研究所で行われている研究内容や分野をOB訪問までに理解しておきましょう。
社会貢献についてリサーチしておこう
現在、地球規模で深刻化している環境問題に対して、植樹などの活動を企業が積極的に行っているところが多いのが現状です。このような企業の社会貢献活動を知ることによって、企業だけでなく、社員としても社会貢献活動に参加できる機会があるかもしれません。
三菱総合研究所では、社会貢献活動の一つとして、日本赤十字社に協力し、社員の献血を年2回行っています。この活動によって、約1,800人が献血に参加し、献血の推進活動が評価されて、表彰されたという実績があります。
日本のコンサルティング事業では、株式会社エフティグループが業界トップを誇っています。株式会社エフティグループでは、三菱総合研究所と同様にソリューション事業を手掛けていますが、非常用電源の負荷試験事業なども手掛けています。
近年、日本では各地で天災が起こっており、突然の停電で病院などの公共施設にも多大な影響を及ぼしたことは記憶に新しいところです。株式会社エフティグループでは、このような災害時に対する技術を提供しているため、今後もニーズが高まることが予想されます。
このように、同じ事業を手掛けている企業と比較し、どのようなメリット・デメリットがあるのかをOB訪問に行く前にリサーチすると、企業の将来性などを確認することもできるでしょう。
OB/OGへの質問を準備
三菱総合研究所にOB訪問に行く前に、先輩社員に聞いておきたい質問をいくつか準備しておくと、質疑応答の時間に慌てることはないでしょう。
社員の教育制度について質問してみよう
企業に入社し、配属された部署での業務内容によっては、資格取得を目指すことが必須となる場合もあります。また、社員の「学び」に対する企業のサポートは、社員のモチベーションだけでなく、企業としても、事業に活かすことができる人材を育てるチャンスでもあるといえるでしょう。
御社には、原子力安全事業部や情報システム部など、専門性の高い知識や技術が必要な部署が多くあります。配属される部署において、必要な資格や研修があれば教えてください。
また、日本の企業でも、近年では、英語を社内公用語とする企業も増加傾向にあるので、社内公用語について質問してみるのもよいでしょう。高い英語力が必要であることがわかると、入社までに英語力を高めて準備しておくこともできます。
女性のキャリアアップについて質問してみよう
現在、女性の社会進出が推進される中、労働環境が整っていないことが原因で、出産や子育てを機に退職を余儀なくされる女性が多いのが現状です。また、女性でも管理職を目指すことができるということは、働く上でのモチベーションに繋がることでしょう。
今後、自分が三菱総合研究所に入社した場合、結婚や出産を経ても、働き続けることができる労働環境であるかということを確認してみましょう。
政府が、女性の管理職の比率を向上させることを推進していますが、これに対して御社では、どのような取り組みがされているのでしょうか。
2017年度のデータでは、東京都内の企業において、女性管理職の割合は、8.6%となっており、前年度と比較すると、わずかながら上昇傾向にあることがわかっています。
地方都市に急増する都市開発について質問してみよう
2年後の東京オリンピックに向けた再開発を始め、地方都市の都市開発などが活発化しています。また、海外では、アジア圏などを中心に、日本企業が進出し、都市開発に携わる機会が増えているのが現状です。このような社会の変化において、企業がどのように関わっているのかを質問してみましょう。
御社では、官公庁を対象とした事業を手掛けていますが、地方都市の都市開発も事業に組み込まれているのでしょうか。
現在、東京などの主要都市圏だけでなく、地方都市の再開発が進み、大型ショッピングモールや複合型のショッピング施設などが数多く登場しています。
地方都市の開発には、地方自治体などの公的機関の協力が必要不可欠となっており、不動産業界や建設業界と連携が想定されるため、三菱総合研究所のコンサルティング技術がどのように活かされているのかを質問してみましょう。
三菱総合研究所は未来共創する人を求めている
三菱総合研究所は、企業が直面するさまざまな問題に対して、長年培ってきたノウハウを駆使して提言することで、問題をスピーディーに解決できることを目指しています。
また、日々進化していく社会に対応するべく、新しい知識や経験の習得に努力し続ける人を求めています。さらに、三菱総合研究所は、社会貢献活動にも力を入れており、ボランティアなどに参加する機会もあることでしょう。三菱総合研究所で働くことによって、社会貢献活動を通じて精神的な成長を目指しましょう。
学生の皆さんのキャリア選択を応援します!
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