株式会社日本政策投資銀行とは
耳慣れない会社名かもしれませんが、株式会社日本政策投資銀行とは政府が株を持っている銀行です。例えば、文字通り政策に必要なお金、ODAや政府からの補助資金を用意する銀行でもあります。株式会社日本政策投資銀行について知り、OB訪問に臨みましょう。
企業概要
株式会社日本政策投資銀行は、「金融力で未来をデザインします」を企業理念として、東京都千代田区大手町にオフィスがある会社で、出資と融資を一体的に行う手法と、高度な金融上の手法を用いることにより、長期の事業資金に係る投融資機能を発揮して、長期の事業資金を必要とするお客様に対する資金供給の円滑化及び金融機能の高度化に寄与しています。
こういった銀行は「政府系金融機関」といわれ、政府が全額または大半を出資して設立された特殊法人である金融機関です。
民間金融機関が融資困難な長期プロジェクトや大規模プロジェクトをファイナンスする目的で設立されましたが、直接金融の規制緩和と拡大や、民間金融機関の大規模化にともないその役割は小さくなっていると指摘されてきました。
これを受けて、政府系金融機関4行が統合されて日本政策金融公庫が誕生し、日本政策投資銀行は株式会社化されるなど、改革は今も続いています。
事業内容
まず、「投資銀行」とはなんでしょうか。金融が早くから発達したイギリスでは「マーチャントバンク」と呼ばれた証券引受業務を主に行う金融機関がロンドンにあって、「引受業務」を行なっていました。
「引受業務」とは「企業などが証券を発行して資金調達を行う際に、それを一時的にすべて買い取り、投資家に販売していく仕事」のことで、買い取った証券を売り残さずさばくためには、投資家のニーズや市場の動向などを見ながら最適な条件で起債する必要があり、市場取引の高度なスキルが求められました。
その後、アメリカではマーチャントバンクを原型とする金融機関が直接金融の発展を担うようになり、「投資銀行(Investment Bank)」と呼ばれ、金融の自由化、グローバル化を追い風に国際金融のリーダー的な役割を果たしました。
これが「投資銀行」の始まりなのですが、今ではM&Aの仲介や財務戦略の助言、資金調達のアレンジ,金融技術開発など、大手企業を金融・財務面から支援するためのさまざまなサービスを展開しています。銀行と名がついていますが、業務内容は「証券会社」に果てしなく近いものです。
「株式会社日本政策投資銀行」では出資・融資・債務保証等の業務を基本として、新金融技術を活用した業務を行います。社債や巨額の長期借入金による資金調達に加え、国の財政投融資計画に基づく財政融資資金、政府保証債等の長期・安定的な資金調達を行うこともします。
将来の社会的課題と当行グループの役割
長期的な外部環境の変化を踏まえ、産業、インフラ、地域のお客様が直面する課題を整理したうえで連携・協働による金融市場の活性化・安定化を目指していきます。
例えば、エネルギー分野。エネルギー分野への知見、ネットワークをフルに活用し、様々な形態のファイナンスを実施しています。
運輸・交通分野では、交通インフラ(鉄道、空港、航空、バスなど)の整備・改善に向けて、長期的な視点に立ったプロジェクトの形成から、中立的な立場を活かした複数の企業による連携のサポートまで、幅広く取り組んでいます。
都市開発分野では1960年代から不動産事業への長期ファイナンスに取り組み、また、日本の不動産証券化市場には、その黎明期から参画し、蓄積したノウハウとネットワークを活用しながら、市場の活性化に取り組んでいます。
産業分野では、今後技術革新・新事業・再編など様々な変化が予想される産業分野で、お客様・社会の課題に真摯に向き合い、日本の産業競争力強化に貢献しています。
なお、株式会社日本政策投資銀行のグループには、DBJ日本政策投資銀行 設備投資研究所、 一般財団法人 日本経済研究所、ほくとう総研、株式会社 日本経済研究所、価値総合研究所、DBJアセットマネジメント、DBJ証券株式会社、DBJキャピタル株式会社、DBJリアルエステート株式会社、株式会社コンシスト、などが入っています。
本店・支店情報
- 本店 東京 東京都千代田区大手町
- 北海道支店 札幌 札幌市中央区
- 東北支店 仙台 仙台市青葉区
- 新潟支店 新潟 新潟市中央区
- 北陸支店 金沢 金沢市広岡
- 東海支店 名古屋 名古屋市中村区
- 関西支店 大阪 大阪市中央区
- 中国支店 広島 広島市中区
- 四国支店 高松 高松市亀井町
- 九州支店 福岡 福岡市中央区
- 南九州支店 鹿児島 鹿児島市東千石町
コンプライアンス(法令等遵守態勢)
株式会社日本政策銀行では態勢の整備・確立が、お客様からの信頼維持や業務の健全性・適切性確保のため必要不可欠であると認識し、これを経営における最重要課題の一つとして位置づけ取り組んでいきます。
・コンプライアンス体制の整備と運用:コンプライアンス等に関する審議機関として、役員を構成員とする一般リスク管理委員会を設置しています。
・コンプライアンス関連事項の周知:役職員一人ひとりがコンプライアンスを実践するため、コンプライアンスマニュアルを策定、配布のうえ、研修・説明会の実施等によりその内容の周知徹底を図っています。
・コンプライアンスプログラムの策定:コンプライアンス実践のための具体的な行動計画として、年度毎にコンプライアンスプログラムを策定しています。
顧客保護等管理態勢
顧客保護および利便の向上に向けた管理の方針として「顧客保護等管理基本方針」を定め、さらにこれに基づいた内部規程を策定しています。
個人情報保護宣言
株式会社日本政策投資銀行は個人情報保護に関して、「個人情報保護宣言」を制定し、公表しています。
過去5年間の売上/利益推移
株式会社日本政策投資銀行 | 2012 | 2013 | 2014 | 2015 | 2016 | 2017 |
売上 単位/億 |
1,336 | 1,285 | 1,453 | 1,281 | 1,209 | 1,079 |
当期利益 単位/億 |
773 | 713 | 1,243 | 927 | 1,289 | 876 |
営業利益 | 58% | 55% | 86% | 72% | 107% | 81% |
2014年を境に売上が右肩下がりに落ちてしまっています。日銀は景気は緩やかな回復傾向と繰り返し発表していた頃です。日銀の思惑とは逆に、市場が冷えてしまっていることがわかります。
次年度の戦略
2017~19年度の3年間を対象とする「第4次中期経営計画」の内容
「第3次中期経営計画」から引き続き「第4次中期経営計画」では、持続可能な経済社会の実現に向け「投融資一体」の金融サービスの拡充や、リスク管理態勢など経営基盤の高度化を進めていきます。
また、事業を支える経営基盤の強化など、持続的な成長に向けた積極的な取り組みを展開し、連携・協働による金融市場の活性化・安定化をしてまいります。
2018年の株式会社日本政策投資銀行に関するトピックス
株式会社日本政策投資銀行の行った事業を新しいものからご紹介します。
英国の大型洋上風力発電事業に日本政策投資銀行が資金の一部を提供
関西電力と電源開発は2018年8月13日、英国で進行中の大型洋上風力発電事業に参入すると発表しました。日本の電力会社が海外洋上風力発電事業に参画するのは初めてで、これによる海外事業における関西電力の持分容量は合計271.2万kWとなります。
電源開発は株式の取得にあたって、英国に投資会社JP Renewable Europeを設立しました。これによって電源開発が投資会社の議決権付普通株式の100%を保有し、会社運営を行います。
設立した投資会社は株式会社日本政策投資銀行(DBJ)に対して議決権のない優先株式を発行し、日本勢でイノジー(ドイツのエネルギー会社)の開発子会社株の4割を取得する予定です。
北海道内7空港を一括して運営
新千歳など北海道内7空港(新千歳、稚内、釧路、函館、旭川、帯広、女満別)を一括して運営する民間企業の募集を始め、2018年8月16日に1次入札を締め切りました。9月ごろに最大3陣営に絞り、2次入札を経て19年夏には1陣営に優先交渉権を与えることになります。
入札には、新千歳を運営する北海道空港(札幌市)が、三菱地所や東京急行電鉄、日本政策投資銀行など十数社と連携し参画します。
関西3空港の運営実績を持つオリックスは、フランスの空港運営大手バンシ・エアポートと日仏連合を組みました。このほか、道内でホテルやゴルフ場を運営する東武鉄道とパリ空港公団などのグループ、シンガポールのチャンギ空港運営会社が応札したようです。
保健衛生事業者としては全国初の融資
日本政策投資銀行(DBJ)は2018年8月10日、北陸予防医学協会(高岡市)に対し、DBJ健康経営(ヘルスマネジメント)格付に基づいて事業資金を融資したと発表しました。融資額は2億円です。
富山市千代田町に2018年7月に新設した「とやま健診プラザ」で、磁気共鳴画像装置(MRI)など最新の医療機器や健診システムの導入費用に充てる予定です。
銀行業界の動向
平成19年まで、銀行業界は、バブル崩壊に伴う不良債権の処理や大型金融グループの間で行われた再編・合併に追われていました。平成19年以降は安定期に突入して、着実に事業を拡大する企業が増えていきました。
しかし、アメリカで発生したリーマンショックに伴い、日本の株価は暴落することになります。この影響を受けて、銀行業界を形成する各社ともに業績が著しく低下することになりました。
平成20年になるとメガバンクを中心に巨額赤字を計上する事態にも発展しています。このような動きを受けて、メガバンクは運用面での安全性を重視するようになりました。
銀行業界の業績推移
日本の経済は、海外経済の減速や失速を要因として、2012年の夏場以降に不安視されていたところがありましたが、近年の円安・株高などにより、少しずつ心理面における不安な点は解消されてきています。
その一方で、ヨーロッパにおける債務問題のこれからの展開や、アメリカの経済の回復力、日中関係の友好化など、これからも日本の経済に大きな影響を及ぼす問題はまだまだたくさん残っています。それだけに、銀行業界全体としても、現状にあぐらをかくことなく、さらなる業界の経営基盤の強化を推進していく必要があります。
このような背景を踏まえて、現在、日本の銀行は財務体質の強化や合併・統合などを通じた組織再編などに力を入れています。また銀行業界内だけではなく、法人や個人など取引先に対してもきめ細やかなサービスを確立して提供するなど、さまざまな動きをみせています。
銀行業界内でどのようなポジションを構築するか。また、取引先にむけてどのようなアピールをして、さらに売上を伸ばすか。銀行業界に属する各社の動向は、世の中から大きな注目を集めています。
銀行が気を許せない信託銀行の強さ
預金と貸し出しの面でみると、預金においては、三菱東京UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行、りそな銀行、埼玉りそな銀行が強いです。また貸し出しにおいては地方銀行が都市銀行よりも伸び率が高く、地方銀行に注目する法人や個人も着実に増えています。
そんな中、預金・貸し出しともに好調な信託銀行になりますと、三菱UFJ信託銀行、みずほ信託銀行、住友信託銀行、野村信託銀行は預金の顧客が約8.6パーセントの上昇で、貸し出しが約6.3パーセントに増加しています。確実に顧客を増やしているこれらの事実からは、預金が信託銀行にシフトしつつあるということです。
消費者の考えやニーズは常に変化を続けており、リアルタイムでそれらを抽出できることがさらなる成長のカギになると思われます。
株式会社日本政策投資銀行へOB訪問に行く前に準備すべき3つの項目
OB/OGに直に会って話が聞け、自分をアピールする機会を設けてもらう訳ですから、切り捨てられないように入念な下調べをして臨みたいものです。あらかじめ調べておくべきことと、心構えについてみていきましょう。
どのように働きたいか明確なビジョンを持つ
今年度の株式会社日本政策投資銀行では「総合職」で「今後の日本のあり方を俯瞰する総合性」、「金融分野のフロンティアを切り拓く高い志を併せもった」人材を求めています。募集人数が数名とあやふやですが、働く上で即戦力になれる姿勢をみせれば入社することは大いに可能でしょう。
「課題解決型のファイナンス(財源・財政・融資)業務、M&A(2つ以上の会社が1つになったり(合併)、他の会社を買ったりすること(買収))等のアドバイザリー業務、地域戦略企画業務など、多様な業務に通暁し、自らの専門知識をもって広く社会に貢献していただきたい」とWebの募集要項にはあります。
新人採用もキャリア採用もありということですから、OB/OGに会う前に、日本だけではなく世界的な融資先や近年活発化してみえる世界的なM&Aについて考えOB/OGに意見を求めるくらい材料を集めておきましょう。
インターンシップを利用して業務を把握した上でOBに質問することをまとめる
株式会社日本政策投資銀行にはインターンシップ(学生が在学中に自らの専攻や将来の進路と関連した就業体験をする制度のこと)があります。このインターンシップに参画して、実際に行われる業務に接し、OB/OGに質問することをピックアップしましょう。
株式会社日本政策投資銀行(DBJ)は、1951年に日本開発銀行として発足以降、金融というツールを用いて、日本の経済社会の発展に貢献してきました。その歴史の中で、前例のないことや困難なことに本気で向き合い挑んできた先駆者としてのDBJを、今回のインターンシップを通じて体感しましょう。
即戦力を求められていることを念頭において、世界的に株式会社日本政策投資銀行がどのようなことに出資・投資をしているかなどを、調べておくことも重要です。また、現場職員との座談会は会社の雰囲気を感じ、仕事内容の具体例を聞く大きなチャンスです。
社内の空気と環境を聞く
すでに社内で働いているOB/OGに時間を割いていただいて直接話を伺うチャンスなので、これだけは聞いておきたい、社内で仕事をしやすいかどうかの雰囲気や環境を伺うことにしましょう。
特に女性の場合は、子供が大きくなるまで何処かに預かってもらって仕事をこなさなければならないので、その環境や働きやすさは知っておいた方がいいでしょう。どのような質問をするか、事前にピックアップしておくことが大切です。
OB/OGへの質問を準備する
では、実際のOB/OGに会った時の質問を整理しましょう。質問だけでなく、会社の業績や動向もあらかじめネットなどで調べておきましょう。
仕事内容や実際の業務に携わった体験について
- こちらの会社に入って、最初にどのような仕事に携わりましたか?
- 最初の仕事でどのようなサポートを受けましたか?
こういった質問に対して、「会社独自の評価認証型融資制度業務に携わり、評価対象のお客様に関して、事前に下調べをしたうえで営業部店の担当者に同行し、担当したお客様の取り組みが新聞で報道された時は、頑張ってよかったなという達成感を感じます。
しかし、評価認証型融資は評価して終わりではなく、「御社はこんな強みがあるが、この点が課題です」などと公正にアドバイスして、社会的責任を果たそうと頑張っている企業を応援するのが評価認証型融資制度の主旨です。」といった答えが返ってくるでしょう。事前に頭に入れていた実業に関するデータを面接の時の自己アピールの参考にするとよいでしょう。
女性が働く上で出産・育児・介護に関するサポートについて
- 入社して働く上で、結婚や出産について、どのようなサポートを受けられますか?
- 介護施設が定員に達していて、入れないお年寄りを抱えています。介護のサポートは受けられますか?
結婚・出産後も仕事を続ける人が多いことをみても分かるように、女性でも長く働き続けキャリアを重ねることができる環境もあります。出産・育児支援制度、介護支援制度がありますので、そのような制度について詳しく聞いてみましょう。
会社の方向性について
- 面接では自分の希望する業務内容に対して希望を述べましたか?
- これからの銀行業界の中で、どの様に事業を進めていくのでしょうか?
たくさんの部署を抱える会社なので、会社で現場をみている先輩のホンネから、また違うことが発見できるかもしれません。実際に業務に関わっている方しか分からないことを聞けるチャンスです。部署によりますが、働き甲斐があるかどうかを判断することができる重要な質問です。
株式会社日本政策投資銀行へは入念な下調べと明確なビジョンで勝負する
即戦力として期待される新人の雇用ですが、都市開発部では、総合職の先輩がDBJの取り組んだ不動産プロジェクトの見学ツアーを業務後に企画してくれることがあり、実際にプロジェクトの最初から携わり、完成したものをみると達成感を感じるようです。
業務が立て込んで残業していると、先輩たちが声をかけてくれる、互いにフォローし合う社風のため、一人で仕事について悩まなくてよい、といった既に入社して第1線で働いているOB/OGの方々の意見がありますので、職場に溶け込むことや、仕事で行き詰まるといったトラブルはおきにくいと考えられます。
OB/OGへの質問は積極的にして、心象をよくするのはよいことです。また、OB/OGへの質問からどのような人物がこの会社に好まれるか、といった情報もみえてくるでしょう。下調べを入念にして、先輩にアピールしていきましょう。