カゴメとは
カゴメ株式会社は、飲料・食品・調味料の大手総合メーカーです。トマト加工事業では国内最大手としてその名を知られており、1933年に国内初のトマトジュースを発売、同社の根幹を支える製品として、現在に至るまで発売され続けています。
株主を大事にする企業としても知られており、同社では個人株主のことを「ファン株主」と呼んでいます。定期的に工場や直営農園の見学、健康応援セミナー開催といった対話と交流の会が催されています。
2001年より「株主10万人構想」と銘打ち、個人株主を積極的に募った結果、2011年3月には株主総数の約99.5%が個人株主となっています。
名古屋と東京にそれぞれ本社があり、名古屋の本社には登記上の本店と経理部、情報システム部を残し、商品の企画・開発やマーケティングなど、社内全般の管理業務は東京本社で行われています。
企業概要
カゴメの事業内容はどのようなものなのでしょうか。事業内容もしっかり把握して企業研究に役立てましょう。
事業内容
研究技術系総合職
商品開発や生産調達部門(生産管理、加工技術開発、エンジニアリング、原料調達、品質管理)、宣伝、広報、経営企画、人事、財務、経理、海外業務などに分かれます。
初回の配属はイノベーション本部や工場と決められており、その後幅広い職種や勤務地を経験してキャリア開発を行います。
事務系総合職
営業、マーケティング、商品企画、宣伝、広報、経営企画、人事、財務、経理、海外業務などに分けられます。
こちらの場合の初回配属は、国内のスーパーマーケットなどの小売店や、レストラン・ファストフードなどの外食業態への営業担当を中心に、学生時代の経験から決定されます。その後は研究技術系総合職と同じく、幅広い職種・勤務地を経験してキャリア開発を行っていきます。
過去3年間の売上/利益推移
これからはカゴメの、過去3年間の売上と利益推移をみていきます。データは下記のサイトを参照しましたが、営業利益率は計算した後で、端数を切り捨てしています。
(単位/億) | 2015年度 | 2016年度 | 2017年度 |
売上 | 1,956 | 2,025 | 2,142 |
営業利益 | 67 | 109 | 119 |
当期利益 | 34 | 67 | 101 |
営業利益率 | 2% | 3% | 5% |
次年度の戦略
カゴメは中期経営計画として収益構造の改革×働き方の改革を掲げています。カゴメのブランドステートメント「自然を、おいしく、楽しく。KAGOME」をお客さまとの約束としており、自然の恵みがもつ価値を活かした商品の開発と提供を通じて、人々の健康的な食生活の実現に貢献しています。
また、長期ビジョン「トマトの会社から野菜の会社に」と「女性比率を50%にー社員から役員まで」を持続的成長と社会問題の解決を循環させながら企業価値向上に努めています。
まずは2018年度の定量目標である売上高2,150億円、営業利益率6%を達成することで、次のステージに繋げていくため社員一丸で挑んでいます。
2018年のカゴメに関するトピックス
カゴメに関するニュースもきちんとチェックしておきましょう。検索してみると多くの記事が出てきます。その中から気になるニュースをいくつかみていきましょう。
危険な野菜不足の慢性化
カゴメが「野菜不足の要因」に関する意識調査を明らかにしました。全国の20~69歳の男女計7,100人を対象にインターネットで実施したものになります。
1日の食事における平均的な野菜の量を尋ねたところ、「~100g」(26.8%)、「~150g」(23.1%)、「~50g」(20.1%)という順になりました。平均は厚労省が推奨する理想的な野菜摂取量である350gを大きく下回る119.2gです。
都道府県別でみると、平均野菜摂取量が多い県ベスト3は、1位「長野県(140g)」、2位「山梨県(135.5g)」、3位「群馬県(134.7g)」でした。ワーストをみてみると、47位「愛知県(99.5g)」、46位「富山県(103.8g)」、45位「石川県(104.9g)」となっています。
野菜不足の要因として、「平日朝食の品目数の少なさ」と「栄養バランスの意識の低さ」が重なっていることも分かりました。さらに「高価格からの野菜回避」、「野菜調理の手間」、「野菜の好き嫌い」も原因に大きく影響しています。
トマトジュースと牛乳は一緒に飲もう
ローソンとカゴメは「トマトジュースと牛乳は一緒に飲もう」という新提案を発表しました。トマトジュースと牛乳を一緒に摂ることで、抗酸化作用に優れた成分であるリコピンの吸収率が高まることが分かっています。
両社は「食を通じた健康寿命の延伸」を事業活動の柱の一つとしており、リコピンを豊富に含む高リコピントマトを、より手軽に摂取できる取り組みを展開していく予定です。このカゴメの高リコピントマトは、同社が使用している生鮮および加工用トマトと比べ、約1.5倍のリコピンを含みます。
ローソンはこの高リコピントマトを使用した「チーズオムライス」、「ロールキャベツ」、「ピリ辛ガーリックトマトソースのチキンカツ弁当」など、8商品を販売する予定です。また、「トマトジュースと牛乳を一緒に飲むなら何をトッピングすると美味しいか」のアイデアをローソン公式ブログで募集し、後日結果を発表することにしています。
カゴメの神対応を生んだ創業者以来の企業理念
とある就活生がツイートで明かしたカゴメの「おもてなし」の内容が15万件を超える「いいね」がつく反響を呼んでいます。
カゴメは、エントリーシートを提出するも残念ながら不採用になってしまった学生に対して、同社の製品「カゴメトマトジュース 高リコピントマト使用」1本(265g)と「ガリトマチキン」1箱が入った段ボールを送っています。
同封されたメッセージには「この度はカゴメ株式会社にご応募いただきありがとうございました。就職先として興味をもっていただきましたこと、想いを込めてエントリーシート・履歴書を作成いただきましたことに心から感謝いたします。」と書かれているそうです。
カゴメの企業理念の一つに「感謝・自然の恵みと多くの人々との出会いへ感謝」というものがあり、エントリーしてくださった方への贈り物は、この感謝の思いを具現化したものです。
カゴメ創業者の故・蟹江一太郎が大切にしていた「感謝」という言葉を受け継ぎ、現社員もまた多くの人に感謝の気持ちを伝えていることも学生を魅了するこの企業の素晴らしさの一つです。
食品業界の動向
食品業界全体の動向をみていきましょう。業界のこともしっかり把握することで、就職活動にも活かすことができます。
食品業界の業績推移
食品業界は近年、緩やかですが増加傾向にあります。平成24年末の政権交代以降、株価の上昇など国内景気が回復基調になります。また、平成25年にも消費者心理の回復や消費増税前の駆け込み需要などの影響から、堅調な業績を記録しています。
ただ、国内の食品需要は少子高齢化や人口減少を背景に縮小傾向にあります。こうした動向を受け、食品大手各社は海外へ活路を見出すことで売上を伸ばしています。
円安から食品各社が相次いで値上げへ
原材料の多くを輸入に頼っている食品メーカーにとって、近年の円安は逆風となります。原材料の占める割合が高い製油、ソーセージ、ハム、ジャム、冷凍食品、ワインなどが相次いで値上げをしています。一方で、価格に敏感な消費者のことを考慮して、同じ値段で内容量を減らすなど実質的な値上げを行うメーカーも相次いでいます。
中でも、堅調な推移をみせているのがパン業界です。近年の米離れを背景に、主食のトレンドがパンへと移行おり、平成23年に日本の一般家庭におけるパン消費量が米を上回りました。高騰していた小麦価格の安定も影響し、堅調な推移をみせています。
カゴメへOB訪問に行く前に準備すべき3つの項目
カゴメをもっと深く知り、内定を優位に進めたいと考えている学生は多いです。その中でも事前に準備をしておくことで、OBにも好印象を与えることができます。ここでは準備を推奨する3つの項目を確認していきましょう。
カゴメの独特な社風を理解する
カゴメでは、さまざまな部門と関わりながらチームで仕事をすることが多いため、他部署の社員とも分け隔てなく接する社風が根付いています。そんな風通しのいいカゴメの社風を一言で表すと「ワイガヤ」です。
ワイガヤとは文字通り「ワイワイガヤガヤ」と話し合うことで、さまざまな人の意見が上手に絡み合った結果として、イノベーションが生まれることをいいます。過去のエントリーシートで「あなたのワイガヤ体験を教えてください」という質問があるほど、自由な議論を重視する社風です。
誰とでも気取らずに本音をいえる人が、この企業では好まれます。思い切り個性を発揮したい人には向いていますが、同時に、他人に対する思いやりや、フォローの気持ちも大事にされます。
このような社風であることをきちんと認識したうえでOB訪問に臨みましょう。自分の性格や個性と企業が合っているか、OB訪問を通して確認することができます。
カゴメの商品を飲食しておく
面接では自己PRと志望動機を1分間という時間指定で聞かれます。実際にやってみると分かりますが、1分というのは意外にも長く感じます。だからといって話を広げようとすると、今度は時間が足りなくなってしまうことも多々あります。事前にストップウォッチを使ってジャスト1分にまとめる練習をしておきましょう。
また、内容をOB訪問の際にOBの方に聞いてもらいアドバイスをもらうことも大切ですので、しっかり事前に考えていきましょう。他には、カゴメの商品を5つ聞かれた面接が過去にあったようなので、企業研究の一環として商品の知識、できれば実際に飲食をして感想も持っておくと安心です。
自主キャリアプランを考える
カゴメでは、自らが主体となり自らの頭で考えて行動する「自主」という考え方を尊重しており、社員一人ひとりが自ら考える「将来ありたい姿」の実現を支援する各種制度が整っています。
・自己申告制度(全社員が対象):中長期のキャリアプランや能力開発の取り組みを上司・部下間で共有し、人材育成に活用する制度
・キャリア異動希望制度、社内公募制度(希望者のみ):自分から手を挙げることによって希望する仕事に就けるチャンスを増やす制度
・カフェテリア型教育、研修:各社員のニーズに合った能力開発支援型の教育・研修
このようにカゴメは社員の自主性を大事にしてくれる企業です。また、そのための環境も整えてくれています。あとは自分がどうありたいか、何をやりたいかを真剣に考えチャレンジするだけです。
カゴメの求める人材像や制度を知ることで、今後の自分のキャリアプランを考え整理してからOBへの質問を考えると、自分の知りたい情報をより聞き出すことができます。
OB/OGへの質問を準備
OBへの質問は念入りに準備しましょう。企業研究を深めていくうえで疑問や不安に思ったことの解決や、自分の熱意のアピールも一緒に行うことが重要です。どのような質問をすると、OBへよい印象を与えられるのでしょうか。
企業とのマッチング度を確認する質問
- 入社される前のイメージと、実際に入社されてからのイメージで大きく変わった点はありますか。
自分の思い描いている企業のイメージとのギャップが無いかを確認しておきましょう。OBの方が感じているイメージは自分が感じるかもしれないイメージに近いので、入社してからのギャップを無くすためにも必要な質問になります。
- 御社で求められる人材とは、どのような人だとお考えですか。
カゴメで求められている人材は、ネットで調べればある程度理解できると思います。ただ、実際に働いているOBからみた「どのような人が会社で必要とされ、どんな風になればその会社で働けるようになるのか」を知ることは、今後の選考対策をするうえで重要になってきます。
その会社で活躍している人物像がどのような方なのかを知り、自分に近い部分や足りない部分を把握するのは大事なことです。
企業研究に役立つ質問
- カゴメで実際に働いてみて感じる課題や将来性はどのようにお考えですか。
食品業界が比較的安定している業界ではあるものの、実際に働いている方が感じ考える課題と将来性を聞けるのは非常に貴重といえます。
面接の際に企業研究が足りないと判断され内定を貰えない学生は多くいます。ネットで知ることができる企業情報以上に、働いている方が感じる企業の内情はなかなか知ることができません。
- 海外業務にもチャレンジしやすい制度があるカゴメで、挑戦するために必要な語学スキルはどの程度になりますか。
海外での業務意欲がある方は聞くべき質問です。海外で活躍している方がどの程度の語学スキルを持っているのかは気になるところです。今後の語学対策のために、どのレベルを必要としているのか確認しておきましょう。また、将来的に海外を見据えた仕事をしたいというアピールもすることが出来ます。
就活に役立つ質問
- 食品業界の中でカゴメへの入社を決めた理由は何ですか。
この質問で、先輩がなぜカゴメに入社したのか、その動機やきっかけを聞くことができます。その企業から内定をもらったOBの方の動機は模範解答です。自分自身の志望動機を考える際の参考にしましょう。もしかしたら企業研究ではみつけられなかったカゴメの魅力に気付けるかもしれません。
- 御社を希望している場合に、食品業界の中でここをよく研究しておいた方がよいといったアドバイスを頂けますか。
実際に就職活動を経験してきた先輩だからこそ、働くようになって日々研究している業界のことや自分自身が研究で足りなかったために後悔した部分があるはずです。それを教えていただき、就活を進めるうえでの業界・企業研究の不足部分を補いましょう。
素直で自然な自分で立ち向かう
カゴメの社員はとても真面目で明るいと評判で、多様な人材のいる非常に雰囲気のよい会社です。また、社長が「孫に食べさせられない食品は作らない」と公言しているほど、製品に注意を払っているようで、とにかく誠実な企業と好評です。
食品業界は安定性から就職先としてはとても人気があり、カゴメももちろん内定をもらうには狭き門になってしまいます。しかし企業研究や面接対策、そしてOB訪問で意味のある質問をすることで内定を勝ち取りましょう。
カゴメは面接の際にも個人をよくみようとしており、その人の本質や人柄を大事にしています。嘘はつかず素直で自然な自分を出すことがとても重要です。
創業者がはじめに感じたトマト栽培の感動を現代まで引き継いでいるカゴメの長い歴史は、ノウハウと知識を生み出してきました。カゴメの商品は現代日本人の生活に欠かせないものといっても過言ではありません。カゴメの社員みんなが大切にしてきた自然を愛する気持ちに共感し、これからの選考に挑みましょう。