まずコミュニケーション能力とは?
就活でよく耳にする「コミュニケーション能力」とは、単に話すのが上手な人を指すわけではありません。相手の話に耳を傾け、状況を正しく理解した上で、自分の意見や情報を分かりやすく伝える力のことをいいます。
さらに、相手の立場や状況に合わせて適切に関わろうとする姿勢も含まれます。報告・連絡・相談ができる、チームで円滑に仕事を進められる、といったビジネスの基本に直結するスキルとして、多くの企業が重要視しています。職種に関係なく社会人に必須の力と言えるでしょう。
コミュニケーション能力の3つの要素
コミュニケーション能力と聞くと「話す力」ばかり注目されがちですが、実は3つの力のバランスが大切です。
相手との信頼関係を築くことができるコミュニケーション能力の基本的な要素は、次の3つです。
①相手に伝える力
②話を聞く力
③疑問に対して質問する力
これらをバランスよく伸ばすと、コミュニケーション能力そのものを向上させることができるのです。
①相手に伝える力
「相手に伝える力」とは、自分の考えや情報を相手にわかりやすく届ける力のことです。難しい言葉を使わず、相手の知識や立場に合わせた伝え方ができるのが特徴です。話が長くならずに要点を整理して伝えられる人は、この力が高いと言えます。
また、ただ伝えるだけでなく、相手に「理解してもらう」ことを意識して話せるかどうかもポイントです。誤解なく伝えられる人は、職場でも信頼されやすくなるでしょう。
②話を聞く力
「話を聞く力」とは、相手の話を表面的に受け流すのではなく、内容や意図を正しく理解しようとする姿勢のことです。うなずきや相づちなどで関心を示しながら聞くことも大切なポイントです。
また、相手の言葉を最後まで遮らずに聞くことも重要です。ただ聞くだけでなく、「何を求めているか」「どんな背景があるか」を汲み取ろうとする姿勢が、信頼されるコミュニケーションにつながるでしょう。
③疑問に対して質問する力
「質問する力」とは、わからないことや曖昧な点をそのままにせず、自分から確認できる力のことです。相手に失礼かも…と遠慮してしまう人もいますが、質問は「理解しよう」という前向きな姿勢の表れなのです。要点を整理して、簡潔に聞くことがポイントでしょう。
また、「何がわからないか」を自分で整理してから質問する習慣をつけると、より効果的な対話ができるようになります。質問できる人は成長も早いと言えるでしょう。
コミュニケーション能力が重視される理由
多くの企業が「コミュニケーション能力」を重視するのは、どんな仕事でも一人で完結する仕事はほとんどなく、人と関わりながら進めていく場面が多いからです。
周囲と関わりながら仕事を進める上で、欠かせないスキルなのです。
仕事はチームなどで行うため
多くの企業では、仕事は個人ではなくチームや部署単位で進めていくことが基本です。
メンバー同士で情報を共有したり、役割分担を調整したりする中で、円滑なコミュニケーションは欠かせません。自分の考えをわかりやすく伝えたり、相手の意見を受け止めたりできる人は、チーム全体の仕事をスムーズに進める存在として重宝されます。
そのため、企業は「協力しながら働ける人か」を重視しているのです。
クライアントや社外との信頼関係に欠かせないため
仕事を進める上で、クライアントや取引先など社外の人と関わる機会は避けて通れません。その際、相手のニーズや課題を正しく把握することは、ビジネスマンとして必須のスキルです。単に話を聞くだけでなく、本音や要望を引き出す力や、自分の考えを分かりやすく伝える力が必要なのです。コミュニケーションを重ねることで信頼関係が生まれ、継続的な仕事の取引につながっていくのです。
企業がコミュニケーション能力を重視するのは、信頼構築を築く上で土台になる力だからです。
仕事をスムーズに行うため
仕事を円滑に進める基本の一つが「報連相(報告・連絡・相談)」です。業務の進捗や問題点を適切なタイミングで共有することで、ミスの防止や早めの対応が可能になるのです。
報連相をスムーズに進める上で、コミュニケーション能力は非常に重要になります。わかりやすく状況を伝えたり、相手の指示を正確に受け取ったりできる人は、職場でも信頼され仕事を円滑に進めることができるでしょう。
コミュニケーション能力をアピールしたい職種は?
コミュニケーション能力はどんな職種でも役立ちますが、特に「営業職」「接客・販売職」「企画職」では強みとしてアピールしやすいスキルでしょう。
営業職ではお客様との関係づくりやニーズの把握が欠かせませんし、接客・販売職でも相手に合わせた対応力が重要です。企画職では、社内外の関係者と意見交換しながら業務を進める場面が多いため、情報共有や調整力が求められます。
いずれの職種でも、相手の立場を考えて円滑にやり取りするためには、高いコミュニケーション能力が必要となるでしょう。
自己PRでコミュニケーション能力を伝えるポイント
自己PRでコミュニケーション能力をアピールする際は、「どんな場面で」「どのように活かしたか」などを具体的に伝えることが重要です。例えば、ただ「話すのが得意」といった抽象的な表現ではなく、実際の経験を交えてイメージしやすく伝えることがポイントとなります。
結論から伝える
自己PRでは、まず「自分はこういう力があります」と結論から伝えることが大切です。
例えば、「私の強みはコミュニケーション能力です」と最初に明言することで、面接官はその後の話を「どんな場面で発揮したのか」という視点で聞くことができます。話の方向性が最初にわかるため、エピソードも具体的にイメージしやすくなるのです。
逆に前置きが長く結論が最後になると、面接官に伝えたいポイントがぼやけてしまいます。
自己PRでは「結論→理由やエピソード→まとめ」という流れを意識すると、話がわかりやすく整理され、伝わる自己PRになります。話し慣れていない人ほど、最初に結論を置くことを心がけましょう。
具体的なエピソードを取り入れる
結論の次に、具体的なエピソードを交えることが大切です。
例えば「アルバイトで新人教育を担当した際、相手の理解度に合わせて説明方法を工夫した」など、実際の経験を入れることで、自分がどんな場面でどのように力を発揮したのかがイメージしやすくなります。抽象的なアピールだけでは「本当にできるのか?」と疑われることもあるでしょう。エピソードは難しい内容でなくても問題ありません。日常の中での経験を具体的に伝えることで、あなたらしい説得力ある自己PRに仕上がります。
自分が取り組んだ工夫や結果につながったポイントを整理して話すことがポイントです。
企業でどう活かしていきたいか
また、「これまでの経験」だけでなく、「企業でどう活かしていきたいか」まで伝えることが重要です。
例えば、営業職なら「お客様との信頼関係構築に活かしたい」、事務職なら「チーム内の情報共有や調整役として活かしたい」といった形で、応募先の仕事に合わせたアピールが効果的です。
企業は“その能力が自社で役立つか”を見ています。自分の強みをどう活かしたいのかを具体的に話すことで、「入社後の活躍イメージ」が伝わり、説得力のある自己PRにつながります。企業ごとに仕事内容を踏まえたアピール内容に調整すると、より印象に残りやすくなるでしょう。
コミュニケーション能力を伝える際の注意点
自己PRでコミュニケーション能力をアピールする人は多いですが、伝え方次第で印象は大きく変わります。ありがちな表現や曖昧な内容では、「本当にその力があるのか?」と疑われてしまうこともあるでしょう。
自己PRでコミュニケーション能力を伝える際には、いくつか注意すべきポイントがあります。
言い換えた言葉を使う
「コミュニケーション能力があります」だけでは漠然としていて、具体的にどんな力なのか相手に伝わりません。そこで重要なのが、言い換え表現を使うことです。
例えば「相手に合わせて伝える力」「周囲と信頼関係を築く力」など、自分が得意とする部分をほかの言葉に置き換えることで、強みがより具体的に伝わります。
企業は“どんな場面で役立つ力なのか”を知りたいと考えているため、ただの「コミュニケーション能力」という言葉で終わらせず、自分なりの表現で伝えましょう。言い換えの例としては以下のようなものがあります。
・相手に伝える力
・人の話を引き出す力
・報連相を徹底できる力
・周囲と信頼関係を築く力
・対話の中で課題を整理する力
・情報共有をスムーズに行う力
このような言い換えをしつつ具体例などを交えることで、相手により伝わるようになるでしょう。
ネガティブな印象を与えてしまう可能性がある
「コミュニケーション能力があります」とだけ伝えると、実はマイナスに受け取られてしまうこともあります。なぜなら、その言葉だけでは具体的にどんな場面で、どのように力を発揮できるのかが伝わらないからです。面接官は「それは誰でも言えることでは?」と感じてしまうこともあるでしょう。
だからこそ、自己PRでは具体的なエピソードを交えて説明することが大切です。また、「自分が周囲よりもコミュニケーション面で優れている」と言える理由をしっかり伝えられると、より説得力が増します。例えば「相手に合わせた説明ができる」「質問を通じて相手の本音を引き出せる」といった、自分ならではの強みを明確にすることがポイントです。
言動に注意する
自己PRで「コミュニケーション能力があります」とアピールしても、実際の面接での言動に自信がなかったり、目を合わせず小さな声で話していると、面接官に「本当に?」と疑われてしまうこともあります。話し方や態度そのもので“説得力”を見せられないと、かえってマイナス評価につながってしまうこともあるでしょう。
面接中は、適度に目線を合わせる、ハキハキと話す、相手の話を聞く姿勢を見せるといった基本的な行動が大切です。特に「話す力」「聞く力」などをアピールする場合、受け答えそのものがあなたの証明になります。「話し方=実績」と思われる場面でもあるので、内容だけでなく態度や表情まで意識して面接に臨むことが重要です。
自己PRでコミュニケーション能力を伝えるための職種別例文
ここからは、実際に自己PRで使える「コミュニケーション能力」の例文を職種別に紹介していきます。営業職・事務職・ITエンジニア・販売職・公務員など、目指す仕事に合わせて伝え方を工夫することが大切です。自分の志望職種に合わせて参考にしてみてください。
営業職
【営業職の例文】
私の強みは、相手の立場に立って話を聞き、ニーズに合わせた提案ができるコミュニケーション力です。大学時代のアパレルショップでのアルバイトでは、お客様が本当に求めているものを把握するために、まず会話を丁寧に重ねることを意識しました。好みや用途、価格帯などを自然な流れで聞き出し、それに合わせた提案をすることで、「またあなたに接客してほしい」と指名してくださるお客様も増えました。その結果、月間販売目標の達成率が向上し、店舗内でも上位の成績を維持することができました。営業職でもこの経験を活かし、お客様との信頼関係を築きながら、ただ売るだけでなく“相手の課題解決”につながる提案を行いたいと考えています。
【ポイント】
営業職では「話す力」だけでなく「聞く力」「関係構築力」が評価されるため、単なるトーク力ではなく、相手に寄り添った提案型の営業を意識できることを伝えると効果的です。
具体的な接客経験や成果を絡めてアピールしましょう。
事務職
【事務職の例文】
私の強みは、相手に合わせた伝え方で情報共有をスムーズに行えるコミュニケーション力です。大学でゼミの資料作成を担当していた際、メンバーそれぞれの進捗状況を把握し、分かりやすく整理してグループ全体に共有することを心がけました。専門用語は避け、重要なポイントを簡潔に伝えることで、誰にでも伝わる資料作りを意識した結果、メンバーから「説明がわかりやすい」「進めやすい」と言われた経験があります。事務職でも、報連相や書類作成などを通じて、周囲が動きやすい環境づくりに貢献したいと考えています。
【ポイント】
事務職では「わかりやすく伝える力」や「情報整理力」がコミュニケーション力の一つとして評価されます。日常の情報共有やサポート業務で意識した工夫を交えて伝えることがポイントです。
ITエンジニア
【ITエンジニアの例文】
私の強みは、専門知識のない人にもわかりやすく説明できるコミュニケーション力です。大学でプログラミングの勉強会を主催した際、初心者の参加者が多かったため、専門用語を避けた説明や図解を活用し、相手の理解度に合わせて伝え方を工夫しました。質問にはその場で丁寧に答えることを心がけた結果、「あなたの説明だと理解できた」と言ってもらえた経験があります。ITエンジニアは技術力だけでなく、関係者との情報共有や説明力も重要だと考えています。現場では、非エンジニアの方とも円滑にやり取りできるよう、この力を活かして貢献したいです。
【ポイント】
ITエンジニアは技術力だけが評価されるわけではありません。専門外の人への説明や関係者との調整力をアピールできると、他の就活生と差別化しやすくなります。
販売職(接客業・飲食業)
【販売職(接客業・飲食業)の例文】
私の強みは、お客様一人ひとりに合わせた柔軟な対応ができるコミュニケーション力です。大学時代、飲食店でホールスタッフとして接客をしていました。来店されるお客様の年齢層や状況はさまざまで、一人ひとりに同じ接客では満足いただけないと感じ、話すスピードや声の大きさ、メニュー説明の仕方を相手に合わせて調整するよう心がけました。ご年配のお客様には丁寧で聞き取りやすい話し方を意識し、仕事の合間に来店される方には時間を取らせないよう、要点を簡潔に伝える工夫をしました。その結果、「また来たい」と言っていただける機会も増えました。販売職でもこの経験を活かし、お客様の立場で考えたコミュニケーションを大切にしながら、信頼されるスタッフを目指していきたいです。
【ポイント】
販売職や接客業では「聞く力」と「伝える力」の両方が求められます。単なる接客経験ではなく、自ら工夫した対応や得られた成果まで具体的に伝えると、説得力のある自己PRになるでしょう。
公務員
【公務員の例文】
私の強みは、立場や年齢の違う相手とも丁寧な対話を心がけ、信頼関係を築くコミュニケーション力です。大学では地域ボランティア活動に参加し、高齢者の方々と交流する機会が多くありました。最初は会話が続かないこともありましたが、相手の話にしっかり耳を傾け、相槌や質問を交えながら会話を深めることで、徐々に信頼してもらえるようになりました。「あなたと話すと安心する」と言っていただいたときは、相手に寄り添う姿勢の大切さを実感しました。公務員として働く中でも、住民の声に丁寧に耳を傾け、分かりやすい説明や対応を心がけながら、多様な人々と信頼関係を築く存在になりたいと考えています。
【ポイント】
公務員は市民対応や関係機関との調整が多いため、「相手に寄り添った対話力」「信頼関係を築く力」を強みとしてアピールすると効果的です。誰とでも円滑に話せるだけでなく、“相手の話を聞く姿勢”を重視したエピソードが説得力につながるでしょう。
まとめ
コミュニケーション能力は多くの企業で求められる力ですが、抽象的に伝えるだけでは効果的なアピールにはなりません。大切なのは、「どんな場面でどのようにその力を活かしたのか」具体的に説明することが大切です。さらに「企業でどのように活かしたいか」まで伝えられると、採用担当者にもあなたの強みがより明確に伝わるでしょう。
今回紹介した例文を参考に、自分ならではの伝え方を見つけてください。
よくある質問
コミュニケーション能力を自己PRに使った言い換えは?
「コミュニケーション能力」という言葉は漠然としがちなので、「相手に合わせた伝え方ができる」「信頼関係を築くのが得意」「相手の悩みを引き出す質問ができる」といった表現に置き換えると、相手にイメージしてもらいやすくなります。職種や仕事内容に合わせて工夫するのがポイントです。
コミュニケーション能力が高い人の特徴は何ですか?
コミュニケーション能力が高い人は、相手の話をしっかり聞いて気持ちや意図を汲み取れることに加え、自分の伝え方を相手に合わせて調整できる人です。会話の中で相手との距離を自然に縮められる柔軟さも、大きな特徴と言えるでしょう。
人気大手企業就活ならビズリーチ・キャンパス!
ビズリーチ・キャンパスは三井物産、JR東日本、三井不動産、三井住友銀行、ソニー、NTTデータ、サントリーなど様々な業界の大手企業が利用しており、人気大手企業就活を目指す学生にとって必需品と言えるサービスです。
・誰もが知る人気大手企業から、特別座談会・選考免除・特別選考ルートなどのスカウトが届く
・人気大手企業によるビズリーチ・キャンパス限定のインターンシップ
・人気大手企業による各業界特化型の限定イベント
・難関企業内定者による就活対策講座を毎日開催
・先輩が『いつ・何をして・何に悩んだのか』を綴った就活体験記。就活全体像や時期別の悩みの具体的な解消方法がわかる
ぜひビズリーチ・キャンパスご活用し皆様にとって最適なキャリア選択を実現してください。