世界に広がるグローバル総合金融サービスを誇るJPモルガン
JPモルガンはグローバルに展開している法人向け事業をおこなっている「JPモルガン」ブランドを、米国で展開している中小企業や個人向けには「チェース」ブランドを用いています。ニューヨークに本社を置く世界有数のグローバル総合金融サービスの会社です。
日本では関東大震災の翌年に、日本が初めて発行した震災復興公債1億5000万ドルをJPモルガンが引き受けたことから始まります。そこから日本国内での事業を拡大し現在に至ります。
また、JPモルガンは世界経済や社会問題を解決に貢献するために非営利団体や慈善団体の活動を支援しています。世界中で活躍するJPモルガンの社員とその理念を知りましょう。
JPモルガンとは
JPモルガンとはJPモルガン・チェース&カンパニーを親会社にもつ世界屈指の総合金融サービスの会社です。投資銀行業務を行う会社で、親会社のJPモルガン・チェース&カンパニーの巨大な資本力をもとに安定した業績を維持しています。
投資銀行、証券会社、資金決済や貿易金融、証券管理、資産運用など多岐に渡る金融サービスを事業会社、金融機関、機関投資家、政府機関に提供する会社です。
事業内容
日本ではJPモルガン証券株式会社、JPモルガン・チェース銀行東京支店、JPモルガン・アセット・マネジメント株式会社が事業を展開しています。
バンキング業務
インベストメント・バンキングではM&Aのアドバイザリー業務や株式や社債の発行による資金調達の支援などを行っています。
トレジャリー・サービスでは送金決済、回収、流動性管理、インベストメント・マネジメント、貿易金融、サプライチェーン・ファイナンスなどグローバルベースで包括的な金融ソリューションの提供をしています。
また、コーポレート・バンキングでは日本の事業法人や海外企業の在日子会社、金融法人および政府系機関にJPモルガンのサービスを横断的に利用してもらうための窓口業務を行っています。資金調達、外国為替、デリバティブ取引、資金決済やグローバル・キャッシュ・マネジメントなどの営業も行っています。
マーケッツ&インベスターサービス業務
マーケッツでは為替、債券、株式の部門に分かれ、それぞれの金融商品の取引の執行や商品の組成、市場動向のモニタリング、取引データの分析を行っています。株式部門では株式やデリバティブの仲介取引やマーケット・メイキング、投資戦略の提案など幅広く顧客に対応しています。
債券部門ではグローバルに為替調査・分析を行い、顧客のニーズに合わせた為替戦略や商品の提案をしています。為替の部門では国内の事業法人や機関投資家への為替戦略・商品の提案を行っています。
また、調査部門ではマクロ経済、債券、為替、株式、クレジットのそれぞれの調査チームが連携して情報を収集し、調査情報を機関投資家などへ提供しています。
インベスター・サービスは、信託銀行、保険会社、資産運用会社、証券会社などの金融機関に対しての資産管理サービスを提供する部門です。
アセット・マネジメント業務
アセット・マネジメントでは、機関投資家営業や金融法人営業、投資信託の業務を行っています。国内年金基金などの機関投資家向けの運用サービスや、銀行や販売会社を通じて個人投資家向けの投資信託の提供を行っています。
世界各国の株式、債券、為替、ヘッジファンド、不動産、プライベート・エクイティなどの投資商品の提供を行う部門です。
アセット・マネジメント業務は、運用とセールスに分かれており、投資手法や投資運用商品について学び、個人投資家や機関投資家に対して資産運用サービスをする部門です。
過去5年間の売上/利益推移
2012 | 2013 | 2014 | 2015 | 2016 | 2017 | |
売上 単位/億 |
970 | 966 | 942 | 935 | 956 | 996 |
当期利益 単位/億 |
212 | 179 | 217 | 244 | 247 | 244 |
営業利益 | 0% | 26.82% | 31.62% | 32.82% | 36.1% | 24.4% |
過去5年間の売上と利益率の推移です。ここ5年間は、横ばい状態で安定しています。大きな変動はありませんが、安定と信頼のJPモルガンを表しているといえるでしょう。
次年度の戦略
JPモルガン・チュースは2018年、外部の有望なベンチャー企業を社内に招き入れて、次世代のフィンテック(フィナンシャル・テクノロジー)の開発をサポートするプログラム「In-Residence(イン・レジデンス)」をスタートしました。
これは、選ばれたベンチャー企業がJPモルガンの「レジデンツ(住居人)」として、ブロックチェーンやロボティクス、ビッグデータ分析などのアイデアを有効な製品・サービスに作り上げるというもので、実用的なフィンテックの開発を行うことができます。
・UX(ユーザー・エクスペリエンス)
・Data Science(データ・サイエンス)
・Cyber(サイバーセキュリティー)
・Robotics(ロボティクス)
・Big Data(ビッグデータ)
・Messaging(チャットなどのメッセージ)
・Cloud(クラウド)
・Blockchain(ブロックチェーン)
JPモルガンは、上記の8つの「Emerging Technologies(新たなテクノロジー)」分野に注目し、投資・買収を進めています。
新たなフィンテック企業とパートナーシップを組むことで、今まで提供してきたサービス以上のサービスを提供できるようになるとしています。世界的にも大きな市場であり生活へのインパクトの大きなフィンテックに注視しているようです。
2018年のJPモルガンに関するトピックス
JPモルガンは世界でも有名な巨大企業です。ニュースに取り上げられることも多く、その動向が常に社会から注目されています。ここでは2018年に話題になったJPモルガンのトピックスをみてみましょう。
優秀な人材の流出を防ぐ、社員に合わせて仕組みを変える働きかた
近頃、企業は優秀な人材を採用するためにさまざまな取り組みを行っています。せっかく優秀な人材を確保しても女性の場合、結婚や出産、育児のために勤務先の問題などから、離職する人も多くいます。
そんな中、JPモルガンでは結婚を機に夫の勤務地であるニューヨークのに移動を申請し、転勤できた例もあります。これは、空きポストがあり選考に合格すれば、自分の行きたい部署に異動することができることを意味しています。
また、その後の夫のサンフランシスコへの転勤の際には、サンフランシスコでは空きポストも行きたい部署もありませんでした。それを上司に相談したこの女性は、ニューヨークのチームに所属したままサンフランシスコでの勤務を行うことになりました。
上司の判断により会社の制度に社員を合わせるのではなく、社員の事情に合わせて柔軟に対応することで、優秀な人材の流出を防ぐことにつながっています。
JPモルガンでは社員のために、出産後の育児休暇や職場復帰後のフォローなどさまざまな制度が設けられており、社員が個々の能力を最大限に発揮できるように職場環境を整えています。このようにJPモルガンでは働きやすい環境を整えることで人材の確保を行っています。
JPモルガン・デトロイトでの1億ドルの巨額投資
JPモルガン・チェース銀行は、2013年に財政破綻したデトロイトへ「Invested in Detroit」プロジェクトとして2019年までに1億5,000万ドルを投資することを決めています。
JPモルガンは都市が復興することにより労働人口や企業の増加、住宅事情の活況、経済成長が見込め、銀行にもプラスになると考えました。そして、この復興支援が成功することにより、長期的には株主にもよい結果がもたらされると考えました。
これらの支援は900人の雇用を創出し、1,300世帯の住宅を提供、1万5,000人超がスキルの向上研修やキャリア、技術教育を享受しました。
これらの政策のうちの一つである「デトロイト・サービス・コープス」制度は、世界中から集まったJPモルガンの社員それぞれが専門性を活かしてNPOで3週間無償で働き、復興に貢献する制度です。JPモルガンは人材の投資も行い社会に貢献しています。
米大企業が手を組んで医療業界に参入
バークシャー・ハサウェイ、アマゾン、JPモルガンは、アメリカ人労働者に高度でありながら手の届く医療をめざす会社を共同で立ち上げることを発表しました。テクノロジーを駆使して、わかりやすく高度、そして透明性のある医療ケアを提供することを目指しています。
この3つの巨大企業がそれぞれの特色を活かし協力することで、テクノロジー、開発力、分析力、保険システムを兼ね備えた「まったく新しい何か」が生まれることが期待されています。
平均的な市民がより高度な医療を手頃な対価で受けることが可能になる、そんなビックインパクトを社会に与えるプロジェクトをJPモルガンはほか2社とともに手掛けています。
外資系金融業界の動向
ここでは外資系金融業界の動向について解説します。外資系金融業界の動向を知ることによって就職活動をするときの参考にしてください。
外資系金融業界の業績推移
トムソン・ロイターのリーグテーブル(グローバル)の完了案件の件数をみてみると、1位がゴールドマン・サックス、2位がモルガン・スタンレー、JPモルガンは3位につけています。2016年に比べ2017年は、全ての企業で件数が減少しています。
米中貿易戦争の金融業界への影響
現在、中国では企業の過剰債務問題が深刻化していて、中国では未然に金融危機を防ぐために過剰債務を解消する政策がとられています。そのため、インフラへの設備投資が全体的に低下し、個人消費も鈍化してきていることから、景気の減速を招く一因となっています。
そして、アメリカでは中国製品に関税をかけることが発表され、米中の貿易摩擦がおこり、中国企業の債務不履行の恐れがでてきています。このことから中国経済の減速が世界経済の減速へと波及するのではといわれています。
2008年の世界規模の金融危機から10年たち、2019年にはまた、新たな金融危機に陥ると予測する投資家や経済学者もいます。景気が減速すると、株価など、金融業界にも影響がでます。金融業界は、世界経済の動向が大きく関わるのです。
JPモルガンへOB訪問に行く前に準備すべき3つの項目
JPモルガンは、金融業界の中で働きたい企業ランキングの常に上位に位置する企業です。人気の企業のため競争率も高いです。OB訪問に行く前に、JPモルガンがどのような人材を求めているのかみていきましょう。
OBのアポイントメントの取り方
OB訪問をする前にまずはOBを探して、アポイントメントを取らなければなりません。知り合いがいると簡単なのですが、多くの場合は大学のキャリアセンターなどで卒業生の情報を調べてアポイントメントを取ることになるでしょう。卒業生がいなければ、直接企業に連絡をとることになります。
JPモルガンの場合は夏休み中に毎年、サマー・ワークショップが開催されています。採用する部門ごとに夏休みの間に2~3日間、東京で開催しています。これらに参加することで、社員から直接話を聞く機会もでき、その後、個別に連絡を取って話を聞くこともできます。
募集は部門ごとに行われているので、自分の志望する職種や業務を明確にしておく必要があります。また、サマー・ワークショップも部門ごとの開催になります。
高潔の「白鳥」と呼ばれるJPモルガン社員
JPモルガンの社員は、高潔の「白鳥」と形容されることがあります。これは、紳士的で優美であり、影でこつこつと努力できる人が多い、ということを表現しています。JPモルガンの社員は「お客様第一」で「高い倫理観」を持って職務に従事しています。人を育てて大事にする社風から、勤続年数の長い人も多いです。
入社後すぐからさまざまな研修制度が用意されており、金融の基礎知識を学びます。そして、最終的に自分が望む部署をみつけられるように、いろいろなチャンスが与えられます。
目的を持ってこつこつと努力を続けることでさまざまなキャリアアップの機会を掴むことができます。JPモルガンでは、長いスタンスで目標に向かって努力できる人が求められています。
チームワークを重視する
JPモルガンは、チームワークを重視することでも知られています。個別に高い能力を持ち、責任感を持って仕事をしているかたわら、同じチームの人間のフォローをするなど周りの人間の様子をみながら仕事を進めていきます。これは部署が異なっても同じで、そのチームワークのよさと情報共有能力が高いところが特徴です。
そのため、協調性がありチームワークをとれるかどうかということも、重要になってくるでしょう。今までの自分の活動を通して、リーダーシップやコミュニケーション能力をアピールするようにしましょう。
OB/OGへの質問を準備
企業に応募するときにネットや資料で調べられる情報は限られています。OB/OGの方々に直接会って話を聞くことで、実際の業務内容や社内の様子などを知ることができます。
マッチング度をはかる質問
企業に応募するとき、最も重要視するのはその企業が自分に合っているかということではないでしょうか。ここでは、資料などでは知ることができない、企業内の様子を質問してみましょう。
- JPモルガンではモビリティを通じて社員の方々がさまざまなキャリアを積んでいるようですが、どのような方法でその制度を利用しているのでしょうか?
JPモルガンでは希望する職務や勤務地があれば移動して、新しい仕事を学ぶことができます。JPモルガンを希望する人ならば自分のスキルをブラッシュアップして、さらに上の段階へ進みたいと思う人も多いでしょう。実際にどのようにキャリアアップしているのかを知ることで、これからのライフプランの参考になります。
- JPモルガンでは、社員が長期的に成長できるようにある研修制度やメンター制度はどのようなものですか?
JPモルガンではメンター制度という制度を利用していて、新入社員が入ると年の近い先輩社員がサポートにつき、仕事面や精神面でもフォローを行っています。
この制度は新社会人にとってはとても心強いサポートですが、実際はどのような内容なのかを入社前に知ることで、自分に合っているかどうか確認できます。また、研修制度には、どれくらいの英語力や知識が必要かも気になるところです。前もって研修制度の内容を確認することで、事前に準備することができます。
企業の活動や理念に関する質問
企業はその企業の持つ理念や活動に、企業の色がでてきます。考え方や方向性を理解して、面接での質問に備えましょう。
- JPモルガンではさまざまなCSR活動を行っていますが、どのような活動に参加されましたか。その活動を通してどのようなことを学んで仕事に活かすことができていますか。
JPモルガンの特徴として、世界中でさまざまなCSR活動をしていることがあります。この活動は、世界中から注目されており多くの社員が参加しています。
日本では災害地でのボランティアや中小企業への戦略アドバイス、リーガルクリニック、若者むけの面接指導など社員は自分の技能を活かしさまざまな活動をしています。JPモルガンを志す人なら、このような活動を知り自分ができることを提案できるようにするとよいでしょう。
- 「一流のビジネスを一流の方法で実践する」という理念が掲げられていますが、どのような形で実践していますか。
企業理念を理解することでその会社の社風や考え方がわかります。「ダイバーシティ」や「インクルージョン」を考慮した幅広い人材の採用を掲げるJPモルガンでは、多種多様な視点を持つことを認め、全ての社員にキャリアアップの機会を与えることを重視しています。
どのような人材がどのような行動力をもってビジネスに結び付けているかということは、企業自体のこれからの成長にもつながる重要なことです。
選考に役立つ質問
選考に役立つ質問も重要です。面接のときに話題を広げることにも役立ちます。
- JPモルガンでは英語力や金融の知識が必要となると思いますが、どの程度のスキルが必要でしょうか。
JPモルガンは世界60カ国に事業を展開しています。さまざまな国で事業を展開するにあたり、その国の言葉や地域性を理解していることも大切です。必要なスキルが分かれば、前もって学習することもできます。
- 「自分自身でチャンスをつかみに行く姿勢が重要」ということを伺いましたが、キャリアアップするにあたり、必要なこととはどのようなことでしょうか。
JPモルガンは世界最大級のグローバル金融会社です。そのため、世界中で多くの社員が働いています。この中で、どのようにチャンスをつかみ、キャリアアップしていくのかを聞くことで、そこで働く社員の姿勢や将来の展望を聞くことができ、面接のときの参考にできます。
人あたりのよい努力の人を求めるJPモルガン
JPモルガンは長期的な目で社員を育て、すべての人にチャンスを公平に与えることで社員のモチベーションを上げ、それが企業自体のブラッシュアップにつながっています。常に顧客第一主義で考え最善の提案ができるのは、こつこつとデータを収集・分析し提案するために日々努力を重ねているからです。
また、JPモルガンは世界中に事業を展開しており、新しいことにも挑戦しています。社会的にインパクトのある大きな仕事をしたい人にとっては最適の職場となるでしょう。JPモルガンでは、望む人にはすべての人に知識や機会が与えられます。どのような困難にも立ち向かい努力を続ける人こそが、JPモルガンの求める人材です。