内定の意味を考える:内定取り消しとは?
内定取り消しとは、企業側が入社前に採用内定者の内定を取り消す行為のこと。一方、採用予定者から、内定を辞退する行為を内定辞退と呼びます。新卒採用の内定は、「始期付解約権留保付労働契約」を指します。これは、正式な労働契約が成立していることを意味しています。ちなみに、就職活動において内々定は、内定と似ていますが実は全く異なります。内々定の場合、正式な労働契約には至っていません。内定式は、多くの企業が10月1日に行います。その前に優秀な人材を確保しておきたいことから、内定を出す約束という形で内々定の通知を出します。
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10月1日以降に、内定を取り消しされてしまうと、新卒で仕事をする機会を失われることになります。新しい目標や仕事に対する希望も失われ、心身的にも大きなダメージを受けます。新卒者を雇う企業は、内定取り消しを行う場合、ハローワークに通知する必要があります。それらの通知結果の集計を見ると、平成28年度に内定取り消しとなった学生・生徒数 は86人。24事業所が内定取り消しを行っていることがわかります。
正式な労働契約が成立しているにも関わらず、企業側から一方的に取り消しをされても、法的な問題はないのでしょうか。また、どのような場合に、内定取り消しが認められているのか確認しましょう。
簡単には内定を取り消せない!:内定取り消しの法的な取り扱いとは?
内定は、「始期付解約権留保付労働契約」であり、正式な労働契約です。労働を約束する予約の意味ではなく、労働契約が成立していることを意味しています。しかし、労働契約の前に、「始期付」「解約権留保付」とあります。始期とは、実際に就業を開始するのは、内定が出た日ではなく、卒業して4月からという意味を含みます。また、解約権留保付は、解約権を留保していることを意味します。 内定により、労働契約は成立しているため、企業が内定取り消しを行うことは、一方的な解約「解雇」であるとされています。労働契約法16条によって客観的合理性、社会的相当性の2つがなければ、法的には無効になります。これは、たとえ解約権留保付であっても、その解約権を濫用してはいけないことを意味します。では、どのような理由で、内定取り消しは行われているのでしょうか。学生側に理由がある場合、企業側に理由があるの場合の2つにわけて見ていきましょう。
【学生側】内定取り消しの理由
①留年
内定取り消しの理由として最も多いのが留年です。卒業することを前提に内定を出しているため、卒業ができなければ内定取り消しとなります。大学によっては、必要単位数を満たしていても、必要な科目が足りていなければ、卒業できないところもあります。卒業の条件は大学や学部によって異なります。1年次の必須科目、2年次の必須科目などを確認しておくとともに、単位を落とすことのないように注意しましょう。
②大学などの経歴詐称
自己PRや面接などで、自分をよく見せるために、大学名やTOEICの点数を偽ったりすると内定取り消しとなります。他にも、資格を持っていないのに持っているように見せる行為も問題です。嘘がばれたとき、内定が取り消しされるだけでなく、社会的に信頼が失われ、今後の人生にも影響を及ぼします。入社してから話の食い違いなどで早期解雇につながるケースもあります。また、病気を隠す、女性の場合は、妊娠なども内定取り消しの理由となる場合もあります。
③犯罪歴があった場合
過去に犯罪歴があった場合や、内定後に罪を犯した場合も内定取り消しの理由となります。 履歴書やエントリーシートなどに「賞罰」の欄があった場合、犯罪歴を記載する必要があります。※ただし、未成年のときの前歴や交通違反の減点は含みません。
【企業側】内定取り消しの理由
①経営悪化に基づくもの
会社の業績が悪化した場合は、内定取り消しとなることもあります。
②抽象的な理由(社風との不一致)
後から社風とは合わないと判断した場合や、辞退する人がいると考えて多めに内定者を出したものの、辞退者があまりおらず、人数を調節するために内定を取り消すこともあります。 基本的に、厚生労働省は、不況を理由に内定取り消しを行わないように企業に指導しています。不況や業績が悪化しても、内定取り消しを防ぐため、企業は最大限の努力をする必要があると義務付けています。内定取り消しが企業側の理由であった場合や、明確な理由がない場合は、取り消しが無効となる例もあります。万が一に備えて、内定を取った後、注意しておくとよいことがあります。
内定を取った後の3つの注意事項とは
①「内定通知書」の保存
企業からの内定通知は、電話やメール、郵送での内定通知などがあります。内定通知書が郵送された場合は、必ず保存しましょう。電話で連絡がきた場合は、証拠として残るようにメールでお礼の連絡をし、内容を保存しておきましょう。通話録音アプリをつかって、内容を録音しておいてもよいでしょう。どのような形でも、内定の事実を残すことが重要です。
②卒業する
卒業できなければ、内定は取り消しされます。
③取り消し理由が不合理な場合は大学のキャリアセンターや弁護士に相談を
内定取り消しの理由が納得できない場合、大学のキャリアセンターや弁護士に相談をしましょう。内定取り消しには、客観的合理性と社会的相当性に値する理由が必要です。そういった理由がない場合、内定を取り消すことはできません。なかには、内定者自身が辞退するように促す企業もあります。その場では合意せず、大学に相談する旨を伝え、保留にしましょう。
まとめ
内定取り消し通知の時期によっては、新卒での就職に間に合わない可能性があります。学生側の理由で内定取り消しになることがないように気をつけましょう。また、企業側の理由であった場合は、その場で合意せず、大学のキャリアセンターに相談をしましょう。
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